擬古田薬品 (7)

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989 名前: 45・母親の夢 投稿日: 2004/08/10(火) 18:32 [ agrvKVOs ]

レモナに鎮静剤を打たれてから、手術後まで母親が見ていた夢である。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
先生はベビちゃんが4人いるって言ってた
心臓が止まってるって先生が言ったけど、きっとしぃをビクーリさせるための冗談ね。
ベビちゃんたちがうまれて、退院したら、ちびちゃんのお金でみんなでマターリするの。

ベビちゃんにはお歌をたくさん歌ってあげるの。ダッコもたくさんしてあげるの。
*はね、今度はちゃんとあるベビちゃんなんだから。かわいさ倍増なの。
しぃだけじゃなくて、モナーさんにもモララーさんにもギコ君にもダッコさせてあげるの。
しぃの幸せと、ベビちゃんのかわいさの お・す・そ・わ・け!

ベビしぃちゃんの頃からモデルさんで華やかな世界で活躍してね、
ちびしぃちゃんになったら、アイドルグループになるの。
CDだってたくさん売れて、ベビちゃん達はモテモテなんだから。

ベビちゃん達がボーイフレンドを連れてきても、キモオタだったら絶対に
ボーイフレンドになんて認めない。
やっぱ、ボーイフレンドにはカコイイギコ君じゃなくちゃ。
ベビちゃん達のボーイフレンドのパパだって、絶対カコイイもん。
そしたら、しぃはね…しぃはね… キャー!!!!

ちびちゃんには、ベビちゃんのためにたくさん働いてもらうの。
あの子は『キケイ』なんだもの。それくらいしか働く口は無いのよ。
お金を稼がせてあげるだけでも、ありがたいと思ってもらわなくちゃね。

ベビちゃん達が稼いだお金で、レモナ先生にもお礼をしなくっちゃ。
たくさんダッコしてあげるんだから。たくさん寄付もするんだから。

ベビちゃんが生まれたら、しぃ達は勝ち組になれるのよ。
だからね、ベビちゃん… 無事に生まれてきてね…

990 名前: 46・母娘喧嘩 投稿日: 2004/08/10(火) 18:33 [ agrvKVOs ]
『ベビはすでに氏んでいる』と真実を伝えているちびと、信じたくない母親。
衝突が起こるのも当然である。
麻酔が覚めてからも、夢の世界から抜け出せていない母親は、
ちびの神経を逆なでする事ばかりを言い続けていた。
ちびが『死産ビデオ』の話をモナー達から聞くまでの間、
二人は同じような内容の親子喧嘩を繰り返している。ちょっと、その様子を見てみよう…
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「だから、ベビ達は氏んだって言ってるのが、何度言ったらわかるのよ!
『生まれた』んじゃないんだって。単にあんたの腹から『出した』だけだって
言ってるでしょうが!!」

「ベビチャンハ チャント ウマレテルモン!」

「ふーん。生まれてずいぶん経つのに、ベビと会わせてもらえてないじゃないの。
ママに会わせて貰えないんじゃ、ベビ達さびしくて氏んでるかもね?」

「センセイタチガ チャント ベビチャンタチヲ ミテイテクレルモン。 ソレニ ベビチャンタチハ チョーカワイインダカラネ!
ショウライ ベビチャンタチハ アイドルニ ナルンダカラ。 ママト ベビチャンハ カチグミニ ナルンダカラ」

「ベビ達は、絶対にあんたの事恨んでると思うけどなぁ。絶対に棄てられるのがオチだと思うけど?もう少しで糞狭い腹の中から出れるって時なのに、ちびギコのティンポとか、大人のオモチャとかで突っつかれたわけじゃん。これって、一種の『ギャクタイ』じゃん?
もし氏んでたら、ベビ達たった15円のために頃されちゃったことになるわね。」

「ママハ ギャクタイナンテ シテナイモン。 ソレニ ベビチャンタチハ オナカノナカニイタトキカラ オヤコウコウナンダカラ。
ゼッタイニ ママヲ ステタリナンカシナイモン…… ソレニ ベビチャンハ ゼッタイニ シンデナイ!!!! 」

「ベビとあんたが勝ち組になんて絶対になれないわよ。
もし、また*が無いベビだったらどうするの? あんた、ベビに向かって
『キケイ』って言っていじめるつもりでしょ? 私にしたみたいにねぇ?」

「チャント *ダッテ アルモン!! イパーイダッコモシテアゲルノ! オウタモタクサン オシエテアゲルノ!
ベビチャント ママトデ マターリスルンダカラ。 アンタニハ ママタチノタメニ タクサンハタライテ モラウンダカラネ!!
ヘラズグチ タタクノモ イマノウチナンダカラ…」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この後に必ず、母親は勝ち誇った笑みをちびに向かって浮かべているのだ。
ちびは悔しさのあまり唇を噛み締める日々を送っていたが、
サスガ兄弟との会食、そして、法医学棟にて見学させてもらった妹たちの解剖の日以降、
母親のたわごとをニヤニヤして聞き流すことができるようになっていた。
そして、母親を期待させるこんな嘘までつけるようになっていたちびである………
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ベビちゃん達ね、今プロモーションビデオを撮ってもらっているんだって。
もう少ししたら会えるから、ママもがんばってくださいってさ。」

「ダカラ イッタジャナイノ。 ベビチャンタチハ ウマレタトキカラ センセイタチヲ トリコニ シチャッタノヨ。
ママモ オパーイ タクサン ダサナイトネ…」

「なんかね、モデルになって欲しいんだって。
それで、プロモーションビデオを撮って売り込みたいんだってさ。」

「モデルサンカァ。 トッカカリトシテハ イイワヨネ… ソレカラ アイドルカナ? ジョユウサンカナ? 」

「もう少ししたら、ビデオを見てもらうって。
映像製作会社の人がね、世の中に出すよりも、まずママに見て欲しいって言ってた。」

「トウゼンヨ!! ベビチャンノ ヘンナエヲ トッタラ ソノカイシャノヒトハ ギャクサツチュウダヨ!!」

(自分のやったこと棚に上げてよく言うなぁ…)
ちびは、そんなことを思いながら
母親の言葉に、作り笑いを浮かべているのだった。

そして、上映の日が近づいてきた…

991 名前: 47・ビデオ上映の日 投稿日: 2004/08/10(火) 18:34 [ agrvKVOs ]
「ハニャ? プロモーションビデオガ デキタンデスカ? チビチャンガ イッテタヤツ?」
母親に悟られないように表情を作りながら、モララーは説明する。
「ええ。ビデオをダッコ映像さんていう製作会社に依頼していたんですが、
ようやくできたそうなんです。大作なんで、時間がかかったそうですよ。
そのビデオをまず、お母さんに見てもらって、それから世の中に出したいらしいんですよ。
ベビちゃん達とも、そのときに会わせますんで。」
「ヤット ベビチャンタチニ アエルンデスネ… マッタ カイガ アリマシタ。
キット ベビチャンタチノ カワイサニ オオゼイノ ヒトタチガ ノックアウト サレルニ キマッテマスヨネ!」

