平昌オリンピック>女子3000mリレー>予選 - 決勝
PEN=失格 OR=オリンピックレコード WR=ワールドレコード
B Final(順位決定戦)
枠 | 国名 | 選手名(英語表記) | 選手名(日本語) | W杯ランク | W杯4戦の結果 |
1 | オランダ | Suzanne Schulting Yara van Kerkhof Lara van Ruijven Jorien ter Mors | スザンヌ・シュルティング ヤラ・ファン・ケルコフ ララ・ファン・ライフェン ヨリエン・テル・モルス | 5位 | 7位-4位-8位-1位 |
2 | ハンガリー | Petra Jaszapati Andrea Keszler Sara Luca Bacskai Zsofia Konya | ペトラ・ヤーサパチ アンドレア・ケスラー サラ・ルカ・バチュカーイ ソフィア・コンヤ | 8位 | 6位-9位-5位-6位 |
3 | 日本 | Hitomi Saito Sumire Kikuchi Shione Kaminaga Yuki Kikuchi | 齋藤 仁美 菊池 純礼 神長 汐音 菊池 悠希 | 7位 | 4位-12位-6位-7位 |
4 | OAR(ロシア) | Sofia Prosvirnova Ekaterina Konstantinova Ekaterina Efremenkova Emina Malagich | ソフィア・プロスフィルノワ エカチェリーナ・コンスタンティノワ エカチェリーナ・エフレメンコワ エミナ・マラギチ | 4位 | 3位-5位-7位-2位 |
予選でわずかな差でイタリアに敗れたオランダがここは一番強いでしょうかね。
日本はランキング通り3番手評価かな、と思いますが奮闘を期待。
結果
1着 | オランダ | Suzanne Schulting Yara van Kerkhof Lara van Ruijven Jorien ter Mors | スザンヌ・シュルティング ヤラ・ファン・ケルコフ ララ・ファン・ライフェン ヨリエン・テル・モルス | 4.03.471(WR) | Q |
2着 | ハンガリー | Petra Jaszapati Andrea Keszler Sara Luca Bacskai Zsofia Konya | ペトラ・ヤーサパチ アンドレア・ケスラー サラ・ルカ・バチュカーイ ソフィア・コンヤ | 4.03.603 | Q |
3着 | OAR(ロシア) | Sofia Prosvirnova Ekaterina Konstantinova Ekaterina Efremenkova Emina Malagich | ソフィア・プロスフィルノワ エカチェリーナ・コンスタンティノワ エカチェリーナ・エフレメンコワ エミナ・マラギチ | 4.08.838 | |
4着 | 日本 | Hitomi Saito Sumire Kikuchi Shione Kaminaga Yuki Kikuchi | 齋藤 仁美 菊池 純礼 神長 汐音 菊池 悠希 | 4.13.072 |
色んな意味でショートトラックが話題になりまくった日でしたね~。
男子500mの北朝鮮選手の闇。女子3000mリレー順位決定戦で出る謎のワールドレコード。
決勝の謎(にその場では多くの人が見えた)の判定。決してプラスの意味ではない話題のされ方が多いですが、
まあ、この競技にとって良いことか悪いことかはわかりません。純粋に興味を持ってくれた人もいたんじゃないかな?
ここでは順位決定戦の世界記録について、不完全になりますが自分なりに説明してみますね。
なんで決勝よりレベルが低いはずの順位決定戦で世界記録が出るんだ!
決勝のタイムよりずっと速いじゃないか!決勝意味あるのか!
