街にはサイレンが鳴り響く。
辺りに転がる大人達。
全壊した建造物群。
まるで戦争の跡地かのような光景。
その中に、たくさんの大人達に銃を向けられる、十歳にもみたない小さな少年。
ズタボロの、小さな少年・・・。
【過去編】
サイレンが鳴り響く。
煩いなと思いつつも、薄れかかった意識をたもち、立ち尽くす。
周りを見ると、なんかもうぐちゃぐちゃだ。
自分がやったんだって事、分かってる。
だけど仕方なかったんだ。間違っただけで。
攻撃してくる大人達をどうにかしたかっただけで。
間違いなんだよ。望んでいなかったんだ。
それでも皆は分かってくれない。
皆僕が嫌いなんだ。
ごめんなさい。こんな風に生まれてしまって。
ごめんなさい。こんな力を持ってしまって。
僕はもう何もしないから。せめて殺してください。
僕は怖がりだから、自分を殺せないんです。
だからもう僕を許して・・・。
なんだか眠くなってきた。
おかしな匂いがする。
良かった。僕を許してくれたんだ。
このまま、僕は眠るように死んで。
それで、皆幸せに・・・・・・・・。
僕は施設に入れられました。
結局許してくれなかったようです。
施設には他にもたくさん子供がいます。
皆、悪い事をしたのかな。
僕はちょっとした有名人です。
色んな人が僕を訪ねて来ます。
色んな人が僕の噂をします。
色んな人が僕を見ます。
全然嬉しくありません。
施設が突然崩れました。
皆悲鳴を上げます。
仲良くしてくれた日向君が瓦礫の下敷きになっています。
施設の人が僕たちを誘導して逃がそうとしましたが、入って来た人達に頭を斬られました。
僕は日向君を助けようと思い、瓦礫を能力でどかしました。
日向君はまだ生きていましたが、大人達が僕を見つけ、捉えようとしてくるせいで助けられません。
大人達が僕に攻撃します。
とっても痛いです。お腹から血が出ました。
僕に攻撃した人は、他の人にやり過ぎだと怒られていました。
全部僕のせい。
この人達がここに来てしまったのも、あの人が怒られるのも、日向君を助けられないのも・・・。
意識が薄れる中でそう思った時、僕は消滅を望みました。
みんな、消えました。
大人達も、施設も、日向君も。
僕だけが残りました。
また、僕は間違えてしまった。
消滅するのは僕のはずだったのに。
やっぱり僕は駄目な子です。