擬古田薬品 (4)

Last-modified: 2021-08-12 (木) 16:37:34

前回:擬古田薬品 (3)

618 名前: 23・連絡帳 投稿日: 2004/03/30(火) 22:48 [ z9dvf3ng ]

前日と同じ時間にちびは、目を覚ます。身支度をし、食堂へ向かい朝食をとった。
ゆっくり食休みをとると、いい時間になったため、会議室に向かった。
10分ほどすると、筆記用具を持ったモナーが現れた。
「やあ、ちびちゃんおはよう。よく眠れた?」 ちびはうなずいた。

「今日はね、昨日言ってた観察日記(連絡帳)のつけ方。とりあえず、鉛筆持ってきてみたんだ。
これに、ちびちゃんがベビを売っていた公園の名前、書いてみてくれる?」
モナーはレポート用紙一冊をちびに渡す。ちびはモナーから渡されたレポート用紙に
公園の名前を書いてみた。

( ○×公園 )

少々筆圧が強かったらしい。
「ありゃ、下敷きが必要かな? そんなに力を入れなくても書けるから大丈夫だよ。
ちょっと待っててね。」モナーは出て行ってしまった。
3分ぐらい後に、モナーが下敷きを持って戻ってきた。彼は、下敷きをちびに渡し、
「さっきのページの下に敷いて、もう一度、公園の名前を書いてみてごらん。」
ちびは、言われたとおりに下敷きを敷き、また書いてみた。

( ○×公園 ) ( ○×公園 )

「あ、滑らかな感じ。」
今度は大丈夫だったようだ。
「よし、これで大丈夫だな。」モナーは、微笑みながら言う。
次に、観察日記の書式についてをホワイトボードに書き始めた。


○月 ×日    (薬を渡した相手)  (薬を渡して何日目か)

(渡した相手の様子)  相手はどんなことを言っていたか
ちびちゃんはどう思ったか 質問など

(欲しい物があったら書いてください)


「?????」
怪訝そうな顔のちびにモナーは説明を始める。

「まず、ちびちゃんが言っていた(テスト)の話なんだけどね。まず、しぃに0・5gのヘロインを渡して欲しいんだ。
ちびしぃと、ちびギコとかは、量を減らせばすむことだからさ。薬の量って、体重で決まる所があるから。
しぃに渡す量が大体わかれば、ちびしぃとかの量もこっちが把握できるからさぁ。」

ちびがうなずくと、彼は続けて
「それで、金裏銀児のやり方ね。生阿片のタバコ作ったでしょ?たとえばこれをタバコとするじゃない?」
モナーはホワイトボードに書き込むのに使っていた細字のサインペンにふたをして、キャップの部分をタバコのフィルター部分に見立てて、説明を続ける。
「このふたの部分が、口で吸う部分。タバコでいうフィルターってやつだと思ってね。
で、底の部分が、火をつける部分だとするでしょ?
ここに、ヘロインをつけて、火をつけて吸うんだって説明するんだ。」
「なんか、縁日で売ってるパイプみたいですねぇ。なんだっけ?えーと…」
「ハッカパイプ?ちびちゃん。うまいたとえだね。」
モナーが笑うとちびも思わずつられて微笑んだ。

「続けて、日記の書き方の説明をしていいかな?
まずね、日にちは忘れずに書いてね。もう一度言うけど、薬を渡す相手はしぃだよ?
それから、(薬を渡してから何日目か)の欄は、薬を渡した日の次の日を1日目にしてね。」

日記の説明をしながら、モナーはホワイトボードの ( 薬を渡した相手 )の欄を
( しぃ )と書き替えた。
「じゃあ、薬を渡した日は、そこの欄は (薬を渡して0日目)でいいですか?
ちびの質問にモナーは、「それでもいいよ。」とうなずいた。

「つぎは、(しぃの様子)の所ね。ちびちゃんが見たしぃの様子とか、しぃが言ってたこととか、
細かく書いてね。しぃの言った言葉は全角でも半角でもいいや。後は、質問とかも書いてくれる?
答えられる限り答えるからね。
それから、(欲しい物があったら書いてください)は
鉛筆とか消しゴムが小さくなったら、ここに、鉛筆下さいとか消しゴム下さいとか
書いてくれれば、擬古矢に持たせるから。」
「わかりました。がんばります。」
「よろしくね。」
時計を見ると、AM10:00を指していた。
「食堂で10:00のおやつを食べておいで。擬古矢に研修費を持たせてそっちに行かせるからね。
彼が送っていってくれるから、車に乗って帰りなさい。」
モナーの言葉にちびはうなずいた。

食堂で、チョコパフェを食べていると、擬古矢が現れた。
慌てた表情のちびに、「ゆっくり食べなさい。」と擬古矢は話し掛ける。
12~3分後、おやつを平らげたちびに、擬古矢は封筒を渡した。
「これ、研修費だよ。どうぞ。」
「ありがとう。」
ちびが礼を言うと、彼は、
「モナーがね、時間が足りなくて、言えなかったことがあったんだって。
車の中で話すね。」
ちびはうなずき、2人で車に向かって食堂の席を立った。

619 名前: 24・帰りの車中で 投稿日: 2004/03/30(火) 22:49 [ z9dvf3ng ]
二人は車に乗り込み、擬古矢が車のエンジンをかける。
車を運転しながら、擬古矢がちびに話を始めた。エンジンをかけて、15分ほど車を走らせた頃である。

「モナーが言えなかった事なんだけど…・・
麻薬の免許のことなんだ。タバコや筆記用具と一緒に渡すって。」

「免許?」

「そう。免許を持っている人しか麻薬は扱えないんだよ。
でね、モナーとギコが、ちびちゃんの免許の申請をしてたんだ。
それが、阿片のタバコが乾く頃に来るらしいんで、筆記用具やタバコ、ヘロインと一緒に渡すって。」

「どうやって使ったらいいんだろ…・・」
ちびが呟く。

「タイ━━━━||Φ|(|´|Д|`|)|Φ||━━━━ホ!! されないお守りだと思えばいいよ。
警察に見せれば、もしつかまっても、無罪放免ってこと。心配しなくていいよ。
じゃ、モナーの件は伝えたからね。」

