解体

Last-modified: 2020-05-17 (日) 14:21:28

第1 本を解体する。

第1-一 基礎知識

(参考:大阪府立中之島図書館 「本」の部分の名称)
(参考:株式会社 第一印刷 印刷物の規格について 綴じ方・種類)

第1-二 接着剤で製本されている本の解体方法

製本用接着剤には、加熱すると軟化して糊状になり、冷えると固体になるホットメルト接着剤がよく使用されている。
ただし、本の最初や最後の部分、カラーページなどについては、ホットメルト以外の接着剤がよく使用されている。

第1-二-(一) 加熱処理による方法

 ホットメルトを加熱して溶かして、本を1枚ずつに解体することができる。
 加熱に用いる道具により、下記の2種類の方法がある。
 なお、ホットメルト以外の接着剤が使用されている部分については、加熱しても解体できないので、手で引き裂いたり、後述の裁断や薬品による方法を試すこと。
 また、製本時はホットメルトのように熱で融着させるが、空気中の水分と反応することで熱で解けない材質に変化する接着剤を使ったPURと呼ばれる製本もある。この場合は加熱では解体できない。

  1. アイロンやホットプレートを用いた解体
    無難な道具である。
    1. ペーパータオルを本の背に当てる。
    2. ペーパータオル越しにアイロンやホットプレートなどを本の背に当てて、ホットメルトを加熱する。
    3. ホットメルトが軟化して糊状になったら、むしる。十分に軟化していれば、力を加える必要はない。
    4. 製本によっては表紙の背を熱して取り外すだけで1枚ずつペリペリ取れるが、そうでない場合は更にアイロンなどを使ってペーパータオル数箇所にホットメルトを十分に吸わせる(移す)ようにして取る。
  2. 電子レンジを用いた解体
    手早く作業を行える道具である。
    しかし、暖めすぎると本が歪んだり焦げたり燃えたりするので、初心者には加熱時間の加減がやや難しいかもしれない。また、火傷にも注意すること。
    1. 電子レンジで本を暖める。目安は1分間ぐらいだが、使用する電子レンジの出力による。900W出力で1分間加熱して扉を開けた瞬間、庫内に酸素が流入して発火したとの報告あり。初回は短めの時間設定にして、それで不十分ならば10秒間ずつ時間を長くしていき、最適な加熱時間を探っていく。
    2. ホットメルトが軟化して糊状になっている間に手早くむしる。
  3. 卓上製本機「とじ太くん」を用いた解体
    とじ太くん3000
    製本の為の機械であるとじ太くんだが、ホットメルトを加熱する機能を解体の加熱に利用する。
    1. 他の加熱方法に対するメリット
      本をセットする形状になっているため、アイロンなどに比べて楽である。
      A4長辺などにも対応できる上、ホットプレートなどと違ってヒーターが直線で直下に入っているため加熱効率が良い。
      余熱時間が短い(45秒)
    2. 他の加熱方法に対するデメリット
      製本専用機であるため、他の目的のついでに使う為に導入すると言うコスト分担が出来ない。
      温度調節が出来ない。
      加熱部分の清掃が手間である。
      文庫など小型の本は若干扱いにくい
      45秒ごとにアラーム音が鳴る上、20分放置すると安全装置が働いて自動的にヒーターOFFになる。
    3. 作業手順
      1. 加熱するとホットメルトが流れ出してくるので、本の背表紙部分にキッチンペーパーを当てる。
      2. とじ太くんの内部にホットメルトが付着しないようにクッキングシートでさらにくるむ。
      3. 文庫本などの小さな本はクッキングシートを取っ手にして取り扱うと装填/取り出しがしやすいので30cm以上の長さで用意してくるむと良い。
      4. ホットメルトの種類にもよるが、45秒が2セット(装填45秒でアラームが鳴るので、長時間加熱するためにはいったん取り出してまたすぐに装填を繰り返す)で背表紙が剥がせる程度には軟化する。
      5. とけたホットメルトは糸を引くので、背表紙と本体の分離は切れた接着剤糸が本体や背表紙裏に付着しないように気を付ける。具体的には、
         ①垂れるのが前提で上下のどちらかにスライドするように剥がす。
         ②背表紙から本体を浮かせた状態で冷却を待ち、糸の伸びが無くなるまで冷えてから完全分離させる。
         ③45秒1セット程度で初期加熱をやめ、糸引くまで軟化する以前の状態で取り出して表紙を剥がす。
      6. 背表紙裏に残ったホットメルトを取る場合は熱いうちにヘラなどでそぎ落とす。冷めてしまった場合は背表紙だけ45秒1セットぶんの加熱を行う。ヘラはホットメルトが固着しない材質のものが良い。
        (参考:井上工具製コーキングヘラ15mm)
      7. 本体側のホットメルトも、厚く残っているようならヘラでそぎ落としてもよいが、あまり柔らかい状態でヘラを使うとホットメルトが奥まで入り込んでしまうので注意。
        本体側に残ったホットメルトはキッチンペーパーに吸収させる。キッチンペーパーは油分吸収効果のあるヘルシータイプのもので引っ張りに強いものが良い。
        (参考:ユニチャーム製キッチンペーパークックアップ)
        本体のホットメルト部分にキッチンペーパーをあて、さらにクッキングシートでくるんで とじ太くん にセットする。
        ホットメルトの種類によるが、だいたい45秒が5セット以上かかる。
      8. うまくいくとホットメルトがキッチンペーパーに吸収されるので、わずかに残ったホットメルトでページ同士が再固着する前に本を捌きながらページがバラバラの状態を維持するように冷却する。
      9. 冷却が完了しても固体化したホットメルトが紙に付着残存した状態でありスキャン時のタテ線の元になりやすいので、ホットメルトの細片が落ちてこなくなるまで本体を捌く。
      10. 表紙と1枚目などホットメルトが奥まで入りこんだ部分は とじ太くん での加熱では分離させにくい。

