CASPチェックシート 説明つき3 結果について

Last-modified: 2009-04-21 (火) 22:48:47

結果の検討

論文は、数値のデータを結果として表します。
死亡率~%とか、生存期間~日など。
5つのDというのが、「フレッチャーの疫学」に載っています。
4895924548
・Death
・Disease
・Disconfort
・Disability
・Dissatisfaction
これは、疫学という分野で指標とされる項目をまとめたもので、いわゆるアウトカムはこれらに含まれるわけです。
動物や、基礎実験などで使う細胞などの体のパーツから得られる情報では、こういうアウトカムはわからないんですね。
でも、動物実験でわかったことや、基礎医学の分野で示されたことをいかにも疫学情報の結果みたいに伝える情報が多いんだなぁ~。。


別の角度から考えると、これ以外のことは疫学では扱わないというのもまた真実です。
たとえば薬剤師さんとEBMワークショップなどで一緒になると、疫学だけでは薬剤師さん達の求める情報として十分ではありません。
薬の構造式や、作用機序などについては、別に学んで頂かないといけません。
看護師さんともたまに一緒に勉強しますが、「看護」に疫学はあまり重要ではないようです。
もちろん、知識があるのは大事なのですが、大多数の看護師さんにとって最重要のテーマにはならないと言えると思います。ナイチンゲールは統計学者でしたが、看護はそれだけじゃないのですね。
各職種ごとに、疫学の必要な比率があると思います。
必要なだけを、手軽に学べるようにワークショップなどがあるのですね。


話がそれました・・
ハードなアウトカムといわれる指標もあります。
死亡率や合併症の発生率、検査値の変化、などで、人間にとって極めて大切かつ数値に出来るデータです。
血圧が、健康の指標として何故ここまで重要になったのか?
それは死亡率や、脳卒中、心臓疾患の発生率などと直接関係があるため研究もしやすかったのも1つの理由なんです。


逆に、患者さんが満足しているかどうかを詳しく知りたい、と僕達が思ってもアウトカムとして非常に測定しにくい内容なのです。こんなに大事なことなのに、大規模な研究は出来ないんですね。
RCTで扱うのは、基本的にハッキリ数値が出るアウトカムだと思ってもらったらよいです。
QOLなんかも、患者さんの気持ちを数値化しているわけですね。

8a 結果はどのように示されたか?
ヒント:
1.比率、危険率-ある転帰に至った人の割合の比較
2.平均または中央値(メジアン)の差-ある測定値の差(入院日数など)
3. ハザード-生存曲線の比較

「どのように示されたか?」というと難しく聞こえます。
確かにこの辺りは、EBMを教えているときには大事な山場です。「Teaching Numbers」と言われ、EBM教育ワークショップでも時間をかけてレクチャー方法を考えたのが懐かしい。
なんでもデータには、示し方があります。
「内閣支持率は~%です。」よく聞く言葉ですよね?
身近なものでは、こういった百分率は代表的な数値でしょう。
もちろん疫学でも多用して、RCTの結果を示すにはアウトカムの発生率として使われます。死亡率は~%、というのはよく見る記載です。
その他、
・オッズ
・オッズ比
・ARR
・RR
・RRR
・NNT(Number need to treat)
・ハザード比
・生存曲線
などが示し方の例です。
身近なARR、NNT、RR、RRR で、以前解説を試みたので良かったら見て下さい。
オッズ、オッズ比、ハザード比、生存曲線・・
うーむ。。難しいところですね。。話は簡単なのですが、ぐっとくる解説はまだ思いついていません。
こういうことを書いていると、自分の弱点によく気づかされます。
また後日、この辺の解説も追加します。

8b 最も重要な結果は何であったか?
ヒント: その研究で最も重要な結果を1文にまとめて示してみよう。
例「○○(検討した治療)は□□(対象者)の△△(評価基準、転帰)を××(従来の治療、プラセボの場合)から◎◎(検討した治療の場合)にする」など
その結果の大きさはどれほど重要か? また、その結果は患者にとってどういう意味を持つか?

論文には様々な結果が出てきます。
死亡率は~%で、副作用の頻度は~%で・・・という具合。
もしあなたが、薬の効果について調べていたなら、その薬の効果が大事でしょう。
副作用について調べていたなら、大事なのは副作用の種類とそれぞれの発生頻度になるでしょう。


情報は、学習者によって意味が全く変わってきます。
とにかく、自分の知りたいことを中心にして論文をしっかり読み込むことが大事だと思います。

9 その結果はどの程度正確か?
ヒント: その結果は十分正確だろうか? 95%信頼区間が示されていれば、その信頼区間の両端で検討しても(偶然による揺らぎの範囲を考慮しても)、結果の解釈に大きな差がなく、同じように判断するだろうか?
もし信頼区間がなければ、p値は示されているだろうか?
続ける価値はあるか?
この研究は結果に信頼が置けるように計画され実施されたか?

どの程度正確か、というもまたわかりにくい。。
統計的な信頼度はどれぐらいなのか、を知りたい項目です。
・95%信頼区間
・P値
のどちらかが、記されていて参考になるはずです。