ベビしぃ園 その後

Last-modified: 2021-09-08 (水) 19:00:18
115 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/25(土) 00:28 [ GLFCSBSU ]
 七月のとある海岸。
数人の人間たちが、焚き火の準備をしていた。
まず、四匹のベビしぃの死体が山積みにされた。その上に彼らはガソリンをかける。
その横には、震える四匹のベビしぃがいた。
死体に火がつけられた。ガソリンに引火したのだから当然ではあるが、
炎はまたたく間に燃え上がった。
人間たちは傍らの震える四匹のベビしぃを、有無を言わさず、その炎の中に放り込んだ。
「オイ、糞虫ぃ!お友達はその火をくぐった所にいるんだ!」
「とっととお友達の所に行きやがれぇ!!」
彼らは笑いながら、燃え盛る炎を呆然と見詰めているベビしぃを炎の中に突き飛ばしていく。
ベビしぃ達を包み込んで燃え盛る炎は、よりいっそう天を焦がしていった。
人間たちは、炎の中で助けを求めて泣き叫ぶベビしぃ達を、さも愉快そうに見詰めていた。
「アーーーッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ・・・・」
「アッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ・・・・」
やがて・・・彼らの嫌な笑いが海岸中に響いていった。
彼らの笑顔は・・・悪魔とも神とも言えない・・・、
そう、悪魔と神とを足して二で割ったような笑顔になっていた。

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 私達は過ちを犯してはいなかった。
 そう・・・正義に基づいた正しい行為だったのである。 

                  元「ベビしぃ園」 職員  ○山 ×男

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116 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/25(土) 01:05 [ GLFCSBSU ]
「園長、解体業者がこんなに早く見つかってよかったですねぇ」
「おいおい、もう園長とは呼ばないでくれ」
 あの一件から数日後。本来なら、お泊まり会からベビしぃたちが帰ってくる予定の日。
二人の男が、瓦礫の山に変わっていくベビしぃ園の園舎を見つめていた。
「焼け跡に、骨は無かったんだろ?ま、有っても、踏み潰していただろうがな」
「『骨もカスほどしか残らなかったので、替わりにベビちゃんが海で取った貝殻を同封します』。
そう親虫ぃには伝えておきました。それにしても、まんまとひっかるとは、ねぇ」
「下等AAなんざ、所詮そんなものさ」
 パワーショベルが有無を言わさず、園舎を破壊していく。
その傍らでは、大型トラックが瓦礫を積み込み、運び出していく。
門も既に半分近くがこの世から消え去っていた。
その門の横には、次の内容の書かれた看板が立てられていた。
【マンション建設予定地につき、関係者以外立入禁止】
〔尚、ベビしぃ園なる施設は最初からここには存在しません〕
「この次の町でも、今回と同じ施設を作ることになっているんだろ?
ま、カモがネギ背負ってやって来てくれるのは、わかりきっておる」
 元園長は、新しいベビしぃ園のパンフレットを取り出した。
それにはこう書かれていた。
(愛情いっぱいのダッコを通じて、ベビしぃちゃんの笑顔を守ります。
ベテラン保育士が心をこめてお預かりします。
たのしいイベントも沢山あります。*お泊まり会、クリスマス会、ダッコ大会など)
「何が愛情だ!そんなモン、ゴミなんかに要るものか!」
 吐き捨てるかのごとく、元園長は叫ぶ。そして、パンフレットのページを一枚破り捨てた。
そのページには、ベビしぃが楽しそうにダッコされている写真が沢山載っていた。
「しぃはもうダメですよ。親が親ならベビもベビだ。所詮しぃはストレスの元・・・
いつかは絶滅させなければなりませんって」
「そりゃそうだ。大体だな・・・」
 次の瞬間、携帯電話が鳴った。
「ああ、俺だ。・・・わかった、今すぐそっちに行く」
「本部からですか」
「そうだ。全員集まっている、との事だ」
 二人は車に乗り込んだ。

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 後に残った親虫ぃをどうしようか考えるだけで興奮した。
  ……それだけストレスが残っていたってことではなかろうか。 

