第一部.定理11

Last-modified: 2007-07-09 (月) 23:08:03

第一部.定理11

あるいは物質は、まぎれもなくそこに(永遠に)存在する。そいつには無数の性質が備わっていて、しかもどの性質も一つ残らず根っから(=本質的に)「永遠」で「無限」になる。

理由

「そんなわけあるか!」とお思いなら、じゃあここで言うなんか存在していないと仮に考えてみよう。

  1. が存在していないとすると、(存在しないんだから)の本質のどこを探しても「存在」ピアスみたいなものが見当たらないということになる。
  2. でもそうすると第一部.定理7)が成り立たなくなってしまう。
  3. だからが存在するのは当然のなりゆきになる。
    え?ずるい?じゃあ次も読んでよ。

別の理由

どんなものごとにも、そこに存在している理由(でなかったら「存在できない理由」でもいいよ)とか原因というものがある。たとえば、三角形というものが存在しているとすると、三角形が存在する理由とか原因がその三角形の存在自体の中にセットされているはずだ。逆に、三角形が存在していないとすれば、そこに存在できない理由/存在を拒否される理由というものがやはりその中にあるはずだ。「四角い円」なんてものが(円い四角でもいいんだけど)存在していないのは、それ自体に矛盾があるんだから(自動的に)明らかでしょ。逆に、「物質が存在している」ということは、(何の助けもなく)自分だけでひとりでに(in nature)存在しているということは第一部.定理7)ですでに言った通りだ。

でもね、三角形や円というものが存在しているからといって、物質みたく三角形や円も「ひとりでに」存在しているかというとそうじゃないんだ。三角形や円は、単に宇宙の本質をちょいと拡張(というか応用だね)してできた秩序がベースになっているだけだ。で、このことを踏まえてやっと「三角形が存在する」とか「三角形は存在できない」とかいうことが導き出せて言えるようになるんだ。このあたりはごちゃごちゃ言わなくたってそれ自体を見れば一目瞭然だよね。このことから、ちょっと大胆に「存在しちゃいけない理由や原因がきれいさっぱりどこにもなければ、そいつは間違いなく存在している」と言い切ってしまおう。

だから同じように、が存在してはいけないれっきとした理由もなければ、を滅ぼしてしまうようなものすごい原因もないとすると、「は存在している」って言い切るしかないよね。
逆に、が存在している理由や原因があるとすれば、これまでの話し通り、その理由や原因は自身が(ひとりでに)つくったか、の外側のどっかにその理由や原因がある(=他の物質がその原因や理由をつくった)か、そのどっちかだ。
仮にそのともう一つの物質の正体がまったく同一のもの、つまり=物質だとしよう。そうすると、まさにそのおかげでは自分が存在することを自分で許すことができるんだ。今度は逆に、物質の正体がそれぞれ全く別のもの、つまり物質には何の共通点もないとしよう。そうすると、その全然別の物質が存在する理由にもなれないし原因もつくり出せないということになる(第一部.定理2を読み返そう)。

ひつこいようだけど、これで的なものを否定できるような原因や理由は、の本性の外になんかないということがわかった。

ここでまたしても「なんか存在しない」という仮説を立ててみよう、この場合、話しの流れからしてその原因はいやおうなしに自身の本性の中にセットされてなければいけないことになるよね。言いかえれば「の本性に矛盾がある」ってことだ。そうなると、この途方もなく無限で、これ以上ないくらいカンペキなものを肯定することは矛盾を引き起こすことになる。
そして(うまい具合に)自身を否定したり滅ぼしたりできるようなものすごい原因や理由をの本性にセットすることもできないし、ましてやの外にもありはしないということになる。これは「なんか存在しない」という仮説がおかしいからこういうことになるわけで、だからどうやったっては存在している。
おしまい。

またまた別の理由

  1. 存在するということがそれだけでパワーがあるとすると、逆に言えば「存在しない」というのは(変な言い方だけど)パワーを否定するパワーがあることになる。ここまではいいかな?
  2. そして、この世に必然性のある(無限な)存在が何もなく、有限なものしかそこにないとすると、この有限でしかない何かの方が「途方もなく無限な何か」よりパワーがあるってことになる。これはあきらかにおかしい。
  3. となれば、この世には何にも存在していないか、それとも(決して否定できない)途方もなく無限な何かも必然的に存在しているか、そのどっちかということになる(いちいち言わなくても、どっちだかもうわかるよね)。
  4. で、ぼくたち自身はというと、ぼくたちは自分自身の中に存在しているか、それとも他の何かの中に存在しているかのどっちかだ(第一部.ルール1第一部.定理7を読み直そう)。
  5. ぼくたちは少なくとも存在していることは確実だから、今のどっちかと聞かれたら「そりゃ物質の中に存在しているに決まってるじゃないですか(ごめん。このあたりはもっと後で説明するんだけど少し先走った)」ということになる。
    だから、第一部.決めごと6から、途方もなく無限な何か(=)はどうやったって存在しているという結論になるしかない。おしまい。