サマリ | ファイラ、次代に渡る |
---|---|
投稿者 | 闇討善悪? |
投稿日 | 2014-08-13 (水) 20:19:41 |
中身
風が吹いている中、人々は再び不安を抱くことになる。
新たな国が出来たとのことだ。
ファイラはそのことを知って、不安を抱いた。
まさか、また戦争かと。
その不安を抱えたまま、再びこの町以外が戦火に包まれた。
その町が戦火に包まれないのは、何故か。
ファイラは疑問に思った。
確かに普通なら襲われても文句は言えない。
なのに何故……?
と、恋人である遠里がじっと見つめていた。
遠里はファイラを見つめていた。
「どうした……? 遠里……」
「あなたは、次代の方の力になってください。私達はもうおしまいかもしれません」
「な、何を言っている!? 諦めるのか!?」
「違います。あなた以外、生きられる道がないのです。……お話しましょう。この町に、病を流行らせたのです。なので、もう遠い未来、この街は滅びます。あなただけでも、逃げて……」
その途端、術がファイラにかかった。
眠りが、ファイラを襲う。
「遠里……!!!」
「さようなら。私の恋人」
キィィィン! という音と共に、ファイラは封じられ、そのまま眠りについた。
ファイラは夢の中で後悔感を抱いた。
どうして自分がこうならなければならないと。
再び来る眠りに、彼は怒りを覚えながら、眠りについた。
長い時が過ぎても、ずっと後悔感を抱えていた。
だけど、極刑の前の……もう名前も忘れたが、誰かを待っている。
人形という飾りを術で作り、人を襲わせていた。
その時に、一人の人間を傷つけた感覚を感じた。
だが、ファイラはそこで深い罪悪感を覚えた。
傷つけたその人……名前はすぐに分かったが、シュラルの思いは、平和のために生きている。
わからぬ感情のまま、人形で襲わせ続ける。
足音が聞こえてきても、そのまま滅ぼせばいいと思っていた。
その人物を見て、辛い感情を浮かべた。
『お主は、何を待っておる……? 死んだ主を待ち続けておるのか?』
思わぬ言葉に、きょとんとした。
「……何故分かる……」
『その者は、今で言う極刑か? それとも……』
思い出そうと少し間を開けたが、確かにファイラは思い出せない。
「……分からない。待っている間に忘れた……」
『だけど、お主はその主を不安がらせておるのだ。確かに恨み、殺意とかがあるかもしれぬ。だが、その主はそれを抱いておると思うのか?』
そうだった。
何故それを忘れていたのだろう。
そう思った。
クリスタルに、ヒビが入る。
「……そうだね……」
泣きそうになった。
まさか、分かる人が居たなんて。
ファイラは、その感情をぐっと抑える。
クリスタルに大きな亀裂が入った。
もうすぐ死ねる。消えれる。そう感じたファイラ。
「……あの魔導師に……なんて言うんだっけ? シュラル言うんだっけ? その人に謝ってくれ。ごめんって。それだけだよ……」
『弔ってやるからな』
ファイラに、その言葉が深く突き刺さった。
「ありがとう……」
その後ファイラは意識を失った……。
目を覚ましたファイラは、何故ここに居るのかわからなかった。
しかし、彼はそこに存在している。
もう恋人も死んでいる事実を知ったが、辛いとは思った。
だけど、彼は存在する事を選択した。
それが、その人たちにとって、平和になると信じて。