(ベビ達の姿を見てノックアウトされるのはてめえだよ)と
モララーは思いながら、彼は上映日を母親に告げた。
「明日の午前10時に、上映を始めたいんです。9時50分までに、合同会議室まで来てください。場所はちびちゃんが知っています。彼女と一緒にくるといい。」

その日、母親はうきうきしていた。
いつもはちびや看護師にたたき起こされていたのが、今日は自分で起き、
いつもは食事の内容に不満をもらしながらとっているのだが、
今日はニコニコしている。まるで、遠足前の子供のようである。
「ベビチャンノ ビデオッテ ドンナ デキニ ナッテルノカシラネ? カワイク トレテルト イインダケド…」
「かわいく撮れているらしいよ。」
能天気な心配をしている母親に、機械的な答えを返すちび。
母親は勝ち誇った笑みを浮かべながら、ちびに言い放った。
「アンタハネ コレカラ ベビチャンタチノ ドレイニ ナッテモラウンダカラネ シッカリ ハタラクノヨ!!」

(奴隷になんかなるもんですか……)
どす黒い怒りがちびの中に生まれていたが、ちびは母親に悟られないように、
感情を押さえ込んだ。彼女は壁にかけられた時計をチラッと見て母親に退室を促した。
「そろそろ時間だから、合同会議室に行きましょう。遅れるのは良くないから。」
「ソウネ。 キョウハ ベビチャンニ チョクセツ オパーイヲ ノマセルコトガ デキルヒダモノ ハヤメニ イッタホウガ イイワネ」

上機嫌な母親と、そんな母親を冷静に見ている娘。全く違う表情の二人が合同会議室に着いたのは10時15分前であった。すでに、モララー・レモナ・サスガ(弟)は入室し、二人を出迎えた。
母親がモララーたちにダッコ映像の面々の行方を聞くと、モララーが引きつった笑顔を浮かべながら答えた。あまりに彼女の様子がハイテンションだったのだ。
「ダッコエイゾウノ ヒトタチハ ドコデスカ? アノヒトタチニ サイショニ ベビチャンタチヲ ダッコサセテ アゲルンデス!!!」
「ダッコ映像さん達は今眠っていますよ。数時間前まで編集作業をしてて、眠っていないそうです。ダッコは上映の後でもいいんじゃないですかね?」

モララーが母親にダッコ映像の面々のことを話し終えた頃、数名のボランティアの青年が
風変わりな安楽椅子を持ってきた。母親が横になってビデオが見ることができるようになっているように配慮されているのだが、両方の肘が置けるあたりと、足首あたりの場所に半円形の金具がついている。おそらく、手首と足首を固定するためであろう。

「こちらへどうぞ。」
ボランティアの青年に椅子を勧められると母親は怪訝そうな顔を一瞬したが、
すぐに安楽椅子に体をゆだねた。
「アラ ジョウトウナ イスジャナイ…… シィィィ?? ナンナノヨ コレ!
オテテト アンヨノ カナグヲ ハズシナサイ!! オマケニ ナニヨコレ! アナガ アイタジャナイノ!! 」
「ああ、昔の高級貴族みたいに過ごしていただきたいと思いまして…
リラックスして、ビデオをご覧になってください。
食事や下の世話は、彼らが行います。長丁場になりますんでね。」
ヒステリックな口調で尋ねる母親にレモナが笑顔で答えている。
母親は、レモナの言葉に微笑を返した。
(両手両足を固定されてるのに高級貴族って…… レモナさんもきついなぁ)
レモナの言葉を聞きながら、ちびは苦笑いを浮かべている。

「では、ちびちゃん達とママのプロモーションビデオ上映会、始まり始まり~」
モナーのとぼけた口上を合図にビデオのスイッチが入れられた……

992 名前: 48・ビデオ上映(ママ編) 投稿日: 2004/08/10(火) 18:35 [ agrvKVOs ]
ビデオのスイッチが入ってしばらくすると、最初のタイトル画面が映し出される。
『しぃ族のみなさんへ おみせ以外の場所でのコウビでおかねをとってはいけません』
製作 阿武沢警察  撮影 ダッコ映像
協賛として、数店の性風俗店の名前が書かれていた。

テレビモニターには、奇妙な授業参観風の光景が映し出されている。
先生役に、阿武沢警察のモナ木、生徒達には、協賛の風俗店の女の子と見られるちびしぃやしぃ達がいるのだが、ただ父兄の代わりに、目つきのあまりよろしくない面々がいる。
おそらく、店側が雇った用心棒達であろう。

モナ木は、黒板にチョークで、『うそをついてもばれます』と書き、話し始めた。
「はい、皆さん。これから、やってはいけないことのお話をしますよ。
お店以外の場所でコウビをしてお金をとってはいけません。うそをついてもばれます。
これからビデオを見てもらいますが、このビデオに出てくるしぃちゃんは、
お店には勤めていませんが、コウビをしてお金をとっていました。
このヴァカなしぃちゃんがどんな目にあったのか、皆さんで見ていきましょうね。」
モナ木の語り掛けに、ちびしぃ・しぃ達は「ハーイ」と元気よく返事をしている。

画面が切り替わると、公園と思われる場所にいるちびギコ達の後姿が映し出された。
右下に日付、そして『通報者 ○× △の輔さん』と書かれたテロップが入っている。
小さめだが、「フサたんはどこデチ?ちびたんはお口でしてもらうデチよ。」とか、
「次はレコたんデチ」といった音声が入っていた。
水分を含んだクチュクチュといった音も一緒に聞こえている。

モナ木の音声が入る。
「警察に、ここの公園で、妊娠しぃがちびギコを相手に売春を行っているようだという通報が入りました。警察では、このヴァカしぃを確実に処罰するために、通報者と周辺の住民の皆さんにお願いして、証拠ビデオを取ってもらっていました。」

「ハーイ センセイ! コノ ヴァカシィチャンハ ケッキョク イクラ カセゲタンデスカ??」

ちびしぃの素朴な質問にモナ木は、
「はい、いい質問ですね。ビデオを続けてみて見ましょう…
ここの公園のあたりに住んでいる人たちは機転を利かせて、ちびギコに小銭を渡して
彼らにビデオをまわしてもらっていました。ツナ缶に入っているお金が、ヴァカしぃちゃんの稼いだお金ですよ。」

993 名前: 48・ビデオ上映(ママ編) 投稿日: 2004/08/10(火) 18:36 [ agrvKVOs ]
ちびギコが撮影したと思われるビデオには、母親が恍惚の表情で、ちびギコのティンポを
三本ほど操っている映像がアップで映し出されている。マムコに一本、両手にそれぞれ一本づつ。彼女は手コキに腰のグラインドと忙しく動いている。
「ハニャッ ハニャッ…」といった嬌声も聞こえてくる。
しばらくすると、ツナ缶が映し出され、中の小銭がモナ木や、風俗店のしぃ達にお目見えした。

