●ティドマス機関庫
マサヒロが撃破され、黒煙が上がる様子が、モニターされている。
機関車や人間に、どよめきが起こる。
テンダー機関車B「・・・・すごい」
テンダー機関車C「これがユウマの力か・・・・!」
ハット卿「・・・・・・・・」
突然、メインモニターにノイズが入る。
『ザザザッ』という音。
ハット卿「どうした!何が起こっている?!」
エドワード「シャミングですっ!ハット卿!通信回線に侵入者・・・・あのUFOからです。」
ノイズが途切れ、急に画面が『ブツッ』と切れる。
その後すぐに、ディーゼル・ブルーサタン顔が大写になってモニターが現れる。
ティドマス機関庫の全員、『!?』となる。
ブルー『・・・・・ごきげんよう。愚かで哀れな役立たずの蒸気機関車たちよ。私の名前はブルー・・・・’’ディーゼル・ブルーサタン’’だ。』
立ち尽くした機関車や人々の中から「誰だコイツは!?」という声がする。
ブルー『私は今、この場で、貴様らに対し宣戦布告する。貴様らの戦いは見物させてもらったが・・・・このディーゼルUFOに傷ひとつつけられず、マサヒロにすら敵わぬとは・・・・・なんとも無力なものよ。』
●イギリス各地
イギリス中のテレビにブルーの顔が映り、イギリスの町中に声が響いている。
ブルー『貴様らの最後の希望は・・・・・日本出身の青い小型タンク機関車・・・・・ユウマだ。だが、もうまもなくその希望も消える。役立たずの蒸気機関車共よ、最期の時へ向けた秒読み、もう始まっているのだ。残念ながら・・・・-貴様らにとってはありがたいかもしれないが-・・・・このディーゼルUFOに搭載された兵器は、膨大なエネルギーが必要でな。先日のようなことは、中々出来ないのだよ。・・・・もっとも私個人としては、貴様らにアッサリと死なれるようでは困るのだがね。』
●ティドマス機関庫の指令室
ブルー『フフフ・・・・・さあ、役立たずの蒸気機関車共よ。この私に見せてくれ。その無様な役立たずのスクラップの姿を!醜くもだえ苦しむ様を!この私の心を満たしてくれ・・・・・貴様らの死を待っているのだからな!フハハハハハハハハハハハハハハ!!』
呆然と突っ立っている司令室の面々。
最初と同じように『ブツッ』と音がして、画面が途切れる。
●燃料タンク車のある操車場
ユウマ、散らばったマサヒロの残骸を踏みつけながら走っている。
ユウマ「ディーゼル・ブルーサタンめ!奴が黒幕か!僕が絶対ソドー島の機関車達を守ってみせるぞ!」
ユウマ、ディーゼルUFO目掛けて走っていく。
●ナップフォード駅残骸上空
ディーゼルUFOも動き出す。
●ティドマス機関庫の司令室
我に返ったエドワード、自分が見ているモニターを見て言う。
エドワード「げ、現地より報告。ユウマが猛スピードで走って、北東の方へ向かっています!」
ヘンリー「・・・・ディーゼルUFOに向かってるんだ!」
ハット卿「・・・・・どうしたんだ?」
エドワード「このままですと、 UFOは3分後に、このティドマス機関庫に到達します!!」
1人の警官「ここまで、攻撃を食らったらひとたまりも無いぞ・・・・!」
ハット卿「・・・・全員避難!!」
ティドマス機関車庫のトーマス、パーシー、ジェームス、ヘンリー、エドワード、ハット卿や隊員全員が慌しく動き始める。
機関庫内放送「みんな、避難せよ。繰り返す、みんな避難せよ」
ティドマス機関庫からみんな逃げだしていく。
●ティドマス機関庫
大慌てで、逃げ出していくパーシー、エドワード、ジェームス、ヘンリー。
トーマス突然停止する。
ハット卿「どうしたんだトーマス!?」
トーマス「忘れもんです!」
ハット卿「だめだ、トーマス、やめなさい!今は早く避難しないと!」
トーマス「子供たちにわたす大切なぬいぐるみなんです!わたさなかったら、子供たちが悲しんじゃうから、取りに行かせてください!!」
そう言いつつ、トーマスは子供たちにわたすぬいぐるみを取りに戻る。
●ティドマス機関庫
トーマスの機関士はぬいぐるみをトーマスの機関室に乗せた。
トーマスの機関士「トーマス、これでもう大丈夫だ!」
