なるたる

Last-modified: 2008-09-23 (火) 00:05:11

なるたる/鬼頭 莫宏

122 :なるたる :04/02/27 18:50 ID:???
少女・玉依シイナは小学6年の夏休み、毎年恒例で
父の実家がある島に遊びに行った時、奇妙な物体と出会う。
星型で可愛らしい顔を持ち、自在に空を飛ぶそれを、シイナはホシ丸と名付ける。
ホシ丸はしゃべりはしないが、一緒に来る意志があるらしいので、
シイナはそれをカバンに偽装し、連れて帰ることに。


帰りの飛行機(本木航空という民間航空会社の小さな飛行機。
シイナの父も本木航空に務めているパイロット)に乗り合わせた乗客は
女の子と見まがう美貌の少年と、若い男の2人組。
だがそこで、巨大なナイフのような形の謎の飛行物体が飛行機を襲撃する。
シイナは機体後部の壁に空けられた穴からホシ丸に乗って飛び出し、
鉄骨(壊れた壁から飛び出していたものを、ホシ丸が苦も無くひきちぎった)を
武器に戦いを挑む。
しかしホシ丸から落下、海面へ・・・というところでシイナを救ったのは、
海中から出現した巨大な物体だった。
シイナは気付いていないようだが、その姿は父の実家にあった
父・俊二が子供の頃に描いた落書きに似ており、全身にペイントのある
裸の女の人(のようなもの)が乗っていた。
その巨大物体はナイフ形の物体をあっさり撃破、シイナを飛行機に届けてくれる。
ナイフ形の物体に貫かれたホシ丸も平気そうで一安心。


2人の乗客はこの様子を見て色々しゃべっているのだが・・・
ナイフ形の物体を「竜骸」と呼び、彼らも同種のものを持っているらしい。
巨大物体は「成竜」、女の人は「乙姫」と呼ばれている。
だが、シイナが飛行機に戻った時には、2人は姿を消していた・・・



123 :122 :04/02/27 18:55 ID:???
――ここまでで最初の2話。

細かい部分にも意味があったりして、どこまで書いたものか難しい。
続きはまた今度。

あ、1つ追加しとくか。
最初の方に、シイナが夏休みの宿題で絵を描こうとして
(夢、とかいうテーマだったらしい)悩むシーンがある。
それで祖母に勧められて、父が昔描いた絵を見るのだが・・・
ちなみに、宿題は結局島に忘れたらしい。



127 :なるたる :04/02/28 12:33 ID:???
細かい表現よりも、スレタイ通り「ストーリー」を書くことにした。


飛行機の異変について取り調べを受けても、
とりあえずホシ丸のことは秘密にして過ごすシイナ。
なお、姿を消した乗客2人は、名前も住所も偽物で、全くの身元不明だったという。


そんな中、シイナは通っている「スポーツチャンバラ教室」で1人の少女と出会う。
彼女の名は佐倉明(あきら)。チャンバラ教室に来ながら、人を叩くことを恐れる
おどおどした少女だ。その明も、快活なシイナに心を開きかけるが、
ロッカーで(カバンとして扱われている)ホシ丸を見た途端、逃げ帰ってしまう。
そう、彼女もまた、同じようなものを持っていたのだった。


だが、再開は意外にあっさりと。
父の帰りが遅くなるため、外食に出かけたシイナがふらりと入った定食屋、
そこは明の家だった。
家にあがったシイナは、明にホシ丸と同様のものを見せられる。


アキラはそれと「チャネリングした」と言う。
つまり、それが見たり聞いたりしたことがそのまま伝わり、
また自分の意思で動かすこともできるというのだ。
自分はそのようなことはないし、「いいなぁ」というシイナだが、明はおびえていた。
「それ」が空に浮いている時にいきなりリンクして、飛び方も分からず、
落下・地上に激突するのを経験したからだと言う。
しかし、シイナの呼びかけに、シイナを「仲間」として、今度こそ
心を開いていく明であった。


――ちなみに、作中時間はまだ夏休み。



129 :なるたる :04/02/28 13:02 ID:???
一方、あの巨大なナイフ状物体を操る1人の少年が
本木航空の飛行機を襲いつつパイロットにシイナのことを聞き、
「タマイシイナ」の名を聞きだすことに成功していた。

父の会社の飛行機が不審な原因で落ちたことを知ったシイナは
自分の乗った飛行機が襲われたこととの関連を感じ、
果敢にも調べようと、明と2人本木航空に向かった。
シイナはホシ丸、明は「エン・ソフ」と名付けた例のものを連れて。
とは言え、手がかりなどなかったのだが、向こうもシイナに目を付けていたため、
飛行場周辺を歩き回っていると、ナイフ状物体の方からあっさり姿を見せる。
それを追って行ったシイナとホシ丸が相手に振り回され、痛めつけられている時、
それを操る少年が、明の前に現れた。


自分は大量の人間を殺して世界のカタチを変える、組まないか、と明を誘う少年。
彼は(自殺用の)押し出し式ナイフを渡して「どうするか選べ」と言うと、
一端シイナの方へ向かうのだった。
(ちなみに、ナイフ形物体もそのナイフにちなんで『プッシュ・ダガー』と
名付けられている)


少年はホシ丸やエン・ソフ、プッシュ・ダガーのことを「竜の子」、
前にシイナを助けた巨大物体を「竜」と呼び、シイナに問う。
「竜は現身(うつせみ)に関与したりしないはずだ。なぜお前を助けた」と。
(なお、前述のように飛行機で消えた2人は「竜の子」と同じものを「竜骸」と呼んでいる)
しかし何が何だか分からないシイナ。シイナがホシ丸とリンクしていないことに
少年は気付き、不審に思う。再びプッシュ・ダガーがホシ丸を貫いたその時――
悲鳴をあげたのは後を追ってきていた明だった。
シイナになったつもり頑張ろうとした明は、
エン・ソフをホシ丸そっくりに変身させたのだった。
そこに現れた本物のホシ丸は、手(?)から飛行機の時の鉄骨を
出現させると、投げつけて少年の腹を貫いてしまう。
血を吐いて倒れる少年を尻目に逃げるシイナと明。
しばらくして、「相手は死んだ」という事実がのしかかる――



144 :なるたる :04/02/29 15:48 ID:???
ここで周辺人物の様相も紹介される。

まずプッシュ・ダガーの少年、小森(本人は名乗らなかったが)の仲間。
(明にも「いちおう仲間はいる」と言っている)
須藤直角(なおずみ)・・・リーダー。優男だが浮世離れした、どこか不気味な青年。
小沢さとみ・・・高飛車なお嬢様な性格。彼女の通う「万朶(ばんだ)学園」は
         お嬢様学校として有名。赤いストッキング等の派手な制服が特徴的。
高野文吾・・・スポーツマン。一見割と普通。さとみとは幼馴染のカップル。
彼らは小森とは少々方向性が違うようだが、やはり世界を改革しようという
危険なことを企んでいる。


また、シイナを助けたような「竜」は何体も、世界中を飛び回っており、
各国の政府などもそれを確認してはいた。
日本政府もその研究・対策のために「臨時軍用気球研究会議」という機関を
結成しており、シイナの別居中の母・玉依美園もそこに所属する学者であった。
(シイナはこの母のことを嫌っており、たまに会っても2人の間は冷たい)
また、シイナを助けた竜はこの機関に確認され「イカツチ」と命名されている。