韓国よりオランダの方が上じゃんか!という声や、とにかく意味わからんという声。
無理はないですねw
まあ、レースもの(特に体力の要素があるもの)を何かかじっている人はわかると思うんですけどね。
一例を挙げれば競馬では、条件戦でもハイペースかつ馬場が良ければフツーにレコードタイムが出たりするから
慣れてるかな、なんて思いますが。
とりあえず、まず、ショートトラックというのはレースです。
目的は「良いタイムで滑ること」ではなく「一緒に滑る人の中で一番前でゴールすること」です。
なので、序盤は駆け引きをしながら、抑えめのペースでレースが進んでいくことがほとんどです。
だって、いきなり先頭に出て全力で滑ったら、風の抵抗をモロに受けて、
後ろで力を溜めた選手に交わされてしまいます。
ですから序盤は、無理に先頭に立たなかったり、立ったとしてもスピードを上げなかったりします。
そして徐々に残りが短くなってくると、そろそろ前に出た方がor前をキープした方が有利だな
と各々が思ったタイミングで仕掛け、結果としてペースが上がるわけです。一例として。
そう考えると、スタートから純粋に「良いタイムで滑る」ことだけを目的に滑った時に比べて
前半抑えている分、タイムは出にくい。その前提で出ているのがショートトラックのレコードタイムです。
ですが、今回のオランダは違いました。のっけから先頭に出て飛ばしまくりました。
理由を推測するに、この組ではオランダは一番強かったので、駆け引き無視の力押しでも勝てると踏んだのか。
あるいは、オランダはハイペースのレースが得意なのでこれが一番勝ちやすいと踏んだのか。
あるいは、どうせメダルの可能性はほぼないのだから、練習の成果を出して
良いタイムを残して思い出を作ってやろうと考えたのか。
もちろん、今日このレースの後に、何もレースが控えていないことも、
消耗度の多いこの作戦が却下されなかった背景にはあるでしょう。
いずれにせよ、ショートトラックにあるまじきハイペースで序盤からレースが進みました。
だからこそ、OARと日本はまったくついていけませんでした。
そして、おそらくオランダが自力で出せる限界に近いタイムが出ました。
それが、世界新記録だった、ということでしょう。
もちろん、オランダの選手たちが高い能力を持っているからこそ出せたタイムであることは確かです。
だから、オランダは素晴らしいです。しかし、なら決勝に出たチームより強いのかというと
それは、予選を見た通りです。今回よりタイムは遅かったはずの中国に離され、イタリアにも競り負けています。
また、おそらく韓国が全力で3000mのタイムを出しに行ったら、これより速いタイムは出ると思います。
以上!それにしても世界ランク8位のハンガリーが、案外ついていき、世界記録を超えましたので頑張りましたね。
最初からオランダの真後ろにつけられたので、空気抵抗を一番受けず、恩恵を受け続けたのは大きかったとは思いますが
こういうハイペースの適性もあったのでしょうかね。
A Final(決勝)
枠 | 国名 | 選手名(英語表記) | 選手名(日本語) | W杯ランク | W杯4戦の結果 |
1 | 中国 | Fan Kexin Li Jinyu Qu Chunyu Zhou Yang | 范 可新 李 靳宇 曲 春雨 周 洋 | 2位 | 失格-1位-2位-4位 |
2 | イタリア | Arianna Fontana Lucia Peretti Cecilia Maffei Martina Valcepina | アリアナ・フォンタナ ルシア・ペレッティ セシリア・マフェイ マルチナ・ヴァルチェピーナ | 6位 | 8位-6位-3位-8位 |
3 | 韓国 | Shim Suk-Hee Choi Min-Jeong Kim Ye-Jin Kim A-Lang | シム・ソクヒ チェ・ミンジョン キム・イェジン キム・アラン | 1位 | 1位-2位-1位-3位 |
4 | カナダ | Marianne St-Gelais Kim Boutin Valerie Maltais Kasandra Bradette | マリアナ・サンジュレー キム・ブタン ヴァレリー・マルテ カサンドラ・ブラデテ | 3位 | 2位-3位-4位-5位 |
中国とカナダも侮れませんが、韓国大本命。プレッシャーに勝てるか。
結果