ツナ缶の中の一円玉が数枚。同族の失笑、嘲笑の類の笑い声が
母親の嬌声にかぶさって聞こえている。彼女らは、容赦なく言い放った。
「センセイ! オミセデハ ナンニモシナクテモ イチニチ 1000エン モラエマス!」
「センセイ! シメイガ ツクト ヒトリアタリ 200エン モラエマス!」
「センセイ! ウチノ オミセデハ オニイサンタチガ シィチャンタチヲ ギャクサツチュウカラ マモッテクレマス!」
モナ木は、笑い声を上げながら、口々に自分がいるお店の居心地のよさを嬉しそうに語るしぃ達を落ち着かせ、説明を続けた。
「お店での皆さんのコウビを警察は見逃していますが、お外でのコウビは、見逃せません。もうわかりますね。皆さん。このしぃちゃんは、ちびギコ達に騙されて
お金にならないことをやっちゃった挙句に、警察に逮捕されてしまいました。
次の映像は、逮捕後のちびギコ達の供述とヴァカしぃちゃんの供述です。
警察はなぜ、取り調べの様子を撮影しているのかというのは、この映像を見た後に説明します。」

モナ木の説明の後、取調べの様子と思われる映像に切り替わった。
目は、黒い線で隠され、匿名にしてあるが、明らかにちびギコが映されている。
姿が映ってはいないが、ちびギコにいろいろ質問しているのは、
ギコ崎のようである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「公園で遊んでいたら、妊娠しぃに声をかけられたんだね?何て言われたか覚えてる?」

「オネエサンガ アイテニ ナッテアゲルって言われたデチよ。それで尻を出したデチ」

「お金のことは言われた?」 

「最初100万円って言われたデチよ。でも、マムコがとんでもなく臭いってフサたんがいったデチ。それから、フサたんが1万円に負けろって言ったんデチ。レコたんが、金は終わった後に払うって言ったデチ。」

「そう。お金、結構少なかったけど(笑)?」

「誰が、あんなばばぁに1万円なんて払うんデチか?レコたんが終わった後に払うって言ったけど、本当は払うつもりなんて無かったんデチよ。」

「金を払わずに逃げるつもりだったの?」

「そうデチ。チビたん達で、妊娠しぃがいないときに、話し合ったんデチ。
フサたんが、『あの馬鹿しぃに、身分相応という言葉を教えてあげるんデチ』
って言ったんデチ。それはいい考えだとみんなで思って、
みんなで1円だけ払ってやろうって言うことになったんデチ。」

「でも5円あったねぇ?あの5円は何だったの?
10ぴ… 10人なら10円じゃない?」

「お腹のベビの葬式代デチよ。今すぐにも生まれそうな腹ボテだったじゃないデチか。
恐らく、ベビたちは氏んでると思うデチ。」

994 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 18:38 [ agrvKVOs ]
画面が授業風の風景に切り替わった。モナ木が生徒役のしぃ達に問い掛けると、
即座ににしぃ達の答えが返ってきている。
「チビギコ達は、ヴァカしぃちゃんに、金を払うつもりは無かったらしいです。
お店で、こういうことをやっちゃったお客さんがいた場合、
このお客さんはどうなりますか?」
「ソンナ キャクハ ギャクサツチュウダヨ!」
「ミブンショウメイニ ナルモノヲ コピーサレテ オドサレマス!」
「ボコボコニサレタ オキャクサンモ イマシタ」

モナ木は、黒板にチョークで書き始める。

お店でのお仕事(コウビ)
1・何もしなくても日給1000円  
2・指名がつくと指名料一人あたり200円 
(1・2はお店により異なります)                 
3・違反行為をした客に対してお店が制裁をしてくれる
4・お店がしぃちゃん達をギャクサツチュウから守ってくれる

お店以外でのコウビ
1・お金を払ってもらえない可能性がある
2・変な趣味の客に下手をするとギャクサツされる可能性がある
3・誰もしぃちゃん達を守ってくれない
4・逮捕される

「お店でのコウビと、お店以外の場所でのコウビのいい面・悪い面を並べてみました。
皆さんはどちらがみなさんにとってお金を楽に稼げると思いますか?」
モナ木の問いに、生徒役のしぃ達は口をそろえて、
「オミセデノ コウビデ~ス!!!!」と答えた。

彼は、なぜ取り調べのビデオを録画しているかの説明を始めた。
「ここで、なぜ警察が取り調べの供述を録画しているのかの説明をします。
しぃ族や、ちびギコ達は悪知恵に長けており、突然警察での供述を
裁判所でひるがえす事をよくやって、自分のしたことの罰から逃れようとします。
そのときによく裁判所で使っていた言葉が『ギャクタイ』なんですね。
警察はこの取調べのビデオを、虐待はなかったという物的証拠として裁判所に送り、
裁判を円滑に進めているわけです……。 
続いて、ヴァカしぃちゃんの取調べのビデオをみんなに見てもらいます。
さっき、チビギコ達とセクースしていたしぃちゃんですよ。」

画面が切り替わり、今度はすすり泣いているちびの母親の映像が映し出された。
チビギコと違うところは、目隠しの黒線も無く、表情が丸分かりである点であろうか。
彼女に質問をいろいろしているのは、声から察するにモラ角のようである。

995 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 18:39 [ agrvKVOs ]
「ほう、チビギコ達に取り囲まれてレイプされたと。 お相手のチビギコ達は、あなたがお金の交渉をしてきて、『シィチャンニ オカネヲハラッテ コウビシナイヤシハ ギャクサツチュウナンダヨ』と言って脅されたと言ってるんですがね。それに、お金が近くに見つかってるんですよ。これはレイプじゃなくて売春じゃないんですか?」

「レイプ サレタンデス… オカネノ ハナシナンテ シテイマセン!! ソレニ コンナカラダデ コウビナンテ デキマセン!」

「最初100万円で、チビギコ達の不満の声に負けて1万円に値下げしたって言ってますけど。あまりにチビギコ達の証言が細かいんでね。あなたがレイプされたって言っても
あまり信じられないなぁ…。この金額だと、やり逃げ同然じゃないですか。
金額があまりに少ないからレイプって言い張ってるんじゃないんですか?」

「オカネガ スクナイッテ ドウイウコト? チャント イチマンエン アルンデショ?」

「我々が見つけたお金は15円だけです。それに、『チャント イチマンエン』って…
やはり、チビギコ達とのお金の交渉があったんじゃないですか。嘘はいけませんよ。
それに、お店以外の場所でのお金を貰ってのコウビは禁じられています。どこかお店にお勤めですか?」

「オミセニナンカ ツトメテイマセン。 コウビハ オソトデ スルノガ イチバン キモチイインジャナイデスカ!
ソレニ オカネヲ カセガナイト キケイノ クソチビニ ベビチャンヲ コロサレチャウンデス。」

「キケイ?チビちゃんって?」

「オナカノ ベビチャンノ オネエサンニナル チビシィデス。 *ガ アリマセン。
ベビヲ オロスカ オカネヲ カセグカ ドチラカ エラベッテ ウルサクテ…
ダカラ ダイスキナ コウビデ オカネヲ カセギタカッタンデス。」

「コウビでお金を稼ぐには、お店に入らないといけないんですよ。奥さん。
それに『キケイノ クソチビ』って、あなたが生んだお嬢さんでしょ?
それに、あなたにベビを育てる権利なんてあるのかな?母親失格じゃないの。」