シイナは一度、友人・貝塚ひろ子と、本木航空周辺の「あの場所」を見に行くが、
小森の死体は影も形もなかった。
この時、やはり小森のことを調べに来ていたさとみ&文吾と出会い、
些細なことからさとみと喧嘩になりかけるが、それぞれ文吾と貝塚が制止する。
ひろ子は万朶の中東部を受験するため、あの人は先輩になるかも知れないから、
と言うのだ。



178 :なるたる :04/03/01 22:27 ID:???
なお、シイナの父・玉依俊二は元自衛隊員だった。
本木航空が(社長の趣味で)空自のサポート業務を行っているので、
その経験をいかし、現在も戦闘機に乗っていることもある。


だが、同じく元自衛隊の同僚・小野と戦闘機の飛行訓練を行っていたある時、
謎の物体に襲われる。翼のような形の髪を持つ、少女の人形――
まさしく「天使」と形容したくなるようなそれは、超音速で飛行、
バルカン砲などを出して攻撃をしかけてきた。
小野の機は撃墜、俊二も非武装ながらに翼で切りつけるなどして
応戦するが、やはり撃墜されてしまう。


シイナは始業式で登校して、いきなり父の飛行機が落下、行方不明という
知らせを受けることになるが――
だが、シイナはなぜか「お父さん・・・・・・生きてる!?」と感じていた。


180 :なるたる :04/03/02 02:21 ID:???
同僚の小野は死んだが、玉依俊二は生きていた。それほど大きな怪我もなく。
入院している俊二のところには、妻・美園も訪れ、
彼を襲ったモノについて聞いて行った。
「変なモノに遭うのは2度目だ」と述懐する俊二。


一方、父の見舞いに行ったシイナに病院の廊下で不意に
「お父さん無事で良かったね」と声をかけ、姿を消した男――
彼は島からの帰りの飛行機で消えた乗客の1人、年上の方だった。
更に、父の同僚・小野の通夜に出席して帰ったシイナを家の前で
待っていたのは、佐倉明だった。
今日訪ねて来た明と同年代の少年(明は引きこもって会っていない)が
渡して行ったという封筒、その中の紙には、
「エンソフト ホシマルニ ヨロシク」と書かれていた――


何が何だか分からないままに、とにかく病院で会った男を捜そうとし始めるシイナ。
手がかりは何もないが、ホシ丸が顔を覚えているらしいことを利用して、
明がホシ丸を連れて捜し回り、シイナは別の場所で待機。
見つけたらエン・ソフを通して知らせる、という作戦をとることにした。
実行しながらも、こんなんでうまくいくはずがない、と思う明だが、
何と、あっさり見付かってしまう。
一心不乱に追うシイナ。話ができすぎだと感じる明。



181 :なるたる :04/03/02 02:30 ID:???
スクーターで走る相手を自転車で追うこと小一時間、
辿り着いたのは郊外の廃工場だった。
男はシイナ達が追っていたことを知っており、平然と迎え入れる。
ガラクタだらけの工場の中には、磔の「天使の人形」が目立っていた。
(シイナには分からないが、俊二達を襲ったものとは少々違う)
もう1人、女の子と見まがう美貌の少年は造形をやっているらしく、
怪物の人形に囲まれている。
問い詰めようとするシイナだが、のらりくらりと対応されたり
とりあっても貰えなかったりで、結局有用な情報は得られないまま帰ることになる。
分かったのは名前くらい。


若い男の方は・・・鶴丸丈夫(たけお)
(便宜上若い男と言ったが、まだ18歳だと後に判明)
美貌の少年の方は・・・古賀のり夫



188 :なるたる :04/03/02 12:21 ID:???
プッシューダガーの少年、小森朋典(フルネームはここで明らかに)
の家のことが報道されていた。
朋典が失踪したため、2人暮らしで世話をされていた母親が
餓死しているのが発見されたのだという。
報道で語られる小森の姿――母親思いで、医者を目指していた――
は、大量殺戮で世界の変革を目指していたあの少年とは
正反対のものだった。


明は結局、昼間から小森の家(報道で知ったのだろう)に花を供えに行く。
(元々不登校気味になっていた様子)
そしてそこで会った青年は――彼の「仲間」達のリーダー、須藤直角。
須藤は明を車で送ることになる。須藤は小森と「ボランティアで知り合った」
と言い、明は「文通していた」と言って、どちらも本当のことは語らない。
小森の家は警察関係者に監視されており、尾行の車がつくのだが、
須藤は自分の竜の子(ホシ丸やエン・ソフをゴツくしたような姿)に
車とマシンガンを扱わせ、追っ手を撃退してしまう。
無論明は、後方でそんなことが起きているのは知らない。


ちなみにこの時、明らかに何体も同じ車が出現しており、竜の子には
物質をコピーして同じものを作り出す能力があることがはっきり判明する。
最後に、「何をしている人なんですか」と明に聞かれ、須藤は答える。
「地球を守る人」と――



189 :なるたる :04/03/02 13:07 ID:???
陸上自衛隊の東富士演習場近辺で撮影されたという、
1枚の奇妙な写真が報道された。
自衛隊の飛行機と並んで飛んでいる物体は――プッシュ・ダガー


久しぶりに登校しようとした明は、謎の物体に拉致される。
背骨のような軸の先に4枚の花びら――十字架のような形にもなり、
手のような動きもするものを備えたその物体こそ、
小沢さとみの竜の子、アマポーラだった。
明はエン・ソフを動かして、シイナに助けを求める。
空も飛べないながらに家まで辿り着き、筆記で「タスケテ」と・・・
学校から帰ってすぐにこの知らせを受けたシイナは、
スポーツチャンバラ教室の防具のヘルメットをかぶり、
エン・ソフの案内する場所へと向かう。



198 :なるたる :04/03/02 18:25 ID:???
シイナの向かった先、明の捕まっているところは、
報道されていた東富士・自衛隊演習場の近くだった。


一方、高野文吾と小沢さとみの2人は須藤直角の家に呼ばれる。
(明の拉致も直角の命令だった)
何もなく、生活感の皆無な家に驚く2人。だが更に驚いたのは、
全裸で平然と現れた少女だった。須藤の家族ではないらしい。
名は涅見子(くり・まみこ)


明を助けるべきアマポーラと交戦するシイナ。
そこに自衛隊が乱入し、アマポーラは自衛隊のヘリコプターと交戦、
シイナと明は自衛隊に捕まることになる。
しかし、さとみのスキャンの精度が悪かったためにアマポーラの出す
火器はうまく作動せず、最後は捨て身で突撃するが失敗、
ヘリコプターのプロペラに巻き込まれる。
竜の子はどうなっても死なないが、さとみはその激痛に失神、失禁する。


そこへ現れたのは「天使の人形」――父から聞いていたのはそれだと
すぐに分かったシイナは、ホシ丸にそれをやっつけるよう叫ぶ。
更に、鶴丸丈夫も姿を現す。だが、問い詰めるシイナに、鶴丸は
天使の人形との関わりを否定する。
そう、あの天使の人形は高野文吾の竜の子・ハイヌウェレだった。


