イポス【1】
「また、私の力が必要になるようだな……」 地獄の底で、イポスは己の身体に再び力が沸き起こるのを感じていた。もうそろそろ誰かが彼を召喚し、その力を利用するのであろう。 |
イポス【2】
「今度こそ、無駄な血は流させない……」 イポスは遠い過去の記憶をたどり、まるで他人事のように見ていた。阿鼻叫喚の戦場では、力尽きた戦士たちの命があてもなく彷徨っていた。 |
イポス【3】
「……よし、そろそろくるだろう……」 復活の時は間近に迫ってきていた。イポスの周囲の空気が激しく捩れ、地獄の鐘が鳴り響く。同時に彼の全身に懐かしいほどの生気が甦る。 |
イポス【4】
「伯爵たる私が、死を征す!!」 唸りを上げる両の手は、その鋭さで深闇を切り裂く。研ぎ澄まされた牙は、殺戮に溺れた地獄の王である証。そして、血に染まりし戦慄の瞳は……。 |