トーマス「よかった・・・・」
トーマス、ティドマス機関庫からでて、ソドー島からメインランドへ避難しようとする。
トーマス「僕も早く避難しないと・・・・」
その時突然、トーマスの目の前に光が現れ、その中からブルーが出てくる。
トーマス「!!」
ブルー「・・・・ずいぶん慌てて避難したようだな。役立たずの蒸気機関車ども・・・・・」
辺りを見回すブルー。
ふと、目の前にいるトーマスに気づく。
ブルー「なんと・・・・貴様らは全員逃げた機関車だと思っていたが?」
トーマス「キミはさっきの・・・・!」
ブルー「驚いたかね?クックックッ・・・・・・・・・」
トーマス「キミは一体何なんだ!」
ブルー「ついさっき名乗ったはずだ!我が名はディーゼル・ブルーサタン。私はマサヒロやパシナブルーを送り込んでユウマを連れ去ろうとしていたのだよ。唐突すぎて、すぐには信じられないだろうなぁ。」
トーマス「キミが彼らを使ってユウマを連れ去ろうとしていたっていうのか・・・・・?キミはなんでそんなことを!?」
ブルー「全ては・・・・復讐のため。」
トーマス「復讐・・・・。」
ブルー「タンク機関車よ。貴様はどう思う?醜き役立たずの蒸気機関車を滅ぼす・・・素晴らしいとは思わんかね?」
トーマス「ディーゼル、キミのせいで、どれだけ罪の無い機関車たちや人々が死んだとおもっているんだ!?」
ブルー「罪が無いだと?ハッ、笑わせる。貴様ら役立たずの蒸気機関車がどういう連中かは、よく知っている。平然と他者を差別し、侮辱し、社会的弱者をいたぶることで喜びを感じる、最低の蒸気機関車だとな」
トーマス「そんな偏見で・・・・・」
ブルー「ん?偏見を持っているのは貴様の方ではないのか、タンク機関車?貴様ら役立たずの蒸気機関車にはいくつの差別がある?ディーゼル機関車差別に新型機関車差別、電気機関車差別・・・・・まだあるだろう。」
トーマス「・・・・・・」
ブルー「貴様らの差別の理由はいつも馬鹿げている・・・・。たとえどれだけの法律ができようと、考え方の根本は変えない。自分たちと少しでも違う者はディーゼル機関車や電気機関車などと言った新型の機関車に対して時代遅れの機関車でもまだまたやっていけるのに、新型の機関車を邪魔だと思っているのが役立たずの蒸気機関車だ・・・・・。挙句、何もわかっていない役立たずの時代遅れ共はそれを当然だと思い込み、罪悪感も感じず差別やいじめを行う。歳相応に達した機関車までが、それを見て止めようともしない。・・・・・貴様らはいつになったら気が付くのだ?・・・・迫害される機関車達の苦しみを!!」
トーマス、押し黙ったまま。
ブルー「・・・・・・貴様らは一度でも考えたことがあるか?本当の意味つかないら蒸気機関車は本当に役立たずで、新型の機関車に見下されたからと言って新型の機関車を憎み、貴様ら蒸気機関車こそ重要な仕事をやっていけると思い込んでいるのだ!そして、私が悪魔のような名前や日本生まれではなかったことや私みたいなディーゼル機関車ではなく、蒸気機関車でないと働いていけないことから、貴様ら蒸気機関車が憎いのだ!!」
トーマス「キミには・・・・・、一体何があった?どうしてそんなに僕達蒸気機関車を憎んでいるんだ!?」
ブルー「・・・・・・・私は日本の貨車達に苦しめられた。ただ、それだけのことだ。」
トーマス「・・・・日本の貨車達?」
ブルー「日本の貨車達とてもひどい奴らだった。それに貴様らは醜い姿で、役立たずのスクラップだから!!」
トーマス「キミはまさか・・・・」
ブルー「まあいい。私がここに来たのは、貴様ら役立たずで時代遅れのスクラップの最期がどのようなものか見物するためだ。貴様らと話し合うために来たのではない。・・・・・貴様らはこのソドー島、イギリスで消え去り、地獄へ行くのだ!!」
トーマス「キミに何があったのかは僕には分からない。・・・・僕には想像もつかない苦しみを味わったのかもしれない。・・・・けど、ブルー、よく考えろ!今キミがやっていることは!」