モラ角の『母親失格』という言葉に反応するように、
すすり泣きながら供述していた母親の顔が急に変わり、口をへの字に曲げ、わめき始めた。
モラ角は全く動じず、取調べが録画され、証拠として提出されることを
母親に告げる。

「キーッ ナンテコトイウノヨ! コノギャクサツチュウ!! サイバンショニ イッタラ ギャクタイサレタッテ イッテヤルンダカラ!!!!!
ソシタラ シィチャンハ ムザイニナッテ コンナトコカラ スグニ デテヤル!!!! 」

「えーと、この取調べの様子は全て録画されているからね。それを証拠として
裁判所に提出すれば、君がどんなにわめいても、君の言い分なんて聞く人は誰もいないから。それと、これから君に見てもらうビデオも、証拠として提出するから。」

996 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 18:41 [ agrvKVOs ]
画面が切り替わり、チビギコがとったと思われる彼らと母親との金銭交渉内容のビデオが
映し出された。『署員が妊娠しぃに見せているビデオです』と画面の下方にテロップが載っている。撮影者のチビギコの音声までもが入り、なかなか生生しい。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「…ブツブツ…あのババア、100万円なんてぼり過ぎデチ。お腹のベビを、肉便器として差し出してもせいぜい出せる金は100円デチよ……ブツブツ……」

「ン~? ソコノ カメラヲ モッテル チビクンハ ナニヲ イッテルノカナ? コンナ キレイナ オネエサンガ チビクンタチノ アイテヲ シテアゲルノニ。
シィチャンニ オカネヲハラッテ コウビ シナイ ヤシハ ギャクサツチュウナンダヨ。 ヨク オボエテ オクコトネ!」

「チビたんは最近カメラを買ったばかりなんで、手順を口で言いながら撮影してるデチ。
お金は全員がコウビを終えた後で払うデチ… フ、フサたん?しぃたんの後ろで何してるデチか?」

「レコたんはこのババアのマムコが物凄く臭いのがわからないんデチか?
このババア、病気をフサたん達に移して金を稼ごうとしてるデチ。それに、100万なんて高すぎデチ。1万円に負けるデチ。」

「ビョウキナンテ モッテナイモン! シィチャンノ マムコハ クサクナイモン! シマリダッテ イインダカラネ!」

「お前の鼻が詰まってるだけデチ。締りのよさはフサたん達が決めるデチ。
病気をもってないなら、医者の証明書を持ってくるデチ。フーゾクのしぃちゃん達は
定期的に医者に行ってるデチよ。医者の証明書を持ってこないつもりなら金をまけるデチ。
できないなら、とっととここから消えるデチ。」

「ワカッタワヨ。 イチマンエンニ マケタラ イインデショ? オカネハ コウビガ オワッタアトデ モラウカラネ……」

「……ヴァカデチネ……ヤリニゲ スルデチ……」

997 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 18:42 [ agrvKVOs ]
画面が取調室の画面に切り替わり、母親がすすり泣いている映像に切り替わった。
「この映像と、あなたのことを通報した人や、あの公園の近くに住んでいる皆さんが
撮影した証拠の映像とがここにあるんだけど?これを裁判所に提出すれば奥さんは、確実に有罪じゃないかなぁ?」

「ソ、ソンナ… ベビチャンタチハ? アイドルノ ベビチャンタチハ? 」

「犯罪者の娘がアイドルに?(笑)とりあえず、上のお嬢さんに連絡しないと。あの公園付近にいるしぃ族で*が無いちびしぃか…。それと、彼女にあなたが妊娠何ヶ月か聞いて、
必要なら医者も手配しないと……。ギコ崎、漏れは娘さんに連絡してくる。後は頼んだよ。」

モラ角が退室すると、さっき鳴いてたからすが…という言葉ではないが、母親はころっと態度を替え、今度はギコ崎に対し媚び始めた。
「ネェ…ギコク~ン オ・ナ・ガ・イ! チビニハ ダマッテテ。 ダマッテテクレタラ、 タクサン ダッコサセテ アゲルカラ。
タクサン ゴホウシ シテアゲルカラ。」

「奥さん自分のした事わかっています?
私に対して、交渉を持ちかけるって何を考えてるんですか!
それに、そのお腹。そろそろ臨月くらいじゃないんですか?
ベビちゃん達、大丈夫ですかね。全員氏んでるんじゃないのかな?
ちゃんと動いてますか?(笑)」

「アノ クソチビヨリモ ベビチャンタチハ イイコダカラ ダイジョウブ。 ベビチャンタチハ チビクンタチトノ コウビノ トキモ
タクサン ウゴイテ シィチャンヲ キモチヨク シテクレタンダカラ。 オヤコウコウナ ベビチャンタチデショ。」

「それって、ベビちゃん達が逃げ場所求めてもがいてただけでしょ?
だって、一種の虐待だもんね。やっとお腹から出られるのに、チビギコ達のティンポや
大人のオモチャで逃げ道ふさがれた挙句、突っつかれまくったんだもの。
医者じゃなくたって、ベビが氏んでることくらいは想像つきますよ。
自分の都合のいいように解釈するのって、あなた方しぃ族の悪い癖ですよ。」

「ギコクンマデ クソチビト オナジコト イウノ? ギコクンモ ギャクサツチュウナノ? 」

「クソチビってあなたのお嬢さんでしょ?私には、あなたが上のお嬢さんや
お腹のベビちゃんに対して虐待しているようにしか見えないんですが……」

取調室の画面から、授業風景の画面に切り替わり、モナ木が語りだした。
「このしぃちゃんは、彼女のお嬢さんの証言によると、
いつベビが産まれてもおかしくない状態でした。
今は、ベビを産むために病院にいると思います。
出産後、彼女には罪を償ってもらう予定になっています。
売春の件以外にも、署員に対してうそをついたり、
また、妙な交渉をもちかけたりして、罪を逃れようとしていた彼女に対し、
裁判所は厳しい態度で臨むと思われます。
しぃ族の皆さん。お店以外の場所でのコウビは決してしてはいけません。
そして、もし逮捕されたときは、警察に嘘をついたり、妙な交渉をもちかけたりして
自分のしたことの罰から逃れようとしたりしない様にしましょう。」

エンドロールが流れ、ビデオが終わると、ちびは呆れた表情をしていた。
彼女はビデオについての感想と、取調べの様子を見た感想を力なく微笑みながら語った。
「確かに母が出ているプロモーションビデオでしたね。
お店の女の子のいい教育になるんじゃないでしょうか。
話は変わりますが、取調べの様子もよくわかる内容になっていました。
全く、我が母親ながらとんでもないことを警察でやってたんですね…」
レモナが、ちびの方に手をやりながら力づける。
「お母さんの、いい薬になったと思えばいいじゃない?」
モララーがちびにウィンクしながら、
「お母さんには、食事の後にもっと苦い薬を飲んでもらうことになるから。
それを見れば、ちびちゃんの怒りを静める薬にもなると思うよ。
少し早いけど、食事にしよう。」

