【覚醒】スクルド【1】
「あたしに言わせりゃ壁ってのは、越えるためにあるんじゃねえさ」 そこは、千年間破られる事はないと言われた難攻不落の城塞だった。現に数十万の兵が取り囲んでも落とされる事はなく威容を保ち続けている。その城壁の前に巨大な斧を持った女戦士が現れた。 |
【覚醒】スクルド【2】
「壁は壊すためにあるんだ!」 女戦士の名はスクルド。オーディンとともに戦う戦乙女の一人である。ランドグリーズが城壁に向かって斧を掲げる姿を、城塞の守備兵長はにやにやと笑みを浮かべて眺めていた。強大な城塞から見れば、とるに足らない一兵卒にとしか見えなかったのだ。 |
【覚醒】スクルド【3】
「ブチ砕いてやったぜ!」 轟音とともに、城壁に巨大な穴が開いた。なんという剛力! 守備兵長は腰を抜かし、その場に崩れ落ちた。この城塞を守れなければ、すべて終わりだ。自分が責を問われ死罪になるばかりではない、まだ幼い妹たちもまた、きっと無事ではいられないだろう。 |
【覚醒】スクルド【4】
「それだけは砕けねえよ、この斧でもな」 ならば自分が城壁の代わりになり、戦って死ぬ事で妹たちを守ろう。覚悟を決めた守備兵長にスクルドは背を向け、立ち去った。守備兵長の目の中に深い絆を見て取ったのだ。力と情の戦士、それが戦乙女・スクルドだった。 |