ブルー「黙れ、この役立たずのスクラップのタンク機関車が!理性もやさしさも、蒸気機関車は本当に時代遅れだ!貴様らなど・・・・・・役に立つ機関車ではないわ!!」
ハット卿が慌ててティドマス機関庫に飛び込んでくる。
ハット卿「トーマス!何をしてるんだね!キミも早く避難しないと・・・・」
トーマスの目の前に立っているブルーを見て、ハット卿の顔が凍りつく。
ハット卿「キミは・・・・・・・!!」
身動きが取れないトーマスとハット卿を見ながら、サタンは高笑いと共に光にのみこまれて消える。
●ティドマス機関庫
ディーゼルUFOがゆっくりと動き出し、時代にティドマス機関庫から離れていく。
近くにいたいたずら貨車達の方へ向かう。
いたずら貨車A「?」
いたずら貨車B「こっちに来るぞ!」
いたずら貨車C「やばいぞ!」
いたずら貨車D「もうおしまいだぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
●ディーゼルUFO内
サタン、車体から出す触手のようなアームでボタンを押す。
いたずら貨車達の方に光線が発射され、大爆発が起こる。
貨車達「ぎゃああっ」
ディーゼルUFOの攻撃で吹っ飛ぶいたずら貨車達。
●ティドマス機関庫内
爆発の衝撃で、強烈な震動が来る。
トーマス&ハット卿「ぐおっ!」
●トーマスの支線
ユウマがトーマスの支線を猛スピードで走っている。
ユウマ「ディーゼル・ブルーサタンを止めないと!このままではソドー島やメインランドが危ないぞ!」
ユウマ、ディーゼルUFOまで近づいていく。
●車両兵器工場
車両兵器工場ではエイミーが取り残されていて、そこにパーシーとジェームスがエイミーを保護する。
エイミー「ジェームス、パーシー、早くユウマのところへ!」
パーシー&ジェームス「分かった!」
パーシーとジェームスエイミーを連結してユウマのところへ引いて行く。
●ディーゼルUFO内
ブルー「フハ、フハハハハッ」
ディーゼルUFOはティドマス機関庫から離れて停止する。
ブルー「・・・・・ではでは。そろそろ役立たずの蒸気機関車とイギリスを滅ぼすとしよう」
モニターの目にシャッターが開いていき、整備ドッグのような場所が現れる。
そこに、ボディの色が真っ黒なユウマが繋がれている。
●整備ドッグ内
ネイビーブルーに変わったユウマの車体。
ほんのわずかに、低い汽笛の音を鳴らす。
●ディーゼルUFO内
ブルー「私が役立たずの蒸気機関車たちを滅ぼす時が来たぞ!これぞ正に、ユウマとは蒸気機関車を守護し、小型タンク機関車とは思えないほどの存在よ・・・・!」
ブルー、ディーゼルUFOに向かってくるユウマの映像をモニターで見ながら笑っている。
ブルー「役立たずの蒸気機関車共・・・・貴様らはこれまで、日本出身の青い小型タンク機関車によってディーゼル機関車から守護されていた。そしてその青い小型タンク機関車は私の知り合いの機関車マサヒロに衝突し、蒸気とディーゼルのハイブリッドの機関車となった。それがユウマだ。2100年の未来への僅かな希望は意思を持ち、貴様ら役立たずの蒸気機関車を守ろうとしていた。だが、結局貴様らはこの59年間に、もう1台のユウマを生み出した。それがこいつだ・・・・。貴様らは気づかず、抑えようともしなかった、ケダモノたる部分に意思が宿ったのだよ。クククク・・・・・皮肉なものよ。自分たちで育てたスクラップの山が!今!貴様ら蒸気機関車を滅ぼし、貴様ら蒸気機関車を地獄へ落とすのだ!」
ブルーが車体からアームを出す。
ブルー「ケダモノ機関車より生まれし存在よ・・・・・・我が力と交わりて紺色の最強機関車となり、蒸気機関車、ソドー島、メインランド、そしてイギリスを破滅するがいい・・・・・!目覚めよ、ダークユウマ!!」
サタンがボタンを押す。
●整備ドッグ内
ドッグ内に閃光が満ち、画面中が真っ白になる。
光の中で、ユウマのボディの中にディーゼル機関車のエンジンが取り付けられていく。
そして、光が収まった後には・・・・・ダークユウマがいる。
●ディーゼルUFO
ブルー「最強機関車。闇の青い目の機関車よ・・・・・!」
