異世界の恋姫と悪魔商会の陰謀

ケイティ

――ここが報告にあった、魔物の出没地点ですね。

アンナ

この街道は商隊も利用する、
重要な経路ですからね。
手早く安全を確保してしまいましょう。

グリム

（んん……？
なんだか変な魔力を感じるようなー……？）

ソーマ

グリムちゃん、どうかしましたか？

グリム

いえ、だいじょぶです。
ただちょっとだけ、変な感じがするなーっと。

アンナ

……グリムさんが何かを感知しているなら、
警戒しておいた方がいいかもしれませんね。
王子、慎重な指揮をお願いします！

？？？

――ここは……？
突然風景が変わったように見えたけど……。

？？？

わぁっ、雪蓮姉様！
いつの間にか囲まれちゃってるよー！

？？？

異国風の装いに見慣れぬ武具……。
どこぞの傭兵か盗賊の類じゃろう。

？？？

いずれにせよ放置はできないわね。
賊と言えど全力で叩く！
然る後に他の部隊と合流するわ。全軍進めーッ！

フィリス

なっ……いったいどこから！？
華の国の兵か！？

グリム

あの次元の歪み方……。
異界の門が開いちゃったみたいですねー。

アンナ

ということは、
彼女らは異界から迷い込んだ者たちと……。
話を聞いてくれると助かるのですが……。

フィリス

でもあっちはヤル気みたいだ。
迎撃しないとこっちが潰されるぞ！

ケイティ

王子、今は味方の安全を最優先にしましょう。
話を聞いてもらうためにも、
ここは戦うしかなさそうです！

孫権

雪蓮姉様、お待ちを！！
双方剣をひけ！！　我らは味方だ！！

アンナ

あ、あなたは、孫権さん……？
では、この方々は……。

孫堅

ハッハ！　久しいな、王子よ。
オレの娘が世話を掛けたみたいだな。

？？？

蓮華、母様！　彼らが味方……？
異国の装いのようだけど、
いったいいつの間に同盟関係を……。

孫権

……話すと長くなるのだけれど、
なんというのか、以前に、異界の門……？　が開いて……。

孫堅

まだるっこしい……。
こいつらは異世界の盟友！
そしてオレたちは、また異世界に来た！　わかったか？

？？？

はっ……えっ……？
異世界……？

黄蓋

盟友というのなら問題はあるまい。
異界の門とやらも含め、
詳しい者に事情を聞くとしようじゃないか。

アンナ

えぇ、孫権さんのお知り合いだというのなら、
ぜひ歓迎させてください。
王子、まずは一度、拠点へ戻りましょう。

？？？

――なるほど、蓮華たちが言っていた、
異世界というのはこの世界のことだったの。

共に戦った王国の猛者たちに剣を向けたこと、
謝らなければいけないわね。

アンナ

いえ、それはお互い様ですから。
双方共に、怪我がなくて何よりです。

孫策

そう言ってもらえると助かるわ。
――改めて、私は孫堅が嫡嗣、孫策伯符よ。

孫尚香

私は孫尚香！
蓮華姉様がお話してた異世界、
一度行ってみたいって思ってたんだ♪

黄蓋

姓は黄、名は蓋。字は公覆じゃ。
以降見知りおくがいい。

清源妙道真君

孫策さんに、孫尚香さんに、黄蓋さん。
やはり華の国と文化が近いのでしょうか。
名前もどこか、馴染みのある発音ですね。

孫策

妹が、食文化も似ていると言っていたわね……。
どうにも、華の国の文化は他人の気がしないわ。

バシラ

それから、孫堅さんに、孫権さん。
お久しぶりです！　元気にしていましたか？

孫堅

あの後も色々あったがな。
王国の者らも壮健なようでなによりだ。

孫権

まさか、また異世界にやってくるなんて、
想像もしていなかったけどね。

グリム

――わわっとー。
みんなお揃いですかー？

アンナ

グリムさん、異界の門の調査お疲れ様です。
あの門は帰還に使えそうですか？

グリム

んー……。
挑戦的な実験としてなら使ってもいいですかねー。
正直全然、安全が保証できないやつでーす。

アンナ

なるほど……。
新たに帰還用の門をつくることは？

グリム

ちょーっと時間がかかりますねー。
以前の門の残滓が原因で、
偶発的に開いてしまったようですし。