「あのときに一緒に伝えてくれたらよかったのに、
何で、モナーさんは伝えてくれなかったの?」
ちびが少々非難めいたことを口にすると、擬古矢は弁解っぽい説明をした。

「ちびちゃん。研修の件で会議を持ったときに、具体的なスケジュールも
決めてたんだよ。で、10:00には予定をすべて消化しなければならなかったんだ。
日記について、結構細かい所まで指示をしてたんで、時間が足りなくなったのかもしれないよ。」

「そうですか…・・モナーさんには内緒にしてくれませんか?」
赤面しながら、ちびが擬古矢に頼むと、擬古矢は笑いながらうなずいた。

擬古矢は続けて日記や、(薬物中毒ではない)しぃやちびギコについての、説明を始めた。
ちびがこれから集めてくる、被験者についての話である。

「そうそう、日記の件だけどさ。交換日記形式を取ろうってことになったよ。
僕が日記を渡した日の次の日から、薬をしぃに渡してくれたらいいや。
それから、薬物中毒ではない、しぃとかちびギコとかだけど、
3日ごとに、収集担当の者が公園に行くから、彼らに引き渡してくれる?
彼らにお金の件も話してあるので、バイト代は彼らからもらってね。
収集担当の者が最初に行くのは、今回は、明日を1日目と数えて4日後、後は3日ごとだ。」

「はい。わかりました。」

しばらく、世間話をしながら30分ほど車を走らせると、公園に着いた。
「じゃあ、5日あとのお昼までに、収集担当の者がここの公園に来るからね。
それまでに、できるだけ被験者を集めておいてね。」

車を止めた擬古矢がちびに、念を押す。ちびがうなずくと、擬古矢は
「今度来るときは、麻薬や日記を持ってくるからね。それまで、さよなら。」
「擬古矢さん、送ってくれてどうもありがとうございました。また会いましょう。」
ちびは車から降り、擬古矢に挨拶をする。擬古矢の車が消えるまで、公園でちびは
見送っていた。

620 名前: 25・漁 投稿日: 2004/03/30(火) 22:51 [ z9dvf3ng ]
次の日の朝から、早速ちびは獲物を物色し始めた。
物色と言うよりは、向こうから勝手に近づいてくるという表現のほうが正しいのかもしれない。
何しろちびは、*が無いのである。 アフォしぃと言われる連中が放っておくわけがない。
昼近くにすれ違った妊娠しぃに、ちびはいきなりこんな言葉を投げかけられた。
「キケイガ マチナンカ アルイテルンジャナイワヨ ! ベビチャンノ タイキョウニワルイジャナイノ ! 」
ちびは、妊娠しぃの腹を蹴り上げたい衝動に駆られたが、お金を頭に思い浮かべて、ぐっと我慢した。
代わりにこんなセールストークで、妊娠しぃの心をつかもうとしていた。

「あ、お腹にベビちゃんがいらっしゃるんですか?ベビちゃんのためにも、ママのためにも
い~い お話があるんだけどなぁ~???そんなことを言われたんじゃ、教えるの止めようかなぁ。」
つかみはOK、という某3人組のギャグではないが、妊娠しぃは食いついてきた。
「エ? ハヤク オシエナサイヨ!!! ギコクンノイバショ? ナンナノ? ナンナノヨ? ハヤク イイナサイ!!!!」

「擬古田薬品で、サプリメントのモニターを探してるそうなんです。
妊娠中の栄養補給、そして出産後のダイエット補助のサプリらしいんですよ。
出産のための病院や、ベビちゃんの保育園なんかも完備されてるんです。それらが、
なんとタダなんですよ!!!!
タダで、赤ちゃんが産めて、それに後のダイエットまで、面倒見てもらえるって、
お得だと思いませんか?それと、退院前のしぃちゃんたちに会ってきたんですが、
みんな美しかったです。( コレデ ギコクンノ シセンハ シィチャンニ クギヅケ! )なんて言ってたんですよ。」

ちびの嘘話に妊娠しぃは目を輝かせた。「ドウスレバ モニターニ ナレルノ ?」
この母親はすっかりその気になってちびにたずねる。
その言葉にちびは待ってましたとばかりに説明を始めた。
「4日後の必ずお昼までの間に、○×公園に来てください。お迎えが来ることになっています。」

「オトモダチモ ツレテイッテモ イイノ ?」
「どうぞ、お友達にも教えてあげてくださいね。」
「4カゴノ オヒルマデニ ○×コウエンネ。 ワカッタワ。 オシエテクレテ アリガトウ バイバーイ」
「さようなら。」

妊娠しぃと別れ、彼女の背中を見ながらちびは1人、呟いた。
「生まれてくるベビの目玉、 二つあると いいわね。」

621 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/03/30(火) 22:51 [ z9dvf3ng ]
お昼過ぎ、彼女はコンビニに向かい、シュークリームとカフェ・オレを買った。
ピクニック気分を味わいたくて、少々歩くと、空き地を見つけた。土管が無造作に3本置いてある。
彼女は、1本の土管の上に座り、シュークリームの袋を破った。
「アレに寄生されるのかしら?」
ちびは、コンビニで買ったシュークリームを、空き地の土管の上でぱくつきながら1人で呟いた。
そういえば、少々母は、太ったような気がする……・・
(母親だけではなく、ベビにまで寄生されるのかしら?)
ちびの頭の中にふと、不吉な考えがよぎったが、頭の中に浮かんだレモナの笑顔が
彼女の不安を吹き飛ばした。
「アレが増やした寄生虫はレモナさんに駆除してもらえばいいか。」
ちびはカフェ・オレを飲みながら呟いた。

食休みを取ってから、ちびは、土管から飛び降り、シュークリームとカフェ・オレを買ったコンビニに向った。コンビニの前のゴミ箱にカフェ・オレの空きパックと、シュークリームの
空き袋を捨てると、またあてどなく歩き始めた。しばらく歩くと、今度はちびギコに罵声を浴びせられる。