1着 | 韓国 | Shim Suk-Hee Choi Min-Jeong Kim Ye-Jin Kim A-Lang | シム・ソクヒ チェ・ミンジョン キム・イェジン キム・アラン | 4.07.361 |
2着 | イタリア | Arianna Fontana Lucia Peretti Cecilia Maffei Martina Valcepina | アリアナ・フォンタナ ルシア・ペレッティ セシリア・マフェイ マルチナ・ヴァルチェピーナ | 4.15.901 |
- | カナダ | Marianne St-Gelais Kim Boutin Valerie Maltais Kasandra Bradette | マリアナ・サンジュレー キム・ブタン ヴァレリー・マルテ カサンドラ・ブラデテ | PEN |
- | 中国 | Fan Kexin Li Jinyu Qu Chunyu Zhou Yang | 范 可新 李 靳宇 曲 春雨 周 洋 | PEN |
さて、そしてこの決勝もネットが荒れました。たぶん日本だけでなく、カナダや中国も荒れていたことでしょう。
てか考えてみれば、日本が荒れる必要はないんだけどもw
そこはね。韓国を潜在的に意識してしまっている人が(ネットには)多いからしょうがいないね…
レースとしては、中国・カナダ・韓国が激しく先頭~3番手を争う面白い展開でしたが
残り4周半で韓国がタッチを遅らせつつ、カナダを交わして2番手に上がりました。その結果、
その直後、残り4周で韓国がタッチをしようとするとき、混乱してしまい、
韓国とカナダの滑るコースも曖昧になってしまっていたように思います。
韓国は次の選手になんとか触れてタッチは成立しましたが、強く押し出せず、交代前の選手が転倒。
そこに後ろを滑っていたカナダの選手が触れてしまい転倒、それを上手く避けられずイタリアも転倒。
結果的に、自分で転んだ韓国よりも、巻き込まれたカナダ・イタリアの方が大きなダメージを負いました。
そして、韓国と中国の一騎打ちとなる中、残り2周のアンカータッチで韓国がインから先頭に立ちました。
ただこの時、かなり2人がぶつかって競り合っていました。先述の転倒とあいまって、
この時点でかなり嫌な予感はしましたね。結局勝負はそのまま韓国が先頭を滑り切って優勝。
ただ、終始無駄のないレースをしていた中国も食らい付き、フィニッシュを前にインに突っ込みました。
しかし、そこにたまたま、半周後にタッチを貰おうとしていたカナダ選手が目の前にいたので、つっかえてしまい
なんだか不完全燃焼な感じでゴール。色々起こりすぎた。まあ女子リレー決勝はいつもこうか。
それで結果的には、中国とカナダが失格、韓国はお咎めなしということで
韓国金メダル、4位フィニッシュのイタリア銀メダル、B決勝からオランダ銅メダル、という形になりました。
これについて、なぜ中国失格?なぜカナダ失格?なぜ2チーム転倒のきっかけを作った韓国がセーフ?
と、疑問点が出すぎて、まあ、荒れちゃいましたね。
やっぱりさ、せめて審判がね。簡単にでも場内に説明したほうが良いと思うんですよ。
「残り何周で○○を妨害したので□□が失格」とかね。それだけでもいいからさ。
あとはそれを聞いた各国のテレビの解説者が補足できるでしょ。たぶんその助けがあったら
十分正当化できる判定だったし、視聴者ももう少し腑に落ちてたと思いますよ。
私も、リアルタイムで見てた時は「なんでカナダ失格!?」と取り乱していましたけど
後から冷静にレースを見直した後は、特に露骨なホームアドバンテージ等おかしな部分は感じなかった。
妥当な判定なのかは素人なのでわからなないが、違和感はない判定でした。
だからこそ余計に残念でした。この種目をもっと幅広く見てもらうためにね。
「見せ方」というか「納得のさせ方」にもっとこだわるようになってほしいです。
長くなってしまいましたが、最後にISUからも発表されている判定の理由と、
それに対する私の意見を書いておきますね。
①なぜ中国が失格なのか?
残り2周のアンカータッチのとき、インから抜こうとする韓国選手を
中国選手が手を使って執拗にインに押し込んでいました。この件について失格だそうです。
私の意見。これはよく見られるような場面で、リアルタイムでも正直どっちかが失格かなと思ってました。
そしてISUの説明見る前の時点で、スロー映像を見た時から、中国失格という判定も妥当に思えました。
「でも中国のコーチが抗議してたじゃん?」 いや、Li Yanさんは毎回怒ってますから…
②なぜカナダが失格なのか?
