霊夢「(目覚める)ふあ~あ。ちょっと寝すぎちゃった。もうこんな時間・・・そろそろ魔理沙がうちを訪ねて来る頃かしら」
魔理沙「霊夢ー。おーい、霊夢ー」
霊夢「え?男の人?でも、声の雰囲気はあいつのような・・・」
(障子を開ける)
霊夢&魔理沙「え!?」
霊夢「あ、あ、あんた・・・魔理沙?」
魔理沙「お、お、お前は・・・霊夢なのか?」
霊夢「魔理沙、あんた男・・・あー!この体!ていうかこの声!もしかして私も、男の人になってるの!?」
魔理沙「【苦笑い】」
文「こんにちはー。号外、号外ですよー」
魔理沙「あ、新聞屋。お前はもしかしなくても」
文「はい。清く正しい射命丸文ですよ」
霊夢「ということは・・・号外っていうのは、やっぱり」
文「はい、そういうことです。なぜか幻想郷の方々の性別がみーんな反転してしまったようなんです。所謂『目が覚めると俺は・・・男になっていた!』というやつですね」
魔理沙「(ちょい苦笑い気味に)霊夢・・・これは・・・」
霊夢「ええ。間違いないわ。これは・・・異変ね」
文「これが重大な異変であることを瞬時に理解した霊夢さんたちは、『こんなくだらないことをするのはどうせ守矢のやつらだろう』と、神奈子さんたちを退治しにいくことにしました」
魔理沙「おいおい、ちょっと。展開が早過ぎねえか?」
霊夢「いいのよ。異変解決なんてこんくらいスムーズな方が」
魔理沙「それにさあ、これがあいつらの仕業だなんて限らねえだろ?」
霊夢「限るわよ。あんた、地底に行かされたときのこと覚えてないの?あいつらが勝手にあんなことしたせいで大惨事だったじゃない」
魔理沙「そーだけどさー」
霊夢「ま、あいつらじゃないとしたら紫くらいね。あいつなら『性別の境界をいじったー』とかトンデモ理論を展開してもおかしくないわ」
魔理沙「なるほど。でも、それならなんでこっちに来たんだよ」
霊夢「できたとしても。あいつは、こんなこと実行するやつじゃないわ。あいつはあいつなりに幻想郷が好きみたいだしね。あー、それにしても腹立つわ。神奈子の奴ら、地底までぶっ飛ばしてやろうかしら」
魔理沙「・・・(ヒソヒソ)おい、文」
文「え?」
魔理沙「(ヒソヒソ)なんだか霊夢のやつ、ピリピリしてねえか?」
文「そうみたいですね。あの日でしょうか」
魔理沙「(ヒソヒソ)いや、今は男の体なんだからそれはないだろ」
霊夢「聞こえてるわよ魔理沙!私はね、あの自分の体が好きだったの。それを急にこんな体にされたからカチンと来てるだけよ。ったく・・・」
魔理沙「(ヒソヒソ)霊夢ってナルシストだったのか?」
文「シッ!また聞こえますよ」
霊夢「着いたわね。さて、あの大馬鹿野郎共はどこかしら?」
早苗「あれー?今うちの神様の悪口言いませんでした?」
魔理沙「早苗。あ、ていうかもしかしてこれお前の仕業か?お前それっぽい便利能力持ってたよな」
早苗「ああこの体の件ですか?違います違います」
霊夢「いいからさっさと神奈子たちを出しなさい」
早苗「いいですよ。神奈子様ー、お客様ですー。じゃあ私はお掃除忙しいので」
魔理沙「忙しいようには見えないが・・・。おっ、出てきた」
神奈子「なんだ。お客様っていうのはあんたたちか」
霊夢「神奈子!あんた何さらしてくれてんのよ!早く戻しなさい!」
神奈子「はぁ?もしかしてこの体のこと?残念ながらこれは私のせいではないわ。私だって目が覚めたらこんなことになっていて、動揺しきっているところぞ」
魔理沙「え?お前の仕業じゃないのかよ」
霊夢「待ちなさい。お騒がせ者の神様はもう一人居るでしょ」
魔理沙「あ、カエルか」
神奈子「諏訪子?あいつも何もしてないと思うけどなー」
霊夢「信用できないわね。諏訪子本人に問い詰めてやるわ。・・・と言いたいところだけど、魔理沙。突然で悪いけどバトンタッチ。主役交代よ」
魔理沙「えぇ!?突然どうしたんだよ。あんなにやる気いっぱいだったのに」
霊夢「怒りつかれたからちょっと休みたいの。いや、ていうか、ほら。企画者があんまり出張りたくないの」
魔理沙「え?企画?何言ってんだ霊夢」
霊夢「いいからさっさと行って来なさい!」
魔理沙「はいぃ!じゃあ諏訪子のとこに・・・あれ?文も残るのか?」
文「はいー。男性になった神奈子さんが非常にかっこいいので夕刊の記事になるかなーと」