むしろ、勝手に門が開いた方が大問題ですねー。
もしかすると、他にも巻き込まれた人がいるかも？

孫策

帰還が叶うのなら問題ないわ。
ただ、それまで雨露をしのげる場所を探さないと……。

清源妙道真君

それなら、王国に滞在してもらえば良いのでは。
いわゆる食客というやつですよ。

孫堅

ハッハッ、オレたちが王国の食客か。
悪くねえな。
ついでに悪漢凶漢も蹴散らしてやるぜ。

アンナ

では、私たちは、
他に異世界から召喚されてしまった方がいないか、
周辺の調査をしましょうか。

デーモンシェフ

――ふふふ、デモシェフキッチン2号店、
開店準備は順調なようだな！

副デーモンシェフ

魔界へ帰れなくなった後、
いくつもの苦労を重ね、辿り着いたシェフの道……。
その後も色々な事業の経験を積んできましたが――

とうとう！　とうとう本業たるシェフとして！
支店を出すまでに至ったのですね……！！

？？？

おめでとうございます、社長さん。
きっと素敵なお店にしましょうね。

デーモンシェフ

おお、董卓殿！
開店準備への尽力、本当に助かったぞ！

呂布

ん……まかないも美味しかった。

デーモンシェフ

呂布殿も、店舗の建築まで手伝ってくれて、
おかげでスケジュールどおりに
支店を開くことができそうだ！

副デーモンシェフ

さて、建物も仕入れルートも問題なし。
そろそろ従業員の募集をかけに――

？？？

副デーモンシェフ、
時は金なりと言う言葉をご存知かな？

副デーモンシェフ

む……インテリデーモン、
いったいどこへ行っていたのですか。

インテリデーモン

フフフ、偉大なるデーモンシェフ様のため、
本当に必要なことをしていたまでですよ。

そう、従業員募集はすでに済ませてあるのです！
迅速、正確、そしてパワー！
これより最終選考が始まるのです！

デーモンジェフ

おお、もう最終選考まで進めていてくれたのか。
インテリデーモンよ、よくやってくれた。

インテリデーモン

恐悦至極に存じます。
――さぁ、最終選考まで残った猛者たちよ！
今こそその実力を見せるのです！！

山賊

あぁンッ！？

盗賊

やんのかテメー！！

董卓

……えっと、たしか、
おしゃれで素敵なデモシェフキッチン、でしたよね。
少し、その、なんというのか……。

呂布

ん……むさくるしい……。

山賊

へっへっ、わかったぜ、
このデッケエ得物を持った嬢ちゃんが試験官だな？
野郎ども、こいつに勝ったら採用だーッ！！

董卓

あ、あのっ、最終選考は面接で――

呂布

……危ない、下がって。
こいつら……ぜんぜん話聞いてない。

デーモンシェフ

……ムムムム。
なぜこう、いつも上手く行かないのか……！？

ソーマ

――おや？　王子、あちらで何か騒動が……。

エスネア

あれは……んん？
もしかして、デーモンシェフの新店舗の前じゃない？

アンナ

暴動が起きているのかもしれません。
王子、急いで鎮圧しましょう！

デーモンシェフ

……インテリデーモンよ、
お前が会社のために働いてくれたことは嬉しく思う。
だが、もう少し手段を選んではくれまいか。

インテリデーモン

はっ……面目次第もございません。
次はしっかりと手段を選ぶ所存です。

董卓

大丈夫、でしょうか……？

副デーモンシェフ

彼は昔から、思い込みが激しいところがあり……。
ですが、社長に叱られた以上、
これで騒動を起こすことはなくなるでしょう。

デーモンシェフ

そして王国の皆、鎮圧を手伝ってくれたことに感謝を。
そしてこちらの董卓殿、呂布殿、
インテリデーモンは新たな社員だ、よろしく頼む。

バシラ

……あれ？　呂布さん？

呂布

ん……バシラ、久しぶり。

バシラ

お久しぶりです――って、
きゃぁっ！？　耳もふもふはだめですよー！

呂布

かわいいねこ、もふもふ……。

デーモンシェフ

ん？　もしや知り合いだったのか？
異世界から迷い込んでしまったと聞いたのだが……。

アンナ

えぇ、以前お会いしたことが。
そちらの董卓さんは初対面なのですが……。

董卓

