インドラ【1】
「あんた、ここがインドラのなわばりだって知らずに入ったのかい?」 突然つけられた因縁に、とある神は眉をひそめた。天界になわばりもなにもない。目の前にいる女神・インドラが何を言いたいのか、わからなかった。 |
インドラ【2】
「なんだ、あたしがここにいちゃあいけないってのかい? 言ってくれるねえ」 本来、インドラは天界から追放された神のはずである。なぜ天界にいるのかをたずねると、インドラは声を荒らげた。 |
インドラ【3】
「ご忠告ありがとさん。だが、あたしの心は言葉じゃ動かなくてねえ……」 そんな態度だから追放されたのだと説教をする神へ、インドラは好戦的な笑みを浮かべた。目の前にいるものが、自分より格上の戦神だと知っているからこそ、わざとケンカを売っているのだ。 |
インドラ【4】
「あたしを静かにさせたきゃ、言葉じゃなくて拳で説教しな!」 無謀にも殴りかかってくるインドラ。戦神と戦神が戦えば辺り一帯が荒野になるということは、もちろん知っていてのふるまいだ。この乱暴者には言葉も権威も意味がない。どちらかが倒れるまで戦うしかないのだ。 |