第1-二-(二) 裁断など工作による方法

(参考:裁断機・ペーパーカッターナビ|おすすめの断裁機を賢く選ぶ!)
次のような方法がある。
カッターを使用する場合、切れなくなってきたら、すぐに刃を折って、切れ味を維持すること。
鉋(かんな)を使用する場合、刃をまめに研いで切れ味を維持すること。

  1. 接着剤を削っていく解体
    1. 接着剤をカッターや鉋(かんな)などで削る。紙まで切ってしまわないように、ゆっくりと削る。
    2. 接着剤がやわらかく、削りにくい場合は、本をビニール袋に入れて密封し、冷凍庫でほどよく凍らせてから削る。
    3. 接着剤を十分に削ったら、むしる。
  2. 回転刃式カッターで分冊していく解体
    1. 本を開いて、そこから背表紙に対して垂直にカッターの刃を入れて、分冊していく。カッターは、力を込めずに数回入れる。
    2. 10~40枚ぐらいずつまで分冊した後、回転刃式裁断機(又はロータリーカッター+カッティングマット+金属製定規)で接着剤部分ぎりぎりを裁断する。
      1. 回転刃式裁断機
        カール事務器株式会社製ディスクカッター(A4)DC-210N
        裁断幅310mm、2往復で40枚裁断(目安)。
        本体のサイズW360×L490×H80mm、重量2.6kg。
        ①-ア 裁断サンプル動画
        YouTube - saidan2
      2. ロータリーカッター
        オルファ株式会社製の品番:136B、品名:ロータリーカッターLL型
        カッティングマットの上で押すようにして裁断する。
        ①-ア 裁断サンプル動画
        YouTube - ロータリーカッターを使って文庫本を裁断する
        180ページ、厚みが8㎜の文庫本を裁断する場合だとこんな感じという動画。
  3. オルファ式カッターでの解体
    1. 用意する道具について
      1. オルファ式のカッターは刃の形状が互換ききやすいので、握りやすそうな本体を自由に選んで構わないが、刃の剛性という弱点を考えるとL刃と呼ばれる大型のものが望ましい。
        もう一段階大きいものも市販されているが、後述する交換刃の関係から避ける方が無難。
        オルファ株式会社大型刃シリーズ
        他にもNTカッターなど。
      2. 刃は「黒刃」と呼ばれる鋭角仕様のものが使いやすい。これは裁断では紙の塊に刃を入れる為、刃が薄い方が効率がよい為。
        ただし刃先の劣化も早い為、小まめに先端を折り新鮮な刃を常に使うように心がける。
        L型以下のサイズの刃に黒刃が用意されている。
        オルファ株式会社特選黒刃
        オルファ株式会社スピードブレード:刃先がフッ素コーティングされているため、接着剤ごと切るような場合に刃の通りが軽くなり接着剤の付着も少ない。
        タジマツール凄刃
        カイインダストリーズ:黒刃・鋭角刃(超鋭角は避ける方が無難。薄刃は専用ホルダーが必要)
        カクイ:カクイ印「高性能カッターL型・片刃替刃」
      3. 刃折り器。オルファ式カッターの使い辛い点は折った刃の処分手段による部分も大きい。そんな時は刃折り器を使うと便利である。
        折られた刃はそのまま内部に収納され、容器ごと処分することができる。200円以下で購入できるので用意しておくと良い。
        オルファ株式会社安全刃折処理器ポキ
      4. 定規は金属製、もしくは樹脂製でもカッター当てが付いたものを使う。裏面にすべりどめが付いているものだと使いやすい。
        危険防止のためのガードが付いたものもあり、よく選んで購入しよう。
        タジマツールカッターガイド
        シンワ測定アル助
      5. カッターマットは各社から多数出ているので使いやすい大きさの物を選びましょう。
    2. 作業手順
      1. 刃を長く出せるので分冊せずとも解体は可能だが、刃の剛性が不足するためきれいに裁断するためには分冊することが望ましい。
        本を開いて、そこから背表紙に対して垂直にカッターの刃を入れて、分冊していく。カッターは、力を込めずに数回入れる。
      2. 5mmぐらいを目安に分冊した後、カッターで接着剤部分ぎりぎりを裁断する。