                      元「ベビしぃ園」職員 △川 ■一

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117 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/25(土) 01:48 [ GLFCSBSU ]
 二人を乗せて車は走る。そして、あるビルの前で、車は止まった。
そのビルにはこのような表札が掲げられていた。
 “しぃ根絶・撲滅連合会”
 二人はビルの中に入っていく。そして、ある一室のドアを開けた。
中にいたのは数人の男女だった。元「ベビしぃ園」の職員たちである。
「いやはや、ご苦労。よくやってくれた。大変だったろう。心の底から礼を言うよ」
「ありがとうございます」 
「もったいないお言葉ですよ、園長」
「だからもう、園長とは呼ぶなって」
 園長は苦笑いをした。そして、すかさず話を切り出す。
「俺が言うのもなんだが、これからの方針を・・・」
「やめて下さい!!そんな話!!」
甲高い声が室内に響き渡った。
「アンタ、本当にそれでも嫌にならないのか? 常にダッコをねだられてみろや!
まず一日で発狂するよ!!」
「しぃの気持ち? 知るわけないでしょう?そんな事をいちいち気にしてなどいられませんって」
「あれは異常極まる光景だったぞ。糞虫ぃのベビが八匹もいたんだぞ、八匹も!」
「もとからベビしぃに対する愛情など、かけらもなかったわ。どんなに泣き叫ぶベビ達を見ていても、
何の感情も沸かなかったんですもの!!」
「だからあの時、俺は必死で泣き叫ぶベビしぃを、樫の木の棒で激しく叩いてやったんだ。
もともと生かしておく価値など無かったからな」
「噂ではしぃの肉は柔らかく、臭みもない、多くの食通をうならせる、隠れた名品だと聞く!
だが、俺はァ!!絶っっっ対に食わん!!」
「とっとにかくだ!!ナッコナッコとわめくベビしぃなど・・・この世にいてはならんのだーーー!!!」
 元職員たちは口々に訴え続けた。慌てて元園長が静止した。
「だから・・・落ち着いてくれや!!俺は後に残された親虫ぃの後始末をしてーんだよ」

118 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/25(土) 02:14 [ GLFCSBSU ]
 次の瞬間、室内が静まり返った。
「我々はとんでもない過ちを犯してしまっている。まず先に葬らねばならなかったのは・・・
ベビではなく、親虫ぃの方だったのだ。だから、俺は親虫ぃをベビの元へ送ってやろうと思うんだ。
そして、親子仲良く地獄で暮らせるようにしたいんだ。それがせめてもの情けよ」
「確かにそりゃそうだ」
「でもさぁ、こうして殺してみるとあっけなかったな。ま、所詮はこの程度のゴミでしかないからなぁ」
「毎日ダッコねだられて溜まってたストレスを一気に発散できて良かったよ、マジで」
「とにかく、ゴミ虫を片付けられて清々したわ」
「確かにいずれベビは生まれてくる。だとすりゃ、親虫ぃを殺さないと・・・」
 元職員たちは口々にそんな事を言いながら笑いあった。 徐々に落ち着きを取り戻していく。
「君たちは栄光ある『しぃ根絶・撲滅連合会』のメンバーなのだ・・・。
ベビしぃ園など、世を忍ぶ偽りの姿にすぎぬわ。そして・・・もうあのベビしぃ園の役目は終わった」
 元園長は得意げに言った。
「ベビしぃのナッコナッコという声、これは総ての元凶だ。絶対にこの世に残してはならん。
これが成体しぃのダッコという究極の公害の源であることは明白だ」
「いずれにせよ、親虫ぃをおびき出して集めなければなりませんね。
考えは有るんですか?」
「当然だ」
 そう言った元園長の顔は自信に満ち溢れていた。

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 思い描いていた「楽しいお泊まり会」とは全然違う、
 恐怖感と絶望感だけが支配するお泊まり会・・・。
 だが、ベビしぃ達ごときにはまだまだもったいないとしか、
 言いようが無かったね。

                      元「ベビしぃ園」職員  ×田 □助

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*今回はここまでです、続きはまた後日、投稿致します。

119 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/26(日) 20:40 [ n3u5WRJg ]
*>>115-118の続きです・・・

 その翌日。何匹かのしぃがベビしぃ園へと向かっていた。
ベビしぃ園から、ベビの荷物と訃報とが送りつけられて来たからであった。
だが、しぃたちの目の前にあったのは、信じられない光景だった・・・。
そこにベビしぃ園は跡形もなかった。母しぃたちの目に飛び込んできた物は ただの空地と、
次の内容の書かれた看板だけだったのである。
【マンション建設予定地につき、関係者以外立入禁止】
「ベビしぃ園?そんな施設、シラネーヨ」
「そこは最初から空地だったよ。幻覚でも見たんじゃネーノ?」
「とにかく変な事は言わないでもらいたぃょぅ」
 道行く人々も、知らぬ存ぜぬの答しか返してこなかった。
母しぃたちは途方にくれていた。そこに、一台の送迎用バスが止まった。
そのバスから一人の男が降りてきた。男は言う。
「これはこれは、お母さん方・・・園長の私が何とかしましょう」
 園長と聞いて、母しぃたちは口々に訴え始めた。
「チョット! ドウイウコトデスカ!」
「ソウヨ!シィノ ベビチャンヲ カエシナサイ!」
「オナガイ!! カエシテェェェェェェ!」
園長は制止した。
「お・・・落ち着いてくれませんかねぇ。ここで話をするのもなんですから、
場所を変えて、話を付けようじゃあーりませんか」
「ソウネ・・・」
「ソレジャ ソウサセテモラウワ。ケド、話ハミッチリツケサセテモラウワヨ」
「それでは、このバスにお乗り下さい」
 母しぃたちは、次々とバスに乗り込んでいった。

