ほのかにパープル

Last-modified: 2008-09-21 (日) 23:48:56

ほのかにパープル/さいとう ちほ

6 :マロン名無しさん:2008/02/08(金) 21:10:20 ID:rv2t+Hnx
未解決の物から


ほのかにパープル 全3巻 さいとうちほ


『初めて足を踏み入れて出会った2人が男と女だった時、2人は恋に落ちる』
京都・同命館大学の万葉図書館にはそんな伝説があった。
同大学へ進学した憧れの先輩からその話を聞いていた高3の紫野(しの)は、思い切って
「見たい本がある」と図書館で彼と会う約束を取り付ける。
しかし、そこで出会ったのは所属する部の揉め事から逃げていた晃生(あきお)という男性。
彼もまた図書館に入ったのはこれが初めてであった。
第一印象は最悪だったものの、晃生に惹かれ始める紫野。


数年前に母親を亡くした紫野は、父親と小学生の弟・聡との3人暮らしをしている。父親は
再婚を考えており、相手の女性との対面の日、晃生が紫野の前に現れる。
親の再婚によって2人は義理の兄妹になったのだが、やがて激しく愛し合うようになる。
紫野を義妹として見られない以上、自分が家を出るのが最良だと考えた晃生は自宅から
10分程離れた場所に部屋を借りた。
元々「晃生が娘に手を出すのではないか」と危惧していた父親は、紫野と晃生の電話での
会話を聴いてしまい、2人が愛し合っていると気づき激怒。父親と晃生は衝突する。


しばらくして、晃生は母親から1年間のアメリカ留学話を勧められる。翌年に控えた紫野の
大学受験のことや紫野が父親と恋人の衝突で傷ついていること、そして母親も息子と夫の間で
板挟みになって苦悩していることを聞かされて、彼はその話を了承した。
1年間お互いを信じようと2人は約束する。
紫野は同命館に入学し、その年の12月に晃生が帰国。気持ちは全く変わっていなかった。
そんな中、母親の妊娠が発覚。喜ばしいことだが、生まれてくる子は紫野、晃生両方とも血の
繋がりがある。ますます複雑な話になるのだった。



7 :マロン名無しさん:2008/02/08(金) 21:11:53 ID:???
知人から借り受けた家で2人は同棲を始めた。授業料や生活費は自分達で賄う必要が出てきた為、
それぞれバイトをして支え合いながら暮らしていた。
晃生の仕事は留学がキッカケで知り合った東寺親子(父娘)の紹介によるものだった。
東寺は自分の娘が晃生に好意を抱いていることに気づいていた。また、彼自身も晃生の仕事ぶりや
人柄を買っていて、もっと重要な仕事を任せたい……そしてゆくゆくは娘婿&自分の片腕にしたいと
考えていた。


ある強風の日、旅行者の煙草の不始末のせいで住んでいた家が全焼してしまう。母親が大学に姿を
見せ、息子達の生活の助けになればと、夫に内緒で2人の為に金を用立ててくれた。
しかし、身重の自分を心配した夫が探しに来たのを知って、見つからないよう急いで帰る途中、川へ
転落して早産のショックで死亡してしまう。
母親を亡くした悲しみから、晃生は全ての責任は父親にあると責め立てる。
それから間もなく、晃生は仕事の都合で東寺と一緒に東京へ旅立ってしまう。
紫野と晃生は愛し合いながらも少しずつ離れていく。


妻を亡くしてからというもの、父親はめっきり弱々しくなり少し老けてしまったように見えた。
紫野は実家へ戻り、生まれたばかりの妹・あすかの世話をしながら大学へ通っていた。
晃生とのすれ違いを深く悲しむ娘の様子に、父親は「手遅れになる前に、東京へ行って晃生を
連れ戻してこい」と紫野を後押しして、今までのことを詫びるのだった。


パーティに出席していた晃生は、父親からの電話で紫野が東京へ向かっていると知る。
このパーティで婚約を発表してはどうかと尋ねてきた東寺に、晃生は「結婚相手は紫野だけだ」と
告げ、彼らを置いてその場を抜け出した。


それから10数年後のある日、紫野&晃生夫妻と食事の約束をし、聡と共に同命館を訪れた
あすかは万葉図書館へと足を踏み入れる。そこに居た1人の若い男性が彼女に微笑みかけた。
いい出会いの予感……で終わり。