「ちびしぃちゃんとは セクースはしたいデチが キケイの ちびしぃちゃんは 勘弁して欲しいデチネ。
お昼を食べ終えて マターリしてたときに 嫌な物を 見たデチ」

ちびはキレかかったが、またお金を頭に思い浮かべた。すかさず、このちびギコにも
勧誘を開始した。

「ひ・ど・い・なぁ せっかく*のあるちびしぃちゃんが あんなことやこんなことをしてくれる所を
教えてあげようと思ったのに。」

とたんにちびギコの様子が変わった。とたんにちびに対し、媚び始めたのである。
「もうキケイだなんて言わないデチよ。 ユルチテクダチャイ だから、ちびしぃちゃんが、
アンナコトやコンナコトしてくれる場所を教えて欲しいデチ。」 なんと、揉み手まで始めているではないか。
これは、すぐにのりそうだと思ったちびは、セールストークを開始した。

「お迎えの車が連れていってくれる所はね、ちびしぃちゃんとしぃちゃんがたくさんいるのよ。
そこにいた、君みたいなちびギコ達はね、なぜかすっきりした表情の子がいたり、ほっぺがつやつやしていた子がいたり、
あとねぇ、目の下にクマを作ってげっそりしてた子もいた。でも、みんな微笑んでたわよ。満足感って感じ?」

ちびギコの表情から、期待感を感じ取ったちびは、さらに嘘で固めたセールストークを続ける。

「でね、そこでは、薬やおもちゃが使い放題!!!薬をちびしぃちゃんに使って、あんなこともできるし、
おもちゃで、こんなことをちびしぃちゃんにして…・… むふふふふ。熟女好きのちびギコ君には、
しぃちゃんがリードしてくれて、あんなことやこんなことを教えてくれるって。」

ちびギコの鼻息は荒く、目はらんらんと輝いている。
「連れて行って欲しいデチ!!!お迎えはいつ、どこに来るデチか?」
「4日後に○×公園に車が来るの。もし、行く気なら、公園にお昼までに必ず来てね。」
「わかったデチ。バイバイ。」
ちびは愛想笑いを浮かべてちびギコを見送った。

2日目、3日目、4日目も彼女は、同じようにちびしぃ・しぃ、ちびギコに声をかけていった…・

622 名前: 26・引渡し前夜 投稿日: 2004/03/30(火) 22:52 [ z9dvf3ng ]
4日目の夕方………・・
この4日間で、ちびは、声をかけた連中の中で、5匹は確実に来そうな雰囲気を感じていた。
しかし、昼食時に感じていた母親に対する不安感が彼女を襲っていた。
不安と戦いつつ彼女は帰宅した。

「ただいまぁ。」
「オカエリ。 チビチャン ステキナ オハナシガ アルノ。」
「すてきなお話?何それ?」 愛想笑いを作りつつ、ちびは尋ねる。
「アノネ ママネ ベビチャン デキタノ。」

ちびの不安感は的中した。表情は、愛想笑いから憤怒の表情にがらりと変わり、
彼女は激しく母親をなじった。 
「ハァ?あんた、父親は誰なのよ?養育費ぐらい、貰う手はずぐらいは整えたんでしょうね?また、父親のわからない子供産むの?何考えてるのよ?」

「チチオヤ? シラナイワヨ。 ヨウイクヒ? ナニソレ?」

「ベビ育てんのにも金がかかるって言ってるのよ!それとも、あんたが働くんでしょうね?
私のバイトだけじゃベビなんか育てられないわよ!!!」

「ダイジョウブヨ。 ハタラカナクタッテ ナントカ ヤッテイケルワ。 キョウノ チビチャン ナンカヘンヨ? マターリシヨウヨ ネ?」

ちびはふと、周りを見渡していた。母親に渡したお金が無い。母親が所持していた財布も見当たらない。
ちびは、研修から帰ったとき、母親にバイトを始めたことを告げ、バイト代の半分を渡していた。
母親は、礼をちびに言いながら、金を財布にしまいこんだのをちびは見ていた。
普通に暮らしていれば、1人分で4日間はゆうに暮らせるであろうという金額である。

「母さん。私が渡したお金はどうしたの?」ちびは、母親に尋ねる。
「エート モナゾフノ プリンデショ ○○ドウノ ドラヤキデショ ・・・・・・… 」
数え切れない量の良く知られたお店の高級なお菓子の名前が母親から出て、
「ソレデ、 ゼンブ タベチャッタ」と彼女は満足そうな笑みを浮かべて答えたとき、
ちびは、思わず母親の顔をこぶしで殴った。

「ハニャァアア?? ナニスルノヨ!!!」

「何するのじゃないでしょうが!あんだけの金を稼ぐのにどんな苦労したと思ってんのよ?
生活費にと思って渡した金を一日で使い果たして!『ゼンブ タベチャッタ 』 って何?しかも笑顔で!
そんな金の感覚しかないあんたに、ベビなんて育てられるはず無い!」

「オネエチャンニ ナルノヨ? ウレシクナイノ ?」

「腹の中のベビは、将来あんたのこと絶対に恨むわよ。」

「ナンテコトヲ イウノヨ ! コノ ギャクサツチュウガァァアアアア」

母親はちびに殴りかかったが、彼女に逆襲され、首を締められた。
ちびは、母親の首を手で締め上げながら、ある選択を迫った。
「いい?腹のベビ中絶するか、それともあんたが働く所を探すか、どっちか選ぶのよ。
産んだもの勝ちなんて、馬鹿な考え起こさないことね?そしたら、わかってるわね?
おろすんだったら、ベビの遺体を見せること。働くんだったら、職場の人間紹介しなさい。」

母親にはうなずくしか道が残されていなかった。
ちびは母親の首を締めた手を彼女の首からはずし、とどめに一発彼女の顔を平手打ちし、
寝床に向った。

母親は、一旦ちびの言葉にうなずいたが、産むことを決心していた。
お昼のワイドショーの相談コーナーに良く出てくる言葉ではあるが、
『(暴力夫や、浮気性、金遣いの荒い夫)が私の出産をきっかけに変わってくれるだろう』
こんな甘い考えを起こしていたのである。もちろん、この場合は( )の部分が
( 娘 )に置き換えられるのだが。

一方ちびは、寝床で、あるシミュレーションを始めた。
おそらく母親は、ベビを産むだろう。そして、働きもしないだろう。
バイト代を生活費として渡せば、一日で使い果たす。すべて私が稼いだお金は
あの女に吸い取られてしまう……・・私のこれからの人生→マターリできない!!!

