スコル【1】
氷に閉ざされた世界に一匹の魔狼が降り立つ。その狼は雪も氷も意に介さず、その地に自らの王国をつくった。 そんなスコルの伝説は、今でも雪深き氷の国で信じられている。それは国民たちが純朴さだけが理由ではない。スコルの勇気と強さが、その話に信憑性を持たせているのだ。 |
スコル【2】
かつてスコルの築いた王国に魔氷の悪魔たちが攻め込んだことがあった。無数の魔物たちの侵攻に、狼たちは果敢に戦ったが、そのほとんどが無惨に散っていった。王国を追われた狼たちを率いたスコルはさらに北の土地へと逃げた。しかし、スコルの瞳から闘志の炎が消えることはなかった。 |
スコル【3】
反撃の狼煙があげられたのは、魔氷の悪魔たちが王国を占拠してから半月が過ぎた時であった。吹雪の夜に、スコルたちの自分たちの王国へ帰還した。雪に紛れ素早く動き回る狼たちに翻弄され、魔氷の悪魔たちは次々と倒れて行った。勝利は目前かと思われたが、魔氷の悪魔は最後に暴挙に出た。逃げ出す際に、王国に火を放ったのだ。 |
スコル【4】
燃え盛る自らの王国を見下ろしても、スコルは誓った。散っていった多くの仲間たちを必ず冥府の底から救い出そうと。再びこの地に王国をつくり、永遠に反映させると。そしてスコルは旅に出た。その後、スコルを姿を見た者は誰もいない。ただ、その勇気と強さは今でも氷の王国に語り継がれている。 |