サマリ | 異世界の旅 |
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投稿者 | 闇討善悪? |
投稿日 | 2014-08-13 (水) 16:47:12 |
中身
ストーリー書いていくよ。(これはサブで書いていた話を持ってきています。)
赤く照らされている光が見える。
その光はぼんやりとしている。
その光が強くなったと思いきや、そこから人が出来上がる。
その人物は見慣れない服装で、何処の時代かもわからない。
ただ、言えるのは、剣がある事と、男である事。
その人が、力尽きるように倒れる。
そこから、話は始まる……。
賑やかな声がして、男は目を覚ます。
町の中にいるとは分かったが、彼は何処に居るのかわからないようだ。
起き上がって、ふと窓を見る。
太陽が照らされていて、眩しいと感じた。
「もう起きたんですね」
声がして、その声のしたところに視線を向ける男。
「あなた、倒れていたんですよ? 広場で。びっくりしましたよ」
「倒れて……いた……?」
「ええ。名前は分かるかしら?」
問われて気がついた彼は、名前も、住んでいた場所も思い出せないことを告げる。
「困ったわね……。名前もわからないなんて……。そうだ、ファイラってどうかしら?」
「ファイラ……?」
「ええ。あなたの、名前よ。名前がないと不便じゃない。私は遠里(えんり)。宜しくね?」
「あ、ああ……。宜しく。今後ファイラと名乗れば良いのか……?」
「ええ、そうよ。確り覚えてね?」
戸惑いながら、ファイラと名付けられた男は、まず外に出たい事を告げる。
外は大丈夫だということで出歩けることが認められた。
彼はすぐに建物の外に出た。
その剣を持って。
町中を歩くファイラだが、人々には笑顔があふれている。
わからぬ感情を抱きながら、歩いていると、子供が近寄ってきた。
「ねぇ、その剣重たそうだね?」
「持つな。この剣はおもちゃではないんだ」
「そうなんだ。ねえ、お兄さん。どこから来たの?」
「……思い出せないんだ。きっと思い出せるかな……?」
「うん! きっと思い出せるよ!!!」
その笑顔を見て笑うファイラ。
母らしき人がその子供を連れて去っていった。
ただ、何かあると思い、再び歩き出す。
だが、数日後、その笑顔が消えることになる。
帝国軍と名乗る敵がやってきて、人々の命を散らしていたのだ。
それを見たファイラは、剣を抜いた。
「お! 手頃のいいカモだぜ!!!」
ファイラは一呼吸置いた後、その姿が消えたと思いきや、その敵は既に倒されていた。
「く! 強いぞ! 援軍を!」
そのままその剣で二人を切り倒す。
帝国は様子見するように一旦ファイラの居る町から離れたようだ。
ファイラは剣を構えると、高速で何かを呟く。
それは言葉にならず、音になる。
その後剣に炎の力が宿り、そのままその剣を振るい、帝国軍に向けて炎の斬撃を放つ。
敵はそれで全滅したが、町もまた、廃墟同然となっていた。
「……遠里も、あの子もやられてしまった」
怒りを抑えつつ、その町だった廃墟から旅立つ。
矢張り、自らは死神なのか。
そう思って。
食料等は魔法で作り、それでしのいでいるファイラ。
歩いている時に、ふと、遺跡を見つけたので立ち寄ってみる。
その遺跡は、冷たくてひんやりとしていた。
歩いている内に、クリスタルが見えた。
『お前か……』
「!?」
思わず身構えるファイラ。
『名を貰ったのも知っている……。もうすぐ生命を終える神だからな』
「神……?」
『そうだ。お前は……何故身構えている? 危害は無いぞ? 不法侵入者ではない。選ばれし者よ』
「え、選ばれし者……?」
訳の分からないファイラに、神と名乗ったものはキラリと光る。
『お前は、真の死神であるのを知らないだろう』
「え……?」
驚いたのはファイラだ。
真の死神。つまり、死者を運ぶ立場になる。
だが、神はそのまま話を続ける。
『人々から嫌われる立場ではある死神だが、好まれる者も居る。お前は異質すぎるが、死神だ』
「死神……俺が……」
『そうだ。力がほしいか?』
少し考えたが、あの時の怒りを思い出した。
「ああ、力がほしい」
『決まりだ。我の命と引き換えに、授けよう』
言うなり、光がファイラを包み、その後ファイラを包んでいた光は消える。
その後、クリスタルはヒビが入る。
『さらばだ、死神であるファイラよ』
その言葉を最後に、クリスタルは割れた。
「……ありがとう」
その後、遺跡から立ち去り、再び旅を続ける。
死神になってから、帝国軍の居場所を明白に分かるようになった。
術で移動し、その帝国拠点にやってきた。
死の気配を感じながら、時間がない、と感じるファイラ。
その後、城に入る。
どうやら城は別の何かによって人々が争っているようだ。
その魔城を歩き、罠を超えつつ、玉座の間に来た。
王は震えていた。
「お前は、人の命を奪った。罪深き者よ、業火により焼かれるがいい……」
涙を流しながら、ファイラは火の魔法でその王を焼き払った。
だが、ファイラは膝をついた。
「俺は……幸せだった。あの日まで……」
涙を流しながら、そう呟く。
その後ファイラは倒れる。
ファイラの体が薄くなって、消えていく。
「さよならだ……。バカ野郎、こんな事ならさっさと拠点に行けばよかったよ……」
驚く兵士をよそに、ファイラを抱えた兵士は、走って、空が見える場所に向かった。
そこは、城の屋上みたいな場所。
「ああ……。空が見える……。綺麗だな……」
「もしかして……魔力が……」
「違う……。これは、最後の時だ……。だけど……良かった……。きっと……次は平和だな……」
辛い感情をおさえる兵士。
「どうして、泣いているのですか……?」
「わからん……。だけど……お前も、苦しんでたんだな……。笑えばいい……」
「もし生まれ変われるなら。……君に会いたい」
「そう、だな……。俺も……だよ……」
その言葉を最後に、完全にファイラは消えた。
兵士は涙を流した。
ファイラが持っていた剣すら、一緒に消えたが、それでも彼の生き様はカッコ良かった。
そう感じて、墓を作る事にした。
弔いの曲も、一緒に作って。
それから月日が流れる。
死神が誕生したと聞いて人々は、驚き、恐れた。
だが、その死神は一風変わっていると言われ、きょとんとする。
この世界に居る、死神は優しい死神が多い。
亡くなったと思われていた、遠里と少年は生きていた。
遠里は、その死神に会えるのか問いただす。
「勿論、会えるぞ。ファイラ、呼ばれておるぞ。我は帰る。ここの民は変わらぬな。死神もおるし」
言うなりその死神は術で去っていった。
風が吹き付けた後、居ないはずの男―――ファイラ―――が立っていた。
「ファイラ……?」
「すまない。すこし時間かかったけど、遊びに来れるくらいまで回復はできたよ」
「お帰り。もう、前の町じゃないんだから、笑ってよね?」
「フフ、いつもどおりだな。遠里」
少年もファイラに飛びついた。
「お帰りー!!!」
「ああ、ただいま」
剣も持っているが、今後はもう使わないだろう、とファイラは言う。
住民たちが群がる。
「お、おい……」
「帝国軍は消えたからね。安心してここに住みなさい」
「ありがとう」
それからは、平和に暮らしているファイラ。
きっと、今後、ファイラも忙しくなるだろうと、別の死神は言う。
何かがない限りは。