120 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/26(日) 21:06 [ n3u5WRJg ]
 郊外にある、古ぼけたビル。そこでバスは止まった。
降ろされた母しぃたちは、そのビルの地下の一室に案内された。
「ソレニシテモ、サップウケイネ・・・」
「ハヤクシナサイ!!ハヤクシナイト ヒドイワヨ!!」
「関係者や当事者たちをすぐここへ連れてきます。賠償問題や示談も、ここで行います。
ちゃんとこの部屋で、待っていて下さい。わかりましたね?」
 園長は出て行った。彼は、その先で待っていた元職員に声をかける。
「おい、頼むぞ」
「わかりました。二日ほど放置でいいんですよね」
 元職員の男は、園長がさっきまでいた部屋のドアに、鍵をかけた。
そして、とある一室へと向かう。その部屋には何人かの元職員と元園長がいた。
「準備、終わりました」
「ご苦労。さーて、じっくり見物させてもらうぞ」
「母しぃは計五匹、うち一匹は妊娠していますね・・・出産が近いようです」
「どんな結末が待っているか、楽しみだぜ」
 笑みを浮かべながら、彼らはモニターを覗く。モニターには、
しぃが案内された部屋の内部の風景が映し出されていた。隠しカメラの映像である。

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 元から糞虫ぃの成虫を生かしておくつもりは無かった。
 しぃに存在価値は無かったからである。
 先に糞虫ぃの幼虫が地獄へと旅立っていったんだ・・・
 今度は糞虫ぃの成虫が地獄に旅立つ番だったんだよ。

                           元「ベビしぃ園」 職員  ▽野 ◇太

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123 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/27(月) 22:22 [ ujFv7wvg ]
>>119-120の続きです

「オソイネ・・・」
「ナニシテルノカシラ・・・シィチャンタチヲナンダト・・・」
「ソレヨリモ ウマレテクル ベビノタメニ エイヨウ トラナイト・・・」
 日が完全に暮れ、夜になっていた。園長が戻ってこないのだから、無理は無かったが、
母しぃたちは愚痴をもらし始めた。そして、一匹のしぃが立ち上がった。
「モウ カエル!!イクラナンデモ オソスギルヨ!!」
 他のしぃも、その声に同調した。
「ソウダネ・・・モウカエロウカ」
「サンセイ!!ワタシモカエロ!!」
 一匹のしぃがドアノブに手をかけた。が、次の瞬間、恐るべき現状に気付いた。
「ジョウダンデショ!?カギガ・・・カカッテル!!」
「マサカ・・・トジコメラレタノ!?」
「ホ、ホントニ アカナイヨーーー!」
 しぃたちは狼狽した。そこへ、さらに渇きと空腹とが追い討ちをかける。
「オナカスイタ・・・ベビノタメニ タベナイトイケナイノニ・・・」
「ワタシ ダッテ・・・タベモノカ ノミモノ・・・ナニカナイ?」
「・・・アルワケナイデショ」
「ダレカ・・・ナントカシテ」
 しかしもちろん、そんな要求が通じるはずは無い。一方、隠しカメラが提供する映像と、
隠しマイクが拾い続ける音声とは、元職員と園長に惨忍な期待を与えていた。
「相当堪えているようだな」
「ま、もう少しの辛抱ってところか」
「明日にゃーもっといい物が見られるかモナー」
 かくして、その日は終わった。母しぃたちは渇きと空腹の中で、眠りに落ちていった。


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 現実の総てを受け入れられるほど、しぃが賢くない事はわかっていたさ。
 第一、ベビたちに親虫ぃがやってきたのは何なんだよ?
 躾?愛情による教育?これは過保護という名の虐待じゃないのか?
 何が母しぃだ!!ガキを散々甘やかした挙句に、俺たちに全責任を押しつけるなんて!!

                      元「ベビしぃ園」職員  ▲島 ○郎

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124 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/27(月) 23:04 [ ujFv7wvg ]
 翌朝。地下室では、五匹の母しぃたちは、焦燥した表情を浮かべていた。
「ダンドリワルイワネ・・・オナカスイタヨ・・・」
「ナントカナラナイノ?ドウニカシナサイ クソエンチョウ!!」
 だが、変化は無かった。やがて、地下室であるにもかかわらず、室内の温度は上がっていった。
ムワッとした熱気が部屋全体に篭もっていく。それに比例して、黴臭い匂いも充満した。
さらに、コンクリートの床のひんやりとした感触が、消えうせていった。
だが、しぃたちにはどうすることもできなかった。
 そして、昼過ぎになって・・・変化が訪れた。
「シィ・・・ベビガ・・・ウマレル・・・」
「コンナトコロデ!?タイヘン!!」
 妊娠していた母しぃの陣痛が始まったのである。
「ウマレタ!デテキタヨ!!」
「マダデテクルヨ?」
「2ヒキメ・・・3ヒキメ・・・」
 次々にベビを出産していく母しぃ。そして・・・六匹のベビを出産して、出産は終わった。
「ケッキョク・・・6ピキモ・・・・ウマレタンダネ・・・6ピキモネ・・・」
「ヨカッタ・・・カワイイベビガ6ピキモ・・・」
 その出産の喜びも、すぐに否定される事になってしまうのだが。
「トコロデ・・・オナカスカナイ?オナカスイタヨネ・・・」
「ウマレタテノベビッテ・・・オニクガ・・・ヤワラカクテ・・・オイシソウダネ・・・」
「マ・・・マサカミンナ・・・!?」
 そのまさかだった。四匹の母しぃは、生まれたばかりのベビしぃを一匹づつ手に取った。
そして、いきなりベビにかぶりついたのである!!
「イタダキマス!!」
「ゴメンネ・・・デモタベナキャ・・・」
「オイシイネ コリコリシテ!」
「ソンナーーー!!!ワタシノベビチャンガーーー!!!」
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 悪夢のような出産を終えたしぃ達が、自らの手で汚物処理をしている・・・。
 この時の状況とその後の展開とを、
 ‘かなりの’という言葉を使って説明するなら、こうなるだろう。
 ‘馬鹿には馬鹿なりの最期が待っていた’と・・・。
  

