うみねこのなく頃に

Last-modified: 2014-05-03 (土) 04:17:01

うみねこのなく頃に/夏海 ケイ

594 :マロン名無しさん:2008/11/07(金) 18:18:32 ID:???
では「うみねこのなく頃に」投下します。
登場人物が多いので一覧を書きました、目を通しておくと分かりやすいかと思います。
途中連投規制あるかも。

公式HPで試し読みができるで、こちらもあわせて読むともっと良いです
ttp://www.square-enix.co.jp/magazine/tachiyomi/uminekononakukoroni/Contents/#



595 :マロン名無しさん:2008/11/07(金) 18:20:12 ID:???
舞台は1986年、六軒島(ろっけんじま)という伊豆諸島にあるらしい島。
ここは右代宮(うしろみや)家という富豪が島丸ごと一つを所有しており、豪華な屋敷を建て当主と
その息子一家、使用人だけで住んでいる。物語は、島を出た子息達がその家族を連れて、恒例の
親族会議のため屋敷に帰ってくるところから始まる。

・登場人物
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【右代宮 戦人】 一応の主人公。母親の死後、間を空けずに他の女性と結婚した父に反発し、母方の
   (ばとら)   祖父母の家に籍を置いていた。今回和解し、6年ぶりに親族会議に出席する。

【右代宮 金蔵】 分家出身だが、関東大震災で本家が壊滅したため右代宮家当主に抜擢された。
          卓越した
で財閥を建て直し、各界からの人望も厚い。度を越した西洋趣味かつ
          オカルト趣味。病身となってからは奇矯な行動が多い。余命半年を宣告されたが、
          気力で何度も持ち直している。

【右代宮 蔵臼】 金蔵の第一子、次期当主。非常に権高なため、昔から弟妹に嫌われている。
  (くらうす)   経営手腕にはあまり恵まれていないようで、投資と失敗を繰り返している。

【右代宮 夏妃】 蔵臼の妻。美人だが遊びが無く、真面目過ぎるほど真面目な性格。何かと落ち度を
   (なつひ)   探してくる小姑や、反抗的な娘の育て方に悩まされている。

【右代宮 朱志香】蔵臼と夏妃の娘。彼女の将来の夫が次々代の右代宮当主となるが、本人は相続に
   (じぇしか)  興味が無い。活発な彼女は窮屈な島の暮らしを嫌っており、何かと反抗的。
           男っぽい乱暴な言葉遣いをするが、割と乙女だったりする。

右代宮 江羽】 金蔵の第二子。茶目っ気のある家族思いの明るい女性だが、同時に野心家でもある。
    (えば)   一人息子を当主の座につけようと画策し、蔵臼一家を目の敵にする。

【右代宮 秀吉】 江羽の夫で入り婿。戦後身寄りを全てなくし、身一つで会社社長まで出世した。
           温和な性格で、荒れがちな話し合いの場を和ませることのできる好人物。



596 :うみねこのなく頃に 夏海ケイ:2008/11/07(金) 18:28:18 ID:???
【右代宮 譲治】 江羽と秀吉の息子。優秀で心優しい好青年。御曹司だが、父のように単身での
  (じょうじ)   立身出世を望んでいる。いとこ達のまとめ役。

【右代宮 留弗夫】金蔵の第三子。戦人の父。軽妙洒脱、女好きの伊達男で、先妻の死後すぐに再婚し
   (るどるふ)   戦人家出のきっかけを作った。会社を経営しているが業務内容はやや怪しげ。

【右代宮 霧江】 留弗夫の妻、戦人の義母。頭の良い女性で留弗夫の仕事上のパートナーでもあった。
           戦人の腹違いの妹にあたる縁寿と言う娘がいるが、親族会議には連れてきていない。

【右代宮 楼座】 金蔵の第四子。兄弟の中では比較的穏やかで常識的な性格。我の強い兄や姉の
   (ろーざ)  板ばさみになりがちで、何かと苦労している。(夫は長い間不在らしいが、
          離婚か死別か、事情が明らかになっていない)。育児ヒステリー気味。

【右代宮 真里亞】楼座の娘。歳の割に幼く、成績が悪く友人がいないという問題児。だが本来は
            無垢で愛らしい少女。オカルト全般を趣味とし、時に人が変わったようにのめり込む。



親族達は空港で落ち合い、船で六軒島へやって来た。久方ぶりのバトラは島に違和感を覚えるが、
それはいつもいるうみねこ達の姿が見えないのと、かつてあった社が壊れて無くなっているためだった。
幼いマリアがそれを不吉の徴だと騒ぎ立て、人が変わったようになる。バトラはかすかな不安を覚える。

島には一族の住む西洋屋敷の他に、小さなホテルとしても通用しそうな程のゲストハウスがあり、
それが親族達の宿泊所だった。そこで、屋敷の使用人で、昔から奉公しているハウスキーパーの少女、
紗音(シャノン)と再会する。使用人はシャノンの他に、使用人頭の源次、老女の熊沢チヨ、
シャノンの「弟」の嘉音(カノン)、近年雇われた料理人の郷田がいる(シフト外の少年少女たちが
島外に数人いるようだが、登場しない)。金蔵の主治医の南條の姿もあった。



