剛鬼【1】
「喰ろうてやろうぞ、その命を。大人しく差し出せい」 地の底から現れた地獄の鬼は、地を震わす大音声で告げる。居並ぶ兵士達は、その声で戦意を失い、武器を取り落とした。 |
剛鬼【2】
「この程度では、我の乾きは癒えぬ。もっと血をよこせい」 剛鬼は、一抱えほどもある棍棒を軽々と振るう。そのたびに人間たちの頭がはじけ、鮮血が飛び散った。 |
剛鬼【3】
「我の姿を見ても震えぬとは、なかなかの胆力。気に入ったぞ」 剛鬼の鋭い目がその時、歓喜の光を浮かべた。好敵手に出会うことは、人を殺すことの次に楽しい。 |
剛鬼【4】
「よかろう。我の真の姿を見せてやる。その目でとくと見よ」 その瞬間、剛鬼の姿はまるで人と融合したかのような変化を遂げる。過去に喰らった人間の法力を取り込み自らの力へと昇華したのだ。 |