ピグマリオ

Last-modified: 2015-01-24 (土) 16:16:03

ピグマリオ/和田 慎二

250 名前:マロン名無しさん 投稿日:05/01/01 14:10:41 ID:???
新春お年玉企画(笑)、「ピグマリオ」全編を一挙投稿致します。
まず最初に、1レスで全編の粗筋を投稿し
その後に続けてより詳細なストーリーを投稿します。



251 名前:2kbで分かる「ピグマリオ」の粗筋 投稿日:05/01/01 14:11:54 ID:???
有史以前の神話の時代、東の国ルーンの皇子クルトは八歳の誕生日に、死んだはずの自分の母親が
妖女メデューサに石にされていたこと、また母が善神の娘たる精霊であり、自分が精霊の血を引いていることを知る。
祖父である善神アガナードにお守りとして守護像を託され、クルトはメデューサを討つべく西の果てへ向け旅立った。
彼の道連れとなったのは、幼竜レオン、酒好きの妖魔ギルガドール、そして美しき星占師の少女オリエ。
旅の途中でさまざまな人物、そして神々に出会いながら、クルトは多くの絆を結び、そして王としての器量を磨く。
その一方で、ガラティアの妹である精霊オリエや、メデューサの実兄である風来坊の妖魔アスナスのように
人間以外の種族で、クルトを通して人間の生き様に魅せられる者も現れる。
やがて厳しい戦いの中で、クルトは仲間たちとも一人また一人と別れていき、最愛のパートナーであった
少女オリエとも死に別れ、ひとりで宿敵メデューサの城へ乗りこむ。
彼の戦いは世界中の知るところとなり、メデューサを倒すことを望む人間たちの間で皇子クルトの名は
国や民族を超えた旗印として輝くようになっていた。
クルトはメデューサとの最終決戦において、メデューサとガラティアが前世ではひとりの人間であり、
二つに分かれて対極の存在に転生したこと、またガラティアの血を引く自分が、神々の時代が終わる時に
新たな時代を創り出す創世王「ピグマリオ」の宿命を持つことを知る。
ピグマリオとして覚醒したクルトは、すべての神々の力を受けメデューサを圧倒するが、母の半身たる
メデューサにとどめを差すことをためらう。だがメデューサは、自分は「乗り越えるべき母」の象徴だと語り
自分を倒して王の証を立てよと宣言。クルトはその言葉に従い、メデューサを倒した。
数奇な偶然に助けられ、母ガラティアの命を取り戻したクルトは、最後に大地の女神の助力を得て
黄泉の世界に入り、少女オリエを現世へと連れ戻し、彼女を伴侶として王となる。
彼の冒険は、伝説として広く語り継がれ、それが神話となり、長い時を経た現代に至っても
断片化して語り継がれている。石像の乙女に恋をした王が、女神の力で人間となった石像の乙女と結ばれる
ギリシャ神話の「ピュグマリオン伝説」もそのひとつである。



252 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:12:46 ID:???
これは遠い昔の話、語り部たちはただ天地の始まりを伝えるだけでその役目を終える頃の話
現在に伝わる神話も伝説も歪められることなく現実であった時代を生きた、一人の少年の物語…

東の国ルーンに、一人の少年がいた。国王の一人息子、皇子クルト。
天真爛漫な性格と人間離れした怪力を持ち、明るく誰からも好かれる子。ただ、母親の名も顔も知らず、生まれてこの方母のぬくもりを知らぬことが、わずかながら彼に陰を落としていた。
だが、8歳の誕生日を前にして、彼は語り部のおばばから真実を知る。彼の母は善神アガナードの娘、精霊ガラティアであり、クルトを生んで間もなく、悪神エルゾの娘、妖女メデューサによって石にされてしまっていたのだ。
誕生日の式典には、クルトがメデューサに従うならば良し、従わなければ殺すためにメデューサの使徒が現れたが、クルトはメデューサを倒して母を元に戻すことを誓い、使徒の首を落とした。複数の命を内包する使徒はそれだけでは死なず、油断していたクルトを急襲するが、天からの雷(アガナードの雷)によって使徒は完全に絶命する。
その直後に飛来した不思議な金色の鷹が指し示す方向、メデューサが住むという西の果てへと、クルトは旅を始めた。
クルトの前に、彼にとっては祖父であるアガナード神が、ガラティアの妹オリエを始めとする精霊達と共に現れた。アガナードは、ガラティアが彼の手元に残した小さな黄金の守護像をクルトに託す。
オリエは「守護像には三つの力が宿っている」と告げ、像を持ち続けることが身を守ることにつながると説明する。

アガナードたちと別れたクルトは、小船で海を進むが、何者かに襲われて守護像を海に落としてしまう。
漂流の果てに、クルトは近くの海岸に居を構える「入り江の一族」に助けられ、彼らの客人となった。
「入り江の一族」は、山の上に住む「山の一族」と長い間争い続けているという。
ふとした偶然から、山の一族の族長の娘とも知己を得たクルトは、二つの部族の奇妙な誤解に気付き、2つの部族を争わせていた黒幕、メデューサの下僕たる大亀ザクマの存在を知る。
戦う力を求めたクルトは、オリエの紹介で大地の女神ユリアナに会い、彼女の持つ巨大な剣を譲り受けた。
合言葉によって短剣にも元の巨大な剣にもなる「大地の剣」を得たクルトは、ザクマを倒してザクマが手に入れていた守護像を奪い返し、2つの部族を和解させた。
だが、そんなクルトを見ている者がいた。メデューサの使徒サロメと、謎の男アスナスである。



254 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:13:21 ID:???
旅を続けるクルトは、知恵あるトカゲ達の住む谷に迷い込む。彼らは巨大な一つ目の怪物に脅かされ、酒と生贄を捧げ続けていた。この谷で、拾われ子のトカゲ、レオンと親しくなったクルトは、彼と協力して酒好きの怪物を倒す。
クルトが谷を去った後、呪いが解けてトカゲ達は人間に戻ったが、トカゲのままのレオンは、育ての両親以外の人間達に蔑ろにされ始め、クルトの旅に同行することを決める。
一方、クルトを追っていた使徒サロメは、怪物を蘇らせ、ギルガドールと名付けて自分の部下にした。