「食事をお持ちしました。」
ボランティアの青年が合同会議室のドアをノックし、中の面々に声をかけたのは11時半であった。


2 名前:48 昼食 投稿日: 2004/08/10(火) 21:20 [ nB1qAL9A ]

ボランティアの青年が食事をちび達に配膳している途中、母親が口を開いた。
「ア・アノビデオガ ゼンコクニ デマワルノ???」
「そうらしいですよ。奥さん。あなたのなさった事が
フーゾクに勤めるしぃ族達にいい教訓になるそうです。」

モララーの答えに母親の頬が羞恥からか、怒りからかは図りかねるが、
みるみるうちに真っ赤に染まっていく。彼女は、ヒステリックに喚き散らした。
「シィチャント ベビチャンハ アイドルナンデス! アンナモノ ナガサレチャ ファンガ ダレヒトリトシテ ツカナイジャナイデスカ!」
母親はまだ何か叫びたそうだったが、ちびは彼女に対し、皮肉な笑みを浮かべ言い放った。
「何が『アイドル』よ!あんな恥ずかしい真似をして。刑事さんが言ってたじゃない
『犯罪者の娘がアイドルに?』って。そろそろ現実に戻ったらどお?」
モララー、サスガ(弟)、レモナもちびに同意するように笑顔で肯いている。

「とりあえず、暖かいうちに食べませんか?」 
「そうね。彼らの食事も取らせてあげないと。」
サスガ(弟)が静かに口を開くと、レモナが反応するように、
介助担当の青年達の方を見ながら同意する。

全員の「いただきます」の挨拶で、母親以外のメンバーは楽しそうに世間話をしながら
食事をとり始める。モララーがレモナの注文した食事を見ながら、
「ダイエット始めたのか?」と彼女をからかい、彼女が顔を赤らめたり、
ちびが注文したデザートのごまプリンを見たサスガ(弟)が、感心した表情で
「大人のスイーツを注文したんだな。」とちびに話し掛け、
ちびがはにかんだ笑顔で「初めて注文してみました。」と答えてたりと、
結構ほほえましい場面である。

そんな場面をぶち壊すかのような金切り声で母親がまたも喚きだす。
「ナンナノヨ コノ キモイ オトコ! シィチャンハ ギコクンカラジャナイト ゴハンハ タベナイワヨ!」
「じゃあ、食うなよ」
サスガ(弟)は、さらっと母親に言い放ち、食事を続ける。
「食べないとベビ達のビデオ見せないって言ってたよ。ベビ達に会えないわねえ。
今日は母乳をベビに直に飲ませられるって言ってたじゃない。
今日も、ビニールに詰めた母乳をベビ達に飲ませるのぉ?」
ちびは、ニコニコしながら母親に鋭い言葉を投げた。
さすがに、ちびの言葉がこたえたらしい母親は、介助担当の青年に
「ソ、ソウネ。 オニイサン ゴメンナサイ パンケーキヲ クダサイ。」と頼み、食事をとり始めた。

母親以外のメンバーは食事を終え、軽い食休みを取っている。
レモナは、ちびと世間話をしながら、母親を観察していた。
母親の顔色が悪くなり始め、時折歯を食いしばっている。食事のペースが上がらない。
今日はまだ、母乳を搾り出してないから
恐らく胸が痛み始めたのだろうな、とレモナは推察した。
「手が空いてるほうでいいから、ちょっとこっちに来て。」
介助担当の一人の青年がレモナの下に来ると、彼にレモナは耳打ちする。
レモナの言葉にうなずくと、彼は部屋を出て行ってしまった。

彼女は母親の近くまで来て、いろいろ質問する。
食べながらの会話というのもあるのかもしれないが、母親は口ごもり気味である。
「お母さん。食事が口にあいませんか?」
「イイエ…チョット…」
「ベビちゃんのビデオが見れるのに、顔色悪いですよ?」
「チョット……」
「そろそろ、搾乳の時間じゃないんですかね?今、搾乳機取りに行かせてますんで
ちょっと待ってくださいね。」
「キョウハ モウ シボッテキタンデス。 ダイジョウブデス。」
「またまたぁ。嘘はいけませんよ。うちの者が、搾ったお乳入りのビニールを
取りに行ってないのはすでに確認しているんです。
お母さん、嘘をついても自分にとってプラスにはなりませんよ。
痛くてしょうがないんじゃないんですか?」
「ダ・ダイジョウブ… デス」

3 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 21:21 [ nB1qAL9A ]
搾乳機を取りに行った介助担当の青年が戻り、レモナに搾乳機を無言で渡す。
母親は食事を取り終え、体を横たえている。
痛みを我慢しているからか、呼吸が浅くなっている。
彼のポケットの中には、他にも角張ったものが入っているらしく、大きく膨らんでいた。

彼女は、搾乳機を後ろ手に持ち、母親に追い討ちをかけるように話す。
「お母さん。今搾っとかないと、また3~4時間は搾れませんよ。
炎症を起こして、とんでもない状態になるんじゃないのかなぁ。
痛みに耐えることができますぅ?」
「サ・3~4ジカンモ? ス・スイマセン オテテト アンヨノ カナグヲ ハズシテクダサイ。 ジブンデ シボッテキマスカラ。」
レモナは搾乳機を母親に見せ、母親に詰め寄った。
「ここでいいじゃないですかね?搾っちゃいましょう。」

母親は無駄な抵抗を試み始めるが、ちびに阻止されてしまったようだ。
「カナグヲ ハズシナサイ! コンナトコロデ オパーイナンテ シボレルハズガ ナイジャナイデスカ! 」
「とっとと、搾っちゃってくださいよ。レモナさん。お兄さん。
ギコさんだったら喜んで搾らせるくせに。全くわがままなんだから。」
「ウルサイ!! ウルサイ!! ギャクサツチュウガァアアアア」
母親はちびに向かってお決まりの言葉を吐いている。

レモナが母親を無視してちびに提案し、ちびがニヤニヤしながら応じる。
「このままビデオを上映してもいいんじゃないかしらね?」
「それも、いいかもぉ。おっぱいが痛んで辛いのはあの人だし。」

母親は、二人のやり取りにキレて喚き散らす。痛みに耐えるのも限界だったのであろう。
「オナガイ オナガイ オナガイィィィィイ!! オパーイ シボッテェエエエエエエ
オパーイガ パンパンデ イタクテ ガマン デキナイノォオオオオオオ」
ちびは母親を睨みつけて怒鳴り、それからレモナに頼む。
「人に物を頼むときには『お願いします』でしょ?『オナガイ』って何?
レモナさ~ん。この人が『お願いします』って言えるようになるまで、
搾乳を待ってもらえませんか?」
レモナは、彼女の提案を受け入れた。

4 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 21:25 [ nB1qAL9A ]
レモナとちびは、介助担当の青年と、なにやらこそこそと話し合っている。
話し合いが終わると、レモナは搾乳機を一つづつ青年に渡し、
一方ちびは、青年がポケットから出したポラロイドカメラを受け取る。
「オ・オナガイ オナガイ シマスゥ オパーイガ ハッテ イタクテ ガマン デキマセン…
シ・シボッテ クダサイ」
「『します』をつけたって駄目よ。お・ね・が・い・し・ま・す でしょ?
ギャクサツチュウなんて言葉なんて使ったら、わかってるわね?」
激痛のあまり懇願口調になった母親に、ちびは容赦が無い。