                  元「ベビしぃ園」 職員  ○山 ×男

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128 名前:(;´∀`)さん 投稿日:2004/10/01(金) 00:12 [ t.RbK7XQ ]
>>123-124の続きです

 みるみるうちにしぃの口は、ベビの血に染まって言った。
まるで、高級食材を口にするかのごとく、満足そうな笑みを浮かべながら、
ベビを食べていく四匹のしぃ。出産を終えたばかりの母しぃの懇願は、
もはや四匹のしぃには届いていなかった。
「モウヤメテ!!ワタシノカワイイ ベビチャンヲ タベルノハヤメテーーー!!!」
「・・・ウマ-(゚Д゚)-!!」
「モウ、ヤメラレナイネ、コノショッカンガ」
 一方、モニターを見ていた元職員たちは、冷めた反応を示していた。
「やはりな・・・」
「所詮は他のしぃの産んだガキだ・・・どうでもよかったようだね・・・
そうでなきゃ食ったりなんかしねぇって」
「いや、自分のベビを虐待死させてしまうしぃも少なくないそうだ。
産んだあいつも内心では食いたがっているかのも知れないよ。自分のガキをさ」
 モニターの向こう側の、しぃ以外に何も無い部屋では、四匹のベビの命がこの世から消え去っていた。
ベビしぃの肉はとても柔らかく、しぃの口の中でとろけるように消化されたのである。
そして、後には骨すらも残らなかった。噛み砕けるほどに骨が柔らかかった事と、
しぃの空腹が既に極限に達していた事が、しぃに骨ごとベビを食わせる結果を招いた。
「ゴチソウサマデシタ。・・・ヒトイキツイタワ」
「ハ・・・ハニャ~ン ワタシノベビチャン・・・カ~ワイイベビチャン♪」
「シィノカザカミニモ オケナイネ・・・コレクライデ ハッキョウスルナンテ」
「ホント、ダメナコネ」
「ハニャ~ン ハニャ~ン♪ ハニャ~ン ニャンニャン♪」
 出産した母しぃは発狂していた。が、この事はこれから起こる惨劇の、予兆でしかなかったのである。
他のしぃはと言うと、残った二匹のベビしぃに目を向けていた。口からはよだれを垂らしている。
「全く、食べちゃったものは仕方ないよね」
「あいつらのメシはあれで充分なんだろうけどさ」
「早く残りのベビも食っちまいなって」
元職員たちは笑いながらモニターを見詰めていた。次なる惨劇の期待に胸を膨らませながら・・・。

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 しぃはいずれは絶滅する運命にある。
 あんな事が平気なツラしてやれるんだからな・・・。
 俺たちの手でいつか絶滅させなきゃいけないよなぁ・・・。

                      元「ベビしぃ園」職員  ×田 □助

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129 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/10/01(金) 01:06 [ t.RbK7XQ ]
「ジャア・・・ノコリノベビモ・・・イタダイテモイイワネ」
「ハンブンヅツネ、ナカヨクワケマショウ」
「デハ エンリョナク イタダキネ♪」
 一匹のしぃが、ベビしぃを一匹手に取った。そして、縦半分に真っ二つになるように、
一気に引きちぎったのである。血が飛び散り、流出していく。
「ハイ、コレデ ハンブンコ♪」
 その瞬間であった!
「シャァァァァ!」
 母しぃが我が子を引きちぎったしぃの頭に飛びかかった。そして、一気に頭を噛み砕いていく。
おびただしい血が川の流れのように流出した。そして、噛み付かれたしぃは、その場で絶命した。
「ガフッ!フシュルルルゥゥゥ!!」
 母しぃは、さらに残り三匹のしぃに襲いかかる。
「バカだこいつら・・・逃げようにもドアには鍵がかかってるんだぜ」
「第一、開けろと言われて開けるバカはいねぇよ。俺たちにも危害が及ぶからよぉ」
「こりゃ予想以上に楽しめそうだぞ。思いっきり楽しませてもらうぜ――!!」
 モニターを前に、元職員たちは歓喜の声をあげた。室内で助けを求める母しぃたちの姿は、
もはや元職員たちにとっては、最高のエンターテインメント以外の何物でもなかった。
「アケナサイ!!ハヤクアケナサイヨ!!カワイイシィチャンガ ピンチナノヨ!!」
「ソ・・・ソウヨ!!ハヤク ニゲナイト・・・」
「オイッ クソエンチョウ!!イナイノ!?・・・ハヤクアケテ――!!」
「シィィィィィィィー!!!コナイデェェェェェェ――!!!!!」
 他のしぃに次々と襲いかかる母しぃ。爪が皮膚を切り裂き、牙が喉元に食い込む。
さらに四肢が引きちぎられ、内臓が大量の血とともに飛び出していく。
三匹のしぃは、肉塊へと変貌していった。
「ガブッ!バリッバリッ・・・ガッツガツガツ・・・」
「キジィィィィッ!!!ウギィィィィッ!!!」
 隠しマイクの提供する音声も、室内の惨劇がどれ程の物なのかを、表していた。
やがて、モニターの部屋では、元職員たちと元園長の奇怪な笑い声が起こった。
「ア―――ッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ・・・・」
「アッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ・・・・」
 彼らの奇怪な笑いは、室内に充満していく。その笑顔は、悪魔とも神とも言えない・・・、
そう、悪魔と神とを足して二で割ったような笑顔になっていた。
それは、かつてあの海岸で八匹のベビしぃを焼き殺した時と全く同じ笑顔だったのである。