一方、目を覚ましたさとみはこのままでは終われないと、次の行動に出る。
花のような形に変形するアマポーラ。
激化する自衛隊とハイヌウェレ、ホシ丸の戦いで、シイナ達の近くに
ヘリコプターが落下するが、間一髪、シイナをかばった物体があった。
廃工場で古賀のり夫の作っていた人形の1つ――に見えたそれが、
のり夫の竜の子であるらしい。



199 :なるたる :04/03/02 18:27 ID:???
だがやがて、ホシ丸は戦いを切り上げてシイナのところに戻ると、
泡のようになってシイナと明を包む。鶴丸も慌ててのり夫の竜の子を浮上させる。
アマポーラがコピーして作り出していたもの――それは毒ガスだったのだ。
この毒ガスは風下の町にも流れ、更に撃墜された町に飛行機も落下し、
多大な被害を出す。泣き崩れるシイナ。
だが鶴丸は「見ろ。それがお前の役割だ」と言うのだった――


なおこの間、須藤の竜の子は遠くからずっと見守っていた。


――こんな感じでひとまず戦いは終わり、また周辺人物の様子が
描かれたりするのだが、詳しくは割愛。そして続く。



212 :なるたる :04/03/03 09:55 ID:???
関連人物の様相等も少々。

鶴丸丈夫は多数の女の子と付き合いまくり、18歳にして子供が5人いる。
来年には更に2人生まれる予定。認知して養育費は出しているという。
本気で子供を100人作るのが目標のようなことも言っている。
シイナはそこまでは知らないが、東富士の件でお礼を言いに行ったりで、
徐々に仲良くなっていく。
なお、のり夫は自分の竜の子を「ヴァギナデンタータ」と命名している。


民間のカメラマンが撮影した、空中でアマポーラと交戦するシイナの写真が
スポーツチャンバラ教室のヘルメットをかぶっていたことから、
臨時軍用気球研究会議の主要人物・宮子巽(みやこ・たつみ)は教室を
訪問、シイナとも接触する。証拠はないが、1つの感触を得る宮子達。


須藤と同居する少女・涅見子は外出する時には一応服を着ているが、
本来着たくないらしく、下はノーパン。
それはともかく、彼女は今はまだ使えないが、シェオルという凄い竜の子を
持っているとのことで、また須藤の竜の子を「トリックスター」と呼んでいる。
(須藤自身は、名を付けないらしい)


シイナが明の家の定食屋に行ったついでに手伝っている時、須藤が訪れ、
明と、ついでにシイナを釣りに誘う話もあった。
その帰り、シイナが寝ているのを見て、須藤は明を仲間に誘う。
須藤が竜の子の保持者であることに、薄々気付いていた明。
具体的なことは言わないが、世界の変革を語る須藤。
彼は仲間、特に「竜の子が姿を現さない保持者」を探しているという。



213 :なるたる :04/03/03 10:28 ID:???
ホシ丸とリンクすべく、夜の東京湾上で特訓を始めたシイナは、
ホウキに乗った1人の少女と出会う。
彼女の名は江角ジュン。ホウキが彼女の竜の子であるらしい。
(ちなみに須藤達は「竜の子」、鶴丸達は「竜骸」と呼ぶそれを彼女は「念土」と呼ぶ)
ジュンは自分達の行く末が竜であると語り、「運が良ければ会える」と言って、
東京湾を越え、シイナを千葉の廃校へと案内する。
シイナも竜に会ったことがあることを語るが、「助けてもらった」と言うと
ジュンもまた「竜は人に干渉しないはず」と驚くのだった。
だがそこへ海中から、イカツチとは違う巨大な竜が現れる。
近づくと、竜の中から全身にペイントのあるイルカが現れ(これがこの竜の乙姫)、
シイナの額をつついていく(キスらしい)
乙姫に会えるのも珍しいことのようで、ジュンはシイナを「特別なのかも」と言う。


翌日、父の再検査に付き添って行った病院で、馴染みの先生が刑事と話しているのを
聞いたことから、シイナはジュンに縁のある人間に出会う。
意識不明で入院している少年・福山京児。彼は千葉の廃校に倒れているのを
発見されたが、なんと原因は墜落だという。
京児のいとこで幼馴染・福山笙子。京児の枕元の写真には、京児・ジュン・笙子の3人が
仲良く寄り添って映っていた。


ジュンのことが縁で知り合ったシイナに、笙子は色々と語る。
千葉の学校が廃校、ほとんど廃村の状態になって引っ越してきたこと。
2年前からジュンと文通していて、何度もジュンの手紙に助けられたこと。
そして、京児がこうなって、助からないと聞いて、京児のことを好きな自分に気付いたこと。
(「京児の子供がほしくなった」とも言った)
男女のことは分からない、男の子を好きにもならないというシイナだが・・・


病室に戻ると、ジュンが来ていた。だが、ジュンは笙子を冷たく罵り、絶縁を宣言する。
一方で、シイナには「今夜見せたいものがある」というのだが・・・



214 :なるたる :04/03/03 10:29 ID:???
間もなく笙子のもとに京児の死の知らせが届く。だがシイナは湾岸で、真実を目にしていた。
「江角ジュン」だと思っていた相手は、本物のジュンではなかった。
福山京児の竜の子が、ジュンの姿になったものだった。
本体は意識不明でありながら、ジュンの姿の竜の子を通して、京児は全てを語る。
本物のジュンは2年前に死んでいたこと。ジュンの手紙に助けられていた笙子に
真実は言えず、竜の子の能力で代筆していたこと。そして、今回のことも、
笙子に真実を知らせないためだということ――
病院で死亡確認された京児は、竜の子の力で作った複製だった。
ここで、竜の子は生物をコピーしても、命は宿らないことも明らかになる。


後日、絶縁されながらジュンに出してみた手紙が、転送期間経過のため
届かないことを知り、不審に思った笙子は、病院に医師に聞いてシイナを訪ねる。
シイナは「運が良ければ会えるよ」と言って、笙子を千葉の例の廃校へ案内する。
会えたもの――それは、竜になった京児。
人魚の姿をしたそれの顔は、笙子の顔。そしてその上に乗っているのは、
全身ペイントの乙姫(男だけど)の姿になっているが、確かに京児だった――


――今回ここまで。次いよいよ、グロ描写ありの話に。



232 :なるたる :04/03/05 12:11 ID:???
シイナの友人・貝塚ひろ子はクラスメート4人から、水にミミズを入れた
「ミミズジュース」を飲まされるなどの陰湿ないじめを受けていた。
万朶に入学するためには問題を起こすべきでないということをつけこまれる一方、
家に帰れば父親から「小学校のテストくらい100点を取れないとは何だ」と叱られ、
唯一の友人・シイナについてまで「劣等性と付き合うな。悪い影響しか受けん」と、
付き合いをやめるよう言われる有様だった。


一方、佐倉明は同級生の女生徒に無視されるなどの扱いを受けながら、
彼女のことを思う男子生徒の石田君と保健室で性行為に及ぶ
寸前まで行くが未遂に終わるなど、悶々とした青春を送っていた。
2人はシイナの家の前で遭遇、玉依親子と夕食を共にしたりもするが――