モニターには音声認識システムの文字が明滅。
別のモニターには、イギリスのメインランドの地図が表示されている。
ブルー「メインランドへ向かえ、ダークユウマよ!メインランドにある町も原子力発電所もそして機関車全てを破壊し、イギリスを死の土地と化す。ソドー島やメインランドの機関車を滅ぼし、みんな地獄へ落としてやるのだ!」
『行けぇ、ダークユウマ!!』
●ディーゼルUFO下部 破壊されたナップフォード駅の近く
激しい閃光。
突如、ディーゼルUFO下部にダークユウマが現れる。
●近くの駅
隊員と人々と機関車が、ダークユウマの出現に驚く。
テンダー機関車B「なんだあの機関車は!」
トーマスがハット卿を乗せてやってくる。
トーマス「紺色の・・・・・機関車」
その時遠くからユウマの汽笛の音。
トーマスたちの遠望に、ユウマが現れる。
ユウマは到着し、ダークユウマを見据え、ダークユウマが自分と外見が同じであることに気づく。
ユウマ「お前はだれだ!・・・・・・・・・いや、お前はこの僕・・・・・・・・・・違う。お前は!!」
ダークユウマ「オレノナハ‘‘ダークユウマ’’ダ!ゴジュウクネンカンキカンシャヤニンゲンノマイナスエネルギーデウミダサレタモウイチダイノオマエダ!モウイチダイノオレ、ソドートウヤメインランド、ジョウキキカンシャ、ソシテ、モウイチダイオレデアルユウマ、オマエモタオシテヤルゾ!!」
ユウマ「やはりお前がもう1台の僕って訳か・・・・・。もう1台の僕、お前を倒してみんなを守ってみせるぞ!」
ダークユウマ「ユウマ、オマエヲタオシテミンナジゴクヘオトシテヤル!!コノオレニカテルモノハダレモイナイカラナァ!!」
ダークユウマ、低い汽笛の音を鳴らす。
破壊されナップフォード駅の近くでユウマとダークユウマの2台が見える。
●ディーゼルUFO内
ブルー「来たな、ユウマめ。・・・・・ダークユウマよ、手始めにユウマを倒して彼を連れ去り、奴らに見せつけてやれ。自分たちの未来を‥‥・蒸気機関車がケダモノ機関車に敗北するその瞬間を!存分に暴れろ、ダークユウマ!」
●破壊されたナップフォード駅の近く
ダークユウマがもう一度低い汽笛の音を鳴らす。
ダークユウマ「サァ、オマエヲシマツシテヤルゾ!ユウマ!!」
●ティドマス機関庫の指令室内
隊員1「負傷者の手当ては何とか行えています。」
ハット卿「人手が足りなくては大変だろうが、頑張ってくれ」
隊員1「ハッ」
隊員は走り去る。
ハット卿「・・・・・パワーレール戦車を出動させる」
エドワード「しかし・・・・・・さっきの攻撃で、他の機関車達は負傷しています。代わりにレール戦車を押す機関車は、今ここには・・・・・」
ハット卿「そっちのタンク機関車の方は大丈夫なのか?」
エドワード「はい」
ハット卿「そうか。砲手が無事なら、当然レーザー砲は使えるだろう。パワーレール戦車には私が乗る」
エドワード「トップハム・ハット卿?!」
ハット卿「私もパワーレール戦車の操縦訓練は受けている。」
テンダー機関車C「なにも、ソドー鉄道の局長であるトップハム・ハット卿がいかなくても!」
ハット卿「部下だけを危険な目にあわせることはできないのだよ。それに、私が前線にいれば、それだけ的確な指示が出せます。」
エドワード「ハット卿、代わりに僕が行ってはダメでしょうか?」
ハット卿「キミたちは今まで通り、ここからサポートを頼む。キミらがいてこそだ。」
エドワード「ハット卿、必ず僕たちのところへ帰ってきてください」
ハット卿「約束する」
●ティドマス機関庫の近く
ハット卿が出てくる。
ハット卿「終わったぞ」
トーマス「ハット卿、どうするんですか?」
ハット卿「私が、パワーレール戦車で出撃します」
トーマス「・・・・・そうですか、トップハム・ハット卿」
ハット卿「ところでさっき、トーマス、キミの近くにあのブルーとかいう大型のディーゼル機関車がいたじゃないか。一体何があったんだね?」