サロメは先回りをしてセレネの都に入った。いささか愚鈍な王を、賢明な二人の王女が支える国。
都に忍び込んだサロメは、姉王女メズリールの顔の皮をはいで殺し、メズリールに成りすますと、宝物好きの王に大地の剣の美しさを説いて、王が大地の剣を手に入れたいがためにクルトを捕らえるよう仕向ける。また密かにエルゾ神を崇めていた悪徳大臣ゲドウを抱きこみ、国を牛耳り始める。
何も知らず都に入ったクルトは、捕らえられて大地の剣と守護像を奪われ、奴隷の身に落とされる。奴隷としての荒んだ環境と、今まで知らずにいた人間の醜い面を見せ付けられたクルトは、次第にその怪力を失っていった。
レオンと妹王女シェスタの手引きで脱走を図るも、兵に見つかって捕らえられたクルトは、クルトの最期を見届けに来たメデューサとその使徒達の前に引き出される。メデューサの下僕となることを望んでいたゲドウだが、メデューサの血を飲んだ途端トカゲと化し、サロメに蔑まれた末に踏み潰された。また奴隷の中で唯一クルトに穏やかに接していた老人が、パン一切れと引き換えにクルトの脱走を密告したことが判明、クルトの目の前で贄として斬首される。
だがクルトは、人間の醜さを見せ付けられ、人間を憎み、絶望するようそそのかすサロメの言葉を聞いても、「憎むべきは、欲望をそそのかすお前たちだ」と一喝。脇で見ていたアスナスは、その言葉に王者の器を見る。
業を煮やしたサロメは、石像と化したガラティアをこの場に呼び寄せ、それを打ち砕くさまを見せ付けるが、これは逆効果。怒りで本来の力を取り戻したクルトは枷を壊して暴れ出す。サロメはゲドウが奴隷達に作らせた黄金製の巨人像に乗り移って対抗しようとするが、その巨人像の中には、ゲドウがその重要性を知らずに放り込んだ守護像が入っており、守護像の力で焼かれて負傷したサロメは、宝物への執着から発狂・監禁の果てに餓死した父王と姉の敵としてシェスタに刺し殺され、シェスタは父王を助けに行った際の負傷が元で死亡する。
大地の剣を取り返したレオンと、彼が酒で味方につけたギルガドールの助力を得たクルトは、メデューサに剣を突き立てたかに見えたが、メデューサは影だけを残して去ってしまう。
消え行くメデューサの影に、クルトは必ず復讐を果たすことを誓うのだった。



255 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:13:52 ID:???
旅の途中、森の奥に住む三人の魔女に、サロメが壊した石像が単なる幻に過ぎず、本物のガラティアの石像の無事な姿を見せられたクルトは、旅を続ける意欲を取り戻す。
クルト達が去った後、ガラティアの石像をメデューサに献上しようとしたリザードマンのゲオルグ三兄弟が、アガナードの雷に撃たれ死亡する。この時、クルトの後を尾けていたアスナスもガラティアの姿を見た。これが、後で大きな意味を持つことになる。

次の国で、クルトは一人の少女と知り合った。精霊オリエと同じ名を持つ、占師の少女「水晶の姫」オリエ。 西の方角に、自分の運命にかかわる人物がいるとの占いに従い、西へ向かう途中だという。占いの対価として各国から受け取る膨大な報酬を元に、キャラバン隊を組んで旅をする彼女は、宝物好きの母親に過剰に猫かわいがりされていた。同世代の友人がいない彼女に、クルトは親しく語りかけるようになる。
だがクルトとオリエの前に、死してなお渦巻く執念を認められ、使徒ドルバロームの手により三位一体の妖魔として生まれ変わったゲオルグ三兄弟が現れる。オリエを人質に取ろうとするゲオルグを辛うじて倒したクルトだが、ゲオルグの長兄は頭蓋骨だけになっても動いて守護像を奪い取り、自分の故郷である北の国へと逃げていった。
クルトたちがゲオルグを追って北へ去った直後、水晶に映る自分の「運命の人」の星が北に向かい始めたのを目にしたオリエは、クルトこそが自分の「運命の人」だったと気付くが、その時には2人はもう遠く離れていた…。

故郷であるリザードマンの国へたどり着いたゲオルグの首は、国王のイシダリを食い殺してイシダリに成りすまし、周辺諸国への侵攻を開始する。
一方、ゲオルグを追ってきたクルトたちは聖ザドスの国に入る。この国は、代々の神官が聖なる笛を用いて岩の巨人兵ゴレムを操ることによって侵略を退けていた。
だが、その秘密を知るイシダリ王国の妖術師オズによって、神官の少女ル・ルージュはさらわれ、クルトはル・ルージュを救い、また守護像を取り返すためにイシダリ王国へ向かう。



256 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:14:24 ID:???
ゲオルグはオズの妖術でル・ルージュの精神を操り、巨人兵で他国を攻める作戦を立てる。イシダリ王国に乗り込んだクルトも、大地の剣すら効かない巨人兵によって捕えられてしまう。
闘技場に引き出され、ヒルの毒に侵されて動けなくなっていたクルトの元に、レオンが駆けつけた。ル・ルージュの祖父から、自分がトカゲではなく竜の幼生であることを知らされていたレオンは、口から炎を吹いて怪物を倒しクルトを救う。
思わぬ反撃に怯え錯乱するゲオルグは、降伏を勧めるオズを殺し、自らクルトを騙し討ちにしようとするが失敗。クルトに仕留められたゲオルグは、自分の身にメデューサの黒い血が流れていたと知り、メデューサから妖力(=メデューサの黒い血)を授かろうとしてやってきたことがすべて無駄だったと嘆きながら死ぬ。クルトは守護像を取り返したものの、毒によって倒れてしまった。
一方、成り行きを見守っていたアスナスは、ル・ルージュから笛を奪って改造し、巨人兵のコントロールを得る。クルトを北へ行かせたくない様子の彼は、巨人兵でイシダリ王国を取り囲み、クルトを殺そうとするが、そこへドルバロームを始めとするメデューサの使徒達が現れ、クルトを仕留める手柄を巡って争い始めた。
その最中、雲が渦巻き地響きが起きる。守護像が悪神エルゾの領域であるこの地に反応して、三つの力のひとつを発揮し始めたのだ。アスナスや使徒達はその異変から逃れたが、ゲオルグ達に命を与え過ぎていたドルバロームは守護像の力に抗う余力が無く、その力の奔流に呑みこまれて死ぬ。
一方、クルトの元に現われた精霊らしき影が、クルトとレオンを癒し、北へと送り出していた。その影を見たアスナスは、クルトの母ガラティアか、と驚愕する。そもそもエルゾの領域であるこの地で、精霊が力を振るえるはずは無いのだが…。

イシダリ王国を呑み込んだ光が消えた後、人々がそこに見たのは、ただ凍りついた湖と荒野のみ。かつてそこにあったはずの王国は、その痕跡まで消え失せていた。
辛うじて助かったル・ルージュは、ザドスの災いをその身に引き受けて戦ってくれたクルトの無事を、ただただ祈るばかりであった。



