20160207第5回 同志社女子大学SCASP

Last-modified: 2016-02-07 (日) 15:18:19

第5回になりました同志社女子大学Student CASP Workshopを開催しました。
今日はパラパラと雪が降る中での開催。
同女は、台風で中止になったり、大雨だったり、苦労の多いワークショップです。


CASP Workshop in 同志社女子大学薬学部
2016年2月7日
同志社女子大学 京田辺キャンパス
テーマ : システマティックレビューを吟味する


Preventing the onset of major depressive disorder: A meta-analytic review of psychological interventions
Kim van Zoonen,1* Claudia Buntrock,2 David Daniel Ebert,2,3 Filip Smit,1,4,5 Charles F Reynolds III,6 Aartjan TF Beekman7 and Pim Cuijpers1,2
International Journal of Epidemiology 2014;43:318–329
http://ije.oxfordjournals.org/content/43/2/318.full


プログラム
10時~スタッフミーティング
10:15~ 参加者受付
10:30~10:45  EBM概論 阪神調剤薬局 市川先生
10:45~11:15 システマティックレビュー概論 兵庫医療大学 清水先生
昼食&グループワーク開始
11:30~14:30 SGL (1)
14:30~15:15  Feedback(1)
15:15~16:30 SGL(2)
16:30~17:15 Feedback(2)とまとめ
17:15~ 閉会のあいさつ
17:30  閉会・スタッフ ミーティング・片づけ


主催 臨床薬学教育研究センター 中西 弘和 教授
今回で卒業の、同女5年生のS.Aさんが開催の仕事を全部やってくれました。
彼女は全部で3回開催することになりましたが、EBMワークショップを開いてくれた学生として、最大数になりました。。
すごいです!
未来が楽しみな人材ですね。


参加者 39名
同志社女子大学薬学部 11名
近畿大学薬学部 2名
神戸薬科大学 2名
摂南大学薬学部 2名
大阪薬科大学 2名
その他
薬剤師さん 16名
薬科大学の先生 3名
医者 1名
医師、医学生が来てほしいところですが、難しいですね。


シナリオ

あなたはとある病院の薬剤師である。ある日、患者のAさんから相談をうけた。
Aさんは、50歳の男性である。以前から高血圧、脂質代謝異常のため内服処方をうけて通院していた。
先日、内視鏡で早期大腸癌が発見されて、内視鏡的な治療をうけて治癒している。
そのころから自分の健康状態が心配になり、不安で眠れないため外来で安定剤を処方されて内服するようになった。


もともと仕事は会社に勤務しており、40歳代から役職についてから休日も返上して働いてきた。しかし数年前に仕事上のトラブルがあり、不眠や過呼吸、普通電車に乗れないなどの不安神経症を発症した。そのため一時は「抑うつ状態、パニック症候群」の診断で、メンタルクリニックに通院していた。


あなた:最近眠れていますか?
Aさん:薬を飲むと眠れるんだけどね。時々目が覚めて、朝まで起きてしまうんだよ。
あなた:不安を感じることはありますか?
Aさん:
突然なんだか怖くなって、軽い過呼吸になることがあるねぇ…。
40歳のことは随分悪かったんだけど、またぶり返しそうだよ。
今回休んだら、会社から肩叩かれるかもしれないなぁ。
あなた:大変ですねぇ・・。
Aさん:薬でもなんでも、先生は何かいい方法御存じないですか?
インターネットだと、うつ病は再発率が80%と書いていて、心配で…。


あなたは、詳しく知らないことを正直に話して、次回までに調べてくることを約束した。
そういえば、ワークショップでうつ病の再発に関する論文を読んだことがあったので、クラウドに保存している資料をダウンロードして読みなおすことにした。

シナリオのPICO

P:50歳男性 高血圧有り 仕事人間 40代で仕事のイベントからパニック障害、うつの履歴あり
早期大腸癌治療後から抑欝状態?
うつの再発を心配している。
IとC(カッコ内):
眠剤各種を試す(試さない) 眠剤の短時間VS中時間など試す
プラセボを試す(試さない)
枕を変えてみる(いつもの枕)
カウンセリング(うけない)
運動をはじめる(はじめない)
趣味を探す(探さない)
食事制限をゆるくする(好きなもの食べる)
ビールにする(焼酎を飲む)
テレビを見て楽しむ(みない)
リラックスる音楽(激しい音楽)
仕事を休む(休まない)・・・役職なんて辞任したら?との意見有り!
仕事を変える(変えない)
引っ越しする(しない)
O:睡眠の改善、過呼吸の発作数、うつ病再発、うつ病再発の不安がなくなる、明るくなる、笑顔になる、気持ちが落ち着く、ストレス解消、内服や介入行為の副作用

論文のPICO

P:検索後は「PreventionとDepression」
セレクトされた文献の対象者は、バラバラでした。
大うつ病、出産後うつ、混合性などなど。
I:認知行動療法が最多(15本)で、あとは様々な介入方法でした。
Universal prevention、selected preventionの両方をいれたようです。
C:文献ごとにこれも違うようです
O:うつ病の再発

:*レビューを行った人は対象となるすべての研究を見つけようとしたか?

1966年~2012年のPubmed、EMBASE、Cochrane、PhychInfoなどのデータベースを検索
リファレンスも検索
中止された研究を探したかどうかについては記載なし
MeSHとテキストワードを使用
キーワードについては、補助文献にあるようです
ランダム化比較試験はすべて入れる。

レビューの著者は対象となった研究の「質」を評価したか?

コクランのリスクオブバイアス ツールを使用して、文献を評価した。
これは、2人が独立して評価し、意見が異なる点は合議で決定した

研究の結果がまとめられていたなら(メタアナリシス)、まとめることは適当であったか?

I二乗検定量を求めて、Heterogeneityを検討している。
あまり大きな差は無い、といコメントであったが・・
問題があると感じた。
そもそも、対象者が若年者から老人、出産後や子育て中のお母さんまで多岐にわたる。
リスクオブバイアスツールの項目には無いかもしれないけど、全然違うテーマが一緒になっていると感じた。

レビューの結果はどうだったか?

有意差はあったり無かったり、微妙な結果となったが全体には有効性がありそう、という結論だった。
「何の治療が?」
というのが、この文献からは評価困難。
認知行動療法は半分ぐらいしかなくて、介入はどんなことをしたらよいのか全然わからない。
でも、やはり介入で有意差は様々な研究で出ているのもよくわかる。。

その結果は現場で役立つか?

日頃の生活で、うつを予防するためにどうしたらよいか?
現在の人生の外に、僕達は何に取り組むべきなのか?