魚雷発射に際し、様々な諸元を解析する必要があります。
解析結果の誤差が大きいと命中しないのは当たり前です。
では、どの諸元がどのくらい命中率に影響するか考察してみました。
設定状況
自艦停止状態で、目標針路に垂直に1kmの位置にいます。目標は9ktsで直進中です。
TDC入力値は、雷速30kts・BEARING,AOB,的速は0です。
つまり、魚雷は自艦0時の方向にまっすぐ30ktsで航走します。
この状況で目標に当てるには、左舷17°に目標が来たら発射すると命中します。
- 魚雷のIP(インパクトポイント)到達時間
1km/(30kts*1.852)/3600sec=64.8sec (1.852はktsをkm/hに変換する際の係数)
- 目標のIP到達時間
1km*tan17°/(9kts*1.852)/3600sec=66.0sec
1.2secの誤差がありますが、方位が整数では17°が一番近いので、これを基準に計算しました。
(9ktsで1.2secだと、5m程度の誤差)
距離の誤差
目標までの距離が本来1kmのところ、3kmと誤って解析し、2kmの誤差で発射した場合
- 目標のIP到達時間
3km*tan17°/(9kts*1.852)/3600sec=198.0976sec
- 魚雷のIP到達時間
3km*(30kts*1.852)/3600sec=194.3844sec
- 誤差
9kts*1.852/(両者の誤差3.713185sec/3600sec)=17.2m
方位の誤差
目標の方位が本来17°で発射するところ、19°と2°の誤差で発射した場合
- 目標のIP到達時間
1km*tan19°/(9kts*1.852)/3600sec=74.36881sec
- 誤差
9kts*1.852/3600sec*(両者の誤差9.573999sec)=44.3m
速度の誤差
目標の速度が9ktsのところ、7ktsと誤って解析し、2ktsの誤差で発射した場合
- 目標のIP到達時間
1km*tan17°/(7kts*1.852)*3600sec=84.89899sec
- 誤差
9kts*1.852/3600sec*(両者の誤差20.10417sec)=72.4m
AOBの誤差
AOB90°のところ、80°と誤って解析し、発射した場合
- 魚雷のIP到達時間
(1km+(sin10°*(1km*tan17°)/cos10°))*tan17°/(30kts*1.852)/3600sec=68.28781sec
- 目標のIP到達時間
- 誤差
(9kts*1.852)/(両者の誤差1.236609sec/3600sec)=6m
まとめ
距離・AOBの解析に誤差があっても、命中率への影響は僅かです。
方位の誤差の影響は大きめですが、潜望鏡やhydrophoneなどを使えば、目標の方位の誤差は比較的抑えられると思います。
重要なのは、目標の速度です。
2ktsの解析誤差が、IPでは72mもの誤差になり、命中率に大きく影響します。
魚雷発射前は、繰り返し速度の解析を行うなど、目標の速度解析誤差を抑えることが重要です。
逆に、速度解析結果に自信がない場合は、salvoモードで発射することも選択肢のひとつです。
(例えば、射角4°のsalvo2発発射は、距離1kmで、散布幅約70mとなります。)
今回は、距離1km・的速9ktsでの魚雷0時方向直射での考察結果です。
別の発射方法や状況(的速など)では、また違った結果になるかも知れませんが、基本的には同傾向になると思われます。