初めまして、董卓と申します。
今はデモシェフ商会にて、
臨時社員としてお世話になっています。

アンナ

デーモンシェフさんの所なら安心ですね。
現在、帰還用の異界の門を準備していますので、
少しのあいだ待っていていただけますか？

デーモンシェフ

おぉ、帰還手段が用意できるのか。
それでは、その準備が終わるまで、
彼女らの衣食住はデモシェフ商会が保証しよう。

董卓

社長、よろしいのですか……？
私はまだ、何もお手伝いできていないのに……。

デーモンシェフ

何を言う、支店の展開において、
董卓殿の果たした役割は非常に大きいのだぞ！

その知略、技術、何よりも大きな優しさを、
もうしばらくの間、デモシェフ商会に貸してほしい。

アンナ

――董卓さんたちは、これで大丈夫そうですね。
王子、他にも異世界に迷い込んだ方がいないか、
周辺地域を調査してみましょう。

インテリデーモン

（さすがはデーモンシェフ様……。
叱責を装い、新たな知見を授けてくださるとは……）

（手段を選べ――つまり、なるほど、
そういうことなのですね、デーモンシェフ様……ッ！！）

セブン

――なぁ、姐さん。
最近やけに、街の治安が悪くないか？

アイリーン

……お前も気づいたか。
しかし、闇の組織の介入は報告されていない。
他の原因があるのかもしれないな。

セブン

職業犯罪者っていうより、
荒くれ者ばかりなのも気になる――って、
噂をすれば、あれは王子の部隊かな。

アイリーン

異世界からの迷い人を捜索中だそうだ。
――ん……待て、様子がおかしいぞ。

　
山賊

――へっへっへ……。
ここは通さねぇぜ、王子サマよぉ。

孫策

へぇ、この世界にも野党の類がいるのね。
どこの世も変わりなし、か。

山賊

あァん！？　部外者は黙ってろ！
俺たちはケーザイ？　ってヤツで、
この世界のテッペンを取るんだからよぉ！！

セブン

……まずい。
姐さん、こんな場所で戦闘したら、
街の住人に被害が出るんじゃ……。

アイリーン

……いや、心配はいらない。
見ろ、セブン、あの御人らに見覚えはないか。

曹操

――困っているようね、王子。
この曹孟徳に降るなら、助けてあげないこともないわよ！

諸葛亮

はわ……暴徒を鎮圧していたら遅くなっちゃいました。
王子様、町の外はもう安全です！

関羽

いつも呼び出される時は戦火の中ばかり。
しかし、盟友のためならば、
幽州の青龍刀がその力を貸しましょう。

趙雲

おや、では上げた首級の数で、
今夜の酒代を賭けるとしましょうか。

馬超

ふざけている場合か！
さぁ賊どもよ、かかってくるがいい！

劉備

――おまたせしました。
これより、王国に加勢します。
街の人たちは私たちにお任せを！

アンナ

魏と蜀のみなさん……！
王子、これで街の被害は心配無さそうです。
このまま賊を鎮圧しましょう！

山賊

――ぐへぇ……。
お、俺たちは、ケーザイで世界のテッペンを……。

アイリーン

……尋問はお任せを。
王子は彼女らと積もる話もあるでしょう。

曹操

やれやれ、街の中まで野盗だらけなんてね。
反対側から鎮圧していたから、
到着するのが遅くなっちゃったじゃない。

劉備

でも、おかげで挟み撃ちにできました。
街への被害もなかったし、
うん、完璧な戦いでしたね♪

アンナ

皆さんもこちらの世界に迷い込んでいたんですね。

関羽

……も？　ということは……。

孫策

まさか異世界で、顔を合わせることになるとは……。

セブン

元の世界は同じだけど、
仲間……ってわけじゃなさそうかな。

劉備

あはは……ちょっとむずかしい関係ですね……。
あっ、こちらでいうところの、
白の帝国と王国の関係というか……。

曹操

まぁ、こっちにいる間は仲良しで構わないわ。
よその世界にまで、
騒動を持ち込む必要もないでしょう？

諸葛亮

そうですね……。
持ち込むまでもなく、
すでに騒動が待ち構えていますから。

王子様、先ほどの賊が、
別の街でも何かを企んでいると話していました。
目的までは分かりませんが、急いだ方が……。