257 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:15:02 ID:???
イシダリ王国からさらに北に飛ばされ、吹雪渦巻く「死の山」にたどり着いたクルトは、山の王、大猪のゼオと戦い、これを倒す。ゼオは亡くなる前に、「わしの右の牙を北の荒地の“糸つむぐおばば”に届けてくれ」と言い残し、クルトはそれを引き受けた。
この山で、クルトは精霊オリエと再会する。イシダリ王国でクルトを助けたのも彼女で、彼女はクルトを支えるために大地の女神ユリアナの試練を受け、中立なる「白い力」を得ていたのである。
北の荒地に入ったクルトは、メデューサの使徒の妨害を受けながらも“糸つむぐおばば”の元に着く。ゼオの信頼を得たクルトをおばばは歓待するが、彼女の正体はメデューサの元乳母であった。
驚くクルトの前に、メデューサがおばばに会うため姿を現す。おばばはクルトを庇って隠そうとするが、母の仇を目の前にしたことと、メデューサ討伐のためにその場に現われた姉弟が、善戦空しく石にされ砕かれてしまったことで、クルトは怒りのあまりメデューサの前に飛び出した。
精霊オリエの「白い力」により、石にされずにメデューサに一太刀浴びせたクルトだが、それにより本気で怒ったメデューサの力は圧倒的だった。地を覆い尽くすほど巨大な蛇の姿となったメデューサに、クルトは再度大地の剣を振り下ろすが、大地の剣は堅いうろこに阻まれて折れてしまう。
戦うすべを失い、殺されるのを待つばかりのクルトを庇ったのは、意外にも“糸つむぐおばば”であった。おばばの必死の嘆願を受け、メデューサはクルトを見逃してその場を立ち去る。メデューサの強大さとガラティアを元に戻したい思いから、一晩で池ができるほど泣いたクルトを慰めたオリエだが、守護像がクルトの危機に反応しなかったことを訝しむ。
一方、メデューサと入れ替わりに現れたアスナスは、おばばが子供に甘い事を知っていたため、口封じにおばばを斬って去っていく。クルト達が駆けつけるも、オリエによる治療を拒んだおばばは、クルトに「お前の額にある“星”を大切にするが良い」と言い残す。
本来の蜘蛛の姿に戻ったおばばは、死ぬ間際に一つの幻を見せた。虹の掛かる美しい谷にたたずむ一人の黒髪の美女と、「ピグマリオ」という謎の言葉。
アスナスが各地で集めた妖に力を吸い取られて消耗した精霊オリエと別れ、クルトは西への旅を再開する。

再び西を目指すクルトの前に現れたのは、“銀騎士”マリウス。人間でありながら「メデューサの息子」と呼ばれる男。
子供の頃、死病に苦しむ妹エルザに食べさせようと、メデューサの直轄領にある果実を採るため入り込んだ彼は、果実を守る妖魔達を倒したその剣技の才能をメデューサに認められ、特別に果実を与えられた。しかしその時すでにエルザは死んでしまっており、憔悴するマリウス。するとメデューサは、死んだエルザに自分の血を与えて蘇生させた。感謝する兄妹に、メデューサは「エルザは私の娘となった」と告げ、マリウスにも自分の血を飲んで自分の息子となるよう勧めるが、彼は人間としての強さを極めてから血を飲むことと、血を飲まなくても自分はメデューサの息子であることを宣言する。以後、マリウスはメデューサの側仕えとなったエルザと別れ、雌の銀竜シルヴァーナを従者として武者修行の旅を続けているのである。



258 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:15:35 ID:???
火山のふもとにある「火の国」で、クルトはこの国の少年ユタと、その母ベルマと親しくなる。
だがこの国でくつろぐクルトの前に騎士マリウスが現れ、クルトに勝負を挑んできた。二人が戦っている時、別の場所で戦っていたレオンとシルヴァーナの炎により、火山にあった封印が破壊され火山が爆発、火口から火を吐く怪物が現れてふもとの村を襲う。
ベルマはクルトを庇って死に、それを遠目に見ていたユタとマリウスは「クルトがベルマを見殺しにして自分だけ助かった」と誤解してしまう。
ユタとマリウスがクルトを見捨て、2人で怪物と戦う算段を始める一方で、己の無力を痛感したクルトは、メデューサとの戦い以来折れたままだった大地の剣を修復するため、大地の女神ユリアナの元に向かう。
ユリアナから大地の剣を鍛えた火の神ペレを紹介されたクルトは、怖い顔の割にお調子者のペレをおだて上げ、剣を修復してもらうことに成功したが、その時「この世で一番美しい女は?」と尋ねられ「母さま」と即答したクルトに、ペレは「まだ子供だ。だが先が楽しみでもある」と言って笑うのだった。
修復された大地の剣を携えたクルトは、怪物と戦うマリウスとユタに加勢。怪物を倒し、ユタの誤解を解く。
それでもクルトをベルマ殺しの犯人として目の敵にするマリウスを、クルトたちが去った後にやって来たアスナスは笑い飛ばし、クルトの旅の理由が母親にあり、他者の母も絶対蔑ろにしないこと、ガラティアを石にしたのはメデューサであることを告げる。マリウスは、メデューサがそんなことをするはずはない、事実だとしてもガラティアに非があるのだと思いつつ、クルトの人間性に興味を持ち、しばらくクルトと戦わずに彼を追うことにした。

火の国を去り、たどり着いた別の国で、クルト達は占師の少女オリエと再会する。
幾つもの国の災いを占いによって見抜き取り除いてきた彼女は、世界の騒乱を望むメデューサ一党から敵視され、追われるようになっていた。
オリエのキャラバンに再び同行したクルトは、その途中で謎の語り部の老人に会い、メデューサの弱点について教えられる。それは、メデューサの父エルゾの凍てつく魂「エルゾの鏡」。100片以上のかけらに分割され、強力な妖魔の体に1~数個埋め込まれているそれを集めることができれば、メデューサと戦う時に切り札となる、と語り部は言う。
また語り部は、オリエの占い用の水晶の塊を砕き、その力を髪飾りの石に移した。彼は、オリエがクルトの旅に同行する決心を固めていると見抜いていたのだ。しかし彼は、オリエの顔を見た際「クルトは母親に出会う」という奇妙な予知を得て当惑する。
実はこの語り部、クルトを心配して降りてきたアガナード神の化身だった。二人に助言を授けた彼は、天界に何か変事があったことに気付く…。



