CASP worksheet for RCT Japanese version 2.21: CASP Japan Page 1 2003/07/21
CRITICAL APRAISAL SKILLS PROGRAMME
治療の臨床上の有効性の根拠を理解する
臨床試験を理解するための12のチェックポイントver. 2.21
General comments
• 臨床試験の内容吟味のためには3つのポイントを明らかにする必要があります。
A/ その結果は信頼できるか
B/ 結果は何か
C/ その結果はあなた立場・地域で役立つか
次のページから示されている12のチェックポイントに答えることで、これらのポイントをもれなくチェックすることができます。
• 最初の2つの簡単に答えられるチェックポイントは臨床試験のふるい分けのためのものです。もし、この2つが「はい」であるならば、さらにチェックを続けましょう。
• チェックポイントには、ある程度の重複があります。
• チェックポイントに関して「はい」、「いいえ」、「不明」のどれかを選ぶようにして下さい。一部のチェックポイントではそれ以外の答えが求められます。
• それぞれのチェックポイントにヒントがついています。そのポイントがどうして重要なのか、どこが重要なのかを示しています。
• このチェックポイントを作った参考文献:: Guyatt GH, Sackett DL, Cook DJ, Users' guides to the medical literature. II. How to use an article about therapy or prevention. JAMA 1993; 270: 2598-2601 and 271: 59-63
Produced by CASP (Critical Appraisal Skills Programme), Oxford UK.
訳:CASP Japan(http://CASPjp.umin.ac.jp)
A/この試験の結果は信頼できるか
とりあえず読むか読まないかを決めるための質問
1 その試験は焦点が明確な課題設定がなされたか? はい 不明 いいえ
□ □ □
課題は以下の要素が示されている必要がある
- 研究対象者(患者)
- 検討対象となった介入(治療)
- 検討された転帰(評価基準)
ポイント:これらがはっきり記載されていなければ、その結果を自分の現場に活かすことができない。
2 その試験は設定された課題に答えるための研究方法がとられていたか? はい 不明 いいえ
□ □ □
課題に答えるためには:
研究の対象は課題に沿っていたか
有効性を検討するための介入試験であったか
注:ランダム化比較試験は、治療の疑問に答えるために最も信頼度が高い手法とされている。しかし、すべての疑問に答えられる方法ではない。疾患や副作用の原因を明らかにしたり、新しい仮説を探す方法としては、他の研究デザインが用いられる
続ける価値はあるか?
妥当性を検討する詳細なチェックポイント
3. 患者はそれぞれの治療群にどのように割り付けられたか? ランダム 系統的 その他 不明
割付 な割付* の割付 □ □ □ □
ヒント: まず、割付の方法をチェックしよう。介入群と対照群との割付はちゃんとランダム化されていたか。ランダム化の方法もチェックしよう。センターへの問い合わせ、封筒法、現場で発生させた乱数など。
次に、グループの差が結果を変えるほどの違いがなかったかチェックしよう。それぞれの群の年齢や性別、重症度や合併症などに、差が示されていなかったか。対象者数が小さい試験では、ランダム化のバランスがとれるような方法がとられてはいなかったか?たとえば、層別化など。 *: 系統的な割付とは、交互割付やカルテ番号による割付、受診日による割付などを指す
4 研究対象者(患者)、現場担当者(医者など)、研究解析者は割付内容を目隠しされていたか? 二重(以上) 一重 目隠し 不明
目隠し 目隠し なし
□ □ □ □
ヒント:割付内容が対象者や担当者に知られると、観察者バイアスやホーソン効果などが影響を与える。なるべく割付内容が目隠しが行われるよう工夫されていたかどうかチェックしよう。研究解析者まで目隠しされていると、三重目隠しと言われることもある。
目隠しは、不可能な場合もある。目隠しが行われていなければ、そのことが研究結果にどれほどの影響を与えるか?結果に関わる治療効果の評価にある者が割付を目隠しされていたり、観察者によらないような明確な基準が用いられたか。
5 研究にエントリーした研究対象者全員が、研究結果において適切に評価されたか? はい 不明いいえ
□ □ □
ヒント:ここでは、対象者のフォローアップが完全であったか、ランダム化後に不適切な解析が行われていなかったかをチェックする。
まず、フォローアップできなかった患者が多く、研究結果を覆すような影響を与える懸念がないか。
また、研究結果のまとめは、そのランダム割付内容に従って、「intention to treat analysis:最初の割付のままの分析」によって分析されていたか
6 研究対象となった介入以外は、両方のグループで同じように治療が行われたか? い 不明いいえ
は □ □ □
ヒント:たとえば、治療手順をプロトコール化したり、併用療法を制限するなどして、大きな差が出ないように計画されたか。また、実際にその他の治療内容に大きな差がなかったか調査・検討されていなかったか。
治療効果の評価に関しても、同じような期間、同じような手順で評価されたか。
7. その研究の対象患者数は、偶然の影響を小さく留めるのに、十分な数であったか?
い 不明いいえ
は □ □ □
ヒント:まず、研究計画段階(methodの項)で「sample size: サンプルサイズ」の検討が行われていたか検討しよう。
これは、研究の計画の段階で、治療効果を予測しておき、それを確かめるために、何人の患者が必要かを求める方法である。
研究によっては、結果の検討の段階で「Power:検出力」を検討している場合もある。
B/ 結果は何か?
8a 結果はどのように示されたか?
ヒント: 1.比率、危険率-ある転帰に至った人の割合の比較2.平均または中央値(メジアン)の差-ある測定値の差(入院日数など) 3. ハザード-生存曲線の比較
8b 最も重要な結果は何であったか?
ヒント: その研究で最も重要な結果を1文にまとめて示してみよう。
例「○○(検討した治療)は□□(対象者)の△△(評価基準、転帰)を××(従来の治療、プラセボの場合)から◎◎(検討した治療の場合)にする」など
その結果の大きさはどれほど重要か? また、その結果は患者にとってどういう意味を持つか?
9 その結果はどの程度正確か?
ヒント: その結果は十分正確だろうか? 95%信頼区間が示されていれば、その信頼区間の両端で検討しても(偶然による揺らぎの範囲を考慮しても)、結果の解釈に大きな差がなく、同じように判断するだろうか?
もし信頼区間がなければ、p値は示されているだろうか?