番外編
思った事を書き連ねていきます。
IsoDという指標は存在しない
IsoDとは一般に出塁率-打率で表される指標です。どうやら選球眼を算出したいのでしょうが根本的に間違っている所があります。出塁率と打率の分母は違うのです。打率は打数が分母となる一方、出塁率は打数、四球、死球、犠打の合計が分母となります。
次の例を見てみましょう。
ある打者の成績は100PA 20AB 10H 20BB 70SFでした。
するとBA=10/20=.500 OBP=(10+20)/(20+10+20+70)=.250
よってIsoDは-.250となります。
明らかに異常ですよね。これがIsoDの最大の欠陥となります。この場合BB%=20/100=20%と表されるので非常に良い選球眼の持ち主と言えるでしょう。しかし、分母が違うと評価がここまで変わってしまうのです。
実際IsoDはmlbを始めとしたセイバーメトリクス会社に採用されていない事が多く、使わないほうがいいと言えましょう。
"球の質"の難しさ
一般に回転数が高い、球速が大きいと"球の質が良い"と呼ばれます。しかしながら回転数、球速には得失点との優位な相関は見られず、「本当にそうなのか?」という疑問が残ります。
これが"球質"の意味する所の難しさです。一時期SPVという指標がありましたが、こちらにも何との相関も見受けられませんでした。
では、何の要素が球質に関係するのでしょうか?相関は見られないものの、一般的に関係すると言われているものは3つあります。
・spin rate
・velocity
・active spin
spin rateはもちろん回転数の事ですが、active spinとは何でしょうか?
これは"スピンが球の変化に寄与する効率"を表しており、100%なら何らかの方向に与えうる最大の影響を及ぼしている、0%なら全く及ぼしていないとされています。
この100%というのは回転軸が投手-ホームプレートの線に対して直角な状態です。0%というのは回転軸が完全にホームプレート方向を向いていることを指します。つまりジャイロ回転のことですね。
velocityは球速です。SPVとはSpin rate Per Velocityの略なのでしょう。
最低でもこの3要素を含めて算出しないといけないのが"球質"の難しさと言えます。因みになぜSPVに優位な相関が見られないかと言いますと
・veloとspin rateの2要素しか見てない(active spinを考慮してない)
・そもそも回転数が良ければ、active spinが良ければ、球質が良くなるのかという疑問を解消できていない
というものが原因として挙げられます。
そもそもやはり球質というのは概念的なものでしか無く、コントロールに多大な影響を受けるピッチングにおいては
球質なんて存在しない
これが全てでしょう。
baseball prospectus
三大セイバーメトリクスサイト「fangraphs」「baseball references」
あと一つは?
もちろんdelta…じゃなくてbaseball prospectusですよね。
baseball prospectusはf、rに名前こそ劣るものの、野心的な指標を多く取り入れていることで有名(?)なサイトです。
例えばfWAR、rWAR、と来てbaseball prospectusだとWARPだったり*1、ピッチトンネルが指標化されていたり…なかなか面白いサイトです。ただし、取り上げている指標がf、rと全く違うので英語力が無いと解読できないという問題点があります。このサイトでもゆくゆく取り上げたいですが多分3年くらい経たないと辿り着きそうもないので後は他の人に引き継いでもらいたいと思います。
注意点としてはtERAですら通じるかわからないおんj民にbaseball prospectusのドマイナー指標が通じるかどうかです。通じませんね?
まずWPAやLIまでしっかり理解したあとにこちらのサイトに臨むことをオススメします。*2
面白いと思ったbproの記事
・https://www.baseballprospectus.com/news/article/68403/baseball-therapy-the-war-over-ohtanis-value
2-way playerのWAR補正にセイバー会社として初めて言及したんじゃないか?という記事。なお結論 なんか中日新聞が言及してる。
・https://www.baseballprospectus.com/news/article/51347/the-lineup-card-nine-bad-all-star-selections/
邦題:最低のベストナイン選出(松井秀のタグ付き)