シイナの家から帰る夜道、ひろ子はいじめの4人組みにまたも囲まれる。
そして、股間に試験管を挿入するというリンチを受けかけるが・・・
途中で助けに入ったのは、シイナやひろ子の同級生でシイナの住む
アパートの大家の息子でもある、水島貴也だった。
(4人組の1人がチクった様子)


そうして家に帰ったひろ子を待ち受けていたのは更なる追い討ち――父が
玉依家にシイナが娘との付き合いをやめるように、と電話したようだった。
(電話を受けたのは俊二で、シイナには伝わっていない)
その時、異変が起こった。



233 :なるたる :04/03/05 12:11 ID:???
追って貝塚家を訪問した水島君は、「貝塚のこと守るよ」と言い、
ひろ子への想いを伝える。だが、ひろ子の答えは「もう おそいよ」
その服には、血が付いていた――


翌日、いじめの4人組の1人、尾崎三早が、夜道で原型を留めない死体となる。
目撃者は犯人を「鬼」と表現するのだった。


いじめの首謀者・本田亜希はアパートで兄と半裸で戯れていた。
いじめの手ほどきをしたのもこの兄らしい。
そこへまさしく鬼のような怪物が壁を破って侵入すると、兄の頭を叩き潰し、
亜希には手から出した大量のミミズを飲ませた上、鋭い爪の生えた指を
股間に挿入する。その指は腹を突き破り、亜希は2つに引き裂かれた死体となる。


翌朝、クラスメート2人の死に騒然となるクラス。4人組の1人・市東美代子は
何かを感じ、いじめの事実を皆の前で告白する。
そんなところへ窓から「鬼」が乗り込んでくるのだった。
鬼は4人組の1人・高村宏華を窓から落として殺し、市東美代子に襲いかかる。
片足を吹き飛ばされ、腕と肋骨を折られながら謝る美代子。
そこへホシ丸は登場、鉄骨を投げつけて応戦し、何とか美代子は助けられるのだった。
そんな中で、いじめの話などからシイナは、それがひろ子の竜の子だと気付く。
なおも暴れようとする鬼だが、説得するシイナを襲うのをためらい、
ひとまず学校を去るのだった。



234 :マロン名無しさん :04/03/05 12:12 ID:???
避難のどさくさにまぎれて学校を抜け出し、貝塚家に向かうシイナ。
一方鬼の向かった先は――本木航空。


「もうやめよう」と言うシイナに対し、ひろ子は「我慢するのはやめた。
気にくわないものはこれで潰してしまおう」と言い、逆にシイナを誘うのだった。
TVで実況中継されている鬼は、本木航空に乗り込み、玉依俊二を襲っていた。
「シイナのためにも」と言って、俊二を殺そうとするひろ子。
シイナはつかみかかり、ひろ子の首を絞めるが、
どうしても友人を殺すことはできない。
だがそこでホシ丸が手を伸ばし、非常にもひろ子を絞め殺すのだった。


一方その頃、明は小森から貰った押し出し式ナイフで、父親を刺殺していた。


~シイナ小学生編 終わり~



277 :なるたる :04/03/08 10:17 ID:???
貝塚ひろ子の“鬼”のエピソードの時、作中時間は10~11月頃。
それから冬にかけての季節を舞台に、周辺人物の模様。


臨時軍用気球研究会議・宮子巽副局長の秘書のちょっとした話。


人類の選別・大量の死を示唆する須藤。
どうやって選別などできるのか、疑問を感じながらも須藤についていく
高野とさとみ。


たくさんの子供の養育費もあり、家出娘の捜索から美人局も対応まで
荒事をやって稼ぐ鶴丸。
そして、そんな鶴丸に対するのり夫の気持ち。


季節は春。シイナは中学生になった。
進学先は――万朶学園。
あれから猛勉強したシイナは見事、全科目満点で十数年ぶりの特待生として、
万朶に合格したのだった。

一方あの件依頼、ホシ丸は捨てられていたが、のら(?)となっても
シイナを見守っているのだった。


鶴丸とはいつの間にかすっかり仲良くなっているが、東富士で戦った相手の
ことなど、鶴丸はつかんでいる様子にもかかわらず教えてはくれない。
(貝塚一家の死体は鶴丸達が始末し、行方不明ということになっているらしい)



278 :なるたる :04/03/08 10:35 ID:???
小沢さとみは噂の特待生がリストアップしていた
竜の子のリンク者であることに気付き、接触する。
再び悶着を起こしかけるが、シイナが自らさとみの家に赴いて
無地、和解することに成功する。
ちなみにさとみは意外にも、「月令社宅」に住む庶民であった。
この時シイナは文吾とも再会し、紹介される。
(元々さとみはシイナはリンク者だと知って、仲間にするべく接触したわけで)
会話の中でシイナは、さとみもリンク者であることまでは気付くが――


同時進行で、涅見子もまた、万朶学園に潜入していた。
生の人間を観察したいという、涅さんの願いだったらしい。
付き添いで行った須藤は入学式の時にシイナとも出会うが、何を思ったか
帰りに川にゴミを捨てた男を射殺し、警察に捕まってしまう。
須藤が警察に言った連絡先は、総理府・宮子巽。
こうして須藤は表向きは犯罪少年として捕まりながら、竜のことを追う
大人達と手を組むことに成功する。
文吾をさとみも仲間として紹介され、デモンストレーションとしてアマポーラが
米国の巡洋艦を沈めたりもする。



279 :なるたる :04/03/08 10:43 ID:???
古賀のり夫の造形の個展が開かれる。
シイナは同級生3人とさとみを誘い、見に行く。
だが、そこで一際目立つように展示されていた天使の人形を見て、
さとみは言ってしまう。
「文吾の・・・・・・どうして?」
その一言で事態を悟ったシイナは、さとみに殴りかかる。
だがそこに居合わせたのか文吾が登場、シイナをひねり上げる。
そこはとりあえず鶴丸が仲裁に入ったが――
さとみは、シイナを殺すことを決意するのだった。


なお、この辺で明らかになるが、施設に入っている明の竜の子、
エン・ソフは、鶴丸達の住む廃工場に預かられている。
(これは先に言っても良かったかな)



290 :なるたる :04/03/09 13:21 ID:???
万朶学園、春の健脚オリエンテーティング大会が開かれる。
高等部と中等部の生徒が混合で班を組み、山の中を
ゴミを拾いながら歩くというもの。
ここでさとみ達が何か仕掛けてくる可能性を見越した鶴丸は、
のり夫の竜の子・ヴァギナデンタータにシイナを見張らせた上、
自分のその山に行き、1つの秘策を使う。
それはのり夫が女装、グループからはぐれた生徒を装って
さとみの班に入り込むというものだった。


一方、アマポーラが始動、まず山の中で大量の磁石を作り出した。
方位磁針を狂わされ、更に霧も出てきて、シイナのいる班はコースをはずれ迷う。
山中の小屋に辿り着いてしまったところで、動かず助けを待つことにする一行。
だが、アマポーラが発生させたガスにより、皆目を開けていられなくなる。
飛び出したシイナを襲うアマポーラ。ヴァギナデンタータが止めにかかるが、
ミサイルに載せて遥か彼方へ飛ばされてしまう。
しかし、鶴丸からの通信を受けたのり夫がさとみをスタンガンで気絶させる。
シイナが捕まった状態でアマポーラが飛んでいたので、落下するシイナだが、
ホシ丸が空中でキャッチ。ホシ丸に謝るシイナ。とりあえず和解(?)