        カッターの使い方のポイントは刃を出し過ぎず(刃の折り目2~3個分)、力を入れすぎない(刃身が曲がらない程度まで)こと。
        一方、当てる定規は本が動かないようにしっかり押さえること。力を入れる関係からすべりどめ付き定規が使いやすい。
        カッターの刃は通常は両刃なので、本に刃身を垂直に立てると切断面は定規から逃げる方向にズレていく。その為、切断面を垂直にするには、刃が定規に食い込むように(刃身の上辺が定規から離れる方向)角度をつけて使う。
        L刃の刃角は一般的に33°なので倒すのは16°程度、鋭角刃は刃角25°なので倒すのは12°くらい。つまり定規に刃の部分が垂直に当たるように倒すわけです。
        片刃のカッター刃を使う場合は垂直に入れる。
      3. 何度も書いていますが、カッターに力を入れてはいけません。先端で引掻くような感じでカッターを入れます。
  1. 一気に断裁する解体
    大量高速に処理する必要がある場合は、断裁機で断裁する。
    確実に解体するためには背に接する部分から4~5mmぐらい断裁する必要があり、接着部分に近い部分の描画は断ち切られることになる。
    断裁機の刃はステープラ用つづり針に当たると壊れてしまうので、よく注意すること。替刃は高価である。
    (参考:漫画をスキャナで電子書籍化する初心者向け自炊解説サイト)
    1. プラス株式会社製手動断裁機PK-513L
      2009年9月1日リニューアル、旧製品PK-513は在庫限り。リニューアルにより、メーカー希望小売価格が51,660円(税込)から56,700円(税込)へ値上げ、カットライン表示光源を豆電球から赤色LEDへ変更(消費電力約1/10、フィラメント切れによる交換不要)、LED光源への変更に伴い使用電池を単2から単3へ変更。(参考:プラスステーショナリー -手動断裁機 PK-513 リニューアル新発売のお知らせ-)
      開封時、飛び出すハンドルに注意すること。
      刃を動かすためのレバーは、静かに、力を入れずに動かすこと。
      本の厚さが1cm以上の場合は、カッターで解体する必要があり、大型ペーパーカッターPT6176よりも面倒である。
      横から紙を押さえる仕組みがマグネットなので、サイズ変更が楽である。しかし、大量に切断するとズレるので、出版用途には向かない。
      上から紙を押さえる仕組みは、刃に付いているプラスチックである。ゴムシートを適当な長さにカットし、両面テープで台座側に貼り付け、台座側の滑りを止めると、斜め断裁防止になる。(参考:裁断機PK-513を使うときの注意点)
      刃が真上から降りてくるので、左端と右端でのズレはない。
      切断面がライトで照らされるので、紙端ギリギリを切断する場合に便利である。
      1. 刃が切れなくなってきたときに刃砥ぎ(刃研ぎ・はとぎ)を行う業者の例
        ここで挙げた業者は、推奨する業者というわけではない。
        ここで挙げた業者の料金が他の業者と比べて有利なのかどうかは不明。
        刃砥ぎの結果も不明。
        コンピュータ・シティー株式会社
        刃砥ぎの目安単価は5,500円~。刃の状態と機種により納期と価格の変動があるので、詳細はメール、FAX又は電話で問い合わせる。
        ガネーシャデザイン
        PLUSの裁断機PK-513L/PK-512L/PK-511Lに限定して、刃砥ぎと分解組み立てを行っている。
        研磨のみが3,800円。
        分解組み立てと研磨を行う場合には6,900円。
      2. 裁断サンプル動画
        YouTube - 裁断機 PLUS PK-513
    2. 大型ペーパーカッターPT6176
      中国製。一万数千円ぐらいで販売されている。また、2010年5月4日現在、Yahoo!オークションにおいて、本体即決価格7,999円+送料1,740円で出品されている。
      最大裁断幅310mm、最大裁断厚41mm(普通コピー紙550枚)。
      本体のサイズ約38(縦)×53(横)×4(厚さ)cm、重量17kg。大きく、重い。裁断機構が付いている方に重心が偏っているため、持ちにくい。キャスターを付けた板の上に載せるなどした方がいいかもしれない。収納場所については、レバーの部分が取り外しできるので、それほど高さは必要ない。