これらの考えを元に、彼女は寝床の中で、ある決意を固めた。
1・母親には、明日の朝から一日500円しか渡さない。
2・中絶を決意OR実行するまで、精神的に圧力を加える。
家庭内暴力もふるう。ただし、腹は殴らない。
3・もし出産したら、ベビを全員頃す。避妊手術(流産した場合、後始末も)の準備をレモナに頼む。

ちびは、観察日記・麻薬が届くのを期待しつつ、浅い眠りに就いた。
そして、初めての引渡しの日が訪れた……・・

623 名前: 27・引渡し当日 投稿日: 2004/03/30(火) 22:54 [ z9dvf3ng ]
引渡し当日の朝、ちびは母親とけんかをした。もちろん、食事代のことでである。
「アニャア! オカネガ タリナイジャナイノ! ベビチャンノブンモ イッパイ タベナキャ イケナイノニ!!!!!」

「あぁ????生活費の足しにと思って、渡した分の金を全部お菓子買って食い尽くしたくせに、何言ってんのぉ?腹のベビはおろすんでしょ?何で氏ぬはずのベビの分まで、ご飯、食べなきゃいけないの?2食分のお金、500円で足りないなら、あんたが働いて稼ぎなさいよ!私は、これだけ渡すのが精一杯なのよ!!!」

「ギャクサツチュウ!!! アンタナンカ シンジャエ!」

「二言目には 『ギャクサツチュウ』か。ハハハハ。ベビちゃんたちに胎教をしなくちゃねぇ」

ちびが、母親の顔をこぶしで数回殴り飛ばすと、母親は、頬に手を当ててうずくまってしまった。
うずくまった母親の両足をつかんで、開脚させ、彼女の動きをある程度封じると、
ちびは、 「さあて、これから胎教を始めるわよ。」 と、ぞっとした笑みを浮かべながら、
母親のお腹に話し掛ける。

「おはよう、ベビちゃん。私がおねえさんよぉ。ベビちゃんたちはねぇ、生まれてきても、
幸せな時間なんて何にも無いのよ。虐殺されるか、いじめられるかしかないの。
いじめられても、ママは守ってなんかくれないわよ。あなたのお母さんはね。ただ、コウビがしたかっただけなのよ。
それであなた達ができちゃったの。もう、わかったわね?あなた達は邪魔者なのよ。
ギャクサツチュウとかいわれる人に、あなた達がいじめられても、ママはねぇ、黙ってみているだけよ。
こんな地獄のような所に生まれたいと思う? お腹の中で氏んだ方が幸せかもよぉ。」

ちびの、『生まれてきても、幸せな時間なんて何にも無い』という言葉を聞いたとたん、母親は
両足をつかんでいるちびの手を何とかしてふりほどこうとしたが、
お腹が邪魔したのと、ちびの力が強すぎたのもあって、解くことはできなかった。
母親は、両耳をおさえ、体をよじらせることだけしかできなかった。

「ハニャアアア ヒドスギル。 ヒドスギルヨォ コンナノ マターリジャナイヨ。 ナンテコトイウノ チビチャン。」
母親は、耳から離した手で、ぽかぽかとちびの頭を叩きながら抗議するが、
ちびはまったく動じず、母親にこう言い放った。
「じゃあ、早くおろしてね。そうすりゃ二度と言わないから。」

ちびは『いってきます』 の意味で、微笑を浮かべながら、
母親の顔に往復ビンタを食らわした。玄関ですすり泣いている母親を背に、ちびは公園へ向った。

624 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/03/30(火) 22:57 [ z9dvf3ng ]
10分ほどの距離に公園はある。既に、ちびが声をかけたしぃ、ちびギコ、ちびしぃがそこにいた。
ちびの予想を少々いい意味で裏切った数であった。 妊娠しぃの、『お友達』が2匹いたのである。
3匹の妊娠しぃ、姉妹と思われるちびしぃ2匹、ちびギコ1匹が、そこにいた。

(妊娠しぃの友達の、2匹のうち1匹は、アフォじゃないしぃちゃんだな。しょうがないか)
ちびは、3匹の妊娠しぃのうちの1匹を見て思った。後の2匹は嬉しそうに、
ギコ君がどうの、ベビを産んだら、ショタに手を出してみようだのと話しているのだが、
残りの一匹は疑わしそうな表情を終始しているのである。

「車、遅いデチねぇ。」
ちびギコの言葉に、ちびしぃ達もうなずいている。
「道がこんでるんじゃない?車が来るまでの間、向こうで見たことでも話そうか?」
ちびの申し出に、ちびしぃ・ちびギコ・妊娠しぃ3匹のうち2匹は目を輝かせた。
「向こうにはねぇ、ちびしぃ、しぃ、ちびギコたちで、集団生活するの。おたがいのお部屋は行き来ができるから、
カプールもできてたし、ケコーンしてた子達もいたわよ…・ギコさんたちは、そこのボランティアとして働いてたわ。
ボランティアさんは、しぃちゃんたちにアンナ事やコンナこともしてくれるのよ…・・って、まず、元気なベビちゃんを生むことが先決ですよね。」
ちびの、むふふふふと言う笑いにつられて、5匹が笑っていた。

10分くらい後だろうか。『擬古田薬品 被験者様』と書かれたステッカーが窓ガラスの右上の隅に貼られたトラックが場にいた全員の視界に入った。
トラックが、ちび達の前に停車すると、中からクックル、八頭身、モララーが出てきた。