そこに鶴丸も到着、巻き込まれて大怪我をした宇井先輩を病院に運ぶため、
鶴丸の車で下山することになる。



291 :なるたる :04/03/09 13:32 ID:???
だが、さとみが気絶したままにも関わらず、アマポーラは再び動き出した。
より人型に近い姿に変形し、霧の中でも赤外線カメラを使って
鶴丸の車を追い、襲撃するアマポーラ。
鶴丸はシイナと宇井をホシ丸に乗せて行かせ、車で相手をはねるが、
車ごと投げ飛ばされてしまう。


アマポーラに追いつかれたシイナはホシ丸に宇井先輩を運んで行かせ、
1人アマポーラと対峙する。とは言え、戦うすべは何もない。
林の中へ逃げるのみだが、すぐに捕まり、執拗に殴りつけられ、
右手をへし折られてしまう。
絶体絶命と思った時、後方から現れたもの、それは――
イカツチの乙姫だった。
イカツチの手から放たれたビーム(?)がアマポーラを貫くと、さとみは
気絶したまま悲鳴をあげて泡を吹き、アマポーラは今度こそ動かなくなった。


最後に、さとみのこれまでの人生が振り返られる。



292 :なるたる :04/03/09 13:40 ID:???
後日


その後、さとみはそのショックで幼児退行を起こし、
文吾に甘えたきりなってしまう。


しばらく入院することになるシイナ。相変わらず本当のことは言わない。
そしてシイナの退院後、玉依俊二はロシアに出張することになる。
シイナを大家の水嶋さんに預けようと言う俊二に対し、
美園は「自分が預かろうか」と言うのだった。


それに反発したのか、シイナは家出して鶴丸達の廃工場で暮らすと
言い出したりする。一応、一端家に帰って父に話をつけたようだが、
その後、出張中は本当にそこで暮らしていたらしい。
なおこの時、のり夫も家出してここにいるのだということも触れられる。



304 :なるたる :04/03/10 13:51 ID:???
玉依俊二が戦闘機に乗り、ロシアの空を翔る。
相棒の三原志郎は最近まで自衛隊で、このロシア出張が
本木航空に来て初の業務となる。
そして彼もまた、自衛隊時代にイカツチに遭遇していた。
2人は「奇妙なモノ」と遭遇した体験を語る。
ついでに、俊二は娘から変なカバン――ホシ丸を持たされていた。


2人は町でトラブルに遭ったところを、1人のおばあさんに助けられる。
2人を飛行機乗りだと知ったおばあさんは、1つの頼みごとをする。
「あたしを飛行機に乗せてくれないか」と――


とりあえず、事情を聞く2人。
おばあさんの息子・リョーリャは軍のパイロットだったが、18年前に行方不明になったこと。
生きている望みほほとんどなくても、どうしても自分で捜したいということ。
ついでに、リョーリャが子供の頃、ヤガーばあさんの小屋(おとぎ話に出てくる、
魔女の住む家)が空を飛んでいるのを見た、という話も聞く。


結局、俊二と三原はおばあさんの望みをかなえることにする。
俊二と三原が同乗、ということにして、三原は隠れ、代わりにおばあさんを乗せる作戦だ。
だが、リョーリャの行方不明になったという場所の近くを飛んでいると、
2人の乗った機はロシア軍の戦闘機に捕捉される。
「指示に従わなければ撃墜する」というロシア軍。
恐らくは、俊二と三原の見た竜の情報を手中にするためだろう、
ФСБ(フェーエスベー)が動いたのだった。



305 :なるたる :04/03/10 14:03 ID:???
指示に従おうとする俊二だが、おばあさんは俊二が身に覚えがないと知ると、
なんと後部座席から操作、逃走させてしまう。


一方で、地上で異変を知った三原は日本大使館に助けを求めようとするが
発見されてしまう。2人のうち1人、三原の身柄を確保することができた
ФСБのラクマニン大佐は、撃墜命令を出す。


ホシ丸も出動、ミサイルを撃墜して俊二達の乗った機を助けたりもするが、
弾丸が命中、機体が火を噴き始める。
脱出しようとしたその時、眼下の大地がせり上がり、とてつもなく
巨大なモノが姿を現した。
それは丸太小屋のような形をしていたが、全長1㌔はあり、屋根の上には
木が生えていた(それが大地と同化していたらしい)
下からは何本かの鳥のような足が生え、空を飛んでいる
――ヤガーばあさんの小屋。


更に、屋根の上の森の中に飛行機の残骸を発見したおばあさんは、
飛行機をそこに着陸させようとする。結局俊二もそれに従い、不時着。
降り立った2人の前に現れたのは、全身ペイントの少女――乙姫。
ロシア軍はヘリをも出動させ攻撃するが、
ヤガーの小屋は泡のようなバリア(?)を張り、皆を守るのだった。



306 :なるたる :04/03/10 14:25 ID:???
乙姫の行く先、森の中の小屋にいたのは――
確かにおばあさんの息子・リョリャだった。
ただ、18年前の写真から歳をとっていないようだったが。


思いがけぬ親子の再会。リョーリャは全てを語った。
このヤガーの小屋で、太陽系外の惑星へ旅をしていたこと。
そこでは3年も経っていないと思っていたこと。
このヤガーの小屋は、植物と微生物だけだが、他の星へ生命を
運んでおり、自分はその管理をしていたこと。
(乙姫はしゃべらないが、助言すれば伝わるし、彼女の頭の中の
イメージを夢に見るという)


親子2人きりで話している時に、俊二は乙姫からホシ丸を渡される。
「なぜここに?」と思いつつ、変なことにも慣れてきた俊二であった。


一方リョーリャは、思いがけぬことを母に言う。
家には帰らない、また、宇宙へ旅立つつもりだと言うのだ、
おばあさんは最初は驚くが、(自分も行くのは無理だと言いつつ)
やがて静かに送り出すのだった。


市街地に下ろされるおばあさんと俊二。多くの人間にヤガーの小屋が目撃されて
騒ぎが大きくなったせいもあってか、ФСБもあっさり引き下がった。
(加えて、実はおばあさんは高名なパイロットにして飛行教官で、
ФСБの上にいる人物も彼女の頼みには逆らえないという話もつく)


息子のことについて問われたおばあさんは答えるのだった。
子供はいつまでも親のもとにはいない、生きていてくれればいい、と。



307 :なるたる :04/03/10 14:33 ID:???
一方、日本。


骨折した腕のギプスも取れたシイナ。
鶴丸達とはしばらく一緒に暮らすうちに、すっかり家族のような感じに。
また、鶴丸に好意を持ってもいるらしいが、のり夫は密かに
「キミの役目はシイナの恋人じゃない」と鶴丸を制止するのだった。
(鶴丸もそれは分かっているらしい)


竜の子のリンク者として、佐倉明に目をつけた大人達は、
施設内の明を精神的に追い詰めようと謀る。


万朶学園では、幽霊の噂が聞こえるようになっていた。
それは他でもない、涅見子だった。
彼女は学校内のあちこちに現れるが、彼女の竜の子・シェオルの力なのか、
不可解に姿を消してしまうのだった。



