Blog/近鉄鳥羽・志摩線にて一般車で運転された特急救済臨時列車

Last-modified: 2024-08-14 (水) 20:45:00

2024年8月8日の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)発表により、8月9日から15日まで近鉄鳥羽線五十鈴川~志摩線賢島間で特急列車が運休(回送扱い)となったことに伴い、8月10日から15日の6日間は一般車両による救済臨時列車が五十鈴川~賢島間で1日5往復(上り1本は鳥羽行き)運転されています。

なお、詳細は割愛しますが9日金曜日については準備が間に合わなかったのか、運休扱いのはずの特急列車の一部を臨時列車と呼称して特急料金不要で乗車可能という便宜的措置がとられていました。
さすがにこの方法では運休扱いが形骸化するためか、10日~15日のお盆期間を含む土休日ダイヤ6日間は代わりに4両編成1本と3両編成1本の一般車両を使用した臨時列車が設定されています。

とはいえその臨時列車は公式HPなどでは案内されておらず、駅にも貼り紙がないため正確な運転時刻は現地で駅員に問い合わせるしかない状況です。
特急列車を運休扱いにした以上あまり大々的に告知できない事情は考えられましたが、撮影される方などの参考にということで当方では急遽時刻などの調査を行ってこちらにてダイヤグラムを公開する運びとなりました。
調査後の12日と14日には実際に撮影に向かいましたので、その時の様子を紹介します。

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臨時賢島行き6989列車 G40(賢島にて)
まずは12日の列車です。
3両編成のこの列車は既に10日から3日連続で2430系G40が充当されており、この編成は今年3月に高安検車区から明星検車区に転属したばかりですが、白塚車庫にて予備車として待機していたためか駆り出されました。
3両編成の志摩線への入線は極端に少なく、G40の入線記録も調べる限りでは存在せず。

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車両の行先表示幕については白幕で、一貫してヘッドマークの掲出もありません。

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臨時五十鈴川行き7086列車 G40(賢島にて)
折り返し五十鈴川行きとなるため、この列車に乗車して前面展望を撮影することにしました。
途中停車駅は特急停車駅と同一の鵜方、志摩磯部、鳥羽で、実はこの停車駅で一般車両を使用したヤバイTシャツ屋さんライブ開催に伴う臨時列車が約3ヶ月前に運転されたばかりなので、地元民の私しても驚きを隠せませんでした^^;

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賢島→鳥羽間の前面展望はYouTubeにアップしておりますので是非ご覧ください。
一般車両、ましてや約半年前まで大阪線車両だったG40で志摩線の駅を次々と通過する光景は新鮮です。
志摩赤崎では行き違いのために運転停車しますが、3両編成も最大6両編成用の停止位置に停車するため3両全車がホームからはみ出して停車していたようです。

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鳥羽に到着、この列車に関しては終始乗車率は低めでした。
特急救済列車ではあるものの普通が毎時1本しかない時間帯のみの設定ということで、もう少し乗客がいてもいいのではと思いましたが周知不足の影響が大きいのでしょう。

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発車シーンの動画です。
2430系G編成は2M1Tなので俊敏な加速がわかるかと思います。

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臨時賢島行き7189列車 FC93(鳥羽にて)
一旦改札を出入りした後、今度は4両編成が充当される7189列車を撮影、乗車します。
こちらも3日連続で1200、2430、2410系の3形式混在編成として有名なFC93で、明星車庫にて予備車として待機していたため起用されたようです。
FC92、FC93の2編成はロングシートながらサ1380形にトイレがあるためか、10年以上前から「ペンギン列車ツアー」や「サイクルトレイン」として志摩線にも度々入線したことがある編成です。

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車体断面の違い

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7189列車は鳥羽駅6番線になんと約30分間も停車。
猛暑のため扉は一部のみを半開き状態にした手動扱いで待機していました。
後続の鳥羽止まりの普通列車からも乗り換えられるとはいえ、この時間帯に多く走っている特急列車(全て回送扱いですが)などの合間を縫ったダイヤ作成の難しさが窺えます。