597 :うみねこのなく頃に 夏海ケイ:2008/11/07(金) 18:33:17 ID:uCZ6v3OH
当主・金蔵は親族揃っての昼食会にも参加しなかった。彼はここ数年非常に偏屈な性格へと変わって
しまっており、書斎を一歩も出なくても生活できるよう改造し、鍵を掛けて閉じこもっていた。
中で怪しげな魔術儀式をしているらしく、異臭が立ち込めるなど、異様な暮らしぶりをしていた。

昼食会の後、バトラ、ジェシカ、譲治、マリアのいとこ組は海辺へピクニックに出かける。玄関に
続くホールには、バトラが来ていた6年前まではなかったもの、「六軒島の魔女・ベアトリーチェ」
の肖像画と碑文が掲げられていた。
ベアトリーチェ(以下ベアト)とは金蔵の経歴の上に存在を噂される女性だった。金蔵はたった
一代で壊滅寸前の右代宮家を復興させたわけだが、その資本金として莫大な黄金を授けた女性がいる
という。金蔵はその女性を魔女であり、魔術師である自分が召喚したのだとうそぶいていた。ベアトの
正体は、外国人のパトロンかつ愛人であるとか、子供達が森へ迷い込まないよう考え出された嘘であるとか、
本当に魔女で、黄金の蝶の姿になって夜の館を飛び回っているとか、色々な解釈がされているのだった。

彼女の肖像の下には碑文が刻まれていた。これは黄金のありかを示しており、解いた者に黄金と
家督が譲られるという話であった。前半は謎めいた、いかにも場所を示したかのような文だが、後半は
生贄を捧げよ、殺せ等の物騒な言葉が並んでいて、結局全員が死んでしまうという恐ろしい内容だった。
いとこ達は、休憩時間中のシャノンと一緒になって謎解きに挑むが、もちろん短時間で解けるもの
ではない。思わず魔女などいないともらすバトラに、マリアは激しく怒った。マリアは魔女を
素晴らしい存在と信じているのだ。バトラ達はあわてて機嫌をとった。気をよくしたマリアは、
魔女を馬鹿にしたバトラとジェシカに罰があたらないようお守りを授けるのだった。

598 :うみねこのなく頃に 夏海ケイ:2008/11/07(金) 18:35:20 ID:???
いとこ達が旧交を温めている間、親世代は穏やかでない話し合いをしていた。弟妹たちは、クラウスが
当主の財産を横領していると決め付け、訴えない代わりに、遺産の前金を億単位で要求した。だが
クラウスは余裕綽綽だった。彼は弟妹達が経営する会社がそれぞれ危機に陥いり、大量の金が必要
である事を調べ上げていて、横領の事実はないとつっぱねた。すると相手方は「隠し黄金」を
見つけたのでは、と追求する。クラウスは事業に連続で失敗しており、彼が大金をどこからか用立てて
いるのは確かなのだ。勿論黄金の証拠などなく、クラウスは彼らの妄想と笑い飛ばすのだった。

夕方になり、天気が崩れ始めた。金蔵は魔女復活の儀式が始まったと叫び、書斎の窓から当主の証の
指輪を投げ捨てる。
いとこ達は海辺から戻ってきたが、屋敷前のバラ庭園でマリアが騒ぎ出した。午前中の到着時に、
しおれたバラを世話するといって飴の包み紙のリボンで印をつけていたのだが、そのバラが
なくなっていたのだ。癇癪をおこし、手がつけられなくなるマリア。騒ぎを聞きつけてやって来た
ローザは娘を激しく打擲した。一風変わっていて頑固なところのあるマリアはローザの悩みの種なのだ。
マリアは一人バラ庭園に放置された。

夕食の時間になっても戻らないマリアを探してひと悶着起こる。マリアは結局まだバラ庭園にいた。
嵐の中、傘を貸してくれた人がいたという。マリアはその人物をベアトだと言い、預かってきた
文書を読み上げた。内容は、自分を黄金の魔女ベアトリーチェであると主張し、金蔵との契約の満了と、
報酬として右代宮家の全てを貰い受けることを宣言した物だった。そして碑文の謎を解いて黄金を
手に入れた者がいた場合に限り、報酬を放棄するという条件が付け加えてあった。文書は、当主用の
封筒に当主の指輪で封蝋がしてあり、正当な物である事を示していた。

599 :うみねこのなく頃に 夏海ケイ:2008/11/07(金) 18:36:44 ID:???
大人たちは書斎に詰め掛けるが金蔵は扉も開かず相手をしない。魔女を名乗って財産を奪おうと
する者について、黄金について、激しい議論が沸き起こった。それは要するに財産の争奪戦であり、
若いバトラやジェシカは嫌悪感を抱く。
夜も更け、会議は一旦中断となった。クラウスは、自室の更に奥にある小部屋へ、ひそかに夏妃を
招いた。そこには純金の延べ棒が一本、隠されていた。延べ棒には右代宮家の証、鷲の紋章が
刻まれていた。金蔵が財界の有力者に担保として渡したものを手に入れたのだという。黄金は確かに
どこかに存在しているのだ。クラウスは今まで黄金伝説を否定し続けていた。
夫に信頼されていなかったと、夏妃はうちひしがれる。

バトラは休憩中の霧絵と顔をあわせ、意見を交わす。霧絵は、ベアトなる人物が、親族使用人18人
の中の誰かだと推理した。そこへ、やつれた様子のルドルフがやって来た。ルドルフは後で一家で
話したいことがあると言い、そして「今夜自分は殺されるだろう」と言い切ったのだった。
(2巻へつづく)