トーマス「僕がティドマス機関庫を出ようとしたら突然現れて、あの大型のディーゼル機関車は、心の底から僕達蒸気機関車を憎んでいるようでした。なんていうか・・・・・一言一言に侮蔑が込められているというか・・・・・」
ハット卿「例えば?」
トーマス「蒸気機関車は役立たずの時代遅れのスクラップの山とか、偏見にまみれて差別ばかりしているとか、ディーゼル機関車や電気機関車などの新型機関車に対して蒸気機関車がディーゼル機関車や電気機関車を憎んでいるとか、‘‘復讐のため’’とも言っていました。トップハム・ハット卿。」
ハット卿「・・・・なるほど、もしかしたらあの大型ディーゼル機関車は、なにか地獄を見たのかもしれないなぁ」
トーマス「えぇ?」
ハット卿「いや、単なる憶測だぞ。ただ・・・・私は何度か、実際に狂気を宿した目を見たことがあるんです。あの時モニターに映った奴の青い目は・・・・まさにソレだった。」
トーマス「・・・・トップハム・ハット卿。僕、どうしても気になることがあるのです。奴は、僕達蒸気機関車全体を憎むようなことを言っていました。今日のこのノース・ウェスタン鉄道に出た時も、それに何か月まえにも、僕は蒸気機関車がディーゼル機関車や電気機関車を差別していたりした光景を、見てるんです・・・・・。奴の言ったことが真実なら、僕らは・・・・・」
ハット卿「トーマス、ひとつキミに良いことを教えてやろう。」
トーマス「?」
ハット卿「局長である私の知っている限り・・・・真に差別感情を抱いた人間と機関車というのは、我々の思っているより、よっぽど少ないものなのだよ。我々が目にする多くの光景は、自分の信念もない、機関車と機関車、そして人間同士が、相手をいじめ差別し、侮辱し、蒸気機関車がディーゼル機関車や電気機関車などを邪魔だと思っているか、そうでなければ蒸気機関車もディーゼル機関車も電気機関車もお互いに仕事を頑張っていこうと思っていると、私はそう思っているのだよ。」
トーマス「そういうもんですか。トップハム・ハット卿。」
ハット卿「一部バカな機関車や人間の行動を、蒸気機関車全体に対する悪感情に発展させてしまうのは、大きな誤解と言わざる得まいのだよ。誰かを差別して喜ぶような低次元な連中により、まともな機関車や人間の方がよっぽどたくさんいるのだよ。だからたとえあの大型ディーゼル機関車が我々を憎んでいようとも、私は迷わん。私が戦うのは、まともな大多数を守るためであるから。それでは。」
踝を返すハット卿。
去り行くハット卿に向かって、トーマスは黙って会釈する。
●ティドマス機関庫のそば
パワーレール戦車をはじめとし戦車が発射する。
ハット卿「行くぞ!状況開始!」
パワーレール戦車のハッチが閉まっていく。
●ティドマス司令室
エドワード「トップハム・ハット卿たちを、全力でサポートするぞ!」
全員「おぉっ!」
●破壊されたナップフォード駅の近く
ダークユウマ「サァ、シヌガヨイ、ユウマ!!」
ユウマ「もう1台の僕、貴様を倒してやる!!」
ユウマとダークユウマは同時に大きな汽笛を鳴らす。
ダークユウマがユウマから突破して、ユウマがダークユウマの後を追う。
●ノースウェスタン鉄道の支線
ユウマがダークユウマの後を追いかけていると、ダークユウマがユウマのいる線路に入る。
ダークユウマ「オマエヲセンロカラハズシテヤル!!クラエ!!モウイチダイノオレ!!」
ユウマ「うわっ!」
ダークユウマがユウマを後ろ向きで線路から脱線させる。
ユウマ「くそ!でも僕はここで負けるわけにはいかない!」
ユウマは自らの力で線路外を走行し、ダークユウマの後を追う。
すさまじいチェイスシーンが続く。
そして見事ユウマは車止めを突き破り線路に戻った。
●ナップフォード駅の残骸
ユウマとダークユウマがナップフォード駅の残骸へ一周して戻ってくる。
ユウマがダークユウマを体当たりする。
ダークユウマは猛スピードで、画面手前に向かっていく。
ユウマもそれを追い、画面手前をユウマとダークユウマが走り去っていく。
次の場面でダークユウマの向きが変わり、ユウマとすさまじい戦闘を続ける。
