首なし騎士【1】
月が出ているのに、妙に辺りが暗く感じる夜。こういう夜は出歩かない方がいい。 首のない騎士が、うかつな人間の命を狙っているからだ。 |
首なし騎士【2】
闇よりの使者は自らの首を小脇に抱え、漆黒の馬に乗って夜の町を彷徨う。 彼は失ってしまった首をもう一度手に入れるため、出会った者に剣を突きつける。 |
首なし騎士【3】
首なし騎士に出会ってしまったものの末路は悲惨だ。 剣で首を斬られるか、馬の蹄で蹴り潰されるか。いずれにしても、その姿を見て生き延びたものは、そう多くはない。 |
首なし騎士【4】
「グォォォ、オマエノクビヲヨコセ」 無いはずのない頭部から声が響く。それは、地の底から響くような、濁った呪詛だ。気の弱いものなら、声だけで腰を抜かしてしまうだろう。 |