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  もう少し我々に母しぃどもは感謝するべきだ。
  これであのベビたちの待つ、地獄に行けたんだからな。 

                      元「ベビしぃ園」 職員  △川 ■一

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*今回はここまでです、続きはまた後日、投稿致します。
 尚、>>128では、他のスレで使っているH.N.を使ってしまいました・・・
 スマソ。

130 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/10/01(金) 19:51 [ t.RbK7XQ ]
>>128-129の続きです

 何時間、経ったのであろうか。元職員たちと元園長の奇怪な笑い声も、
母しぃたちの悲鳴も完全に消え失せていた。やがて、モニターの部屋から、
元職員たちと元園長が出てきた。彼らはガソリンの入ったポリタンクを手にしている。
そして、件の部屋の前で足を止めた。
「よーし、鍵を開けてくれ」
「もう大丈夫ですよね」
 鍵をはずし、ドアを開け、室内に入っていく。室内はもう、まともな環境とは言えなかった。
しぃの四肢、内臓、皮膚、血管、頭、骨。これらが散乱し、混ざり合っていた。
「こりゃひでぇ」
「おい、まだ糞虫ぃの成虫は一匹御健在だぞ」
「幼虫もいるよ。ほら、あそこに・・・」
 確かに向こう側には、一匹の母しぃがいた。その手には、唯一生き残ったベビしぃが握り締められていた。
そのベビしぃも衰弱しているせいか、弱々しく鳴いていた。
「アニャ? ベビチャン オネムナノ?オカアサンガ オウタ ウッタテゲルカラ・・・グッスリオヤスミ・・・ベビチャン・・・」
 母しぃは子守唄を歌い始めた。調子っ外れで音階もリズムも糞も無かったが、
母の愛の子守唄である事だけは、確かだった。が、元職員たちはそれを否定する。
「ひでぇ歌だ。子守唄のつもりかよ」
「俺には鎮魂歌にも聞こえるがな。とにかくとっとと終わらせよう」
 元園長は拳銃を取り出した。そして照準を母しぃの心臓に合わせた。
銃声とともに、弾丸は母しぃの心臓を貫通した。
「ハニャ~ン・・・ニャ~ン・・・?シ・・・シィノ カ・・・ワイ・・・イ・・・ベ・・・ベビチャ・・・」
 鈍い音とともに、母しぃの体は崩れ落ちる。そして、そのまま、しぃは息絶えた・・・。
元園長はベビしぃを、死体の手の中から引き剥がした。そして、そのままベビしぃを地面に叩きつけようとした。
「こいつも・・・地獄に送ってやる」
 元職員の一人がそれを制止した。
「俺に考えがあります。このベビしぃ、生かしておきましょう」
「なぜだ?生かしておく価値など、しぃには無いはずだぞ。
それに君は『しぃ根絶・撲滅連合会』のメンバーではないか」