趙雲

大規模蜂起……というには生ぬるい。
しかし無視するわけにも参りますまい。
王子どの、我らも助力いたしましょう。

アンナ

皆さんと再会を喜びあいたいところですが……。
今は賊の対処が最優先ですね。
王子、急ぎ次の街へ向かいましょう！

アンナ

――デモシェフ商会が、この騒動の中心……？

アイリーン

尋問した賊によれば、ですが。
ケーザイでテッペン――つまり、
商業力で独立国家の樹立を目指していると。

セブン

その上、最前線に立ってるのは呂布らしい。
あいつ、そんなことするようなヤツには見えなかったんだけど。

バシラ

呂布さんはそんなことしませんよ！
ちょっともふもふが激しいですけど、
すっごくいい人ですから！

ケイティ

デモシェフ商会も同様です。
最初期こそ衝突も激しいものでしたが、
それは物質界に不慣れだったために起きたこと。

今の彼らは、むしろ魔王決戦で被害を受けた人々のために、
様々な援助すらしているのですから。

劉備

荒くれ者を率いて、
各地で暴れ回ってる原因、かぁ……。

関羽

――脅迫、いや、人質でしょうか。
そうでもなければ、彼女が従うとは……。

セブン

その線はありそうだ。
さっきの賊も、こう言っていたから。

最前線に呂布、頂点に董卓。
これこそがケーザイセンソーのホーテーシキよ、ってさ。

劉備

月ちゃんが主導して反乱……かぁ……。

関羽

ないと言い切る事はできませんが、
必ず、その背後には事情があるはずですね。

アンナ

お二人とデモシェフ商会が、
何かに巻き込まれている可能性が高そうですね。
王子、警戒しつつ次の街を目指しましょう。

呂布

――来た……か。

バシラ

呂布さん……。
やっぱり、情報は本当だったんですね。
いったいどうしてこんなことを――

呂布

ん……話せば長いし、話すわけにもいかない。
ねこには悪いけど……ここで、倒す。

曹操

やっぱり、事情があるみたいね。
まさか異世界で戦うことになるとは思わなかったけど。

劉備

月ちゃんのことで、脅されてるんじゃないの？

呂布

…………話している時間はない。

孫策

何にせよ、やる気だというのなら応えるわ。
手を抜けば、このさきの街に被害が出るもの。

呂布

……全力で、来い。

孫策

その意気やよし！
大陸最強の実力、見せてもらおう！

呂布

…………強い。
王国の兵も、なかなかやる。

関羽

……まさか、この程度で撤退するとは。
彼女らしくありませんね。

ケイティ

この程度という割には、
とんでもない強さだったのですが……。

孫尚香

誰もが認める大陸最強、だからねー。
全力で戦っていたら、損害はこんなものじゃなかったよ。

黄蓋

然り。双方に甚大な被害が出ていたであろう。
つまり……全力を出せない理由があるということか。

諸葛亮

人質の線が濃くなって来ましたね。
デモシェフ商会内でクーデターが発生したとか……。

エスネア

まっさかー、デモシェフ商会に限って――
いや、うーん、あるのかも……？

アンナ

私たちの知らないところで、
何らかの陰謀が動いているのかもしれません。

王子、負傷者の手当てが終わり次第、
呂布さんの後を追いましょう！

――ある日のこと。

孫堅

ほう、王国流の歓迎の祭りが、
まさか模擬戦だとはなぁ。

趙雲

ちょうどいい。
呉と蜀、どちらの武人が優れているのか、
王国の者たちに知らしめる好機と言えましょう。

諸葛亮

はわわっ！？
……あの、異世界に来てまで模擬戦ですか！？

関羽

ふふ、何なら王子殿にも参戦してもらいましょう。
異世界の武人との手合わせなど、
またとない機会ではありませんか。

王子

…………（こくこく）

孫策

いいでしょう。
ならばどちらの陣営につくのか、
どの判断を聞かせてもらうわ。

　　　　【陣営選択】
どちらの陣営に味方するかで、
登場する敵が変化します。
近接ユニットを配置して、
味方する陣営を選択してください。
　
蜀陣営に参加：関羽の前に配置
呉陣営に参加：孫策の前に配置

