渾沌【1】
6本脚の不気味な化け物は、唸り声を上げながら霧の中より姿を現した。たてがみが異様に長く、目は完全にふさがれてしまっている。背中に大きな翼を携えているが、大空を翔ることもできない。 |
渾沌【2】
立ち込む霧の中からやってきた不可思議な化け物は、翼を大きく広げたまま殺気を消し、周囲の状況をうかがう。しかし、奴の目がどこについているのかはまったく確認できず、視線の先はわからない。 |
渾沌【3】
ついに、6本脚の化け物は動き出す。6本のうちの、おそらくは前脚で地面を蹴ると、あたりには気流の乱れが巻き起こる。まるで竜巻のような風で歯向かうものを翻弄し、二本の角で命さえ奪う。 |
渾沌【4】
6本脚の化け物は大きな口を広げ、体内より負のオーラを解き放つ。目は見えず、音は聞こえず、善悪の判断さえもつかない。誰に命令されたわけでもなく、ただ目の前にいる者に向かって牙を剥く。 |