      刃が切れなくなってきたときの手入れ方法は不明。
      替刃の入手方法を購入時に店で確認すること。
      開封したら、埃と油が結構付いてるので、まず清掃すること。
      裁断箇所が分かりにくい。下のマットにうっすらと切断跡があるので、それに合わせる。黒いテープを切断跡に沿って貼るなどするとよい。
      紙押さえがあるので、指を切ることはない。
      一度に500枚セットすることはできるが、一旦途中まで切って、切った紙を取り除いてから切り進める必要があり、一度に一刀両断というわけにはいかなそうである。
      横から紙を押さえる仕組みがネジ式なので、同サイズの本を大量に処理するのに向いている。
      上から紙を押さえる仕組みは、ハンドル操作である。固く締めると紙に圧痕がつく事例が報告されている。ハンドルを回すと、鉄製の紙押さえが降りてくる。これの下面と台の上面にゴムシートを貼れば、圧痕がつくほど締めすぎることはないと思われる。
      刃が斜めに降りてくるので、左端と右端でのズレが発生しやすい。
      1. 裁断サンプル画像
        実際に購入・使用してみた人が撮影したもの。
        右側が購入後最初に裁断したもので、左側が2冊目の裁断。
        初めのページと最後のページとで、紙幅が数mm違ってしまっている。この斜行裁断に関しては、紙押さえをきつめにしても完全には消せないようだ。むしろ、押されて紙が歪むことを考えると、軽めに押さえた方がまだマシかもしれない。
        別の人の報告(サンプル画像なし)によると、少年漫画雑誌(430ページ、厚さ3cmぐらい)を試し切りしたところ、少し体重をかけたらザックリと全部切れ、切り口のズレは1mmぐらいだったとのこと。
      2. 裁断サンプル動画
        YouTube - pt6176で約250枚の雑誌を裁断してみました
    3. 切断ラインライト付き裁断機大型ペーパーカッターJT067
      中国製。2010年9月1日現在、Yahoo!オークションなどにおいて、本体即決価格16,000円+送料で出品されている。
      最大裁断幅320mm、最大裁断厚30mm(80g/㎡のコピー用紙で約250枚)。
      本体のサイズ約48.5(縦)×53.5(横)×39(厚さ取っ手まで)cm、重量16.5kg(梱包済み20kg)。大きく、重い。
      切断ラインライト用の単三乾電池3本を別に用意する必要がある。
      替え刃5,250円、刃受け1,050円。
      実際の使い勝手は不明。
    4. 自炊断裁機 180DX/200DX
      ダーレジャパン「Durodex」200DX180DX
    5. 本の裁断専用裁断機 ブック40
      MFCブック40
      現在販売は終了。サポートも不明。
      きわめて類似した機械がナカバヤシにて販売されている。
      ナカバヤシNSD-OA4W
    6. 改良型裁断機 ペーパーカッター
      YG-LNブランド出ている裁断機。裁断幅310mm、裁断厚37mm
      大きさ(38cm×53cm)や重さ(24kg)がかなり負担となるが従来の中華裁断機から大幅に改良されている。
      国内機に比べて原稿の固定力に優れるのが中華機のメリットだが、さらにハンドル式からレバー式に変更されたことで固定操作もスピーディーに。
      中華機は刃の遊びが大きく狙い通りの正確な切断ラインで切るには小手先の工夫が必要だったが、国産機並みに刃がまっすぐ降りるように。
      価格は18,000円前後と中華機と国内機の中間に位置する。
      なお、縦置きスタンドなるものも出ているが、原稿押さえレバーが邪魔で縦置きしてもたいして省スペースではないことと、重量級なのに持ち手となる場所がないなど、設置性や収納性は最悪である。
  2. 業者の裁断サービス
    業者に依頼する場合、確実に裁断するため、接着部分に近い部分の描画は断ち切られることが多い。
    業者の裁断サービスは、大きく分けて2種類ある。
    一つは、本を郵送して裁断してもらうタイプである。
    もう一つは、本を店舗に持ち込んで裁断するタイプである。
    1. 郵送型の裁断サービス
      業者名1冊あたりの価格パック料金支払い方法