関羽、孫尚香から攻撃を受けると、
攻撃後の待ち時間が
大幅に増加します。
　
麻痺などの状態異常と同じく
特定のユニットで軽減、
無効化が可能です。

孫策がいる間は
全ての敵の攻撃と防御が
アップします。

孫堅から
攻撃を複数回受けると
麻痺状態になります。

諸葛亮は攻撃を行いませんが、
諸葛亮がいる間は、
味方の防御、魔法耐性が
30%ダウンします。
　
また全ての敵の攻撃力が
30%アップします。

劉備がいる間は、
以下の効果が発生します。
　
・全ての敵の攻撃と防御がアップ
・全ての敵のHPが徐々に回復

こうして共闘するのも久々ですね。
盟友として、王国に勝利をもたらしましょう！

やってみなさい、蜀王国連合！
我ら孫呉の実力、見せてあげるわ！

敵が来るぞ！
恐れるな、勝利は我らにあり！！

孫呉の陣営に加わるのね。
その慧眼、称賛に値するわ！

何が慧眼なものですか。
王子殿、後悔させてあげましょう！

――準備は整ったようね。
全軍武器をとれ！　模擬戦といえど気を抜くな！！

どっちも選ばないか……。
ハッハッ！　両方とやり合いたいとはな！！

さすがは名高い武人たる王子殿。
ならば、こちらも全力で参りましょう！

物好きもいたものね。
けれど、私たちの力を見たいというのなら良いでしょう！

……王子ももの好きですね。
蜀と呉、両方を相手に戦いたいなんて。

しかし、これが王国軍師の腕の見せ所。
王国に勝利をもたらしますよ！

そこまで！
勝者、蜀王国連合！

ふぅ、腕は落ちていない――いや、
むしろより一層強くなっていましたね。

あの後も激戦があったんですね……。
でも、だからこそ、今の王国があるのでしょう。

王子様も、王国兵の皆さんも、
練度が段違いになってましたからね。

今回の模擬戦はいい機会でしたね。
異世界の武人と肩を並べ戦う事で、
きっと兵も、いい刺激を受けたはずです。

ところで、先ほどからなにやら、
いい匂いがするような気がしませぬか。
どこかで祭りでも？

ふふ、せっかく皆さんと再会できたのですから、
ささやかながら、酒宴の用意をしてみました。

酒宴とは、かたじけない。
しかしちょうど腹も減っていたところです。

たっぷり用意してありますから、
遠慮せずに召し上がってくださいね。
あっ、華の国からメンマも取り寄せましたよ？

なんと気の利く！
ささ、王子殿！　酒宴会場へ参りましょうぞ！

そこまで！
勝者、呉王国連合！

ふふっ、やるわね。
王国軍の力、欲しくなったわ。

……あげませんよ？

あははっ、さすがは王子。
怖そうな番犬がついているわね。

がるるるる……って、番犬じゃありませんから。

それより、あちらで王国の料理人が
皆さんを歓待する用意をしていますよ。

せっかく皆さんと再会できたのですから、
ささやかながら、酒宴を開けたらと思いまして。

ほう、酒宴とな！
王国の酒、気になっておったのだ！

たっぷり用意してありますから、
遠慮せずに召し上がってくださいね。

――王国、ね。

えぇ、これが王国です。

…………この戦力、欲しいわね。

あげませんよ？
王国も王子も渡しませんから。

ふふ、それは残念。
あなただけ食客に招くのも？

えぇっ！？　わ、私は王国の近衛ですから……！

では、手合わせと訓練で手を打ちましょう。
これほどの武技に優れた御人が大勢いるのです。
互いに錬磨の好機でしょう。

いろんなお話も聞いてみたいね。
異世界っていうくらいだから、
私たちの世界とは全然違うんだよね。

では、その続きはあちらでいかがです？
皆さんを歓迎しようと、酒宴の準備をしてあるんです。

酒宴とはありがたい。
王国の兵とも色々話してみたかったのよ。

引き抜きはナシですよ……？

ハハッ！　そんな無粋なことはしないさ。
さぁ異世界の酒、浴びる程飲むぞ！

アンナ

それでは王子、私たちも酒宴会場へ行きましょうか。
此度の模擬戦、お疲れ様でした！

董卓

――王国軍、来てしまいましたか。
彼らに恨みはありませんが……。

山賊

おぉ、董卓サマだ！
あのクソ強ぇ呂布サマが慕ってるっていうからには、
悪辣無比な暴君に違いないぜ……！！

盗賊

あの大人しそうで知的な顔の裏には、
俺達じゃ想像もできねぇ
極めつけのワルってヤツが隠れてるんだろうぜ！