259 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:16:07 ID:???
クルトを密かに監視し続けていたアスナスの正体は、単なるメデューサの使徒ではなく、窮屈な地位を嫌って出奔した元エルゾの後継者で、メデューサの実兄である。人間界に居城を持ち放浪していた彼は、ガラティアの石像を目にして以来、その美しさに心引かれ、像の複製を作ることを思いついた。
人間の名彫刻家バッコスを拉致してきて像を彫らせるが、完成品はことごとくアスナスの気に食わない。城を預かる妖魔から聞かされるまで、アスナスの望む像が精霊像だと知らなかったバッコスは、「一度実際に精霊を見なければ」と城を抜け出すと、虹を継ぎ雲を削って橋を作り、天界に入り込む。そこで運良く精霊オリエに会った彼は、オリエの姿をあらゆる角度からスケッチして、それを元にアスナスを納得させるほどの見事な石像を完成させる。
この時バッコスは、天界でそれと知らずに重要な一つの封印を解いてしまった。解かれた封印の奥から謎の光球が幾つも飛び出し、そのほとんどは精霊達に回収されるが、一つだけ回収を逃れ人間界に降りていった。

キャラバンの皆の手引きで母親の元を離れた少女オリエを加えて旅を続けるクルトたちの元に、天界から降りてきた光球が現れ、夢を通じて、古い神殿と石像のイメージを伝えてくる。
近隣住民に話を聞き、近くの湖に沈んだ神殿の遺跡が1年に一度浮かび上がってくると知ったクルトたちは、その湖を訪れるが、そこにメデューサの使徒グルトリアが現れた。彼の目的はクルトとオリエではなく、メデューサの勅命により神殿の聖像を壊すことだった。
出くわして戦いとなるクルト達とグルトリアの前に、湖底から神殿が姿を現した。クルトの前で聖像が輝き、像に母ガラティアの姿が重なる。ガラティアは「虹の谷を探し、そこへ行く旅の中で、お前の星を輝かせてくれる人を探しなさい」と告げた。その直後、聖像はグルトリアに破壊され、クルトはグルトリアと戦ってこれを倒す。
クルトは、死んだグルトリアの体内から「エルゾの鏡」のかけらの幾つかを回収するが、一部のかけらは近くで成り行きを見守っていたアスナスの手に渡る。彼もまたかけらを集める者だった。
母の残した言葉を胸に抱き、クルトは旅を続ける。



260 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:16:38 ID:???
一方、銀騎士マリウスは旅の途中、グリーンノアの国で病に倒れていた。シルヴァーナが彼を介抱しているところへ、黒衣の美女が現れる。名乗らず近づく彼女にシルヴァーナは警戒するが、マリウスはその正体を見抜く。マリウスを心配したメデューサが、お忍びで彼の元に現れたのだ。
村の納屋を借りて静養するマリウスの元に、この国の青年王グリフォスが兵を連れて訪れ、自分に仕えろと命令、城へ連行しようとするが、怒ったメデューサに蹴散らされる。
翌日、今度は手荒な真似をせずメデューサに事情を語るグリフォス。婚礼を口実に彼の弟を人質にとって服従を迫ろうとしている隣の大国と戦争になるかも知れず、強い戦士を欲していたのだ。
メデューサの授けた策により隣国は手を引き、グリフォスは礼としてマリウスの療養を納屋ではなく城で行なうよう手配する。やがて彼は、メデューサの正体を知らぬまま彼女に恋心を抱くようになり、メデューサもそんな彼を憎からず想っていたが、素知らぬふりをする。
しばらく後、隣国の間者によりメデューサの策が見破られ、グリーンノアは隣国と開戦する。完治していないマリウスから鎧と剣、シルヴァーナを借りたメデューサは戦に参戦し、大活躍する。だがそれがマリウスでなくメデューサだとグリフォスにのみ見破られ、メデューサは想いを断つためにマリウス達と共に城を去る。
グリーンノア近くの山中に滞在し、たまたま1人でいたメデューサの元に、王位を弟に譲ったグリフォスが現われる。一度は「ともに生きよう」と互いに誓うが、マリウスを実子だと思っているグリフォスの「また子を産んでくれ」という言葉に、彼女は泣きながらそれを拒む。妖魔である彼女は、子を産むことはできないのだ。
未練を断つため、本来の姿に戻ってグリフォスを脅すメデューサだが、彼はそれを見てなお彼女に手を差し伸べる。
そんなグリフォスを石に変え打ち砕いたメデューサは、マリウスに別れを告げ、「なぜクルトは母上の敵なのです」というマリウスの問いには答えず、寂しげに去っていった。

西への旅を続けるクルト達は、砂漠の嵐ではぐれた後、とある村に別々にたどり着く。
怪物に生贄の乙女を差し出さねばならないことを知って、クルトは怪物退治を、オリエは生贄の身代わりになって怪物を片付ける役目を、それぞれ引き受けた。
二人はそれぞれの依頼人から、この村の名物「夢の実」を預けられる。これを子供が食べると、しばらくの間だけ大人になってしまうのだ。これを食べて、生贄の乙女と、それを助けにきた恋人に成りすましたオリエとクルトは、互いの正体を知らぬまま、相手の姿を見て胸が高鳴る自分に気付く。
怪物が倒され、お祭り騒ぎの村の中で一行は再会。生贄の儀式の夜に出会った相手と、歓喜の輪の中の恋人たちが違うことに戸惑うクルトとオリエの関係は、微妙な変化を遂げた。



261 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:17:09 ID:???
海辺の村にたどり着いたクルト達だが、西の海は大荒れで旅を続けることができない。
仲の悪い双子の海神、ネプチューンとポセイドンが喧嘩をすると、海が荒れるのだと聞いたクルトは、「ぼくが喧嘩を止めてやる」と持ち前の真っ直ぐさで飛び出していった。
だが、すでに海では使徒イリューズが策を巡らしていた。クルトに成りすまして海で大暴れしたイリューズのせいで、クルトを共通の敵とみなしたネプチューンとポセイドンは、飛び込んできた本物のクルトと大喧嘩。その戦いで、海の平和のシンボル「真珠の塔」を破壊してしまったクルトは、海底の牢獄に捕らえられてしまう。
悪いのは海神の方だと意地になるクルトに代わり、少女オリエは素潜りで真珠を探し、集め始める。だがそこに、真珠の塔に封印されていた海魔を解き放ったイリューズが襲いかかった。
真相を理解し、オリエに犠牲を強いた自分の過ちをクルトが理解した時、大地の剣は再び彼の手に戻り、海魔もろともイリューズを吹き飛ばす。
海神達はイリューズに止めを刺そうとしたが、そこに現れたもう一人の使徒タロスがそれを阻む。イリューズの正体が、双子の海神の喧嘩の巻き添えで一族を殺された小魚であることをタロスは告げた。
己の喧嘩の実害を目の当たりにした双子の海神は、イリューズを殺さず見逃し、大いに反省する。そんな海神達に、クルトは妥協案を出す。それぞれが海の暖流と寒流に乗って海を見回り、たまに顔を合わせた時だけ、海の住人に迷惑をかけない範囲で喧嘩をすればいい、と。
双子の海神はこのアイデアを受け入れた。しかも、たまにしか会わなくなったせいでかえって仲が良くなり、海流が出会う海域で顔を合わせると、仲良く宴を開くようになった。現在でも、暖流と寒流の出会う海域が豊かな漁場になるのは、このためであるという。