モララーはこの状況を楽しみ、サスガ(弟)は感心している。
二人は、ちびたちのやり取りを見ながらこそこそと話していた。
「しかし、モララー?彼女、実の母親だというのに容赦ないな。(笑)」
「愛別離苦を彼女は幼い時に経験しているからな。」
「アイベツリク?」
「愛するものと別離する苦しみって言ったらいいのか?
彼女、小さいときに友達のでぃちゃんを母親に頃されてるんだよ。
彼女が書いた日記のコピーがあるから、今度見せるよ。」
「別離させたのが母親か…」
「彼女の心の中には、母親に対する小さな憎悪が宿ったんだろうな。
でも、幼すぎて表に出せなかった。出しても逆襲されるのがオチだった…」
「今、憎悪の感情を表に出してると?体も大きくなったし。」
「そうだよ。逆襲されても、大勢の見方もいるしな…。」
モララーとサスガ(弟)は、ため息交じりで、ちび達のほうを眺めていた。

一方で、ちびと母親とのやり取りはそろそろ終焉に近づいたようである。
「オ・オ・オネ・オナガイ… ド・ドウカ・ オパーイヲ シボッテ シボッテ クダサイ」
「なんで、わざわざ言い直すの?お・ね・が・い・でしょ?」
「オ・オナ・オ・ね・ガイシマスゥウウウ ドウカ オパーイヲ シボッテ シボッテェエエエエ!!!!
イタクテ イタクテ シニソウ ナノォオオオオ」

ちびが、勝ち誇った笑みを浮かべながら食事の介助担当の青年に母親の搾乳を頼んだ。
青年たちは、搾乳機のじょうご状の部分を母親の胸に当て、空気を抜いていった。
「そろそろシャッターチャンスかも…」と、一人の青年がちびに指図する。
彼女は彼の言葉に反応し、カメラを構えた。
シュコ・シュコ・シュコ・シュコ…
ポンプで搾乳機内の空気を抜く音に混じり、
母親がカメラを構えたちびに撮影を止めるように懇願する声が聞こえてくるが、
ちびは当然、母親を無視している。

5 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 21:26 [ nB1qAL9A ]
シャアアアアア… 
カシャカシャカシャ…
「イヤアアアアアアアアアアアアアアア トラナイデエエエエエエエエ」
母乳が瓶の中に勢いよく流れ込んでいく音、シャッター音
母親の絶叫が奇妙なシンフォニーを奏でる。
「さてと。どうかな?ちゃんと撮れたかな?」
ちびはニコニコしながら写真の出来具合を見ていると、
搾乳機を持った青年の一人が、ちびに助けを求めている。

ちびは、彼の求めに従って、ファスナーつきのビニール袋とストローをレモナに渡し、
レモナが手際良く、瓶の中の母乳をビニール袋に注ぐ。
渡した袋が全て母乳である程度満たされると、レモナはビニール袋の中にストローを入れ、
中の空気を抜き、ファスナーを閉じていく。
3袋の母乳入り真空パックの袋が出来上がった。

「これ、持ってってね。あと、写真の出来具合はどうかしらね。」
レモナが、母乳についての指示を介助担当の一人に出し、
そして、ちびが撮影したポラロイド写真を手にとり、青年達に見せた。
「ありがとう、ちびちゃん。」一人の介助担当の青年がちびに礼を言う。
もう一人の青年がちびにサムズアップをして見せた。どうやら、うまく撮れていたらしい。

青年達のうちの一人が写真と母乳入りビニール袋を持ち、部屋を退出すると、
モララーが母親に、ベビ達のビデオについての話を始めた。
2本組みであること、ビデオを見た後にベビ達に会わせること、3時間ほどかかること。
母親は、荒い息をさせながらモララーの話を聞いていた。

「じゃあ、そろそろ始めましょうか。」
ビデオを巻き戻し終わった音が聞こえた後に、
サスガ(弟)がビデオを入れ替え、みんなに声をかける。
ベビ達のビデオの上映会が始まった――――

6 名前:49・死産ビデオ 投稿日: 2004/08/10(火) 21:28 [ nB1qAL9A ]
サスガ(弟)がビデオのスイッチを入れているとき、モララーがニヤけて、
「さぁ、ベビちゃん達のプロモーションビデオですよ。」と声をかける。
母親以外の全員は苦笑いしているのだが、母親はある種の必死さを瞳にこめて、
ビデオ画面を注視していた。

『こんにちは ベビちゃん』と書かれたタイトルの下方には、
母親と4体のベビのほのぼのとしたイラストが描かれている。

ギコと、モラ谷が並んで座っている映像に切り替わり、
モラ谷が挨拶代わりの説明を始める。
「今日は、とんでもない症例を皆さんにお見せすることになりました。
解説は擬古田薬品の研究所からおいでいただきましたギコさんです。」
ギコは画面に向かって黙礼し、説明を始めた。
「ベビしぃを腹の中に入れたままで、ちびギコ相手に売春してた妊娠しぃだゴルァ。
まず警察で、この馬鹿母が自分のベビ達のことについて
どんなことを言っていたのか見てもらうぞ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
警察内での、母親とギコ崎が会話をしている映像に切り替わった。

「……それに、そのお腹。そろそろ臨月くらいじゃないんですか?
ベビちゃん達、大丈夫ですかね。全員氏んでるんじゃないのかな?
ちゃんと動いてますか?(笑)」

「アノ クソチビヨリモ ベビチャンタチハ イイコダカラ ダイジョウブ。 ベビチャンタチハ チビクンタチトノ コウビノ トキモ
タクサン ウゴイテ シィチャンヲ キモチヨク シテクレタンダカラ。 オヤコウコウナ ベビチャンタチデショ。」

「それって、ベビちゃん達が逃げ場所求めてもがいてただけでしょ?
だって、一種の虐待だもんね。やっとお腹から出られるのに、チビギコ達のティンポや
大人のオモチャで逃げ道ふさがれた挙句、突っつかれまくったんだもの。
医者じゃなくたって、ベビが氏んでることくらいは想像つきますよ。
自分の都合のいいように解釈するのって、あなた方しぃ族の悪い癖ですよ……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
モラ角は、呆れた表情を浮かべている。
ギコは、モラ角の表情を見ながら、ちびたちが研究所にきた経緯を説明した。
「言葉が出ないって感じだな。まぁ、よくわかるけども。
それでだな、この母親と娘さんが警察と一緒にうちの研究所にきたわけ。
で、ベビ達を出したんだ。」

