第一部.定理5
この宇宙に、まったく同じ本質や性質を持ったうり二つの物質が存在するわけがない。二つがありえないなら三つ以上なんかもっとありっこない。同じ性質をもった物質はこの宇宙にたった一つしかない。
理由
- だって、もし物質がいくつもあったとしたら、少なくとも性質か化身(第一部.定理4を読み直そう)のどっちかが違っていてくれないと、そいつらを区別できないでしょ?
で、もし仮に性質でしか違いを区別できないとすると、まったく同じ性質を持った物質がいくつもあったら区別できっこないし、それじゃ物質が一つなのと変わんない(笑)。物質の性質がまったく違っていれば、そりゃ区別できるんだろうけどさ、タイトルを読み直してごらん↑。 - じゃあ今度は逆に、仮に化身でしか違いを区別できないとするとどうなるか。化身より物質の方が先にある(第一部.定理1を読み直そう)と僕は最初に言ったけど、化身だけを見て物質を区別しようとするってことは、結局化身の裏に潜む物質の正体を見抜こうとするのと同じだ。
つまり、最初は化身を見ていても、最終的には化身にごまかされずに、いきなり物質そのものを区別しようとしているのとおんなじことになる。
でもそうすると第一部.決めごと3と第一部.決めごと5を両方合わせて考えればわかるように、化身を区別することはできても、化身した物質同士を区別することはまたまたできなくなってしまうんだ。
だって、ここに二つの化身があったとすると、それだけを見て、おおもとの物質が違うかどうかってことをどうやって言い当てるの?それだけじゃ、ヒントとして全然足りない。
だから、化身の見た目が違うからといって、「うーん、これは違う物質でできてますね。外宇宙から飛来した物質なんですかね(笑)」ということは言えなくなってしまう。たとえ二つの化身をどれほど精密に分析したとしても、そこでわかるのは「化身の性質が違う」ということだけだ(これは後でまた説明するね)。
だから、この宇宙に物質がいくつもあるわけがない。宇宙には物質と呼べるものはたった一つしかありえないんだ。おしまい。
物理学者が「クォーク」のような根源となる素粒子を探し続けているのは、もしかしてぼくの本を読んだからなのかな(笑)。現段階では直観でしかないけど、ぼくスピノザにとっては「素粒子」ですら、やっぱり化身の一つなんだ。