321 :なるたる :04/03/11 12:50 ID:???
玉依俊二が日本に帰ってきて、元通りの生活が始まってからのお話。


日本国内・東岩国基地の近くで、アメリカ国防情報調査庁分析技術員・
ジェーン・フランクリンが轢き逃げ事故を起こす。
この機に乗じて、須藤達の力で更なる不祥事を起こさせ、
米軍を日本から追い出そうとする宮子巽。
だが、それをするまでもなく、近い場所に米軍の輸送機が墜落する。
それに対し米軍が出動し(災害派遣という名目だが)、
周辺地域を封鎖し、住民を退去させてしまう。


ここからしばらく、話の進行と同時に宮子達が情報を分析、解説するが・・・
墜落した輸送機の積荷は核だと見る宮子達。
だが、更に裏があるのでは、とも見られるのだった。


一方、シイナは母にホシ丸のことがバレているのを知る。
そして、鶴丸から入る電話。明の竜の子、エン・ソフが脱走していたというのだ。
鶴丸のところを訪ねたシイナは何か「ざわざわした感じ」を感じ取り、
そちらへ向かうのだった。
当然、ヴァギナデンタータと共にこっそり後を追う鶴丸。



322 :なるたる :04/03/11 13:08 ID:???
結局、シイナとホシ丸は夜まで飛び続けた。そして行き着いたのは、
あの輸送機の墜落した場所の近く。
立入禁止区域にまで忍び込んだシイナが見たものは、
ビルの上を駆けるドラゴンと、それを追う米兵だった。
「ざわざわした感じ」の正体がそのドラゴンだと知ったシイナは、
ホシ丸に乗ってそれを追いかける。だが、よく見ると、
ドラゴンの胴体には明らかに入院姿の――鼻に呼吸チューブを入れた
少年が収まっているのだった。


飛んでいるシイナに銃を向け、捕らえた中年の女、それが
ジェーン・フランクリンだった。ジェーンの質問に対し沈黙を守るシイナだが、
「政府機関の手先か」と言われ、「あの子に呼ばれた」と本当のことを言う。
ドラゴンを「タラスク」と呼び、軍より先におさえたいというジェーン。
シイナは自分の意思で、協力することを決めるのだった。


ヴァギナデンタータを連れて影から見守る鶴丸。
玉依家に「シイナはうちにいる」と電話を入れるのり夫は、
「なぜ自分はこんなことを」と思うのだが・・・


公園でタラスクを発見するシイナとジェーン。
ジェーンは「ヤツは自分に従う」と言い、説得にかかるが、なぜか逃げられてしまう。
戸惑うジェーン。タラスクの中に収まっているリンク者は、彼女の息子だった。



323 :なるたる :04/03/11 13:24 ID:???
息子の名はロバート・フランクリン。幼い時から8年、母と日本で暮らし、
日本の学校へ通っていた。だが2年前、10歳の時、治療方のない
神経疾患を発症し、1年間(在日米軍の)海軍病院で治療を受けていた。
前年の11月、ジェーンは帰国し、ロバートの所在は不明になっていた。
ジェーンは高度な治療を受けられると思い、息子を政府に預けたが、
政府は竜の子のリンク者だから、サンプルとして生かしただけだった。
ジェーンは息子と逃げ、日本に到着したとおろで轢き逃げ事故を起こした。
秘密裏に処理できなくなった政府は、隠蔽のために核を積んだ輸送機を
落としたのだった。


シイナはロバートが鬼ごっこをしているだけかもと考え、とにかく
追いかけることにする。ここで初めて名乗るシイナとジェーン。


しかし米軍は戦闘機を投入、砲撃を開始する。ホシ丸が鉄骨を投げつけたりで
応戦するが、爆撃まで始まり、戦闘は激化していくのだった。
それを見た鶴丸、ヴァギナデンタータの出番を指示するが・・・のり夫の方にも、
大変なことが起こっていた。
かつて、鶴丸が関与した裏の仕事で痛い目に遭わされたチンピラが、
ヤクザの仲間を呼んできたのだった。



324 :なるたる :04/03/11 13:42 ID:???
ヴァギナデンタータを戻せば、ヤクザを倒すぐらいわけはない。
だが鶴丸のため、のり夫はまず戦闘機を片付けることを決意するのだった。
戦闘機にとりつき、ミサイルの弾頭をつぶしていくヴァギナデンタータ。
一方、肝心の鶴丸がおらず、のり夫も男だったのでヤクザ達は、
「豚食い」と呼ばれる肥満の変態男を呼ぶのだった。
豚食いに拘束され、いたぶられながら、その様子をビデオに撮られるのり夫。
生かしたままナイフでのり夫の身体を切り裂く豚食いのやり方は、
ヤクザの連中も吐かずにはいられないほどの凄惨さだった。
米軍の戦闘機は次々と現れ、中々片付かない。
それでものり夫は、声もあげずに痛みに耐え、ヴァギナデンタータを
操り続けるのだった。全ては、鶴丸のために――
弾頭をつぶすという悠長な手も使っていられず、重火器で戦闘機を撃墜するが、
のり夫の命も限界に近づいていた。
最期に、巨大に変形したヴァギナデンタータが戦闘機を叩き落し、
朝日の中にそびえ立ち――そして崩れ落ちた。


鶴丸への報われぬ想いを胸に秘め、古賀のり夫、死亡――


のり夫の奮闘にも関わらず、なおも増援の戦闘機が飛来する。
シイナの前に姿を現した鶴丸は、シイナに逃げろと言う。
過去に2度自分を助けた乙姫のことを言うシイナだが、鶴丸は答える。
「乙姫は助けにこられない。相手が人間だから」



325 :なるたる :04/03/11 13:54 ID:???
激しい爆撃の中、ようやくジェーンは事実に気付く。
鬼ごっこではなかった。途中でタラスクに収まっているロバートは、
コピーした偽物に入れ替わっていた。本物は生命維持装置も外して、
公園の遊具の中に横たわっていた。
ジェーンが見つけると、タラスクは停止、シイナの感じていた
「ざわざわした感じ」も消えた。


ロバートを病院に運ぶため、ホシ丸に4人乗りで飛ぶ。
その途中でシイナは、封鎖地区の道を歩いている、明と須藤の姿を見た。
しかし、とにかく封鎖地区の外の鶴丸の車に辿り着く一同。
だが、車の中で、ロバートは息をひきとった。
シイナ達と別れ、警察に自首するジェーン。


一方、明の姿を見たのが気になり、戻ろうとするシイナ。反対する鶴丸。
その時、ホシ丸が鶴丸の側につき、変形して2人を包み、飛び出した。
そう、ホシ丸のリンク者こそ、鶴丸丈夫だったのだ。


だが、竜の子=ホシ丸がシイナを拉致したのに反応、イカツチが出現する。
イカツチはホシ丸からシイナを奪い、再び封鎖地区へと連れて行く。
この時、イカツチは衆目に晒されることになる。



326 :なるたる :04/03/11 14:06 ID:???
イカツチから下ろされ、駆け出すシイナ。
だが、地上に降り立ったイカツチに向けて放たれた米軍機の砲撃が、
シイナの身体を吹き飛ばすのだった――