山賊

くぅっ、憧れちまうぜ……！
ワルの俺たちに仕事をくれた上に、
痺れるくらいの最強の悪だってんだからな！

董卓

…………私は……。

インテリデーモン

おっと董卓嬢、余計なことは言わぬが華ですよ。
今貴女が、この経済戦争の首謀者を辞すれば、
彼らにどんな末路が待っているか分かるでしょう。

董卓

王国領土内での反乱、暴動……。
えぇ、私が退けば、
彼らがどんな罰を受けるのかは想像できます。

インテリデーモン

ククク……さすがは董卓嬢です……。
あなたを担ぎ上げたのは、やはり正解でした！

おお、おお、デーモンシェフ様！
これが手段を選ぶということなのですね！！

董卓

…………。

私は、皆さんを見捨てたりしません。
全軍配置についてください。
王国軍を迎え撃ちます！

董卓がいる間は、
一定時間が経過するたびに
恋姫属性の敵の攻撃と防御が
固定値でアップします。

董卓

さすがは国家元首の直轄部隊。
簡単には勝たせてくれませんね……。

弓兵隊、前へ！
距離を取りつつ王国軍を牽制してください！

劉備

月ちゃん！
どうしてこんなことを！？

インテリデーモン

ククク……彼女は我が策略にかかったのです。
もはや経済戦争は止まらない！
デモシェフ商会は、世界の頂点を目指すのです！

曹操

劣勢でよく言うものね。
この街の完全包囲は目前よ？

孫権

……いや、待て。
全員警戒しろ！　来るぞ、あいつが……！！

呂布

月……！　いま、助ける……！！

孫堅

ハハッ、厄介なやつが来たな。
王子、どうするつもりだ？

王子

…………（こくり）

孫策

やる気は十分、という顔かしら。
敵は董卓と呂布、全力を出すしかなさそうね。

呂布

月は……傷つけさせない……！

董卓

（王国軍は強い……。
士気も練度も、ならず者集団のこちらより上。
でも、負けるわけにはいきません……）

（インテリデーモンさんは、
私を罠にハメたと思っているみたいですけど……）

（……彼らは、この世界のはぐれものばかり。
私が味方しなければ、きっと塵のように
国家に蹴散らされてしまうはずですから……）

……それに、私を慕い、
集ってくれた方々を、見捨てることはできません！

関羽

……王子殿、念のために聞きたいのですが、
王国において、謀反を起こした者は如何なる罪に？

王子

…………（ふるふる）

趙雲

む……？
まさか、罪には問わぬとでも？

アイリーン

彼らに事情があり、未だ重大な罪を犯していないなら、
解決すべきはその原因の方。
王子はきっと、そう考えているのでしょう。

趙雲

なるほど、随分と甘い考えとは思いますが……。
他人のことを言える立場でもありませぬな。

劉備

うん、ご主人様でも、きっと同じ判断をしたよ。
だから、今は月ちゃんたちを、全力で止めよう！

孫尚香

よーし、そうと決まれば！
あっちの部隊はシャオにまっかせてー！

諸葛亮

私たちは街の背後を制圧しましょう。
――王子様、正面の主力部隊はおまかせします！

董卓は、
戦場にいる恋姫属性の
敵の総数に応じて
攻撃と防御がアップします。

インテリデーモン

（――なんと見事な武力！
これが、これが英雄王の血を継ぐ者……！！）

（王子だけではありません。
異世界より来たりしあの乙女たち！
なんという武勇、なんという美しさ！！）

董卓嬢、この場は貴女に任せました。
どうやら、私は見誤っていたようですので。

董卓

……あなたは、最初から間違えていましたよ？

インテリデーモン

ククク、やはり貴女は素晴らしい！
その力と頭脳も含め、
全てデモシェフ商会のものとしなければ……。

次なる舞台にてお会いしましょう！
いざさらば、董卓嬢！

劉備

――月ちゃん！！
大丈夫？　怪我はない？

董卓

は、はい……。
あの、王子様……お願いがあるのですが……。

すべての責は、私が負います。
ですから、この者たちにはどうか、寛大な処置を――

王子

…………（ふるふる）

劉備

月ちゃん、大丈夫だよ。
王子様はね、この人たちを処罰したりしないよ。

趙雲

思い返せば、王国軍にも
山賊に盗賊に海賊が大勢いるようですからな。

アンナ

その代わり、迷惑をかけた街には
徹底的に奉仕活動をしてもらいますので。