モララーが、代表して挨拶を始めた。
「こんにちは。擬古田薬品の、モラ之本と申します。皆さんを連れて行く前に、ちょっとオーディションをさせてくださいね。
まず、妊娠されているしぃちゃん。全員一歩前にお願いしますね。」
彼らは、モラ之本の指示に従い前に出る。そして、妊娠何ヶ月か、自宅に残している子供はいるのか、配偶者の有無等の簡単な質問に答えた。
最後にモラ之本は、妊娠しぃたちに質問をした。
「ここに、お腹のすいたでぃちゃんがいます。しぃちゃんたちは、あんパンを一個持っています。
しぃちゃんは、どうしますか?」
二匹のしぃは異口同音に、「キタナイ ディヲ シメタアト、 マターリト アンパンヲ タベマス 」 と答えた。
ちびが、(アフォじゃない)と形容したしぃは、「でぃちゃんにアンパンを半分あげます。」と、答えた。

「アンパンをあげるといったしぃちゃんは残念ながら落選です。こちらは交通費になっております。
剥き出しで、申し訳ありませんが、どうぞお受け取りください。」 モラ之本が、1500円をしぃに渡した。
その光景を見ながら (罰金の使い道ってこういうのだったのね)とちびは思った。
「でぃを〆ると答えたしぃちゃんは、こちらへどうぞ。」
八頭身が、アフォしぃたちをトラックの荷台に誘導すると、彼女達は不満を漏らした。
「ナンデ コンナ カタイトコロニ、 シィチャンタチヲ スワラセルノヨ!」 
八頭身もしぃの扱いには慣れているらしい。彼は、ニヤニヤしながら彼女らに言った。
「しぃちゃん。向こうのギコは、凄くシャイなんですよ。着いたら、色々教えてあげてくださいね。」
とたんに彼女らは機嫌を直した。

八頭身が、しぃをなだめている間に、モラ之本は、ちびしぃ達、ちびギコのオーディションを終えていた。
わくわくした表情で、『合格』した五匹は、荷台の中にいる。
お金を持って、当惑した表情の 『落選した』しぃに、モラ之本が、声をかける。
「しぃさん。お疲れ様でした。お金は少々ですが、どうぞお受け取りください。そして、申し訳ありませんが、
この場をお引取りいただけませんか?私どもは、彼女にお話がありますので。」
『落選した』しぃは、モラ之本らに何度も頭を下げ、公園を去った。

625 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/03/30(火) 22:58 [ z9dvf3ng ]
しぃの姿が見えなくなった頃、モラ之本がちびに、お金を見せながら、封筒に入れる。
「じゃあ、ちびしぃ2匹で2000円。ちびギコ一匹で1000円。妊娠しぃが2匹で4000円だね。
7000円だけど、5000円札があったほうがいい?」モラ之本の問いにちびは首を横に振る。
「できれば、500円玉が欲しいんです。」
珍しそうな表情をしている3名に、ちびが赤面しながら昨夜の事を説明すると、
とたんに八頭身やモラ之本の顔がほころんだ。
「わかった。ちびちゃんも大変だねぇ。じゃあ、500円玉で2000円あるから、両替するね。」
ちびの前で、バイト代が入った封筒の中から1000円札2枚を抜き、ちびに見せる。1000円札2枚をモラ之本が取り、
八頭身が500円玉4枚をバイト代の封筒の中に入れた。

「確かにいただきました。」
ちびの言葉に、モラ之本は頭を下げる。八頭身が「伝言」と呟きながら、モラ之本の背中をつついた。
モラ之本は、「おっ。」と反応し、ちびに伝言を告げた。
「実は、伝言を頼まれたんだ。擬古矢が、次の時に一緒に来ますって。
えーと、タバコが出来たって言えばわかるっていってた。」
「はい。わかりましたとお伝えください。」
ちびの返事に、モラ之本は、「じゃあ、伝えたよ。」といい、車にクックル、八頭身とともに向った。
「じゃあ3日後に。」 「ではまた。」モラ之本達と、ちびはその日、別れた。

626 名前: 28・日記の到着 投稿日: 2004/03/30(火) 22:59 [ z9dvf3ng ]
初めての引渡し日の3日後が訪れた。今日は擬古矢が日記とともに、タバコを持ってくる日である。
ちびが公園に着いて、10分後くらいにトラックと乗用車が公園に止まった。トラックからはモラ之本らが、
乗用車からは擬古矢が出てきた。

今回の獲物は7匹。全員モラ之本の『オーディション』に合格したアフォであった。
今回も7000円のバイト料を貰うと、モラ之本らは 「漏れたちの用は終わりだね。」
と言い、トラックで帰った。

モラ之本を見送った擬古矢は、「ちょっと待ってて。」とちびに言い、自分が乗ってきた乗用車に向った。
彼は、大きな巾着袋に背負う紐がついた感じのリュックサックを持って、ちびの所に歩いてきた。
「どこか座れる所は…・ あ、ベンチがあるね。ちびちゃん。あっちへ行こう。」
ちびをベンチのほうに行くように促す。
ベンチに座った擬古矢はちびに、早速袋の中をあけて見せた。

ノート、レポート用紙、鉛筆一ダース、消しゴム、タバコ、0.5gとかかれたヘロインの小袋
ライター……・

「アレ?」 ちびが首をかしげる。タバコの吸い口がわかるように配慮したらしく、禁煙パイ○の
吸い口に似た、キャップがつけられていた。
「モナーがね、こうしたら説明がしやすいだろうってつけさせたんだ。これが、時間がかかったらしいよ。
ちびちゃんに謝っといてって。」
ちびは、擬古矢に礼を言い、モナーにも礼を言ってくれと伝言を頼んだ。

続いて、日記についての話を擬古矢は始めた。
ノートの表紙には 『観察日記』と書かれ、レポート用紙の表紙には、『つなぎ』と書かれている。
「しぃに収集日に薬を渡して、次の収集日に、モラ之本に日記を渡してくれる?」
擬古矢の指示にちびはうなずいた。