ダークユウマ「ユウマ、コレデオレサマガクタバルトオモウノカ!!オレニカテルヤツハダレモイナイ!!ユウマ、ソシテオロカナヤクタタズノジョウキキカンシャドモ!!オマエラノジョウキノジダイハモウジキオワルノダァァァァァァァァッ!!!!」
ユウマ「ダークユウマ、そして、もう1台の僕!お前などに蒸気機関車達を滅ぼさせない!!!」
ユウマは近くにある人格のない無蓋貨車をダークユウマにぶつける。しかし、貨車はこっぱみじんとなり、ダークユウマには全然聞いていない。
時々、ダークユウマ主観のカット。
ソドー島中の自衛隊や機関車が報告している。
一人の隊員「機関車はユウマを伴い、ブレンダムの港に向かって走行中」
●ブレンダムの港
猛スピードで走行するダークユウマの眼前に巨大な建物が立ちはだかる。
ダークユウマの顔アップ。
彼の目がチカチカ発光し、青い破壊光線が発射される。
光線が直撃して、建物は倒壊する。
煙幕の中を、ダークユウマが突き抜けていく。
ダークユウマ「ヤクタタズノスクラップドモヲタオシ、ユウマヲタオシ、イギリススベテヲケシサルオレニ・・・・・・ダレモカチメガアルハイナァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァイッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ダークユウマがそう言うと、ダークユウマは次々にソドー島全ての物を青い破壊光線で破壊していく。
ユウマ「やめろダークユウマ!!!」
ユウマも、貨車をぶつけたり、体当たりをする。
彼の攻撃はダークユウマの背後に命中する。
ダークユウマは車輪を後ろに回してユウマを押す。
ダークユウマに押されたユウマは近くに会った無蓋貨車、有蓋貨車に激突し、無蓋貨車と有蓋貨車はこっぱみじんとなった。
ダークユウマはユウマを苦戦させるが、ユウマの体当たりで、車体にすさまじい衝撃が走る。
ダークユウマ「アキラメロ、ユウマ!!!オレニカテルヤツハダレモイナイノダ!!!オマエモ・・・・・ホカノジョウキキカンシャトトモニキエテナクナレバイイノダァ!!」
ユウマ「嫌だ!!僕はあきらめない!!黒幕のブルー、そして、もう1台の僕であるダークユウマ!お前らみたいな悪を倒して、僕は蒸気機関車達を守護するんだ!!だから・・・・・・僕は・・・・・・ここで諦めるわけにはいかない!!」
ダークユウマ「ホウ、ナラバユウマ・・・・・・キサマガクタバッテ、キサマガチカラヲウシナウマデオレサマガキサマヲボコボコニシテヤル!!!」
ダークユウマは後ろ向きのまま、ユウマを押し続け、ユウマを車止めに何度もぶつける。
感情を一切持たないもう1台のユウマであるダークユウマは非常に強い。
さすがのユウマもフラフラ。
ユウマ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ダークユウマにさんざんボコボコにされたために、ユウマが悲鳴を上げる。
ダークユウマ「アバヨ、ユウマ!!コレデオワリニシテヤル!!!」
ダークユウマはユウマを貨車にぶつけて脱線させる。
ユウマ「だめだ!力が!」
ユウマは横倒しに脱線させられて、そのまま倒れこんでしまう。
●ヴィカーズタウン駅
ヴィカーズタウン駅では多くの蒸気機関車達が避難しているが、そこには、ディーゼル機関車達もいた。
自衛隊たちに誘導されている機関車や人間たち。
テンダー機関車1「おい、何後ろからぶつかってんだよ!」
1台のディーゼル機関車「なんだよ!」
テンダー機関車「この野郎・・・・!」
一台のタンク機関車が慌てて止めに入る。
1台のタンク機関車「キミたち、ちょっと落ち着いてください・・・・!」
テンダー機関車3「ね~え~?もっと遠くの場所に避難できないの?」
テンダー機関車4「もっと安全な場所はねぇのかよ!」
多数の蒸気機関車「そうよ、ねえ~?」
別の隊員が無線に報告。
隊員2「こちら、ヴィカーズタウン駅。蒸気機関車、人間住民から不満が出始めています」
●ティドマス機関庫
