【狡知】ロキ【1】
「冷たい夜はお嫌いかな?」 氷に閉ざされた地下の世界。狡知の神ロキの根城はそこにある。冷気と退屈しかないその空間で、稀代のトリックスターは何をたくらんでいるのだろうか。 |
【狡知】ロキ【2】
「つまらない世界を面白くする。それがボクのお仕事なのさ」 冬が勢力を増していた。地上ではまだその予兆に誰も気づかないが、ロキの魔力は少しずつだが気温を下げ、黒雲を成長させていた。 |
【狡知】ロキ【3】
「もうすぐここで楽しいことが起こるよ。平凡で退屈な日常を粉々に破壊する、とても楽しいことがね」 その吹雪はいきなり街を襲った。春の訪れに沸き立っていた街は一瞬で凍りつき、人々は慌てて家の戸を閉めた。こうして、終わらない冬が始まった。 |
【狡知】ロキ【4】
「楽しいゲームの始まりだ」 終わることのない極寒の日々。終わらせるにはロキを倒すしかない。彼は久しぶりに地上に出て、自分の城の前で楽しみに待つ。自分を倒すために現れる勇者たちを。『悪の大魔王ごっこ』これが彼の最近始めた遊びなのである。 |