最後のゴール前、中国選手の目の前にカナダ選手が入って進路を遮ってしまった件です。
この選手はまだタッチをもらう前の「非アクティブ」な選手(=非走者)でした。
要は勝負と無関係の選手が、ゴール前の攻防を邪魔してしまったので失格、ということですね。
私の意見。これもISUの説明を見る前から、たぶんここについて失格なんだろうなと思いました。
前回のソチ五輪の同種目決勝でも、残り2周で中国の非アクティブな選手が入ってきて
韓国のアンカーを妨害し、失格になっていましたから、扱いとしては同じでしょうね。
ただ今回に関しては、正直、カナダは数周遅れていたので、あそこで中国を妨害しても何の得もありません。
だから、確実に故意ではないでしょう。自分たちのタッチに夢中で、ああなってしまったのでしょう。
だけど、あれは「不慮の事故」ではなく、気を付ければ防げた妨害ですので、失格の対象になったのでしょう。
レース直後は、カナダが転倒の際にコースを逸脱したことに対する「オフトラック」の失格ではないか
という説も多くありました。実際、ちゃんと逸脱する前の部分に戻ってから滑ったのか、映像では確認できないので
この可能性も十分ありましたね。ただ、先述のISUの説明ではここには触れられていませんでした。
③なぜ韓国はお咎めなしなのか?
これについては、ISUの説明がありませんでした。
たしかに普通は失格だけ理由を説明すればいい。失格じゃない場面まで説明するなら一体いくつ説明しろというんだ!
それは、正しい。でもね。今回は一般人の多くが疑問を持ったのが韓国の残り4周半の場面だったと思うんですよ。
だからね、こういうところだけでも説明する気配りがほしいんですよ私は。「納得のさせ方」を考えるならね。
とりあえず私の見解。これは判定が出る前からリアルタイムでニコ生で喋っていたのですが
韓国の転倒は「不慮の事故」に見えます。要は、カナダと競り合ってた場面じゃなくて、普通に単独で滑っていて
単独で失敗して転倒したわけです。なんとかタッチ成立したとはいえ、韓国にとってもダメージを負ったミスでした。
で、たまたま、後ろのカナダとイタリアが巻き込まれたわけです。
確かにクラッシュの原因を作ったのは韓国。でもこのような時は、普通、今までのショートトラックでは
失格になってきていませんよね。個人戦でも単独で転倒して後ろが巻き込まれても、失格には普通なりませんね。
もう1つ。先述のように韓国はこのタッチの前に2番手に上がっていました。
で、ショートトラックのリレーというのは前に居るチームに優先権があります。
タッチの時には、前にいるチームから順に、タッチのしやすい外側を滑る権利があります。
しかしこの時、順位が変わった直後ということもあってか、韓国より後ろにいるカナダが、
韓国よりも外を滑っていました。カナダはタッチをしていないので仕方ない部分もあるとは思うのですが
結果的には優先されていないコースを滑った結果ぶつかってしまった。
もともと危ないところを滑っていたのはあなたたちだよ、というのは、裁定に影響したかもしれません。
はい。ちなみに、私はあくまで今の時点でのショートトラックのルール・先例に基づいて
違和感がないと言っているだけであって、心情的に違和感が出るのはもちろん理解できますよ。
何度も言うように、このレースで最も大きなクラッシュの大元の原因を作ったのは、韓国ですからね。
だから今後、タッチした後の選手の転倒についてルールが追加されるかもしれませんね。それはまた、別の話。
まとめると、今回はショートトラックのルール・先例から見ればおそらくおかしな判定ではないんですね。
ただ、心情的には理不尽な気持ちになる判定結果だった。
さらに、ハタから見れば韓国が一番レースを壊していたのに対して
中国やカナダがやった失格というのは素人目には非常に目立ちにくいものだった。
おまけに、その場で審判からの失格理由の説明もないから、
スロー映像を少し見せられただけの各国のテレビ解説者も
おそらくその場では妥当な解説ができない。
こういったことが重なって、不運にも、見ていた人に
大きな不信感を残す結果になってしまったのだと思います。
残念だ。すごいしこりが残る日でした私にとっても。
2/22の最終日が素晴らしく、ある程度それが晴れたので良かったですが!