董卓

奉仕、活動……。
ふふっ、それなら私もお手伝いしましょう。

――王子様、此度の騒動は、
インテリデーモンさんが首謀者です。

彼は今、この先の城塞都市にて、
さらなる作戦を計画しています。

孫策

敵将はもう手の届くところにあるというわけね。
さぁ、このままインテリデーモンを追い詰めるわよ！

インテリデーモン

――ククク、こうなることまで予測できなかったのが、
私の未熟さというわけですね……。

しかし、ご覧あれ！
これぞ、資産運用でこっそり稼いだあぶく銭により、
かき集めしデモシェフ商会軍！

董卓

インテリデーモンさん、あなたが、
デーモンシェフを慕っているのは分かります。

ですが、彼はこんなことを望んでいないはず！
もう一度、冷静になって話し合いを――

インテリデーモン

交渉は最初から決裂しているのですよ。
デーモンシェフ様の真意、未来を見据えた策略、
その道程に寄り添えるのは、この！　私のみ！！

馬超

これは……どうやらぶん殴って止めるしかなさそうだな。

呂布

……言う事聞かないなら、聞かせる。

董卓

誰かのためにその身を捧げる、
誰かのために戦う……その気持ちは分かります。

でも、まだ立ち止まれるのですから、
その機会を、失わせるわけにはいきません。

エスネア

デーモンシェフだって、
部下がいなくなったらきっと寂しがるもんね。

孫堅

なんだかんだと言葉を弄しても始まらねぇ。
さぁいくぜ？　インテリデーモン！！

董卓

恋さん、王子様の部隊に助力をお願いします。
私も前線に出ます！

呂布

……わかった。
月も、気をつけて。

アンナ

王子、ここでインテリデーモンさんと決着をつけましょう。
部隊の指揮、お願いします！！

インテリデーモン

――負け、た……。
この私の頭脳が、策略が……。

董卓

あなたは、功を焦りすぎたんです。
それも自分のためではない、
主君に捧げるための功を……。

あなたにとっては素晴らしい思いつきでも、
あなたの主は、本当にそれを望んでいたのか。
ゆっくりと、考えてみてはいかがでしょうか……？

インテリデーモン

……そんな、私に限って、
まさかデーモンシェフ様の意図を読み違えるなど……。

孫堅

ハッ、テメェに自信持ちすぎだろ。
大事なのはテメェの自負か？
違うだろ、主と言葉を交わすことだ。

デーモンシェフ

――そうだぞ、インテリデーモン。
誰が経済でトップに立ちたいなどと言ったのだ。

インテリデーモン

で、デーモンシェフ様……しかし……！

デーモンシェフ

大切なのは、社員が安心して、
幸福に生きていける、そんな会社のあり方なのだ。

その社員の中には、もちろんお前も含まれている。
王子よ、こやつの罪は、我が罪でもある！
どうか、この首ひとつでインテリデーモンを救って――

董卓

……デーモンシェフさん、いえ、社長さん。
さっき、私も同じことを王子様に言ったんです。
そうしたら、王子様と来たら――

王子

…………（ふるふる）

デーモンシェフ

おぉ、王子よ、許してくれるというのか……！？

劉備

戦うだけでなく、対話によって分かりあう……。
うん、やっぱりこれが、一番いいよね。

関羽

騒動の規模に比べると、
少々甘すぎではありますけどね。

デーモンシェフ

ありがとう、王子よ、異世界の猛者たちよ……！

インテリデーモン

これが、これがデーモンシェフ様の目指す世界……。
私はなんという思い違いを……！

これからは心を入れ替え、
より一層お役に立つ所存でございます……！

諸葛亮

はわ……ほどほどに、ですよ……？
もう悪いことはしちゃだめですからね？

インテリデーモン

（そう、つまり法を外れた手段を取る時は、
バレないよう秘密裏に進めろということ……！！）

（おお、デーモンシェフ様はなんと恐ろしい方なのだ！
やはり私が付いていくべきは、
この世界の覇者は、デーモンシェフ様に違いない！！）

孫尚香

んー……なんだか悪いこと考えてなーい？

インテリデーモン

ククク、滅相もございません。

アンナ

ともあれ、これで一段落でしょうか……？
王子、此度の騒動の鎮圧、お疲れ様でした！

董卓

――では、本当に誰もお咎めなしで、
騒動を起こした場所での
