大人数でテラリア 第20話

Last-modified: 2019-09-16 (月) 23:17:21

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「全員、構えて」
メイジが謎の静けさで言う。
「ゴブリン軍団って……どういうことだ?」
セグアルも落ち着いている。
正体が解らない故か、はたまた自分を信じている故か。
アリスも油断なく周囲に目を向ける。
全員のそんな様子を見てリアは決断する。
「私は拠点を防衛する。」
メイジやアリスから軽い不安が伝わってくるが、無視する。
「だって、あの人たちだけだったら、たぶん崩壊する」
そのまま拠点に向けて疾走した。
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「うーん、これは予想外」
その頃拠点では、ガイドが難しい顔をしていた。
その手には大ぶりな弓。背中には大量の矢。
「……どういう世界だよ、いきなり襲撃なんざ」
吐き捨てるように応じる武器商人。
得物は小ぶりなサメを象った銃。
「皆配置につきましたよ」
あくまで報告にとどめるナース。
手には回復も攻撃も出来る注射器。
「そうか。僕達も行こう。喧嘩なんてしている場合じゃない。」
「……よし、じゃあさっさと片付けるか。デートの約束をしているんだ。」
一時的に手を組んだ。
そして次の瞬間、遠くでゴォォ!!!!!と音か、声がした。
ゴブリンぐんだんが あらわれた!!

 

「……来た。セグアル、なるべく紫の魂は落とすか避けるかどちらか。それ以外では、矢に気をつけろ」
メイジたちは拠点からそこそこ離れた平地で戦っていた。
(隙を見て拠点まで移動する。このままでは僕たちが孤立するだけだ)
「数が多い!?」
弾丸を気にするアリスが呟く。
システム的に包囲されたり、二つの場所で包囲されることは仕方ない。
アリスの乱射とメイジのライフ70を犠牲にした突撃で包囲網が崩れる。
「よし、拠点に戻る!」
魔法の鏡を使っている余裕と矜持はない。
三人は一息に見えている拠点へ走ろうとしたが、
「「っ……痛っ!?」」
何かを踏んだメイジとセグアル。
思わずメイジはそこで止まり、ダメージ原を見てしまう。
「……スパイクボールっ!?」
本来はドロップアイテムなはずだ。
地面に転がしておくだけで地上を歩く敵は勝手に踏んでくれる。
そして手軽さからPVPで撒きまくって全力で攻撃された思い出がある。
それが今や、こちらに牙を剥いてきた。

 

拠点戦線。
「囲まれた!」
観測をしていた商人が悲鳴混じりに報告した。
「モーティマー、そっちはもう良いからこっちの戦線に上がってくれ」
「何でこんなタイミングで来ちゃったんだ俺……」
ガイドが指示を飛ばすと共に旅商人の悲鳴も聞こえる。
「いやいやローレンス、遠近どっちも攻撃できるのは貴重だ。助かる」
「ペイントボールガンは強いぞ、見てくれあいつら動くアートだぞ」
軽口を叩きながらもガイドは寸分の狂いなく矢を次々当てて行く。
旅商人のリボルバーにより次々と倒れていくゴブリン兵に、ものすごくカラフルな弾を食らいアートになるゴブリンシーフ。
商人も投げナイフを振るいながら参加する。
反対側。
「……ちっ、まさかお前の力を借りるとはなぁ!」
「はっはぁ、そっちこそ撃ち漏らし増えて来たなぁ!?」
「うるせぇんだよこの花火屋!」
爆破技師が投げた爆弾がゴブリン戦士を巻き込んでバリケードを吹っ飛ばしてしまう。
「はははぁ、花火はあの事を言うんだぞ!」
「不利に落とし込んどいて何いってんだカーヴァル!!」
そこにガイドが来た。
「そろそろ限界が近い。防衛ラインを一つ下げる」
たまにゴブリンアーチャーの矢、まどうしの魔法が当たることがあるが、ナースが飛んで来て回復をしてくれる。
ドライアドの呪文も明らかに効果が出ている。が、
「精霊に命ず……万悪たる輩から我らを守り……」
(……不味い。精霊が、もう居ない!?)

 

全ての運命は、最早どうでもいいことのようになっている。
それでも、最悪を避ける為に。
戦うしか、道はない。

コメント

  • 20話記念特大版 -- アイズ 2019-09-16 (月) 23:17:21