8 1話・1(1-1後半)
ダンタリオン
「ふい~…久々の山道と戦闘は身体にこたえるわい…」
レアム
「まだ子供なのに爺さんみたいなこと言ってんなよ」
ダンタリオン
「追放前から数えて何年いきてきたと思っておる」
「お主の30…いや50倍は長く生きておるのじゃぞ」
レアム
「だったら全員爺さんじゃねぇか」
「その割にブネもフラウロスも全っ然元気そうだぜ」
フラウロス
「当たり前だっつーの
そこのジジイと一緒にすんな!」
「おいダンタリオン、休憩なんてやめてさっさと次の幻獣倒しに行くぞ
こっちはさっさと帰って金だけ貰いたいんだからな!」
ブネ
「そんなに急がんでも長丁場にはならねえさ
『大討伐』の討ち漏らしを狩るだけなんだからな」
「そんな訳なんで、うちの『軍団長』さまにもアジトで休んでもらってるってわけだ」
ダンタリオン
「まったくフラウロスの奴め
幻獣討伐に給与が出るようになった途端に張りきりおって…」
レアム
「その『キューヨ』ってのは今まで貰えなかったのか?」
ブネ
「給与ってのは、まぁ『カネ』のことだ」
「お前もこっちに来てから少しはそれで買い物したことあるだろ?」
レアム
「こっちの世界は何でもカネだよな
アレがなきゃ飯も食えねぇとか、メギドラルじゃありえねえぜ」
フラウロス
「金を払わずにメシ食う方法もあるけどな!
帰ったら教えてやってもいいぜレアム」
ダンタリオン
「これ!変なことを吹き込もうとするでない」
「お金はヴァイガルドにおいて、一般的に仕事に対して支払われる報酬になっておるんじゃ
メギドラルでも戦争に勝ったり、議会から請け負った任務の達成でフォトンが獲られるじゃろ?
レジェ・クシオでは最低限の食事は支給されておるが、そもそも大なり小なり得た報酬、つまりフォトンを納めることであの街に居続けられるのじゃ」
「メギドラルで戦功を積むことで報酬を得られるように、今回の儂らの場合はヴィータたちの暮らしを脅かす幻獣共を倒すことが報酬に繋がるわけじゃな」
レアム
「つまりカネってのはフォトンみてーなもんか…?」
「だったらフォトンでいいんじゃねぇのか?こんなにフォトンがあふれてる世界ならよ…」
ブネ
「ヴィータにはフォトンが見えんからな
だが、メギドラルでなんにしてもフォトンが求められるのとは確かに似ているかもしれん
フォトンが枯渇した土地での生活がままならんのも、こちらの世界の金も同じようなことになるしな」
フラウロス
「そんな大切な金をソロモンも、王都のクソハルマ共も俺たちに支払ってこなかったんだぜ
ヒデェ話だと思うだろ?」
レアム
「なっ…そうなのか?」
ブネ
「バカいってんじゃねぇ
ヴァイガルドが滅ぶかって時にいちいち幻獣1匹1匹に報酬金なんて支払ってられるか…」
「それに一応多少のゴルドは支払われていただろう」
ダンタリオン
「金だけではないぞ
アジトで暮らすことも許されておったし、朝昼晩と食事だって皆で分担して出ておったであろうが」
「フラウロス、お主もそれでアジトに居着いておったくせにレアムによからぬことを吹き込むでない」
レアム
「それがどうして今は貰えるようになったんだ?」
ブネ
「三界総出で行った『大討伐』のおかげで随分とヴァイガルドから幻獣を駆逐できたからな
今はようやく幻獣討伐と報酬のバランスが取れるようになったってわけだ」
レアム
「ふーん…じゃあ今よりもっと幻獣がうじゃうじゃいた戦場で戦ってきたのかあの『ソロモン王』は…』
フラウロス
「…んっ?おい、爺さんの休憩はここまでみたいだぜ」
「幻獣が向こうからわざわざやられに来やがった!」
ブネ
「よし!戦闘再開だ!
レアムも落ち着いてフォトンを送ってくれ」
レアム
「わ、わかった!」
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ダンタリオン
「これ、儂だって立派なレディじゃぞ」