モラ角は、落ち着きを取り戻したらしく、いろいろと質問を始めた。
「ベビ達の様子はどうだったんです?」
「さっきの映像で、刑事さんが『ベビ達が氏んでることくらい医者じゃなくても想像つく』
って言ってただろ?刑事さんの言う通り、全員死産だ。」
「あらら。(笑)」
「うちの医師が術前のエコー検査をしたんだが、母親にベビ達の胎動が無いことを告げると、ニコニコしながら母親が『オネムデスヨ』と言ったらしいんだ。呆れた医師が彼女にベビ達の心音を聞かせたら、ようやく事の重大さに気づいたらしいんだ。」
「かなりの馬鹿っぷりですね。ところで、次の映像は?」
「手術直前の映像だ。この馬鹿親は、術前の検査の時に担当した医師に体重を少なく申告していたんだ。うちの麻酔医はいつもは冷静な奴なんだが、このときは少しキレかかっていたな。ま、患者に嘘をつかれてたわけだから当然って言えば当然なんだけども。」

7 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 21:30 [ nB1qAL9A ]
母親が入院している部屋のドアにかかっている番号が映し出され、
撮影者と思われる男性の声で、こまごまとした説明が入っている。

「はい、こちらは子宮と卵巣、そしてベビを取り出すしぃちゃんの入院している部屋です。
レモナ先生に鎮静剤を注射され、彼女は現在眠っています。
これから、麻酔の下準備として彼女の体重を量り、
サスガ先生が麻酔に使う薬剤の量を決めるそうです。それからオペ室に運び、
麻酔後、手術になるそうです。執刀はレモナ先生とモララー先生だから、
このしぃちゃんは恐らく、麻酔が効きかけで手術かなぁ?では、入室しま~す。」

ドアを開ける音の後、彼は部屋に入り、母親の様子を映し出した。
ベッドの上で寝言を言いながら、熟睡している。
「ハ、ハニャ… ギコク~ン シィチャント イッショニ マターリシヨウヨ オカネナラ イクラデモ ダスカラ…」

「しばらくすると看護師さん達や麻酔医のサスガ先生がいらっしゃいますので、
ママになり損ねる予定のしぃちゃんの寝言でもお聞きください…」
男性の言葉の後に、母親の寝姿が映し出され、彼女の寝言も続けて聞こえている。
眠っている間というのは本性が丸見えになるようだ。
「ギコク~ン ベビナンテ ショウライ ウリワタセバ イインダカラ。 イッショニ コウビシヨ! ネ?
チビハ キケイデ ウレナイケド ベビタチナラ カワイイカラ タカネデ カッテクレルモノ…」

看護師が入室してきたときに、母親の寝言が聞こえていたらしく
彼らは一様にポカーンとした表情を浮かべている。
撮影者の男性が看護師達を撮影しながら、彼らにインタビューを始めた。
「どうでしょう。これからしぃちゃんの手術に立ち会われるわけですが。」

「上のお嬢さんがお母さんの子宮と卵巣の摘出を希望してたんですが、
理由がわかるような気がします。」

「こちらのでぃちゃんは、ベビちゃん達のために涙を流しているようですね。」

「コドモ… ハハオヤ… エラベナイ…」

「でぃちゃん?今のうちに彼女たちのために泣いてあげて下さいね。
手術が始まったら、泣いてなんていられませんからね。」

カメラは静かにうなずくでぃを映していた。

パタパタパタパタ…
足音がする方に撮影者の青年がカメラを向けると、
サスガ(兄)が息を弾ませ、立っていた。
「麻酔科のサスガ(兄)先生です。手術中、弟さんと一緒に呼吸や、心電図、血圧の管理を行います。弟さんは法医学を専攻されていて、ベビ達の死因を調べるそうです。
手術後は、弟さんのサポートですね?先生。」
撮影者の青年に不意に尋ねられたサスガ(兄)は、微笑みながらうなずいた。

8 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 21:30 [ nB1qAL9A ]
サスガ(兄)は早速麻酔の前準備のため、看護師達にいろいろと指示を出し始めた。
「さてと、諸君。体重測定から始めることにするよ。体重計はあるね?」
看護師たちが体重計を彼に見せると、続けて指示を出す。
「じゃあ、乗せるよ。漏れも手伝おう。」
サスガ(兄)を含めて5~6人ほどで、母親をベッドから持ち上げる。
全員で掛け声を出し、母親を体重計に乗せてある大きな籠の上に乗せた。

「25kg」 「もっとあるんだと思ってたよ」
「そんなもんだろ。眠ってる患者を移動する時って、結構重く感じるじゃん。」
看護師たちが口々に感想を述べていると、サスガ(兄)が続けて指示を出す。
「体重計からストレッチャーに移して、腹部の剃毛を頼む。
剃毛後、オペ室につれてって。それから、モララーとレモナが君達に合流すると思うが、
彼らに、『薬剤の量の調整が生じたので、少々遅れる』と伝えてくれ。」
看護師たちの返事を聞いたサスガ(兄)は少々不機嫌な表情を浮かべて
病室からいったん退出した。

母親の全身が映し出された後、マジックで四角をかかれた腹部が映し出される。
恐らく剃毛範囲と思われるが、看護師達は範囲を忠実に守って剃るつもりは無いようだ。
「切腹だから、マジックの中だけ剃ればいいの?」
「マソコの毛も剃っちゃえ。どうせしばらく使えないんだし(笑)」
「使えないっていうか、使ってもベビが入る場所が無くなるんだけどね。」
「いや、卵子を作る器官もなくなるから。(笑)」
女性団体が聞いたら卒倒しそうな言葉を看護師達は並べながら、剃毛作業を始めている。
鋏でまず腹部や陰部周辺の毛を短く切る。指でつまめない位の毛の短さまで切り終えると、
オリブ油を腹部と陰部に塗りたくり、かみそりで丁寧に陰毛まで剃り落とした。

9 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 21:32 [ nB1qAL9A ]
看護師達は掛け声をかけながら、母親をベッドからストレッチャーに移動する。
看護師達は世間話をしながら、ストレッチャーを押して、手術室に向かった。
手術室までの直通エレベータまで来ると、彼らにモララーが合流した。
看護師はエレベータ内で、サスガ(兄)からの言葉をモララーに伝言した。
「あ、モララー先生。サスガ先生が『薬剤の量の調整が生じたので少々遅れる』って
伝えてくださいって。」
「わかった。」
しばらくエレベータ内は静かだった。

チン。
到着を知らせる音が鳴り、エレベーターのドアが静かに開く。
レモナとサスガ(弟)、そして息を弾ませたサスガ(兄)がドアの前にすでに立っていた。
「お?薬剤の調整は完了したのか?」
「事前の検査のときに、レモナに体重を少なく申告しやがって…」
モララーの問いに、兄は少々立腹気味に答えた。
「母親よりも女なのかしら。全く。」
レモナもストレッチャーで安らかな寝息を立てている母親を見ながら呆れている。

「行こう、兄者。レモナ、モララー。早く終わらせて、ベビ達の悲惨な氏に方を
この馬鹿親に知らせてやろう。」
サスガ(弟)の言葉に、場にいた全員は使命感を持った表情でうなずき、
ストレッチャーを手術室に向かって走らせた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
手術室の前にいるちびがお辞儀をしている映像が映し出され、その後に
モラ角と、ギコが二人で並んで座っている映像に切り替わった。