追いかけてきた鶴丸の眼前で、地面に転がる肉片。
そこで、米軍の持ち込んだ核が爆発、爆風が街を吹き飛ばす。
爆心地からある程度距離があったのか、命は取り留めたものの、
廃墟と化した街で、鶴丸は呆然とたたずむのだった。


イカツチの出現が報道されるのを、TVで観る俊二。
彼が美園に電話をすると、美園は直接会って話そうと言う。
だが、シイナが出かけていることを知った美園は、すぐに確認を求める。
鶴丸のところへの電話には誰も出ないが、「鶴丸」の名を聞くと、
美園は自ら案内、駆けつけるのだった。(須藤達との協力もあり、
臨時軍用気球研究会議でも鶴丸はリンク者としてリストアップされていた)


だが、廃工場に着いた2人を待っていたものは、人形の胴体に乗せられた、
のり夫の生首。そこへ帰ってきた鶴丸も呆然とするが、
やがて袋に詰めた肉塊を出し、シイナの死を告げるのだった。



353 :なるたる :04/03/12 12:36 ID:???
玉依俊二の実家のある島の、最初にホシ丸と出合った海から、
シイナは上がってきた。そして無事保護され、祖父母の家に届けられる。
一度自分が死んだ記憶を振り返るシイナ。
祖父母の持ってきた古服には、「玉依実生」の名が。


玉依夫妻のもとにシイナ発見の連絡が入った時、俊二は娘の
死を告げた鶴丸を信じず、連絡しなかったようだが、
美園は連絡したようで、鶴丸は島を訪れた。
廃墟の中でシイナの身体を拾い集めたが、頭だけは見つけられなかったと
言い、とにかく、生存を喜ぶ鶴丸。
だが、ホシ丸が――貝塚ひろ子を殺したのも――鶴丸だと知った今、
シイナは鶴丸を拒絶しようとする。


そして、シイナに初潮が訪れる。

島で駆けつけた俊二はシイナを見た瞬間「実生」と口にし、
慌てて「シイナ」と言い直すのだった。



354 :なるたる :04/03/12 12:49 ID:???
核の爆発の騒然となる日米。


核を爆発させたのは、どうも須藤直角のようだ。
そして、佐倉明はやはり施設を出て、須藤を共にいた。エン・ソフも連れて。
なおも葛藤を続ける明に対し、須藤はあるものを見せる。
トリックスターの能力で前方の土を吸収、後方に再構成して地面に潜り、
遥か地中を進んで着いたところは、政府関係の病院の地下。
そこにいたのは、プッシュ・ダガーと半身融合した小森朋典だった。
この状態で政府に捕獲され、脳にも手が加えられて記憶障害を起こし、
もうかつての彼ではないものになっていた――


鶴丸は全てを失った。生きがい(?)の子作りも、被爆したためにもう
続けられなくなっていた。それでも、彼はやがて動き出す。
(原爆症でハゲた節もあるが)スキンヘッドにしてヤクザを襲撃。
「豚食い」達を殴り殺すと、ホシ丸によって大気圏外まで運び、
大気圏突入させて火葬にしてしまった。
(これまでも、こうして死体処理していたらしい)


一方、涅見子は政府の監視から逃走、出歩いていた。
非常事態に休校となった学校を訪れ、「誰もいない・・・・・・」と呟く。



355 :なるたる :04/03/12 13:02 ID:???
涅見子はやがて、鶴丸の住む廃工場を訪れた。
だがそこへ豚食い達の更なる報復に、ヤクザの仲間が現れる。
やはり鶴丸はいないので、帰りを待って涅をレイプするヤクザ。
レイプされても無表情で何かを呟き続ける涅だが、彼女が「訪れ」を
告げると、ヤクザは切り裂かれ、肉塊となった。


帰ってきた鶴丸が見たものは、おびえて逃げ出すチンピラ1人と、
バラバラになった他のヤクザ達、それに地面から伸びる「シェオル」だった。
涅見子は更に、シェオルの物質をコピーする能力で、
ヤクザに受けた銃創をあっと言う間に治す。
ただ、レイプされた体は変えないらしい。
鶴丸に「あなたこそ身体を変えないんですか」と問う涅。
「頭は変えられないからですか それとも 罪ほろぼしですか」
そして、そのまま涅見子は去るのだった。


(なお、ここで分かるかと思うが、作中で明言されないので言っておくと、
シイナもこうして身体を復元されたのである)



356 :なるたる :04/03/12 13:17 ID:???
1人の女性が「竜」について、調査を進めていた。
彼女はどうも、東富士の戦闘で死んだ人物の婚約者だったらしい。


佐倉明と会って話す玉依美園。彼女の推測と、竜の子とリンクして
明の知ったことが照合され、真実が明らかになる。
竜の子の目的が、力を貸す代わりに、生き物の思考を借りること。
病院に収容されている小森は、脳が傷ついているので、
竜にはなれないのだ。
竜の子に魅入られた者を、元に戻す可能性を探していたという美園
彼女は言う「娘と母親って、難しいものよね」


涅見子がシェオルを掌握したことを文吾に告げる須藤。
これでもう宮子達のところにいる必要もない、活動に移るという。


少し前から夏休み。自転車に乗って出かけたシイナは、あちこちを
巡って、鶴丸の廃工場も近くで見るところまでは行く。
そこで、涅見子と出会うのだった。
1日、2人でサイクリングのようなことをするが、そのまま、
夜になっても帰りたがらないシイナ。それに対し、涅は突然、
シイナのことは全て知っているようなことを発言を開始、
「玉依さんは、もっと素直になったほうがいいんじゃないですか?」と言う。



357 :なるたる :04/03/12 13:29 ID:???
涅さんもまた、竜の子の保持者か、と気付くシイナ。
それに対し涅は、「この星全てが自分の竜の子シェオル」だと
告げると、そのまま地面の中へ去るのだった。


一方、須藤直角の仕掛けが発動、日本からアメリカへICBMが発射される。
全て、竜の子の能力で発射基地ごとコピーしたものだ。
玉依家に刑事が訪れ、そのことを告げた上でシイナの力を
求めるが、シイナはいない。


ICBMが着弾すると、世界中に竜が現れ始めた。
どこからともなく(大地から出てくるような描写がある)、いたるところで。
様々な乙姫には古代の生物らしきものも、植物らしきものまでいる。
また、ヤガーの小屋のように、生物を運んでいるものもいる。
(生きた古生物の姿も)


ミサイルの着弾を異様な感じとして感じ取るシイナ。
更に竜が次々と出現したのを見て、尋常でない事態を悟る。
そこへホシ丸が現れた。再び、ホシ丸に乗って飛ぶシイナ。



455 :なるたる :04/03/15 15:06 ID:???
ホシ丸はシイナを家に連れて帰る。
須藤のことを刑事に問われるが、それはシイナにも分からない。
とりあえず避難する車の中で、現在の状況が語られる。
性格な情報は定かでないが、世界中の大都市が核攻撃を受けているらしい。
「核の冬」の到来、世界規模の飢饉と無政府状態、大量の死の
可能性を語る刑事と玉依俊二。


大規模な避難。首相も政府専用機に乗り、生物を乗せた竜は
生き物を非難させているのか(詳細は語られない)