      実践79円60冊以上送料無料代引
      東和インフォセービングス105円送料負担あり銀行振込 代引
      ブックカットジャパン70円数量割引あり 送料無料返送連絡後銀行振込
      エスアンドワイ80円数量割引あり 30冊以上送料無料銀行振込
      すきゃん堂70円数量割引あり代引き
      1. 株式会社実践
        1冊79円(返送料・消費税・代引き手数料込み)で裁断してくれる。
        また、この裁断サービスを利用し、スキャナー分の往復送料を追加負担すれば、富士通(PFU) fi-5120Cキヤノン imageFORMULA DR-2510C富士通(PFU) fi-6140を2~6日間(裁断冊数により変わる)レンタルできる。
        ①-ア 裁断サンプル画像1
        ①-イ 裁断サンプル画像2
        実際に利用してみた人が撮影したもの。
        背に接する部分から5~10mmぐらい裁断されている。
        初めのページと最後のページとで、紙幅が数mm違ってしまっている。
        裁断サンプル画像3
        実際に利用してみた人(①の人とは別の人)が撮影したもの。
        文庫本。
        背に接する部分から数mmぐらい裁断されている。裁断される部分が少ない。
        初めのページと最後のページとで紙幅が違うこともほとんどなく、結構きれいに裁断されている。
      2. 株式会社東和インフォセービングス
        1冊105円(返送料(冊数により料金が変わる。)・消費税・代引き手数料込み)で裁断してくれる。
      3. ブックカットジャパン
        100冊以上から受け付けの1冊50円プラン、受付冊数を問わない1冊70円プラン、最短で返送する特急1冊90円プランが用意されている。
        大型断裁機メーカーであるイトーテックのeRC-82を使って裁断することをセールスポイントとしている。
      4. エスアンドワイ
        1冊80円で裁断してくれる。
        まとまった冊数を受け付ける場合のパック料金プランが用意されている。
      5. すきゃん堂
        10冊まで1冊70円、20冊まで1冊60円、それ以上は1冊50円と、数量割引パックがある。
        レンタルスペースのカウンターに設置されているホリゾンのPC-45を使用して、裁断を行う。
    2. 店舗持ちこみ型の裁断サービス
      1. フェデックスキンコーズ
        1裁断当たり105円(消費税込み)で裁断してくれるとのこと。(参考:山田祥平のRe:config.sys 第110回:グーテンベルクの願い、アルダスの夢)
        合わせてスキャンを行うこともできるようになっており、富士通(PFU) Scansnap S1500が置かれている。
      2. すきゃん堂
        店内のスキャナを利用することを前提として、別料金を取ることなく手動の裁断機を開放している。
        電動断裁機は、郵送と同じく、10冊まで1冊70円、20冊まで1冊60円、それ以上は1冊50円となる。
        スキャンスペースでは、富士通(PFU) Scansnap S1500キヤノン imageFORMULA DR-2510Cキヤノン CanoScan LiDE 210が利用できる。
      3. ブックメンテナンス
        冊数ごとの料金設定ではなく、自分で直接断裁機を操作する方式で、10分300円となっている。
        使用できるのは、ホリゾンのPC-45と、PC-P43としているが、現在はPC-P43のみが使用可能。
        断裁後の本を1冊100円でシュリンクして持ち帰れるサービスが特徴。
        スキャンスペースには、富士通(PFU) fi-6800富士通(PFU) fi-6770富士通(PFU) fi-5750cキヤノン DR-9050Cキヤノン DR-9080Cがあり、スキャン速度に応じておおまかに利用時間が分けられている。
    3. 郵送型、店舗持ちこみ型の両方を行っている業者
      1. 株式会社東和インフォセービングス
      2. すきゃん堂
        スキャンレンタルスペースでの直接受付が中心だが、郵送での受付も始めた。