続いて、彼は『つなぎ』と書かれたレポート用紙をちびに見せた。
「『つなぎ』の方の説明ね。日記をモナー達に渡すでしょ。
彼らが必ず、一筆書いてちびちゃんに渡すって言うんだよ。そうすると、次の日に、ちびちゃんに戻ってこないじゃない?
その間日記が書けないでしょ?」 うなずくちびを見ながら、彼は説明を続ける。

「で、日記が向こうに行っている間、その『つなぎ』の方のレポート用紙に観察記録を書いて欲しいんだ。
日記をちびちゃんに戻したら、その『つなぎ』の方を破って、モナーたちに渡すからね。」

ちびが首をかしげている。擬古矢は例をあげ、ノートとレポート用紙を指差しながら、説明し始めた。
まず、ちびの膝の上に『観察日記』の方を置き、
「ちょっと、説明の言葉が足りなかったか。ごめんな。
例えば、0~2日目まで『観察日記』を書いて…・・」

ここで、擬古矢がちびの膝の上にある『観察日記』を持つ。
「3日目の朝に、僕に渡すとするでしょ?日記はモナー達の所に行っている。」

ちびがうなずく。彼は、『つなぎ』と表紙にかかれたレポート用紙を指差し、
「日記があっちに行っている間、『つなぎ』の方に、記録をつけていて欲しいんだ。
3日目から、5日目まで『つなぎ』の方に、記録をつけたとするでしょ?」

ここで彼が、持っていた『観察日記』をちびの膝の上に置いた。
「6日目の朝に、『日記』をちびちゃんに返しに来たとするでしょ。それから僕は、
3~5日までの『つなぎ』の方にかかれたレポートを、貰っていくからね。それで…・」

「6日目から記録を『日記』のほうにつければいいんですね。わかりました。」
ちびの納得した表情に擬古矢は安堵した。
「良かった。じゃあ頼んだよ。」

擬古矢は筆記用具をすべてリュックサックの中に入れ、
「今度は、『つなぎ』のレポート用紙を取りに来るときだね。」
「ありがとうございました。えーと、最初は『日記』の方をモラ之本さんに
渡せばいいんですね?」
ちびは擬古矢に念を押すと、擬古矢はうなずいた。

擬古矢とちびは挨拶を交わし、別れた。

627 名前: 29 観察日記 (実験編) 投稿日: 2004/03/30(火) 23:02 [ z9dvf3ng ]
ちびは、ちびしぃ しぃ ちびギコ フサギコらを公園に集め、モラ之本に引き渡すという作業と平行し、
しぃに麻薬を与え、観察を始めた。記録を少し読んでみることにしよう…・
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○月×日 しぃ 薬をあげて0日目
今日は、モラ之本さんに被験者を引き渡した後、公園から歩いて10分ぐらいの空き地で食事を取りました。そこの空き地でのんびりしていると、通りがかったしぃに罵倒されたので、
彼女を麻薬漬けにする事にしました。
『ハニャ上天しぃ堂で作られている マターリできる薬だ』 と嘘をつき、ミングオイルのやり方を
教えました。モナーさん、どうもありがとう。吸い口のおかげで、説明がしやすかったです。
「マターリノカミサマは、私のような者に使命を与えてくださり、
しぃちゃんをマターリさせるために、この地域に遣わしてくださったのだ。」
ともっともな事を言って、お祈りの真似をしたら、すっかり信じ込みました。
しばらくシスターの真似でもしようかと思います。(藁)

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○月×日 記入者 モララー
ちびちゃん。『ハニャ上天しぃ堂』には、思いっきり笑かしてもらいました。
シスターの真似、うまくいくと思う。がんがれ。

追伸
お家でのこと、皆興味を持って読んでたよ。
『関係ないこと書いてごめんなさい』 なんて謝らなくていいからね。
むしろ、どんどん教えてくれ。

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○月 ★日 しぃ 薬を渡して3日目

「ウンチサン デナイ 」 「メガ マワル」 「キモチワルイ」などなど、色々文句をつけてきました。
挙句の果てには、「コノクスリ ホントウニ マターリデキルノ??」 とか言うので、
「マターリノカミサマの試練なのです。この試練に打ち勝つ事が出来ない方は、
神様の恩寵を受けられません。神様は、あなたの事をお見捨てになり、ギャクサツチュウに
引き渡されるでしょう。」と、でたらめを言いました。
そうしたら、「シィ ガンバル。」 と、言うので助かりました。
まったく同族ながら調子がいいと思いました。

念のため、浣腸を用意していただけると助かります。便秘が深刻になったら、渡すつもりです。

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○月★日 記入者 モララー

いわゆる、『薬が体に慣れるまで』の、不快な症状が出ているときだね。
ちびちゃん、何が何でも、タバコを吸わせ続けてくれ。
浣腸の件はわかったよ。次の収集日にモラ之本に持たせるので、彼から受け取って。

(追伸)
お家での事、皆で(いろいろな意味で)興味深く読ませてもらってるよ。
どんどん書いて。次回の収集日にモラ之本に、ボールギャグを持たせるので
お家でお母さんに使ってみてください。使い方は、モラ之本に教えておきます。

628 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/03/30(火) 23:02 [ z9dvf3ng ]
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○月◇日 しぃ 薬を渡して10日目。
浣腸、モラ之本さんより確かにいただきました。モララーさんありがとうございます。
タバコを渡しに行く時に、浣腸も持って行って、一緒に渡してきました。
渡す前に、お腹に触ったら、硬い。大丈夫か?と思いましたが、杞憂に終わりました。
彼女は5mくらい離れて排便したのですが、猛烈な臭いと、こげ茶色の小山…・
う、うげぇ…・ その後、それを食、食べ…(自己規制してもいいですか?)