更に、須藤は富士山を初め、世界中の火山にも核攻撃を始める。


そこで、避難所のシイナのところを、エン・ソフが訪れる。
明が、須藤のところへ案内してくれる。ただ、シイナ相手でないと駄目らしい。
シイナ自身も、須藤のところへ向かうことを望むのだった。


そもそも避難場所は本木航空の飛行場らしいが、そこへ宮子、自衛隊、
それに米軍関係者らも登場。
そんな中、玉依俊二は自らシイナの護衛を買って出る。
更に離陸間際、玉依美園がやって来てシイナと俊二に何か
語ろうとしたが、伝わらなかった。



458 :なるたる :04/03/15 15:24 ID:???
宮子達の用意した発信機を背負い、エン・ソフを抱えたシイナを、
ホシ丸が包んで飛ぶ。その後方に2機、それぞれ玉依俊二と三原志郎の
操縦する本木航空の戦闘機がついて、編隊を組んで行く。
遠方からは、米軍も監視している様子。


一方その頃、竜の関係することを調べていた女が、レポートをまとめていた。
実際に竜が空を飛んでいる状況だけに、放送局の人間もすぐに
報道することを決めるのだった。


シイナ達の編隊の中に、イカツチが出現する。TVで一度観たそれを
実際に見て、俊二は確信する。それは、彼の子供の時の落書き――
そして、その上に出現した乙姫、それは・・・「実生(みしょう)――」


明かされる過去――
かつて玉依夫妻には、実生という長女がいた。だが、今のシイナと同じくらいの
歳の頃、そしてそして2人目の子の生まれる間近の頃、様子がおかしくなった。
その頃、初めて「竜」に遭遇した俊二は、自衛隊を除隊した。
そして、次女の生まれた日、実生は「あたしがいなくなっても大丈夫だよね」と
父に言い、まもなく殺された。いや、そう見えたが、
外傷は死後につけられたものだった。
(本当は京児の場合と同じ、自分のコピーを残して、竜になったのだ)
それからしばらくして、美園は「研究したいことができた」と言い、家を出た。



459 :なるたる :04/03/15 15:37 ID:???
アマポーラを動かせるまでには回復したようだが、相変わらず
退行したままのさとみを抱いて、文吾はハイヌウェレを出撃させる。
ガトリング砲の攻撃に、撃墜される三原機。
砲撃がシイナに向けられると、イカツチがビームを放ち
ハイヌウェレを狙うが、突如として海中から巨大な手が出現、
イカツチを捕まえ、運び去ってしまう。涅見子のシェオルだ。
シェオルはそれ以外に仕掛けては来なかったが、
不死身の竜の子を倒すことはできず、ハイヌウェレの猛攻に
玉依機もダメージを受ける。
玉依俊二がとった最後の手段は――


エンジンから発する爆煙で視界を塞ぐと、後方に回り込み、
ハイヌウェレをエンジンに吸い込んだのだった。
ファンブレードに粉々にされるハイヌウェレ。その激痛に、
文吾ものけぞり倒れるのだった。
だが、引っかかったガトリング砲が放たれてコクピットを撃ち抜くと、
そのまま飛行機も炎を噴いて落ちていくのだった――


呼びかけても意識を取り戻さない文吾を、さとみはやがて
抱え上げると、アマポーラでどこかへ共に去っていった。



460 :なるたる :04/03/15 15:57 ID:???
シイナいくら叫んでも、ホシ丸は真っ直ぐ目的地へ飛んでいく。
そして目的地――雲の中にそびえ立った巨大な手に着くと、明が出迎えた。
だが、その後方に座っている須藤は、既に死に瀕していた。
1週間も前から水も食事も断っていたらしい。
そして、「玉依さんのためだった」と言い、鶴丸と自分を対比して語ると、
あっけなく息を引き取ってしまった。
「人類の選別」「世界の改革」も彼の本音ではなかったのか。
いずれにせよ全て、終わった。
あまりのことに唖然とし、全てどうでもよくなり、崩壊しかけるシイナ。
それを呼び止めようとする明。


一方その頃、シイナ達リンク者のこと、更には宮子達のことまで、
実名で報道されていた。それを見てシイナの友人達も避難場所に集う。


シイナ達のところに米軍が攻撃をしかける。爆発で大怪我をする明。
だが、息も絶え絶えになりながら、明は美園に聞いた。真実をシイナに語る。
乙姫になった姉のこと、そして名前(禾に比でしいな――中身のない種子の意)も、
姉の逆に、どこにも行かないようにと付けられたこと。
今まで嫌っていた名前を受け入れた時、ようやくそれは通じた。
海中から出現したもう一組の手が米軍機を次々と握りつぶす。
そう、地球は2匹の竜、取り込んだ生物の“思考”を失った今は2匹の
竜骸=竜の子、そして涅見子ともう1人のリンク者が、シイナだったのだ。



461 :なるたる :04/03/15 16:10 ID:???
シイナは自分のリンクする地球によって、あっという間に戻ってきた。
明も医者のところへ運ばれる。三原も無事だそうだ。だが父は――
シイナは、鶴丸のところへ向かった。
鶴丸は原爆症で死の床にあったが、「いざとなりゃ竜になる」と言う。
そしてシイナは、鶴丸に想いを告げる。
「してほしいことある? エッチなこと以外で」と言うシイナだが、
「できない」と言われると逆に「試してみようか」と言い出すのだった。
そして2人は――


~最終話~
真実が報道され、シイナ達リンク者は多くの者に憎まれることになった。
それでもアパートに戻り、普通に暮らそうとするシイナと美園だったが、
外出した途端散弾銃を持った男に襲われ、美園は射殺されてしまう。
佐倉明は病院の窓から投げ落とされ、宮子巽も東富士でも犠牲者の
遺族に刺殺される。逃げたシイナは鶴丸のところへ行くが、
鶴丸も撃たれて倒れていた。ホシ丸が最後に、苦しげにもがいて(?)
頭に接続するが、既に遅かったか、やがて動きを止めてしまう。
鶴丸を撃ったらしい連中は「魔女」と叫び、シイナにも銃を向ける。



463 :なるたる :04/03/15 16:21 ID:???
そこでシイナを助けた壁は、シェオルだった。
涅見子が現れ、シェオルでその連中を殺すと、言う。
「この世界に未練、なくなりましたか? じゃあ、なくなってもいいですよね」
シェオルの巨大な手が世界中を蹂躙し、何もかも破壊された。


それから数ヶ月経ったか――おそらく世界に残ったただ2人、
涅とシイナは妊娠していた。シイナは鶴丸の、涅はいつぞやのヤクザの子を。
なぜか美園そっくりの母親口調になった涅が言う。
「あんたはそうやってぐずぐずしてれば満足かも知れないけど、子供は
それじゃ困るでしょ。ここには何もないから、あんあたがつくらなきゃ」
「世界を作るなんてできるわけない」というシイナに涅が見せたのは、
小6の夏休みの宿題、“夢”――そこに描かれていたのは、家族の絵。


「大丈夫、気に入らない世界ならわたしがまた潰してあげるから。
竜たちの乙姫は様々な思考の回路。それを使ってあんたはやりたいようにやればいい。
命は代替がきくから、命たりえるんだから」


空を舞う無数の竜。その中には、ハイヌウェレとアマポーラの合わさった形のものも。


更に後、涅の息子とシイナの娘が海岸で戯れるシーンでEnd