131 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/10/02(土) 00:17 [ SpLe1vQM ]
「貴様・・・それでも正気か!?」
「『しぃ根絶・撲滅連合会』の今後のためにやるのか?無駄な試みだぞ、どう考えてもよ」
 彼は説明した。
「ベビしぃの時に、まともな教育を叩き込むんですよ。そうすれば、ダッコをしぃは強要しなくなるはずです。
ダッコがマターリの象徴ではなく、百害あって一利無しだという事実を教え込むんです」
「うまくいくという保証は無いんだ。危険すぎやしないか」
「確かにリスクは高い。が、これは、いずれはやらねばならない事です。
我々人間の為にも、そして、奴らしぃの為にもね」
「教育がうまくいけば、全角で話せるようになるかモナー」
「しぃがベビしぃを育てると、非常に高い確率で死亡する。が、
これは、ベビしぃの生命力が低いと言うことではなく、親虫ぃが育てるベビの生存率
そのものが低いと言うことになる。最大の原因は、親虫ぃからの虐待か」
「交尾の強要も、ベビへの虐待も根絶できるぞ。しぃと人類との共存も可能か!」
「ダッコや交尾よりもやっかいなのは、ちびしぃの妄想癖と虚言癖ですよ。
‘フッカツシテクダサイ’だの‘httpレーザ ハッシャー’だのって・・・耳障りにも程があります」
「総ては教育次第ってこったな」
 最後に彼はこう切り出す。
「私が全責任を持ちます。これで失敗するようなら、私を即刻除名して頂きたい」
「ならば好きにしろ。後は総て、君に任せるよ」
 そう言うと、元園長はベビしぃを、その元職員に手渡した。
「さて・・・後はこの部屋の後始末だけだな」
 元園長はタバコに火をつけた。
「気をつけてください!本来なら火気厳禁ですよ。ガソリンがあるんですから!!」
 元園長に注意してすぐに、部屋中に元職員たちはガソリンをまいていった。
血液がガソリンと混ざり合い、ますます変な臭いを生み出していった。
「さらばだ・・・」
 元園長は火のついたタバコを、投げ捨てた。次の瞬間、真っ赤な炎が部屋中を包み込んだ。
やがて、数分も経たないうちに、ビル全体が炎に飲み込まれていった。
「アッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ・・・・」
「ア―――ッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ・・・・」
 元職員たちと元園長はビルを眺めていた。そのビルは、というと炎に包み込まれて、どんどん燃え盛っていく。
再びあの奇怪な笑いがこだまする。彼らは笑いながら、完全勝利の味を噛み締めていた。
これこそまさしく、『しぃ根絶・撲滅連合会』の勝利の瞬間であった。

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 そのビルに火がつくと、俺たちはその場から離れていった。
 元々廃ビルだったから、別に燃やしてもよかったんだがね。
 俺たちの勝利をたたえる「花火大会」そのものだったよ、あの火事は。

                      元「ベビしぃ園」職員  ▲島 ○郎

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132 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/10/02(土) 00:54 [ SpLe1vQM ]
 翌日、警察が、火事の現場検証を行った。が、捜査はすぐに打ち切られた。
‘しぃの無理心中による集団自殺’‘焼身自殺による延焼’
これが警察の導き出した結論であった。警察は、アフォなしぃの集団が、
ダッコや交尾を拒絶されたために焼身自殺した、と決め付けロクな捜査もしなかった。
そして、各新聞も各放送局も、この火事を大きく取り上げるような事はしなかった。
取り上げたとしても、その内容はしぃの存在自体を責めるものばかりだったのである。
もちろん、『しぃ根絶・撲滅連合会』なる団体も『ベビしぃ園』なる施設も、
その名があがるような事は無かった。
そして、たちまち事件の記憶は風化していく・・・。

 それから数年後。そのしぃの親子は、目の前の風景を見たとたん、愕然とした。
いつものように親子でベビしぃ園の門の前までやって来たしぃの目に飛び込んできた物は、
一枚の張り紙と、全ての荷物が消えた、もぬけの殻の園内だった。張り紙の内容は以下の通りである。
〔先月末をもちまして、ベビしぃ園は閉鎖しました。なお、今後の業務は、
 しぃ総合教育センターにて引き続き行います。是非お問い合わせ下さい。〕
 帰宅してすぐに、母しぃは電話をかけた。すぐに係が応対に出た。
「はい、しぃ総合教育センターです。ええ。お子さんですね。はい、大丈夫ですよ。
ええ。それでは、お待ちしています。」
 親子はすぐに、しぃ総合教育センターへと向かった。

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 あの時、魔がさしてしまったのは確かだ。
 だが、ただの偶然に救われる事になるとは思ってもみなかったよ。

                           元「ベビしぃ園」 職員  ◎井 ●樹

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136 名前:名無しさん 投稿日:2004/10/02(土) 22:07 [ SpLe1vQM ]
*>>130-132の続きです

 都会の真ん中にその施設はあった。斬新なデザインの建物、最新鋭の教育設備。
これがベビしぃの為の新たなる教育施設、しぃ総合教育センターであった。
その体育館の中では、入学式が行われていた。そこに集められたベビしぃたちは、二百匹はいるだろうか。
白いセーラー服タイプのワンピースに、エンジ色のリボンがトレードマークの制服を着て、
セーラーカラーのラインは、一本の灰色。胸元には、しぃのニコニコ顔のピンバッヂが飾られている。
母しぃたちも、笑みを浮かべながら、我が子の晴れ姿を見守っていた。
「それでは、所長の御挨拶です」
 館内にアナウンスが響く。そして・・・壇上には一匹のしぃが現れた。
そのしぃは、ゆっくりと話し始めた。それも、しぃらしくない話し方・・・全角で。
「皆様、御入学おめでとうございます。私が所長です。さて、皆様には、一つだけ約束して欲しい事があります。
それは、いかなることがあっても、『ダッコ』の存在を認めない、という事です」
 館内がざわめいた。ダッコの否定を所長のしぃが切り出したからに他ならなかった。
所長も、同じしぃのはずなのに・・・。
「ダッコはマターリの象徴ではありません。究極の公害です。百害あって一利無しなのです。
大体、マターリという物自体、この世には存在しません。ダッコはこれからのしぃには、
あってはならない物なのです」
「アンタモ オナジシィデショ?ナニヲワカラナイコト イッテンノヨ!」
 母しぃたちが騒ぎ出した。が、所長は続ける。
「しぃはこれまで、交尾の強要や、ダッコによる脅迫を平気で行ってきました。
これではしぃが虐殺対象になっても、おかしくはありません。まして、オニーニを
平気で虐殺したり、我が子を平気で虐待する事も朝飯前、というのは許されないはずです」
「オニーニ!?オニクノマチガイジャ ナイノ?モトモトオニーニハショクヨウジャナイ!!」
「オニーニを虐殺した後、その死体を食べるのなら、まだ許せます。が、
虐殺した後、その死体は放置、というのは明らかに問題になります。
しかも、ウンチサン大好きで、とにかく食べまくり、というのはもっと許されません。
それ以上に許しがたいのは、でぃやびぃへの虐殺行為です。
でぃもびぃも元々は、我々と同じしぃだったはずです」
「アノネェ!!ディモビィモコロサレテトウゼンヨ!!」