「*の無いちびしぃがいましたが、彼女は?」
「上のお嬢さんだ。彼女がまともな分、母親のDQNっぷりが際立ってな。(笑)」
「さて、これから手術なわけですが?」
「うん。ベビ達が育ちすぎてて、子宮がとんでもない状態になってたんだ。
 取り出し辛くて、執刀医たちが困ったって言っていた。
あと、産婦人科医が激怒したな。ベビ達の動く場所が無いって。
あれでは、酸欠起こすってさ。詳しくは、映像を見た後で説明しよう。」

10 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 21:33 [ nB1qAL9A ]
気道確保のために挿管され、口をテープで固定された母親の全身が画面にうつしだされる。
撮影者の青年は、眠っている母親を画面にうつしながら説明を始めた。

「これから手術が始まります。今、サスガ(兄)先生の指示により麻酔薬が点滴されています。先生方と看護師さん達は現在手を洗いに行ってます。
ベビちゃん達とこの馬鹿母との対面が重要らしいので、この母親に氏んでもらっちゃ困るらしいです。感染症起こすもんね(笑)。無難なところを切開しながら母親の反応を見て手術の開始かなぁ?」

レモナ・サスガ兄弟・モララー・看護師らが所定の位置につき、
レモナの号令と、それに呼応する皆の挨拶から手術が始まった。

「ちょ、ちょっと、これ…」 「おいおい…」
母親の子宮内の状況に驚きを隠せない様子の
モララー・レモナの表情が映し出される。
「ここも撮影頼む」
サスガ(弟)の声に従い、撮影者は母親の子宮内を映した。
「げ…」
撮影者の青年もビックリして思わず声をあげてしまった。

チィチィともう少しで泣き始めるであろうと思われるベビ達が
すし詰めになって母親の子宮からお目見えしたのだ。
左右対称に、顔を互いにそむけ丸まっているベビ2体。
彼らの上方に、背中を子宮口側に向け丸まっているベビが1体。
そして腹部を子宮口側に向けそっくり返っているベビ1体。

レモナとモララーが手早くベビ達を取り出し、看護師に渡していく。
看護師に渡ったベビ達について指示を出しているサスガ(弟)の声も聞こえる。
撮影者の青年は子宮内を映しながら説明をしている。
「サスガ(弟)先生が一番・二番…って言ってるのは、その番号が書かれたリストバンドを清拭を終えたベビ達の腕に巻いてねという指示を看護師さん達に出してるんです。
お?母体からベビ達がこれで全員出されましたね。私はこれから、ベビ達の様子を撮影に行きます。いったん、モラ谷さんに返しますね。」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「と、返されてもなぁ…」
モラ谷は思わず呟いた。顔には脂汗がにじんでいる。
「ベビ達は、母親の糞狭い子宮の中ですし詰めになってたんだそうだ。
電●ネットワークの芸であったろ?ふとんの圧縮袋の中に人間が入るやつ。あんな感じ。」
ギコに話題をふられたモラ谷は、幾分ほっとした顔でギコに話を合わせる。
「ええ。確か、掃除機で空気抜くんでしたよね?」
「そう。空気を抜いた状態のふとんの圧縮袋の中にベビが入ってたと思えばいい。
うちの産婦人科医が怒ってたのわかるでしょ?」
「だって、電●ネットワークさんのはいい大人がやってるから芸になるのであって、
ベビがあんな状態の所に入ってたら、氏ぬじゃないですか。ただでさえ、しぃ族って
脆いんでしょ?」
「脆いぞ。ベビ達の遺体の状況がかなり酷いものだったらしい。
ま、後で詳しくでてくるけどな。」

モラ谷は気を取り直し、ギコに質問を始めた、
「ベビちゃん達は仮死状態だったんですか?」
「仮死どころか、死後硬直まで始まってたそうだ。
次は、そこら辺の映像が出てくるかな。映像を見てみよう。

11 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 21:34 [ nB1qAL9A ]
葬送行進曲をBGMに撮影者の青年が話を始めた。
「さて、ベビ達はこれから体をきれいに拭かれた後、
鼻や口に入った羊水や血液を吸引されて、無駄な心臓マッサージを行うそうです。
蘇生術の練習するんですと。子供の心臓マッサージって難しいんだそうです。
では、移動します。」

青年は執刀中のレモナ達から離れ、ベビ達が集められている場所に移動した。
仮の棺であるベビーベッドには、一番と書かれたリストバンドを腕に巻いたベビが
すでに横たわっている。
「清拭中のベビのほうに行ってみましょう。」
粘液を吸引するズルズルという音のする方にカメラを向けると、
体を洗われたベビが1体、細い管を鼻から入れられて粘液を吸引されていた。
「このベビちゃんは?」 
「二番のベビ。一番のベビとこのベビは使えないなぁ。肋骨折れてるじゃんよ…
もしかして片方の肋骨全部いってるかな?」
青年に尋ねられた看護師は、舌打ちをしていた。

しばらくすると、全てのベビ達が体の清拭、羊水や血液等の吸引を終え
ベッドに寝かせられた。看護師が体の中心線に沿ってベビの胸元を触りながら、
手術室に向かって大声で叫ぶ。
「レモナ先生!心臓マッサージの練習、できませーん。
一番と二番、肋骨片方全部いってるでしょぉ?」
レモナの大声が返ってくる。
「あなたもそう思ったぁ?そう、一番と二番は肋骨いってるわ。
練習はできないわね。とりあえず、心電図のモニターはつけててね。」
レモナの指示に看護師は大声で返事をした。

「氏んでるしるしを、皆さんにお見せしますね。」
看護師たちが手際良く、心電図のモニターをベビ達の胸部につけていく。
そっくり返ったり、丸まったりしているベビ達は彼らの手によって
まっすぐな姿勢に整えられた。
彼女らの腕に巻かれたリストバンドの番号、次に*の無い氏に顔が映され、
そして、心電図のモニターが映された。

「お母さん、画面の向こうでご覧になってます?これが一番のベビちゃんのお顔ですよ。胸につけた電極はモニターにつながっています。
心臓が動いていれば、モニターに波線が現れて、心拍数や血圧のところに数字が現れるはずですが… 現れてませんね。」
二番、三番、四番のベビも同じように、看護師は説明をしていった。
ベビ達は泣きもしないし、手足も動かさない。心電図のモニターには、直線しか現れないし、もちろん心拍数、最高/最低血圧はともに0を示している。

一番、二番、三番、四番のリストバンドをつけたベビ達は胸部に電極をつけられ、
ベッドに横たわっている。撮影者の青年はまず彼女らと機械のモニターを
アップでゆっくりと撮影しながら話し始めた。
「彼女らの上のお嬢さんは*が無いことで、母親から『キケイ』と言われていたそうです。
また、お母さん『キケイ』を産んじゃいましたねぇ。手術室でこういうこというのは不謹慎だけど、この子達は氏んで産まれてよかったのかもね。『死産編』のビデオはここでおしまいです。死因は直接先生方から聞いてくださいね。」

ビデオが終了し、スタッフロールが流れる。
最後に、腹ボテの母親がちびギコと楽しそうにコウビしている姿を、
4体のベビ達の幽霊が怨めしそうに上方から見ているイラストが30秒ほど流れた。

次回:擬古田薬品 (8)