エドワード「そこからトーマスの支線を使って、メインランドに向かってください。ヴィカーズタウン駅の提供を要請しておきましたので、そちらへ・・・・・・。今、地図のデータを送信します。こちらからも、避難用手漕ぎトロッコを数台送ります」
●ヴィカーズタウン駅
隊員2「わかりました」
最初の隊員が少し開けたところに出てきて体制に向かって叫ぶ。
隊員1「みなさん!」
住民たちがそちらを振り向く。
隊員「ここから離れたメインランドの先に、もっと安全な場所があります!これからそちらに皆さんを誘導したしますので、自衛隊員の指示に従ってください!」
機関車、人間の住民の中から安堵の声が上がる。
だが、その中の1台の機関車が尋ね返す。
1台のテンダー機関車「そこまではどうやって行くんですか?」
隊員1「機関車は手漕ぎトロッコには乗れません。ですから、1台ずつの手漕ぎトロッコに乗るのは100人の人間だけです。また、蒸気機関車は今の力では、メインランドまで避難できません。」
1台のテンダー機関車「ちょっと待ってくれよ!それじゃ、俺達蒸気機関車はここに残って、皆殺しになれというのか?!」
隊員1「本部からも数台、こちらに手漕ぎトロッコが向かっています!」
タンク機関車B「こんな危ないところに、残っていたくわないですよ‥‥!」
1台のディーゼル機関車「俺が先だ!」
1台のテンダー機関車「何言ってやがる!」
蒸気機関車、ディーゼル機関車、人間、大混乱になる。
隊員1「落ち着いてください!メインランドの他の場所にも応援を頼みましたから、皆さんは確実に避難できるはずです!落ち着いてください!!でも、蒸気機関車とディーゼル機関車も無事避難できるかの同課は未だ分かりません!」
混乱に乗じて、男が1人だけその場を離れる。
男「冗談じゃねえっつの・・・・・」
男、施設の裏手に出る。
男「・・・、手漕ぎ・・・トロッコ、仕方ねえよなあ?」
●ヴィカーズタウン駅の出入り口
自衛隊員が1人、手漕ぎトロッコに乗ってやってくる。
男、機関車の中にあるシャベルを手に取って、そっと隊員の後ろに近づく。
隊員は気づいていない。
男がシャベルを振り下ろして、隊員の後頭部を強打する。
隊員「がっ・・・・・」
隊員は地面に倒れる。
男「え、へへへ・・・・・悪いねぇお前さん」
男はトロッコを漕ぎ始める。
隊員は、必死に身を起こす。
隊員「や、やめろ・・・・。キミがその手漕ぎトロッコに乗ったら、ここにいる人たちはどうなるんだよ!?」
男「はっ、知るかよ、そうだな・・・」
男は平然と言い放つ。
男「俺さえ助かりゃいいんだよ。そうだろ、お前さん?あっはははははは」
男は笑ってトロッコを漕いで逃げ出す。
隊員、ガクッと倒れる。
●ブレンダムの港
クレーン車が横倒しに脱線していたユウマを線路に戻している。
線路に戻ったユウマはダークユウマのところへ向かおうとする。
1台のテンダー機関車「ユウマ、だめだよ。これ以上ダークユウマと戦うとキミまで犠牲になっちゃうよ!」
ユウマ「いいや、僕はあきらめない!僕は絶対にこのソドー島、メインランド、イギリスを守って、ダークユウマや黒幕のブルーの思い通りには絶対にさせないから!」
ユウマ、ダークユウマに向かって突進していく。
1台のテンダー機関車「ユウマ!」
ダークユウマの体当たりが、ユウマのボディを強打する。
ユウマ、また脱線しそうになるも、態勢を立て直して体当たりをかける。
ダークユウマは少し押し出されるが、再び体当たりを繰り出す。
ダークユウマ「コシャクナ!ユウマ!オレサマハオマエヲモウユルサン!!ヤクタタズノジョウキキカンシャヲシュゴスルコノアオイゴミクズガァ!!」
ユウマ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
今度はユウマが倒されてしまう。
徐々に、ダークユウマが近づいていく。
その時、突然トップハム・ハット卿率いる自衛隊と戦車部隊を押した蒸気機関車達が到着し、パワーレール戦車からレーザーが発射され、ダークユウマの背後に命中する。
ダークユウマが大きな汽笛を鳴らす。