137 名前:名無しさん 投稿日:2004/10/03(日) 18:01 [ IM.q0K8c ]
 母しぃの怒号が飛ぶ。が、所長は一歩も引こうとはしなかった。
「そうでしょうか?ならばリハビリセンターがここ最近増えてきているのは、
どう説明なさるおつもりです?もしや・・・あれは税金の無駄使いだとでも?」
「ソノトオリヨ!!!」
「ヤツラハ 『ディ』!! バッチイ 『ディ』!! オバカナ 『ディ』!!
男ナンテ 誰ヒトリ フリムキャシナイ、ヒガシニ逝クシカ 能ノ無イ ボロ猫『ディ』!!
現実ヲ 見ナサイ、所長!! ドンナニ ディガ ガンバッタッテ、
私タチノヨウナ 人気者『シィチャン』ニナンカ 絶対ナレナイノヨ!!」
「その考えが、世間に我々を糞虫ぃとして認識させているのです。
でぃのリハビリが全くの無意味なら・・・しぃはとっくに滅ぼされていますよ」
 やがて、一匹のベビしぃがこのやり取りに耐えられなくなったのか、ぐずり始めた。
母しぃがすぐにそのベビをダッコした。
「イヤァァァ! イヤァァァァ! ナッコ ナッコォォォ!」
「ホラ・・・泣カナイデ ベビチャン!スグダッコシテアゲル!」
「だからダッコはやめなさいって!!」
「アンタニハ ワカラナイワヨ。シィチャンヲ ダッコシナイヤシハ 虐殺厨ナンダカラネ!!」
「ソウヨソウヨ!!アッチイッチャエ!ギャクサツチュウ!!」
 館内にいた職員数人も呆れ顔でそのしぃの親子を眺めていた。やがて、一人の職員が呟いた。
「あいつら・・・さっき俺が応対に出た糞虫ぃ親子ではないか」
 他の職員もそれに反応する。
「今に奴も㌧でもねぇ事しでかすぞ。そうでなきゃここの所長は勤まらんがな」
 所長はそのとおりの行動に出た。母しぃの顔が青ざめた。
「ソレハ・・・エンフィールドMk.1!?ソレデ・・・脳天ニ 風穴 開ケルツモリ!?」
 そう・・・所長の手にはいつの間にか拳銃が握り締められていたのである。
銃口には、サイレンサーが取り付けられていた。
「次はこう言うおつもりですか?‘ダッコスルカラ 許シテェ!!’と・・・
だが、そんな事を言うから、しぃは虐殺されてきたのですよ。
大体、ダッコで総ては解決しません。それどころか、ダッコしなかった他の人を、
しぃが虐殺厨と決め込んで虐殺してきたのも、紛れも無い事実なのですよ」
「コイツコソ ギャクサツチュウダヨ!ギャクサツチュウ!オマエナンカ・・・シンジャエ!!」
 ベビしぃが罵声を所長に浴びせる。
その罵声に反応するかのごとく、銃口を所長はベビしぃに向けた。
「そう・・・私が虐殺厨・・・」
 次の瞬間、ベビしぃの頭がスイカが割れるかのごとく、吹き飛んだ。
「ベビチャーン!!」
 母しぃがいくら叫んでもその声は届かない。鈍い音ともにそのベビしぃはこの世を去った。
「シィィィィィィ!ベビチャン!ベビチャンガッ!ナンテコトヲ…!!コノギャクサツチュウ!アンタナンカシンジャエ!」
 その瞬間、母しぃの全身には穴ぼこチーズのごとく、何ヵ所も風穴が開けられた。

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 もうこんな事はやらないかって?そうですねぇ。
  ………………わかりませんよ。そんな未来の事。

