神属性/LLR/ドゥーベ

Last-modified: 2018-03-07 (水) 14:13:33

ドゥーベ【１】

「久方ぶりの上等な獲物だ……お前達、逃がすんじゃないよ」
『狼の巣』と呼ばれ忌み嫌われる森がある。その森には恐ろしい狼達と、彼等を使役し暮らしている女神がいるという。であるからこそ、恐怖の森を切り拓き、狼と女神を討伐して名を上げんとする冒険者が後を絶たない。

「さぁ、いらっしゃいな。私達の胃袋に閉じ込めてやろう!」
森は女神ﾄﾞｩｰﾍﾞとその『子供達』の縄張りであり、庭であり、独壇場。暗い森に狼の遠吠えが響き渡る。何も知らぬ哀れな獲物を四方八方から狙うのは、闇に潜んだ幾つもの狼の目。ｰｰ狩りはもう、始まっている。

「誰一人逃がしやしないさ。飢えた狼ほど執念深い生き物はいないぞ?」
暗い森、狼の遠吠え、あるいは唸り声、哀れな獲物の断末魔がまた一つ。狼の瞳のように真ん丸い月と、ﾄﾞｩｰﾍﾞの笑う双眸だけが、一方的な狩りを静かに見つめていた。

「ここは『狼の巣』……私達のﾃﾘﾄﾘｰを荒らす奴は、なんだろうと容赦しないよ」
断末魔が止んだ森。満足気な狼達を従えて、ﾄﾞｩｰﾍﾞは得意気に微笑んだ。狼達が一斉に月へ吠える。『狼の巣』から響くｹﾀﾞﾓﾉの合唱ｰｰそして周辺の民は恐怖と共に知るのだ。「ああ、また犠牲者が増えたのか」と。