第1-二-(三) 化学薬品による方法

  1. ヘキサン
    1. 危険性がある。
      使用の際には、特に次の点に注意すること。(参考:安全衛生情報センター n-ヘキサン)
      1. 火気及び冬場のストーブなどの高温物から遠ざけること。
        引火・爆発する恐れがある。ガレージに放置していたら爆発したとの報告(【コミック】 自炊技術スレッド 30冊目 【書籍】>>391)あり。
      2. 皮膚に触れないようにすること。
        毒性は低いとされているが、末梢神経毒性がある。(参考:気ままに有機化学: ヘキサンの毒性と C-H 酸化反応)
      3. 換気の良い場所で使用すること。
    2. 入手方法
      純度の高いヘキサンの入手は困難である。
      1. インターネット通販
        取扱通販サイトの例(このサイトからの購入を推奨しているわけではない。):FOK-藤倉応用化工株式会社 n-ヘキサン(ノルマルヘキサン) 500cc
        缶の高さに合った寸法の駒込ピペット5ccも取り扱っている。
      2. ホームセンターや自動車用品販売店にて「ブレーキクリーナー」「パーツクリーナー」として販売されている物を購入する。ブレーキクリーナーの中には酸やハロゲン系化合物を含む物があり、吸い込むと頭痛の原因となる恐れがある。
    3. 使用方法
      1. 液を筆・油差し・パスツールピペット(ガラス製)などで接着部分へ少量浸透させて、むしる。20~30ページ解体につき20mlぐらい使用する。
      2. 接着剤を溶かし、かなりきれいにばらせる。古めの書籍はきれいにバラバラになるが、新しい書籍は若干苦労する。口絵の内側にまで接着剤が回り込んでしまっているページについても、完璧ではないが、かなり綺麗に剥がせる。4枚重ねて中折にし、それを束ねたタイプの綴じ方をしてある本は苦手。
    4. 印刷インクにかかった場合の滲み
      ヘキサンは疎水性であり、インクの種類により例外はあるものの、インクはほとんど滲まないはずだが、実際には次のような事例が報告されている。ブレーキクリーナーの場合については、ヘキサンにより滲んだ可能性だけでなく、ヘキサン以外の不純物(アルコール等の親水性の成分)が含まれていて、それにより滲んだ可能性も考えられる。
      1. ブレーキクリーナーの場合
        印刷インクにかかると滲む。活字程度ならたいしたことはないが、イラストとかだと若干気になり、裏や隣ページが真っ黒に近いと相当気になる。
      2. 純度の高いヘキサンの場合
        週刊少年漫画雑誌については、印刷インクにかかると滲む。特に、カラーページについては、ほとんどの印刷が落ちてしまった。同人誌については、白黒ページもカラーページも滲まなかったが、どの同人誌でも滲まないのかどうかは不明。
  2. 無水エタノールやペーパーセメント用ソルベントなど
    1. 入手方法
      1. 無水エタノールは、薬局などで購入できる。
      2. ペーパーセメント用ソルベントは、画材店などで購入できる。
    2. 使用方法
      1. スポイトや注射器などで接着部分へ少量浸透させて、むしる。1回で4頁ぐらいむしれる。
      2. これらにはホットメルトを溶かす力はなく、接着力を弱める程度なので、ページ間にホットメルトが入り込んで強固に接着している場合は分離しづらい。
      3. ホットメルト以外の接着剤については、これらやラベル剥がし剤ではがせることがある。
      4. これらの薬剤を使った解体では、紙が青く変色したり、インクがにじんで染みができたりすることがある。

第1-三 歪み矯正

  1. 解体後、紙に歪みがある場合は、平面の台に積み、重石になるものを載せて、しばらく置く。

第1-四 解体した本を再度製本したい場合

(参考:手作り本用 製本道具(ツール)・用品(グッズ))
(参考:平綴じ製本)
(参考:ハードカバー製本)

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