双子の海神の元を旅立ったクルトたちは、海神の遣わしたクジラに乗って海の旅を続けていた。そこへ海神の使者が現れ「虹の谷を見つけた」と告げる、だが、二人の使者はそれぞれ別の「谷」を見つけたらしい。
二つの「谷」がそう離れていないらしいと知ったクルトは、とりあえずその方角へ向かうことにした。



262 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:17:40 ID:???
海神の使者に案内され、まず一方の「谷」を目指したクルトたちは、なんと精霊オリエに出会う。
彼女が一行を導いたのは、蓮の花が咲く池と、大きな虹の掛かる美しい谷。ここは、精霊が生まれる聖地であると精霊オリエは語る。
この谷で、クルトは精霊オリエの姉、戦いの精霊マルスから「精霊オリエはお前を愛し始めている。そして苦しんでいる。オリエの気持ちに応えられないなら、この谷を立ち去ってくれ」と告げられる。
それがどういうことかは分からないが、自分がいることでオリエが苦しむならと、クルトは少女オリエを連れてこの谷を去っていく。
もう一方の「虹の谷」に向かうことにしたクルト達は、その途中でレオンと一緒に待っていた銀騎士マリウスと遭遇した。アスナスから、クルトがここに来ると聞かされていたと言う。
「虹の谷」に長く住む「谷のヌシ」大蟹アブアブ=アズナブールに導かれ、最初の谷以上に厳重に監視された不気味な谷へ、メデューサの息子であるマリウスを隠れ蓑に、クルト達は潜入した。溶岩の池に大きな虹が掛かる谷。妖魔はここで生まれ、一度悪神エルゾの世界に送られて邪悪な心を吹き込まれるのだ。
まだ無垢な妖魔に懐かれたクルト達は、一度は旅の仲間と認めたその妖魔が、アスナスによって凶暴化、消滅させられるのを目の当たりにしたことで、妖魔の「虹の谷」の存在意義を知る。
額に星のような光を宿したクルトは、拳と大地の剣で妖魔の「虹の谷」を破壊しようとしたが、星の影響か大地の剣は巨大化せず、力だけが巨大な大地の剣のように発現する。
助けにきた精霊オリエと合流したクルト達は、再び大蟹アブアブに出会うが、「クルトはメデューサの息子」と告げられ混乱する。妖魔側の追っ手から逃れた後、少女オリエは精霊オリエに「私達はまだクルトに選ばれていない」と告げ、同じクルトを想う者として心を通わせる。
精霊の「虹の谷」へ戻ろうとした一行は、妖魔の「虹の谷」とは離れた場所にあったはずの「精霊の虹」の谷までもが崩壊し始めたことを知る。崩れ行く谷と共に、大蟹アブアブも沈んでいき、「お前はメデューサの息子だ」とクルトに繰り返し告げる。
アブアブの言葉、そして母ガラティアや“糸紡ぐおばば”の言葉は、どのような関係を持つのか。
その後立ち寄った村で、メデューサがその村の人間の一部を石にした証拠を目の当たりにして苦悩するマリウスと別れ、オリエやレオンと西へ向かう旅に戻ったクルトは、多くの謎を抱えつつもメデューサの城を目指す。



263 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:18:11 ID:???
クルトの旅も佳境に入り始めたその頃、妖魔達の世界で大きな動きが起き始めた。全ての妖魔の父、悪神エルゾが、正式に後継者としてメデューサを指名したのだ。
だが、その前に片付けるべき禍根として、エルゾはクルトの名前を挙げ、「実の子は手にかけられぬか」とメデューサを責める。苦悩するメデューサ。一方、メデューサに仕えるマリウスの妹エルザは、クルトがメデューサの実子なら、養子である自分やマリウスの立場が無くなると考え、クルトを憎むようになる。
エルゾはその一方でアスナスの元を訪れ、アスナスが「エルゾの鏡」を集めている事実を指摘。アスナスに反逆の兆しありとして彼の魔力を取り上げ、人間に変えて追放してしまった。

旅の途中、地の底に住む小人族を助けたクルトは、彼らからメデューサの城へ向かう道について情報を得る。
メデューサ城は、強大な妖魔の三姉弟が創り出す“ゆがめられた西”によって守られており、ただ進んでも、その“ゆがめられた西”にはまって迷うばかりで、メデューサ城にはたどり着けないと言うのだ。
クルトは、小人族の守護神、すなわち大地の女神ユリアナの助けを受けて西へ進むことになる。その際、ユリアナはなぜか少女オリエだけを呼び止め、彼女に何事かを教えた。
一方、クルトの前には火の神ペレが現れ、クルトに再び「この世で一番美しい女は?」と問うが、クルトは答えることができず戸惑う。それを見てペレは「なるほど、大地の剣を使いこなせるようになる訳だ」と笑い、それとは別にレオンにだけ何事かをささやいた。

小人達の助けを受けて、“ゆがめられた西”を生む迷いの霧を抜けたクルト達が見たものは、空に浮く巨大な城塞。西を守る「キメラ三姉弟」の末弟、ギャルガの城であった。
姉のキメラを敬愛するギャルガは、クルトの接近を知り、姉を煩わせることなく独りでクルトを討とうと決心する。だが、オリエの水晶の力で姿を隠し、空中城塞に忍び込んだクルト達は、迷いの霧を作っている呪術師の部屋にたどり着き、それと知らず呪術師を倒す。これによって迷いの霧が消え、霧の中に閉じ込められていたメデューサ討伐のための各国の軍隊や戦士達が、西に向かって正しく歩み始めた。