                           元「ベビしぃ園」職員  ■口 ◆子

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138 名前:名無しさん 投稿日:2004/10/03(日) 18:30 [ IM.q0K8c ]
「グハァッ!・・・ダッゴォォォォォゥ・・・」
 大量の血を全身から噴き出しながら、母しぃは絶命した。
「チッ・・・もう死んだか」
 親子の死体を職員数人が、こうボヤキながら館外へと運び出した。
「いきなり初日で殺さないでくれよな」
「仕方あるまい。バカは死ななきゃ治らんさ。この糞虫ぃ親子こそ、バカの見本だぜ」
「ま、地獄で親子仲良く暮らしな」
 そう言って職員たちはつまらなそうにダストシュートのフタを開け、
しぃ親子の死体をその中に投げ入れた。死体はヒュウと吸い込まれていった。
ダストシュートは、大型のゴミ焼却炉へと直結していた。
「骨も拾わねぇよ」
 そういい残して、職員たちは館内へと戻る。しばらくして、
ダストシュートからは、ドサっと死体が落ちた音が聞こえて来た。
その館内は静まり返っていた。所長が演説を再開した。
「私の事を虐殺厨呼ばわりして下さっても、いっこうにかまいません。
ですが、ダッコを要求する事をやめなかったり、でぃやびぃを差別し続けるようなら、
私も容赦はしません。あの親子のように死ぬ事になっても、当センターは一切責任を負いません。
生き続けたかったら・・・、当センターの方針に従い、考えを改める事です。
そして、精一杯生きて下さい!!私からの挨拶は以上です!!」
 その後、大きな混乱もなく、入学式は終わった。

139 名前: ベビしぃ園 その後  最終回 投稿日:2004/10/03(日) 19:42 [ IM.q0K8c ]
「俺・・・もうここを辞めようかと思うんだ」
 入学式から半年が経過した、ある日の事。しぃ総合教育センターの職員室で、
職員の一人がこう切り出した。
「わかるぜ、その気持ち」
 他の職員も、次々に頷いた。窓の外には、腐敗し始めたベビしぃの死体が山積みにされていた。
死体の量が多すぎたために、ダストシュートが壊れてしまったのである。
これらの死体は、手作業で大型ゴミ焼却炉まで持っていって、投入せねばならないのである。
職員たちは、苦虫を潰したような顔をして、そのベビしぃの死体の山を見た。
「またさぁ、やっちゃうかもな」
「しぃはストレスの元…だもんな」
「いつか発散しなきゃいけないよなぁ」
「ま、もう少しの辛抱だ。糞虫ぃの幼虫はもう、半分以下になったからな」
 彼らは溜め息をついて自らの境遇を呪った。しぃ総合教育センターの新規オープンに伴い、
彼らは職業安定所の紹介を受け、『しぃ根絶・撲滅連合会』に就職した。
就職難の時代である以上、贅沢の言える身分ではなかったし、何よりも職が必要だった。
そして、しぃ総合教育センターの職員になった、というわけである。
 正常な人間なら当然の事だが、彼らは「しぃそのもの」が気に食わなかった。
何でもダッコすれば済むと思ってる所とか、他者に迷惑をかけても平気で笑っていられる所とか、
一言では言い表わせないほどの「嫌悪感」を、彼らはしぃに対して抱いていた。
 にもかかわらず、しぃ総合教育センターの職員になったのは、
担当の『しぃ根絶・撲滅連合会』の幹部が漏らした、“給料を倍にするよ”の一言だった。
要するに一言で言うならば、彼らは“金に釣られた”のである。
「あの所長を育てた奴、クビになるどころか出世しやがったんだよな」
「ああ、今じゃ『しぃ根絶・撲滅連合会』の会長だぜ。そして、ここの所長は会長のお気に入りさ」
 会長が最初のベビしぃ園の元職員だった時に、あのビルから運び出された、
生まれたばかりの一匹のベビしぃ。そのベビしぃに会長は徹底した教育を叩き込んだ。
ダッコの否定、オニーニやでぃやびぃの保護、虐殺厨の意味、全角での会話法。
かくして、そのベビしぃはしぃ総合教育センター所長へと成長したのである。
「生き残った奴らが最近、全角でしゃべるようになったのは、せめてもの救いだな」
「ベビしぃのナッコナッコという声、これも聞こえなくなったしな」
「最初のベビしぃ園の教訓は生きていたって事かねぇ。ま、これも他の職員から聞いただけだが」
 確かにもう、あの事件を知る者は、『しぃ根絶・撲滅連合会』の古参幹部を除いて誰もいなかった。
「辞めさせてもらうぜ」
「ああ、そうしな」
 彼の心に、一つの希望が生まれた。

 翌朝。彼はようやくこれでおしまいだという、晴れやかな気持ちでいっぱいだった。
軽い足取りで出勤する彼のカバンには、辞表が入っている。
「後は奴らに任せるか。しぃがストレスの元じゃなくなる日も、そう遠くは無いはずだぜ」
この辞表さえ出せば、ストレスが溜まりまくるベビしぃの顔をもう見なくても済む。
そう考えると、彼の顔は次第ににやけてくるのだった。

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 もう、「ベビしぃ園」の役目は終わった。
 そしてもう、「ベビしぃ園」の悲劇が再び起こる事もまた無いだろう。

                        「しぃ根絶・撲滅連合会」会長   ☆岡 @太郎

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                               <完>

この小説の元となった別作者による前編作品
ベビ虐4-前:小説版
ベビ虐4-後:小説版
ベビしぃ園:AA版

関連:しぃの子供たち (8):>>120~130のくだりが類似している