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鳥羽駅6番線から賢島方に出発する営業列車は普段は1日1本の普通列車のみです。

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鳥羽→鵜方間の前面展望はYouTubeにアップしておりますので是非ご覧ください。
初っ端から6番線出発のレア光景となります。

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鵜方で下車、モ1200形の方は志摩線のワンマン普通列車で活躍する1201系に似ているためレア感が薄いですが、ク2590形の"顔"は2両増結した急行列車での運用が多いので撮影できるだけでも嬉しいものです。
志摩スペイン村最寄り駅ということもあってこの駅で下車した方が多く、前方の車両に限れば乗車率は高めでした。

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臨時五十鈴川行き7286列車 FC93(志摩神明~鵜方間にて)
折り返し五十鈴川行きを鵜方1号踏切道付近のお気に入りの撮影場所で撮りましたが、この時間はまだ逆光状態だったので少々残念な結果に。

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臨時賢島行き7287列車 G40(志摩横山~鵜方間にて)
鵜方駅近辺でお昼ご飯を食べたかったのですがさすがに連休なのでどのお店も盛況で食べそびれてしまい、14日に撮影予定だった志摩横山4号踏切道付近での3両編成の下り臨時列車の撮影を前倒しすることにしました。
午前中は側面が逆光で、午後~夕方は正面が逆光になる場所ですが、昼すぎのこの時間は思ったほど悪くはない光線で個人的に満足できました。

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余談ですが、このG40とともに転属したG35を合わせた2編成で2000系初期2編成を玉突き置き換えし、その2編成のお別れツアーは志摩線も走行する内容でした。(こちらで紹介しています)
代替編成であるG40まで同じ2024年内に志摩線に入線することになったのは地震の影響とはいえ皮肉なものですね。

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臨時五十鈴川行き7386列車 G40(志摩神明~鵜方間にて)
折り返しは鵜方1号踏切道まで徒歩で戻って撮影しましたが、3両編成は収まりが良さそうだったのでバックに志摩市役所を入れた構図で動画撮影しました。(これはその切り抜き画像です)

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動画版はこちら
厳しい暑さだったのでこの日の撮影はここまでとし、ここから先は14日に補完的に撮影した分を紹介していきます。

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臨時賢島行き7287列車 G40(鵜方~志摩神明間にて)
14日はあくまで補完なのでまず午後からお気に入りの場所の一つである志摩市役所向かいの坂道にて撮影。
やはり5日連続で3両編成はG40が充当されました。

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この場所は3両くらいが撮影に適していると思います。

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臨時五十鈴川行き7386列車 G40(志摩神明~鵜方間にて)
折り返しの撮影は鵜方1号踏切道付近のおなじみの構図です。
12日にこの構図では撮らずに動画撮影したのは2日後にまた来ることを既に予定していたためです。
約1時間前にここを通る7286列車の時間とは違って先頭車両正面には陽が当たるようになっていますね。

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臨時賢島行き7389列車 FC93(志摩横山~鵜方間にて)
最後はこちらも5日連続登板のFC93の下り臨時列車を志摩横山3号と4号踏切道の間で撮影して〆としました。
"前パン"車両なのでG40を撮った時の位置ではパンタ処理の自信がなかったために位置を変更しましたが、ここでもギリギリセーフという感じで、手前寄りで切ったカットは思いっきり串パンをやらかしてしまい没になりました^^;

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連日の猛暑のせいで志摩線内の有名撮影地には行けませんでしたが、鵜方駅近辺のお気に入りの撮影場所では一通り撮影できたので良しとします。

今回は南海トラフ地震臨時情報が原因で運休扱いとなった特急列車の救済を目的とした設定でしたが、"特急街道"の志摩線において昼間の普通列車が毎時1本しかないというアンバランスさによって生まれた臨時列車とも言え、これを機に本数を見直してほしいなと言うのが沿線民の率直な感想です。