264 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:18:41 ID:???
空中城塞に詰める妖魔軍と、迷いの霧から解き放たれた人間の戦士達が戦い始めた。
その中で、姉のために手柄首を求めるギャルガは、単身クルトの前に立ち、クルトを倒そうとする。クルトはそれに立ち向かうが、倒しても倒してもギャルガは影のように復活し、手応えを感じさせない。
一方的に手傷を受け、ついに倒れるかと思ったその時、クルトの額に再び星が輝き始めた。同時に、守護像の二つ目の力が解放され、天から星が弾丸のように空中城塞に降り注ぐ。
それによってギャルガの正体も暴かれた。城塞に偽装された巨大な昆虫、それがギャルガの本体だったのだ。最後に降り注いだ巨大な星によって、ギャルガは打ち砕かれ死亡する。
異変に気付いて地上に降りてきた精霊オリエが見たのは、守護像の攻撃に巻き込まれそうになったオリエとレオンを庇って傷付いたクルトの姿と、勝利したクルトに次の城へのヒントを与えるギャルガの亡霊だった。
ふたりのオリエはクルトを助けようとするが、クルトの傷は深い。助ける方法を模索する内に、少女オリエは、以前食べた「夢の実」で一時的にクルトを大人にすれば、体力がついて助かるのではと提案。精霊オリエが、レオンと共に夢の実を取りに行くが、夢の実がある村はとても遠い。この窮地を救ったのは、意外にもクルトの様子を探っていた使徒イリューズとタロスだった。
この近くに夢の実があると知っていたイリューズは、こっそりと夢の実を少女オリエに届け、「クルトがこのまま死ねば好都合だろう」と言っていたタロスも、何となくそれを黙認してしまう。
夢の実によって大人の体になったクルトを、少女オリエは自分も夢の実を食べて大人になり、自分の体温でクルトの体を温め、辛うじてクルトを回復させることに成功した。
誰が助け舟を出してくれたのか知らぬまま、精霊オリエは天界に戻り、クルト達はギャルガの遺したヒントを元に、さらに西に向かって歩み始めた。



265 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:19:13 ID:???
その頃、人間にされたアスナスは、放浪の果てにとある村にたどり着き、リシェンヌという少女に救われる。衰弱していたアスナスを看病し、その無理がたたって倒れてしまったリシェンヌのために、日雇いの鉱夫として働くアスナス。苦しい生活の中で、彼は今まで気付かなかった人間の側面を学んでいく。
そんな彼を救ったのはマリウスだった。アスナスの苦境を知ったマリウスは、母を頼らぬという信条を曲げて、メデューサにアスナスを助けてくれるよう嘆願。メデューサは自ら人間界のアスナスの元を訪れ、彼の妖力を元に戻した。
再び強大な妖魔となったアスナスは、リシェンヌの元に戻り、妖力で彼女の病を取り除く。借りを返して去ろうとするアスナスに、リシェンヌは自分も一緒に連れていってほしいと申し出た。アスナスはそれを聞き届け、リシェンヌはアスナスの城で働くことになる。

アスナスの元を去ったメデューサは、マリウスに報告するため彼を探している内に、偶然、ひとりで散策していたクルトと出くわす。
クルトはメデューサの正体に気付かず、メデューサもクルトに正体を打ち明けられるはずもなく、共に歩いている内に、クルトは我知らず自分の母に対する思いをメデューサに打ち明け、メデューサも息子が自分の手元にいない不安を口に上らせる。不倶戴天の敵同士のはずの二人は、いつしか本物の親子のように抱きしめ合っていた。
眠ってしまったクルトを後に残し、メデューサは何事か思いついた様子で去っていく。

一夜開けて旅を再開し、ヒントに従って第二の城、二人目の将ネイアスの城にたどり着いたクルト。だがそこで彼が見たのは、城中の妖魔が石化し、沈黙している風景だった。メデューサは、ネイアスの城の住人をことごとく石化してしまうことで、次の城へのヒントを絶ってしまったのだ。



266 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:19:43 ID:???
第二の城の城主ネイアスは、城の住人を見捨ててひとりで逃亡していた。
彼は長姉のキメラを頼るが、キメラは城を捨てたネイアスを軟弱者と罵り、追い出した。ネイアスはキメラを恨み、彼女が城内に封印していた怪獣ザムザを奪って逃走する。

その頃、ネイアスの城で立ち往生していたクルト達は、以前に小人から貰った魔法の指輪で、この地方の小人族を呼び、隠された抜け道から第三の城へ向かう道に入る。
その途中、クルトに一つの別れが訪れる。キメラ城へ向かう街道の途中に竜族の住む“竜の谷”があり、レオンがその谷から流出した竜王の卵から生まれたことが判明したのだ。
クルトと別れがたいレオンをあえて振りきり、クルトは彼を竜の谷に残して旅を続ける。
友のためとはいえ、辛い別れを経験し落ちこむクルトを、卑劣なるネイアスの罠が待ち構えていた。街道筋の村人に、怪獣ザムザの生んだ卵を寄生させ、怪物化してクルトを奇襲させるネイアス。クルトの苦戦を高みの見物と目論むネイアスだが、オリエがネイアスの存在に気付き、ネイアスに一騎討ちを挑んだ。相手を見下していたネイアスは、オリエの渾身の一撃で致命傷を負う。
だが死ぬ間際、苦し紛れのネイアスの一撃が、オリエに致死の猛毒を打ち込んだ。毒を打ち消せる薬は、第三の城キメラ城に住むキメラが持っていると告げ、ネイアスは消える。
毒が回って死ぬ前に、キメラ城を落とし薬を手に入れなければならない。駆け付けた精霊オリエの力によって
一時的に少女オリエは封印されるが、猶予は1日だけ。翌日の夜明けまでに薬を手に入れられなければ少女オリエは死ぬ。
あまりに無謀な戦いに、クルトは挑まねばならなくなった。



