NICE-SUGAR Study

Last-modified: 2009-04-29 (水) 12:13:33

論文

Intensive versus Conventional Glucose Control in Critically Ill Patients
The NICE-SUGAR Study Investigators
NEJM Volume 360:1283-1297 March 26, 2009 Number 13

論文のPECO

P:3日以上ICUでの治療が必要と判断された成人 ICU入室後24時間以内に登録
E:intensive glucose contorol 目標血糖値 81~108 mg/dl
C:conventional glucose control 目標血糖値 180以下/dl
O:primary outcome ランダム化からの90日以内の死亡(死因にかかわらず)
→さらに6つのサブグループのペアに分けられる→手術可能か不可能か、糖尿病があるか無いか、外傷の患者かどうか、severe sepsis があるかどうか、ステロイドを使用したかどうか、APACHEⅡスコアが25以上と以下
secondary outcome 90日以内の生存時間、原因別の死亡、人工呼吸器を必要とした時間、透析、ICU及び病院にいた時間
tertiary outcome ランダム化から28日の死亡、死亡場所(ICU、病院、その他)、新たな臓器不全の発症、血液培養陽性、輸血、補液量


血糖40以下は深刻な副作用として扱われた(低血糖の治療は計測の後にするよう希望したとあり)

この試験の結果は信頼できるか~内的妥当性の吟味

デザインの論文
The Normoglycemia in Intensive Care Evaluation (NICE) (ISRCTN04968275)
and Survival Using Glucose Algorithm Regulation (SUGAR) Study:
Development, design and conduct of an international multi-center, open label,
randomized controlled trial of two target ranges for glycemic control in
intensive care unit patients
http://www.glycemiccontrol.net/NICE/StudyDesign/nice_sugar_study_design.pdf
なかなか見つからんかった・・

割り付け方法

層別化
・手術適用vs手術適用外
・オーストラリアとニュージーランドvs北アメリカ
で行っている。
ランダム振り分けは、治療を担当した医師かlocal study coordinatorsが行った
ランダム化にはweb上のminimization algorithmを使用した←center割付
ブロックに関しては記載無し

ブラインドとマスキングについて

この論文もblindのような書き方なし
1284ページ右colum上の方
The treatment assignments were concealed before randomization, but subsequently, clinical staff were aware of them
右colum下の方
local study coordinators at each institution collected the data
1285ページ 右colum上の方
independent data and safety monitoring comittee


PDF上でconceal independent blind とか単語で検索が一番かな・・


とにかく、治療の性質上はブラインドするのは困難
本人が意識ある場合もあるので、今回は患者も知っているケースと知らないケースが混在していることが予想される。
恐らく、withdrawの「患者からの希望」の率に反映されていくと思われる。

ITT解析 intention to treat analysis 及び、脱落や追跡について

解析はITTで行ったと書かれている。

intensive care 群
304/3054 人 10% がdiscontiue
理由 
患者もしくは代理人からの希望 26名 0.9%
医師からの希望 115名 3.8% (深刻な副作用13人 緩和ケアに変更 116名 その他 34名)

conventional-control 群
225/3050 人 7.4% がdiscontinue
理由
患者もしくは代理人からの希望 22名 0.7%
医師からの希望 48名 1.6% (深刻な副作用1人 緩和ケアに変更 115名 その他 39名)

トライアルの終了時に、82名のvital status のデータが得られなくなっていた。
44名がintensive群、38名がconventional群であった。
これらの74名については、同意が得られなかったためであった。

追跡中の両群の治療について~追加された治療はないか?

治療方法は、インスリンセラピーに限らずとにかく血糖値の低下が目標
ただ、治療内容にかんしてはインスリンの投与しか書いていないかな
インスリンによるコントロールをした割合
intensive群 2931/3014人 97.2%
conventional群 2080/3014人 69%
かなり差がありますね。

サンプルサイズについて

もともとは、2006年のVan den Bergheの論文に基づいて4000名でスタートしたが、途中から6100に増やした。そのために30%の死亡率がベースにあって、グループ間で3.8%の差があった場合の死亡率の差を検出するのに90%のパワーを持つようになった。

という記載がある。
サンプルサイズを増やした理由や経緯に関してはかかれていない。
なんで増やしたんだろう?

funding

製薬会社からのfundingなし

結果は何か?

死亡率
-,intensive群,conventional群,オッズ比
90日時点,829/3010 27.5%,670/3010 24.9%,1.14(1.02-1.28)
28日時点,751/3012 22.3%,627/3012 20.8%,1.09(0.96-1.23)
でintensive群の方が若干死亡率があがるという結果。

低血糖もintensive群が6.8%とconventional群が0.5%と差が大きかった。
興味深かったのは、死亡原因は両群ともに心臓血管系のものが多かったことである。またintensive群では心臓血管系の死亡率がconventional群よりも高いが、その他の死因に関しては両群の差があまりない。
インスリン治療は、血管イベントを引き起こした可能性が高いと思われた。

サブグループ解析はいずれもconventional群の方が有利な結果であった。
外傷とステロイド治療したサブ解析だけは、intensive群が有利か・・という結果。

適用について考える

その結果は患者さんに当てはめることができるか?

intensive群がどうこうよりも、血糖値は180前後にするのがよさそうとは言えるだろう。
ただ、ICUに入室した患者さんを対象にしただけに、入室原因が多岐にわたった臨床研究である。
あとインスリンで血糖値を下げることだけについての結論なので、その他の治療とは混同してはいけないと思われる。
たとえば経腸栄養をした場合、血糖値を下げるために投与カロリーをぐっと減らすことがあるが、このような場合と、インスリンによって血糖値を取り込ませるのとは全然意味が違う。
また、血糖値からのアプローチではあるが、コレステロール、蛋白、アルブミン、フェリチン、体重などの要素を加味したらどうなるか?も興味がある。
例えば、血糖だけじゃなくて上記のデータを組み合わせて治療の流れを決めるアルゴリズムが出来るんじゃないか?という気もするのである。

現場で、どのような事前の説明が必要か?どのスタッフにするべきか?

血糖値を180ぐらいにするには、特に説明必要なし

他に知りたいことはないか?

経腸栄養についてどうなのか知りたい
ACCORD研究は、糖尿病コントロールを肥満患者に厳密にすると、死亡率が上がったために打ちきりになったRCTであった。それも血管系のイベントが増えるのが印象的。
インスリン総投与量は、人間にとって限界があるんじゃないかと思われる。

日本の一般的な医療、歴史的背景と違う点はあるか?