神奈子「ポーズはこうでいいのか?それとももっと男らしい方がいいか?」
文「じゃあこっちどんどんシャッター切ってくので自由にポーズ撮っていってくださーい」
魔理沙「グ、グラビアかよ・・・【ため息】。まあ私一人のが気が楽か。さっさと解決してこよ」
諏訪子「【ネイティブフェイスの歌詞を『けろ』で歌ってください】。・・・おや、貴女はいつぞやの魔法使いじゃない」
魔理沙「お、この距離でよく気がついたなあ。伊達に神様やってないぜ」
諏訪子「で、なんの用?カエルに餌でもあげたに来たの?」
魔理沙「いやいや、お前を退治しに来たんだ」
諏訪子「へー、それはなんでまた?」
魔理沙「私らの体がこんなんなってるのって、お前の仕業だろ?まあお前までそうなってるとは思わなかったけどな。ともかくスペカ戦で私が勝ったら、元に戻してもらうぜ」
諏訪子「ふふふ・・・。あ、いや、ケロケロ・・・」
魔理沙「何でカエルっぽく言い直した!?」
諏訪子「私に二度も挑むとは愚かね。今回は全力で行っちゃうよ」
魔理沙「望むところだぜ。スターダストレヴァリエ!」
諏訪子「宝永四年の赤蛙!」
文ナレ「一方その頃、私と神奈子さんは、撮影を終えて将棋をしているのでした」
神奈子「六1金」
文「四8歩」
神奈子「七3銀」
文「六7飛車 王手」
神奈子「あちゃー」
霊夢「何遊んでんのよ。ところで神奈子。諏訪子が何もしてないって本当なの?」
神奈子「ああ、あいつも朝っぱらから私や早苗とパニクってたよ。まああいつはもう慣れてるみたいだけどな」
霊夢「となるとやっぱり・・・怪しいのは紫、か」
神奈子「ていうかあんた。さっきは信用できないとか言ってなかったか?」
霊夢「博麗の巫女は気が変わりやすいのよ。ちょっと魔理沙迎えに行ってくるわ」
文「あ、私は帰ります。夕刊に間に合うように記事書かないと」
神奈子「新聞屋ー。ちゃんと守矢神社を宣伝しておいてくれよー」
文「はーい」
魔理沙&諏訪子「【息切れ】」
魔理沙「やるな・・・」
諏訪子「あんたもね・・・」
魔理沙「でも私の勝ちだぜ。約束どおり元に戻してもらおうか」
諏訪子「あーそれだけどね。私じゃないの」
魔理沙「えー!?どういうことだよ」
諏訪子「あんたが勝手に疑って挑んで来たんでしょ。私は何も約束してないわ」
魔理沙「【動揺】」
霊夢「ということらしいわ。さっさと紫のところ行くわよ」
魔理沙「霊夢。いつの間に」
霊夢「魔理沙の遊び相手してくれてありがとう。じゃあねケロちゃん」
諏訪子「うん。じゃーねー」
霊夢「それにしても、紫をこちらから探しに行くなんて珍しい展開ね。一体どこに居るやら」
魔理沙「マヨヒガに居る式たちをぶっ飛ばせば出てくるんじゃねえか?」
紫「その必要はないわ」
魔理沙「ほむ、じゃなかった。紫!」
霊夢「紫、これあんたのせいでしょ?」
紫「そうよ」
霊夢「直しなさい」
紫「分かったわ」
魔理沙「あっさりだな!こんなオチでいいのか!?」
霊夢「なんでこんなことしたの?」
紫「男になって霊夢を襲ってやろうと思ったの。でも間違えて全員男にしちゃったわ」
魔理沙「ろくでもない動機だな」
紫「明日の朝にはみんな元に戻るようにしておいたわ。これでいいでしょ」
魔理沙「えっ。なんで明日なんだよ。今すぐ直せよな」
紫「いや・・・今直しちゃうと・・・(小声)ほら、声とか・・・色々まずいじゃない」
霊夢「【ため息】もういいわ。明日には直ってるのね?もう疲れたから帰るわ」
魔理沙「あ、霊夢。待ってくれよ」
紫「あ、魔理沙。あんたボロボロね」
魔理沙「え?ああ。さっき諏訪子と戦ったからな」
紫「はいこれ。傷薬あげるから飲んでおきなさい」
魔理沙「お、サンキュー【飲む】。じゃーなー」
霊夢「なんであんたまで神社に着いてきてんのよ。私は今とても一人になりたいのに」
魔理沙「私だって、こんな姿人に見られたくないぜ。ここに匿ってくれよ」
霊夢「【ため息】」
魔理沙「でも、霊夢?お前その格好、わりと、カッコいいぜ」
霊夢「はぁ?頭でも打ったの?医者呼びましょうか?」
魔理沙「なあ霊夢。せっかくなんだから。男同士でしかできないこと、しようぜ」
霊夢「え、え、ちょ、魔理沙。【悲鳴】」
紫「(わざとらしく)あー、傷薬と間違えて魔理沙に媚薬渡