267 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:20:13 ID:???
メデューサ城を守る最後の城、キメラ城に挑むクルト。今や唯一残った旅の友、ギルガドールと共に、クルトはキメラ城に乗りこんで大暴れするが、迷宮化された城に苦戦する。
そこに現れたのは、ネイアスの指揮を失って暴走する怪獣ザムザだった。元々キメラ城生まれのザムザは、帰巣本能にまかせて、迷宮を食い破りキメラ城の本丸に向かう。それに気付いたキメラはザムザを殺すが、一足違いでキメラ城の本丸は暴かれ、クルトはそこに突撃した。
城の危機を知って、キメラは本来の姿、人面獣身のスフィンクスの姿になってクルトに挑む。戦いの中、ギルガドールは力尽きて倒れ、クルトも追い詰められる。その時、地平の彼方から幾つもの巨大な人影が近付いてきた。守護像の最後の力が呼び出した「アガナードの黄金兵」の軍勢である。思いがけぬ援軍と、オリエを救わねばならぬ決心に後押しされ、ついにクルトはキメラを倒した。
亡霊となったキメラは乞われるままにクルトに「薬」を手渡す。だがキメラは、その「薬」の正体はメデューサの黒い血であると告げる。口にすれば、いかなる生き物も妖魔としての新たな命を得て蘇るという、闇に生きる者達垂涎の至宝。それがネイアスの毒の唯一の治療法。もちろんこれを使うということは、人間としてのオリエが死に、メデューサの下僕たる妖魔になることを意味する。
ここに至って、クルトは自分が少女オリエを誰より愛していることに気付き、たとえ妖魔になっても生きていてほしいと黒い血を飲むように嘆願する。しかしオリエはそれを拒み、ユリアナから告げられていた、このままクルトと旅を続ければ、間もなく自分は死ぬという運命を選び、クルトを愛する人間の少女のままで死ぬことを決めたのだ。
彼女の決断をクルトもついに受け入れる。オリエは息を引き取り、クルトは黒い血を使うことなく捨てた。
偶然その場に居合わせることになった銀騎士マリウスは、かつてメデューサが妹エルザを蘇生させたことを思い出し、その真相をメデューサとエルザに直接問うべく、メデューサ城を目指した。
そして、クルトも歩み始める。旅の友を全て失い、ただ一人メデューサ城へと。



268 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:20:42 ID:???
キメラ城に残されていた門を通じ、ついにクルトはメデューサ城にたどり着いた。
自分と同じくメデューサを倒しに来たという魔法使いの少年、ジャジャと行き会った彼は、共に城へと乗りこむ。
その頃、魔界も人間界も大きな変化が起きていた。メデューサ城の奥では、メデューサがついに悪神の座を受け継ぐべく瞑想の儀式に入り、一方人間界では、メデューサ城を守る“ゆがめられた西”がすべて砕かれたことで、各国がメデューサ討伐に立ち上がる。
使徒を含めた妖魔達が人間の軍勢に相対するが、その人間達に、ついに決起した竜族や火の神ペレ、海神ポセイドンとネプチューンなど、クルトを知る神を皮切りとして全ての神々が力を貸し始める。
今や、人間界全てが妖魔と戦うべく集い、その中でメデューサと戦い続けてきた少年クルトの名は高く掲げられ、「皇子クルトの元に集え」という言葉が、国や民族を超えた旗印として叫ばれていた。

人間達と戦うため、使徒のほとんどが出向いて閑散となったメデューサ城でクルトを迎え撃ったのは、鎧に身を固めたエルザ。メデューサの実子と呼ばれるクルトに敵愾心を燃やす彼女は、クルトの前で巨大な妖魔の姿に変身した。やはり彼女も、黒い血によって妖魔と化していたのだ。
その変身を見てしまったマリウスは、ショックで逃げるようにメデューサ城を去り、エルザも妖魔の姿を兄に見られたことを恥じて戦いを止め、逃げ出してしまう。
続いてクルトの前に立ったのは、もはや後が無いイリューズとタロスの二人。タロスは捨て身でクルトを押さえ込み、自分もろともクルトを殺せとイリューズに告げるが、イリューズはそれをためらってしまい、ジャジャの魔術に討たれた。そしてタロスもクルトの剣に倒れる。
もはや自分達が助からぬことを知り、タロスはクルトにメデューサの所在を教えた。イリューズが死に、その正体である小さな魚に戻ると、それを見届けるのを待っていたようにタロスも死ぬ。後に残ったのは一匹のカブトガニ。小さな美しい魚に恋焦がれ、彼女のために力を欲したタロスの、それが正体であった。



269 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:21:13 ID:???
その頃、苦悩するマリウスはいつしか天界に迷い込み、アガナード神の前に引き出される。
妹を元に戻す方法は無いかとマリウスは問うが、仮に妖魔から人間に戻しても、死を打ち消すことはできず、本来の死者が残るのみと告げられる。ただ、来世でも兄妹として生まれ変われるよう取り計らうというアガナードの約定を慰めとして、今一度エルザと話し合うため、マリウスはメデューサ城に引き返す。
その際、精霊オリエはマリウスと共にクルトのいるメデューサ城へ向かうことを欲した。精霊が人間を愛することは禁忌、クルトの母ガラティアは例外中の例外。それを知った上で、オリエははっきりと自分がクルトを愛していると告白する。他の精霊達もオリエを応援し始めた。
もはや、世界の動きはここ天界をも揺るがしているとアガナードは気付き、オリエの出陣を黙認する。

メデューサ城に舞い戻ったマリウスは、クルトを再び襲撃しようとするエルザと向かい合う。
「兄様も黒い血を飲んで妖魔になり、この城に住めばいい。メデューサの子が妖魔なのは当然」と語るエルザの言葉をどうしても受け入れられないマリウス。業を煮やしたエルザは妖魔の姿に変わり、無理やりにでも黒い血を飲ませてやると、涙を流しながらマリウスに襲いかかった。
妖魔エルザの巨体に打ちのめされ重傷を負うマリウス。だが最後の一合で、マリウスの渾身の剣がエルザの胸を貫いた。エルザが倒れると、後に残ったのは子供の頃のままの小さなエルザの屍。エルザの蘇生は、やはりまやかしでしかなかったとマリウスは慟哭する。

一方、オリエの前にはアスナスが現れ、オリエに協力を持ちかける。
アスナスは、大広間にある巨大なハープ「ゴーゴンの指輪」を示し、これがメデューサの切り札だと告げる。このハープは黄泉の底にまで通じ、メデューサの使徒が集めてきた負の想念を集めて醸成し、悪のエキス…メデューサの黒い血を生み出すのだ。これによってメデューサは新たな妖魔を次々生み出し、また自分の体にも常に黒い血が注がれることで、メデューサは不死身の強大な妖魔でいられる。
そしてアスナスいわく、これを壊せる可能性があるのは精霊オリエだけなのだ。



