8 1話・2(1-2前半)
マモン
「いつになったら街につくのよ」
イヌーン
「マモン様…ついさっき同じことを仰ったばかりですが」
マモン
「うるさいわね!
ヴァイガルドがこんなにだだっ広いだなんて思ってなかったのよ」
ルシファー
「だからせめてソロモンからポータルキーを預かってくればよかっただろう」
「なぜわざわざ自然発生したゲートから歩いてアジトへ向かうのだ」
マモン
「アルス・ノヴァとの話はあなたにも言ったでしょう?
歩いてヴァイガルドを見る使命が今の私にはあるのよ」
ルシファー
(ソロモン王に歩いてこいと言われたからムキになっているだけなのでは…)
マモン
「それにしてもヴァイガルドがこんなに広いとは思わなかったわ
これでもまだ一つの文化圏の一部でしかないのよね」
イヌーン
「今歩いているのがエルプシャフト文化圏のホーサック地方…そのおおよそ外れになります」
「そして、ホーサック地方はヴァイガルド一の穀倉地帯ですが、ここだけでもフォトン解放区を優に超える面積を持っています」
マモン
「私も『エクソダス』を進めていたからヴァイガルドについての情報は夢見の者や、サタンのとこの黒い犬から知ったつもりでいたけど…」
「実際に歩いてみると随分と持っていた印象と違うことを思い知らされるわね」
ルシファー
「ほう
マモンはどんな印象をヴァイガルドに持っていたのだ?」
マモン
「特に夢見の者の情報は、ヴィータに関連することが多いから
ヴァイガルドの街並みや、そこで暮らすヴィータたちの風景や、奏でる音楽…そういったものは夢見の能力で見せてもらったことがあるわ」
ルシファー
「妄戦ちゃんみたいな能力だな」
マモン
「むしろ妄戦ちゃんが夢見の亜種なのよ
私の軍団にも雇われの夢見の者がいたんだけど
私が見誤ったばかりに、フライナイツの手の者に殺されてしまったわ」
ルシファー
「そうだったか…」
マモン
「…夢見の者だってあくまで夢の世界でしかヴァイガルドは観測していないのよ
リリムが異例すぎるんだけど、基本的にはヴァイガルドを直に体験しているわけではないから
きっと私に夢の世界で見せたヴァイガルドも広さまでは再現できなかったのね」
イヌーン
「メギドラルは2日も駆ければ牙の内海からレジェ・クシオまで辿り着けますからな」
ルシファー
「ただ、それはメギドラルが狭いのではない
私たちメギドの支配地域が一部に集中しているというだけなのだ」
「『脳消し大陸』の更に向こう側にはメギドや幻獣が発生してこなかったメギドラル本来の世界が広がっている
…と、古き世代のメギドが語っているのを遥か昔に聞いたことがある」
マモン
「それってオロバス?」
ルシファー
「いやオロバスではない別のメギドだったと思う…
私が封じ込められる前の頃、まだ知識層の大メギドも存命していた時代だったな」
「」
イヌーン
「見てください石で舗装された道が見えます」
「人の往来する街道…いよいよ街も近づいてきましたな」