リッチ【1】
「漂う死の香り、貴方からですな」 背丈ほどの大鎌を手に地獄の案内人が眼前に立つ。存外に丁寧な口調に騙されてはいけない。抵抗しなければ待つのは死のみだ。 |
リッチ【2】
「運命はご自身で切り開く、と自惚れておいでで?」 リッチは生者に対する冥府の嘆きに応え現れる。死にはある種の必然性が伴い、逃れる術はけして多くない。 |
リッチ【3】
「楽に逝きたければどうぞお任せを」 巨大な大鎌が目にも止まらぬ速さで一閃し、魂を刈り取る。その所作は熟達した職人芸のように無駄がない。 |
リッチ【4】
「では後程、冥府にてお目にかかりましょう」 リッチの姿が見えるのは死を迎える者のみである。誰かが暴れだした時、彼はリッチを見ているのかもしれない。 |