キュベレ【1】
「有名な神様たちも、昔はあなたたちと同じくらい泣き虫だったのよ」 キュベレは、天界で神々のこどもたちを預かる役目を負っている。ある日神殿を訪れたキュベレは、こどもたちに神の王の像を見せた。白いひげを生やした威厳ある像だ。 |
キュベレ【2】
「あの神様も、初めはみんなと一緒だったの。小さくてかわいかったのよ」 昔のことを思い出し、くすくすと笑うキュベレ。こどもたちは彼女を不思議そうに見上げている。目の前でえらそうに腕を広げている神様の像は、どう見てもかわいいとは思えない。 |
キュベレ【3】
「あら、いたの? おひさしぶり、頑張っているみたいね」 その像のモデルとなった神が、キュベレの元に駆け寄ってきた。キュベレに対してぺこぺこと頭を下げる神。お付きの者たちは、それを不思議そうに見つめている。おそらくいつもは、彼らの前で威光を振りまく神なのだろう。 |
キュベレ【4】
「懐かしいわね、キミも昔はおしめを……」 昔話を始めようとするキュベレを、神様は慌てて奥に引き入れようとした。彼女に悪気はないのだが、神殿でこどもの頃の話などされてはたまったものではない、ということだろう。この神もまた、かつてキュベレのもとで育ち、偉大なものへと成長した一人だったのだ。 |