ダークユウマ「ナンダキサマラハ!!キサマラモコノオレサマヲタオスコトハデキナイノダゾ!」
パワーレール戦車が、砲塔をダークユウマに向けている。
ダークユウマ「オレサマガキサマラヲシマツシテクレルワァァァァァァァァ!!!!」
ダークユウマはそういうと、戦車部隊とパワーレール戦車目掛けて突進してくる。
●戦車内
ハット卿「とにかく撃ちまくるんだ!私が奴をこっちに引き付ける」
●戦車の外側
テンダー機関車A「任せてください・・・・トップハム・ハット卿・・・・!」
●ブレンダムの港
パワーはレーザーを撃ちながら後退を続ける。
パワーに引き付けられるダークユウマ。
背後からユウマがダークユウマを連結しダークユウマを押さえつける。
ユウマ「自衛隊の皆さん。そして、トップハム・ハット卿!僕がコイツを押さえてるすきにコイツに連続攻撃をどうぞ!」
ダークユウマ「ハナセ、ユウマ!!オレハサイキョウダァ!!!ジエイタイノコウゲキナドオレニハキカン!!!」
テンダー機関車A「ありがとうユウマ!みんな行くぞ!いっせん攻撃開始!!」
そのすきにパワー率いる自衛隊たちはダークユウマに攻撃を続ける。
暴れるダークユウマにユウマがブレーキをかけ逃げないように押さえつける。
レーザーが再度発射され、ダークユウマ車体の周りを直撃する。
ダークユウマが苦しむ。
●戦車内
ハット卿「さぁ・・・・もう1台のユウマ・・・・こっちに来るのだ!」
●ブレンダムの港
ダークユウマ「バカメ!!タカガジエイタイノセンシャノコウゲキデ・・・・・オレヲタオスコトナンカ・・・・・デキルワケガナイダロウガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ユウマ「うわっ!!」
怒ったダークユウマはユウマの連結器を壊しユウマから外れて、再びパワーに向かってくる。
ユウマ「そうはさせない!」
ユウマは体当たりパンチで攻撃。
連続する彼の攻撃に、ダークユウマの怒りが頂点に達する。
ダークユウマは再び目から青い破壊光線を発射し、再びソドー島の建物などを破壊する。
ソドー島のあらゆるものが火の海となる。
ユウマ「ダークユウマ!貴様!」
ダークユウマ「ウルサイ!!」
ユウマ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ユウマはダークユウマの光線を食らって、悲鳴を上げて、再び横倒しに脱線。
パワーも、光線の乱射で爆発に巻き込まれ、絶体絶命のピンチとなる。
●戦車内
ハット卿「ぐおぁっ!?」
●ティドマス機関庫
モニターに黒煙を上げるソドー島各地が映っている。
ユウマがその中に埋まり、ハット卿が乗っているパワーも前のめりになって、みんなフラフラになっている。
エドワード「皆さん大丈夫ですか!?」
しばらくして無線から返事が帰ってくる。
ハット卿「あぁ、私も他のみんなも、何とか無事だ・・・・。ユウマはどうした!?」
エドワード「ユウマは・・・・動きません!彼のボディがボロボロになっています」
ハット卿「畜生・・・・・あの悪の蒸気ディーゼル野郎が・・・・」
●とある駅の近く
ダークユウマがブレンダムの港の近くのとある駅に到着する。
低い汽笛の音。
ゆっくりと、動けないパワーに向かって近づいてくる。
●戦車内
ハット卿「そこのテンダー機関車、しっかり掴まっているんだぞ!」
テンダー機関車A「はいっ」
パワーのエンジンが全開になり、車輪が逆回転する。
瓦礫の中から、少しずつ抜け出してくる。
ダークユウマの進行は止まらない。
ダークユウマ「オロカナジョウキキカンシャドモメ!!モウジキオマエタチモコノオレサマニ、タオサレルノダカラナァ!!」
ハット卿「ミサイル発射!」
テンダー機関車A「ミサイル・・・・・発射!」
戦車部隊が一斉にミサイルを発射した。
ダークユウマが破壊光線を撃つ。
ミサイルが一発、光線に当たって爆発する。
煙が広がるが、その後ろからもう一発のミサイルが飛んでくる。
不意をつくミサイルが、ダークユウマの顔に当たって爆発する。
しかし、ほとんど効いていない。