奉仕活動だけを命じられたのですね。

アンナ

さすがに散らかした場所は
片付けてもらわないといけないですからね。

ですが、軽い処分となったのは董卓さんのおかげですよ？

ケイティ

市民には被害を出さない、
絶対に誰も殺さない、負傷者も最小限に留める……。
そう指示を出したのは、董卓さんですよね？

董卓

へぅ……はい……。

ケイティ

あれだけの荒くれ者を率いた上で、
高い規律を保つ手腕、お見事としか言えません。

呂布

月はすごい……ふふん……。

董卓

へぅ……恋さんまで……。
でもこれは、恋さんの強さを利用させてもらったからで……。

レン

自軍の兵力を正しく扱う、
それもまた将の才能というものでしょう。

次にお会いする時には、
ぜひ互いの世界の戦略を語り合いたいところですね。

董卓

えぇ、その時にはぜひ。
……あら？　そういえば他の皆さんは……。

アンナ

異界の門の準備をしているはずですが……。
……なにやら、玉座の間の方から、
騒いでいる声が聞こえてきますね。

董卓

様子を見に行ってみましょうか。
……何事もないといいのですが……。

孫尚香

――やーだー！
シャオもっとこの世界で遊びたい！

エスネア

せっかくシャオちゃんと仲良くなったんだもん。
ねぇ王子、もうちょっとだけだめ？ だめ？

劉備

でも、元の世界でご主人様も心配してると思うよ？

孫策

いいえ、お待ちを。
異世界の知識を持ち帰れば、
一刀もさぞかし喜ぶのではないかしら？

孫尚香

そうそう、知識を学ぶ時間も必要だと思うなぁ？

アナベラ

確かに、双方の世界のことを学ぶのは、
こういった機会でなければ出来ないことだね……。

呂布

…………ねこ、かわいい。
つれてかえる……。

バシラ

ひゃあん！？
あのっ、耳はだめですー！？

グリム

んー、どうします？
王子さまの判断次第ですけどー。

王子

…………。

孫権

……はぁ、見ていられません。

王子、少し手をかしてくれませんか？
こういうときには、ガツンとやってやらねば。

王子

…………（こくり）

孫堅

ん、おお？
ははぁん、やる気ってわけだな。
いいぜ、相手になってやるよ！！

アンナ

……えぇと、お互いに怪我のないようにお願いしますね？

ミニメカドラゴンのおもちゃは
攻撃力200以下のあらゆる攻撃を
受け付けません。
　
また、倒されると
自身の周囲にダメージを与えます。

エスネア、エフネは倒されると
その場で復活します。
　
2回まで復活し、
復活するたびに強くなります。

董卓がいる間は、
全ての敵のHPが徐々に回復し、
恋姫属性の敵の攻撃と防御が
アップします。
　
また一定時間が経過するたびに
恋姫属性の敵の攻撃と防御が
固定値でアップします。

董卓は、
戦場にいる恋姫属性の
敵の総数に応じて
攻撃と防御がアップします。

金光聖菩は分身がいる間、
攻撃力、防御力がアップします。
また、分身の数に応じて効果が
重複します。

アリスは一定確率で
物理攻撃を回避します。

孫権

まったく、そろそろ目を覚ませ！
いかに異世界が楽しかろうと、
我らには為さねばならぬ使命があるだろう！

寄り道も結構。
でも、一休みしたなら、また先を目指さねば！

孫尚香

はぁーい、ごめんなさーい……。

エスネア

うぅ、そうだよね……。
ごめんねシャオちゃん、引き止めちゃって。

孫尚香

うぅん、シャオの方こそごめんね。
でも絶対、また遊びに来るから！

孫堅

…………。

アナトリア

ん、どうかしたのかい？
嬉しそうな顔なんてしてさ。

孫堅

……いや、この調子なら、
立派に後を継いでくれそうだって思っただけさ。

アナトリア

フフッ、あの子なら上手くやっていくさ。
だって、あんたの娘だろう？

孫堅

ハハッ、その通りだ！

孫権

では、グリムさん、
さっそく異界の門の準備をお願いするわね。

グリム

はーい、それじゃあ準備しますねー。
そんなに時間はかかりませんから。

孫権

……楽しいひとときだったわ。
次に会えるのがいつになるのか分からないけど、
またこの世界に来たときには――

王子

…………（こくり）

孫権

ふふっ、あなたとまた会えたこと、
一刀にも伝えておくわ。
それじゃあ、またいつか！