EBMで使う指標 RR、RRR、ARR、NNT

Last-modified: 2016-02-08 (月) 11:49:33

EBMの本を読むと、
RR:Relative Risk
RRR:Relative Risk Reduction
ARR:Absolute Risk Reduction
NNT:Number Need To Treat
の4つの指標が出てきます。


これらをちゃんと理解している事は、論文を読むときにすごく楽です。
教える方は、分かりやすく簡単に教えないといけませんね!


まず、

介入群コントロール群
イベント発生数98人151人
サンプル数989人978人

のような、データを想定しましょう。



>EBMの教科書を読むと、
イベント発生数
介入群=98÷989≒0.099
コントロール群=151÷978≒0.154


RR≒0.099÷0.154=0.64
RRR≒1-0.64=0.36
ARR≒0.154-0.099=0.055
NNT=1/ARR≒18.1


というような、計算方法が載っています。
でもNNTの意味がわからくないですか??
臨床現場で働きながら、ぱっと分かるようにしておかなきゃいけません。
後輩にさっと説明できなきゃいけません。

簡単に数値を理解しましょう。
その1)パーセントを出す
論文に載っている事が多いです。
載ってたら、その数値で始まるのでさらに簡単。
両群のイベント発生率は、臨床でも重要なので必ずパーセントで出しましょう。


介入群=9.9%
コントロール群15.4%


「このような二つの数値を簡単に説明するために、数値を一本化する。」
それが指標の意味です。
こういうときに、人間は何をするのか?
四則演算ですよ。
「たす、ひく、わる、かける」
じゃ、たすか?かけるか?やりませんね。
二つの数値をあわせて24%です、かけて150%二乗です。。。あり得ません。


二つの数値を比較するときに、人類は「引く」か「割る」のです。


その2)割る
こちらは、RRがでます。
介入群÷コントロール群=9.9÷15.4=0.64倍
RRRはリスクがどれほど減ったのか?(Relative Risk Reductionなので)という指標です。
1-RR=1-0.64=0.36
イージー!


その3)引く
ARR(Absolute Risk Reduction)=15.4-9.9=5.5%
5.5%の差があるんだよ、ということです。


NNTは、ARRの逆数⇒1/5.5%=100/5.5≒18
一人を助けるために何人治療するか?という指標なので、ざっくり人数にします。


NNTが10以下なら、その治療をしないのは犯罪行為だ!という先生がいました。
10~20はすごく効く治療です。
20~50は効果はあるけど、医師もよくわからないかもしれません。
50以上は、治療効果を実感するのは無理でしょう。


降圧治療が脳血管疾患を予防ためのNNTは200ぐらいです。
効いているのかどうかは、患者さんも医者もわかりません。
国単位、人類単位で有効な治療なのですね。


その4)NNTがよくわからない
NNTは、身近によく使っています。
2割引きの品物は、5つ買うと1つタダになりますね?
1割引きなら10個買うと1個がタダ。
それがNNTの考え方です。


みんなは無意識に、値段が下がった率の逆数をとっているのです。
このあたりは、よくよく考えてくださいね。


7%引きなら、いくつ買ったら一つ浮くのか?6%なら?
ぱっと浮かばない方は、計算方法をしっかり考えてみましょう。