えーと、『気持ちの悪さ』とか『眩暈』は、程度が軽くなったようです。
それと、「トローントシタ カンジガシテ ジカンガ ワカラナク ナッテキタ」と 言ってました。

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○月◇日  記入者  モナー

モララーにお礼の事は伝言しといたよ。
もうそろそろ、こっちに来てもらってもいい頃かもね。
ちびちゃん。被験者について、
近所の人たちに聞き込みを始めてくれないかな?
彼女の言動を細かく聞いて欲しいんだ。

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○月 △日 しぃ 薬を渡して18日目

ここ2~3日、モナーさんに言われたとおり、近所の人たちの噂話を聞いています。
どうも、あちこちでコウビをねだっているようです。
コンビニの食べ物を万引きしたという話も聞きました。とてもしぃが一匹で
食べる量ではない量だったらしいです。店員さんに話を聞きました。
店員さん曰く、「目からして逝っている」表情だったので、
相手にすると殺されそうだったとのことでした。

3日前にでぃちゃんを虐待していたので、おとといと昨日は実は薬を与えていません。
『マターリノ カミサマが 怒っておられます。罰として、あなたに薬を与えるなと
神様に言われました。』と言ったら、ひどく落胆した表情をしていました。
「クスリガ ナイト ゴハンガ オイシク アリマセン 」 「クスリガ キイテイルトキ コウビスルト マターリカンガ バイゾウスルノニ」
と文句ばかりいうので、
『でぃちゃんに謝らなければ、マターリノカミサマは
あなたに薬を与えてはならないと言っておられるのです。』と、言って聞かせると、
でぃちゃんに土下座していました。
勿体つけた後に薬を渡すと、私から薬を奪い取り、吸い始めました。
薬のとりこかな?(笑

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○月 △日 記入者 ギコ

>薬のとりこかな?(笑
うん。そのしぃは薬のとりこだぞ(w
ちびちゃん。この日記が君の所に戻った日から一番近い収集日、
公園にその被験者を連れて来てくれ。
それと、収集担当の人数がいつもより増えてると思うが気にしないでいいぞ。

あと、擬古矢も一緒に公園に来るからな。彼と一緒に警察に顔見せに行ってくれ。
将来的に、警察の協力も必要になってくるからな。

629 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/03/30(火) 23:03 [ z9dvf3ng ]
日記がちびの元に返った日の一番近い収集日は2日後であった。
ちびは、公園に向う前に薬を与えていたしぃに会いに行った。
彼女に、「あなたをマターリの聖地へ連れて行くようにと神様よりお告げがありました。
さあ、一緒に参りましょう。」と嘘をつき、一緒に公園へ向った。

公園には、事前に勧誘していたちびギコらが既にいた。
今回も7匹。うまくいけば7000円は確実に手に入る。それと、2000円の臨時ボーナスもだ。
ちびは、わくわくしながら待っていた。

いつものトラックと、擬古矢の乗用車に、なぜか救急車が公園に向ってくる。
救急車には 『阿武沢 精神病院』 と車体に書かれていた。
3台の車は公園に止まると、トラックからはモラ之本らが、救急車にはクックルと八頭身が降りてくる。
クックルと八頭身は手際よく、麻薬中毒のしぃに拘束衣を着せ、口にさるぐつわを噛ませて、
救急車の中に放り込んだ。
クックル達の作業と平行して、モラ之本が『オーディション』を行っていた。
一匹アフォでないしぃが混じっていたらしい。モラ之本が、彼女に1500円を渡し、
公園から帰ってもらうように頼んでいた。

「今回は、5500円に2000円のボーナスだね。7500円。
500円玉、5枚あるけど、五千円札に500円玉5枚にしとく?」
モラ之本の問いにちびはうなずく。彼は「わかった。」とちびに告げ、
ちびの前に五千円札と500円玉5枚を見せ、封筒に入れて彼女に渡した。
「じゃあ、後は擬古矢の出番だね。よろしく~」
モラ之本達は、去っていった。

630 名前: 30・ 警察へ 投稿日: 2004/03/30(火) 23:05 [ z9dvf3ng ]
「警察に行くから乗ってね。ギコがさくっと書いてたと思うけど、中で説明するから。」
擬古矢に促され、ちびは乗用車に乗り込んだ。車を走らせると、擬古矢は説明を始めた。
「お、日記のセットを持ってるね。よしよし。免許もちゃんとあるかな?」
「ありますよ。だって、これはお守りだもの。」
ちびの答えに、擬古矢は笑顔で返す。
「もうすっかりプロだね。次に来る時は、『つなぎ』と『日記』の2冊目のノートを持ってくるからね。」
擬古矢の言葉にちびは照れ笑いを浮かべた。

「ところで擬古矢さん、警察って?」
ちびの質問に擬古矢が答える。
「顔見せ。ちびちゃんが麻薬を持ってても、逮捕されない様に顔を覚えてもらうんだ。
あとねぇ、いろんな事のもみ消しも頼みにいくの。あと、携帯の話も警察でするからね。」
「携帯電話?」
「うん。ちびちゃんがコンスタントに、こっちに被験者を送ってくれるでしょ?
今度は、こっちのオーダー通りに被験者を連れてこれるかなと思って。それと、警察との連絡用でもあるんだ。詳しくは、あっちでね。」
「はあい。」

25分ほど車を走らせると、『阿武沢警察署』と書かれた看板が目に入ってきた。
車を駐車場に止め、署内に入る。擬古矢が、名刺を受付に出し、署長室の場所を聞くと、
署員が階段のほうを指し示し、「署長室は3階です。皆さん、お待ちですよ。」と擬古矢に告げた。
擬古矢とちびは、応対した署員にお辞儀をし、受付から少し離れた階段へ向かった。

3階で、『署長室』と書かれた看板がある部屋の前に着いた。
擬古矢がドアをノックすると、中から「入りなさい」という声がする。
「失礼します。」 「失礼します。」 二人は声をかけ、中に入った。
ちびは署長室の雰囲気に緊張していたようだ。擬古矢の後ろに隠れるようにして中に入った。
中には署長以下、数人の私服刑事がいた
「免許の許可をしたちびしぃをつれて来たかい?」
署長に聞かれた擬古矢は、後ろのちびしいの背中を押し、「彼女です。」と紹介する。

