タラスクス【1】
岩山の黒き竜の伝説は、常に青白いの炎と共に語られる。薄暗い常夜の岩山において、ニーズヘグの吐き出す炎は数少ない明かりとなる。ただし、その輝きに希望はなく、迫りくる閃光と熱はあらゆる生物に絶望を与えるだろう。 |
タラスクス【2】
常夜の岩山にも日が昇ることがある。それは数十年に一度しかないとても珍しいことだ。その日、ニーズヘグの炎は紅蓮に変色するという。太陽の光に呼応するかのように。太陽の熱に対抗するかのように……。 |
タラスクス【3】
太陽の光の柱が闇に閉ざされた岩山を貫き、黒き竜を照らす。闇の支配者だったニーズヘグはますます猛り、その炎は美しく輝きすべての闇を取り払う。逃げ場のない熱と光に、岩山のあらゆる生物は灰すら残さず消え去るだろう。 |
タラスクス【4】
生命の息吹を失った岩山には黒き竜、ニーズヘッグ鎮座している。この闇の支配者は知っている、どれだけ焼き尽くしても、太陽が昇れば再び生命が岩山に宿ると。 |