大猿猴【1】
「貴様か、儂の庭を荒らすのは」 低くしわがれた声が空気を振るわせる。手に大きな槌をもつ魔神・大猿猴。その膂力は人間の及ぶところではない。 |
大猿猴【2】
「ふん。神の精気であれば、さぞかしとろける甘さであろうよ」 神の軍勢を前にして、大猿猴は舌なめずりをした。空を埋め尽くす天使の群れも、彼にとっては餌食に過ぎない。 |
大猿猴【3】
「む、潰してしまったか。少しばかり力加減を間違えてしまったわい」 大猿猴が血にまみれた槌を持ち上げると、その下にはひしゃげた死体が折り重なっていた。 |
大猿猴【4】
「その程度では、儂を殺すことは出来ぬよ」 斬りつけられた傷が、見る見るうちにふさがっていく。不死の呪いを受けた大猿猴は、正面より打ち倒すことは叶わない。 |