「は、はじめまして…」
緊張しながら挨拶するちびに、署長は笑顔で挨拶を返す。
「阿武沢警察署の署長のモナ木です。そんなに緊張しなくてもいいよ。
ちょっと免許を見せてくれるかな?」
穏やかな口調のモナ木に少々安心したちびは、リュックの中から免許を出して、モナ木に見せた。
「ん。間違いない。それに、君は覚えやすい特徴をもっているので、署員も助かると思う。
ちょっと写真をとらせてくれるかな?」モナ木の頼みに、ちびはうなずく。
「では、モラ角君。たのむ。」 「はい。」
モラ角と呼ばれた刑事は、3枚ちびの写真を写した。

モラ角がちびに、申し出た。
「申し訳ないが、保険をかけさせて欲しいんだ。指紋と掌紋を取らせてもらえないか?」
「へ?」面食らった表情のちび。
「もし、君が免許をなくしたり、忘れた場合の確認材料が欲しいんだ。」
「は、はい。わかりました。えーと…」
モラ角は、用紙を用意し、ちびに指で指し示す。
「ここに、一つ目の肉球。ここに、二つ目…・」
モラ角の指示通りに、ちびは順番に指紋・掌紋を押していき、用紙が全部埋まった。
「よし、これで完了です。洗面所はあっちね。洗い終わったら戻ってきてね。」
手を洗い終え署長室に戻ってきたちびに、モナ木が、「空いている席に座って」と勧める。

631 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/03/30(火) 23:05 [ z9dvf3ng ]
ちびが席に着くと、モナ木は、携帯をテーブルの上に置き、説明を始めた。
「これを君に支給する。電話代は心配しないで。ただ、私用に使えないように、
ちょっと細工をさせてもらったからね。」
「ツカイカタ ワカラナインデスガ…」
ちびが恥ずかしそうに署長に話す。すると、モナ木が、
「えーと。君、ノートを2冊持っているよね?その表紙の裏に
使い方を書いておこうか。そうすれば、見ながらできるもんな。
君、ノートを両方とも出してくれ。それと、擬古矢君だっけ?このノートがいっぱいになったときに、
新しいノートの表紙の裏にも、携帯の使い方を書いてあげてくれないか?」
擬古矢はうなずいた。
「スイマセン・・・・」
恐縮しながらノートを出したちびから、モラ角がノートを受け取り、彼女の頭を撫でながら言う。
「そんなに恐縮しなくてもいいよ。じゃ、署長から続けて説明を受けてくれ。
署長?机をお借りしますよ。ここで書かせてもらうことにします。」
モナ木はモラ角のほうを向き、うなずいた。

「えーと、どんな時にこの電話を使うのか説明するね。まずは、擬古田さんの方からお願いしますよ。」
モナ木が擬古矢に話題を振ると、擬古矢はモナ木に「じゃあ、お先に。」と断りを入れ、
ちびに説明を始めた。

「ちびちゃん。こっちのほうの使い方は、車の中で少し話したんでちょっと補足するね。
健康体の被験者のオーダーは、モナー達が直接君にします。その電話でね。
また、麻薬漬けにした被験者がいるでしょ?レポートや日記で、今まで出してもらってたけど、
今度は、電話で報告って言う形になる。ノートのほうには君のおうちのことだけ書いて欲しいって。
日記と、『つなぎ』のレポート用紙の回収と、小物を届けに僕は君のところに来ることになるね。」

「クックルさん達は、収集日の日にしか来ないんですか?」ちびの問いにモナ木が口をはさんだ。
「いや、収集日以外にも来てもらう事があるよ。ところで、擬古矢君。そろそろ私の説明を始めるころかな?」 
擬古矢がうなずくと、モナ木が擬古矢に代わって説明を始めた。
「クックル君達は、こっちが要請したときにも、きてもらうことになってる。
例えば、ある麻薬中毒のしぃが事件を起こした場合。そのしぃを一旦こっちに連行した上で、
我々は、君に電話をする。君には、身元確認のために、こっちに来てもらう事になる。
そのしぃが君が薬漬けにしている被験者だった場合、クックル君たちの出番だよ。」

ちびは、説明に納得した表情で、モナ木の言葉に大きくうなずいている。
携帯電話の使い方をノートと、レポート用紙に書き終えたモラ角が口をはさんだ。
「ちょっといいかい?使い方を書き終えたんで、目を通してくれるか?
わからない漢字とかないかな?」
ちびは、「大丈夫。読めます。」といった後、モラ角に礼を言い、ノートを受け取った。
モラ角は、「実はもう一つあるんだ。君の前で申し訳ないんだが…・」と口ごもる。
「いいですよ。」ちびはモラ角に発言を促した。
「実はあふぉしぃやちびギコらがよく事件を持ち込むんだよ…・」
モラ角がつぶやくとちびは察したのか、うなずきながら 「掃除ですね。」とモラ角に答えた。
「頭がいい子は大好きだ。」モラ角とモナ木はちびに微笑んだ。モラ角は続けて、説明した。
「そのときにも、クックル君たちに来てもらう事になる。もちろん、君にもお金は入るよ。」
モラ角の言葉にちびは微笑んだ。
「では、早速明日からだよ。ちびちゃん頼んだよ。」 「わかりました。」
ちびたちと、モラ角・モナ木は互いに握手を交わした。

ちびと擬古矢は、阿武沢警察署を出、車に乗り込んだ。
近くのコンビニで、ちびは擬古矢に、ソフトクリームをおごって貰い、
車の中で食した。走る車中で、擬古矢はモナー達のことを話し始めた。
「お母さんのこと、モナー達が興味を持って読んでいるって。あとは、レモナが
お母さんのことは任せてって。でも、ちびちゃん大変だね。」
擬古矢のねぎらいの言葉にちびは微笑み、そして、伝言を頼んだ。
「モナーさん達にお礼を言ってください。
レモナさんに、よろしくお願いしますとお伝えください。」
「うん。わかった。」擬古矢がうなずく。

公園に着くと、擬古矢はちびに、
「今度は、2冊目のノートと、レポート用紙を持ってくるよ。」と、予定を伝える。
ちびは、車を出て、「よろしくお願いします」と頭を下げた。
「じゃあね。」 「また。」二人は公園で別れた。

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次回、「日記:家庭の事情編」 いきます。

次回:擬古田薬品 (5)