270 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:21:44 ID:???
ここでアスナスは、善神と悪神、精霊と妖魔にまつわるある秘密を打ち明ける。
精霊と妖魔は、一対の「虹の谷」を通して、常に同じ数になるよう生まれるように調整されている。善と悪の力がまともにぶつかり合えばとてつもない対消滅を起こすため、一方だけが勢力を増さぬよう二柱の神アガナードとエルゾの間で密約が交わされ、勢力のバランスがとられているのだ。
だが、悪神エルゾは野心を抱き、娘メデューサを通じて「黒い血」を生み出し、虹の谷を介さず妖魔を増やし始めた。このままメデューサが新たな悪の神となれば、悪の圧倒的優位が固定されてしまうのだ。
それを止めるため、アスナスは一つの策を授ける。中立の「白い力」を持つ精霊オリエが「ゴーゴンの指輪」に入り、黄泉の底に降りて精霊の力で「指輪」の中枢を破壊する。精霊がエルゾの領域では力を使えないと言うのは嘘で、善悪の激突による対消滅で爆死するのを防ぐため、無意識に力を制限してしまうだけなのだ。己の死さえ覚悟すれば、とてつもない力でメデューサの力の源を粉砕することができる、と。
オリエはこの策に乗った。相手は妖魔アスナスだが、彼が人間に引かれ、変化していることに気付いたから。彼女はアスナスの手引きによって黄泉の底に降り、「ゴーゴンの指輪」の中枢たる大妖魔を道連れに爆死する。クルトの助けになれたのだから悔いは無い、と消え行こうとする彼女の魂を、女神ユリアナの放った一欠の水晶が受けとめる。それは、ユリアナが留めていた少女オリエの魂だった。彼女たちは一つに結びつき、黄泉の底へと消えていく。

メデューサ城の最深部、メデューサが神となるための瞑想を続ける場に、エルザの屍を抱えたマリウスが現れる。
自分は人であることを誇り、人のまま死ぬ、とメデューサに討ちかかるマリウスを石に変え、砕くメデューサ。だが、マリウスを砕いておきながらメデューサは泣く。母親としての彼女も決していつわりではなかった。
そしてメデューサは、エルゾ神をあえて無視して瞑想を中断し、唯一最大の懸案、クルトの存在に自らの手で決着をつけるべく動き出す。



271 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:22:18 ID:???
最後の戦いが始まった。神となる儀式を中断し、姿を現したメデューサと妖魔の軍勢に対し、クルトには各国から集った人間や竜の連合軍が味方する。
そして思いがけぬ再会。魔法使いの少年ジャジャの正体は、成竜となって人間変身の術を得たレオンであり、彼によって蘇生したギルガドールもレオンと共に戦列に加わる。
自らの城を砕き、味方の妖魔を巻き添えにすることもいとわず暴れるメデューサに対して、クルトは自分とレオン、ギルガドールの3名のみで、メデューサと決闘することを申し入れた。メデューサはこれを受け入れ、妖魔も人間も外へ吹き飛ばし、選ばれたメンバーのみの対決に入る。

その頃エルゾの元には、アスナスが現れ勝負を挑んでいた。
悪神の後継者の器を持ちながら、他者に与えられる地位を嫌い、独自に力を蓄えていたアスナスは、計画をことごとく破られ、エルゾが動揺した隙を突いて彼の懐に潜りこんだのだ。
だが、彼の力も今一歩エルゾには及ばず、倒され力尽きるアスナス。その時彼は自らの腹を裂き、自分に埋め込まれていた「エルゾの鏡」のかけらを解き放つ。飛び出したかけらはクルトの元に集まり、鏡にも盾にも似た巨大な結晶と化した。これこそ「エルゾの鏡」。
エルゾの鏡を突き付けられたメデューサは、力を奪われ縮み始める。彼女に無限の力を与えていた「ゴーゴンの指輪」もすでになく、メデューサは着実に追い詰められていた。

時を同じくして、神々の間にも戦慄が走る。これまで決して動かなかったアガナードの「天界」が動いたのだ。
そして神々の間で「ピグマリオ」の名がささやかれ出す。
それは、新たな時代を創る「創世王」。激動する原初の自然を治める存在だった「神々」に代わり、人間の時代の到来を告げる存在。
クルトを良く知る火の神ペレは、クルトこそピグマリオと確信し、神々を取りまとめてクルトを支援しようと考えていた。



272 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:22:48 ID:???
天界の進撃を前に、アガナードはかつて一度バッコスが開いてしまった封印を改めて解き放った。
そこから飛び出した光球は、メデューサに石にされ、肉体からはじき出されたところを保護されていた魂。消え行く天界と心中させる訳にも行かず、アガナードはこれらの魂を解放したのだ。
だがアガナードは、その魂の中にガラティアの魂がないのに気付く。以前封印が解かれた時に捕まらずに下界に下りていった一つの光球こそガラティアの魂だったのだ。
だが全ては過ぎたこと。今はアガナードは、エルゾとの激突に全力を注ぐ。
自爆覚悟で進む天界のアガナードと精霊達、全妖魔を盾に生き残りを図るエルゾ。そして、ついに動いた大地の女神ユリアナ。この星(世界)の意志として、善悪の戦いを見届ける役目の彼女は、善悪両神の激突に供え、大地とその地に住む民を守るべく動いたのだ。
そして、二つの力は激突。全ては消滅し、巨大な爆発となって地を揺るがす。

両神の消滅は、クルトとメデューサの決闘にも影響した。エルゾの死によってエルゾの鏡は消滅し、メデューサは力を取り戻す。エルゾの被造物である自分が消滅せずに力を誇り存在し続けているのは、今や自分が新たな神となったからだ、と誇るメデューサ。
そして彼女は告げる。自分とガラティア、そしてクルトに繋がる因縁を。彼女とガラティアは本来、創世王ピグマリオを生むはずのひとりの女性「母なる人」であった。ピグマリオの誕生が神々の時代の終わり、神々の消滅を意味すると知るエルゾによって「母なる人」が暗殺された時、その魂は二つの星となって降り、一方は精霊ガラティアに、もう一方は妖女メデューサに転生した。
二者はやがて出会い、自分達の出自を知るが、精霊も妖魔も、自分で子を生むことはできない。同じ喪失感を持つ二人は友となるはずだった。だが、ガラティアはステファンとの恋を経て人間となり、皇子クルトを出産。それを知ったメデューサは、自分だけ母となる喜びを知ったガラティアを憎み、石に変えた。
だが、彼女はクルトを殺すことだけはできなかった。あるいは自分が生むかもしれなかった赤子を前に、彼女はクルトを殺さず、今日この日の戦いを招いてしまったのだ。



273 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:23:22 ID:???
メデューサは、ガラティアの石像をこの場に呼び寄せる。アガナードの加護もすでになく、石像はメデューサの手で砕かれてしまう。だがクルトは泣かない。今や彼が背負うものは個人の因縁だけでなく、全世界の希望なのだから。その時、今までも度々輝いていた彼の額の星──王の星がひときわ強く輝き、その光が世界全ての人と神々の目に届く。ピグマリオとして覚醒した彼の元に、神々の力が注がれた。
体はメデューサと比肩するほど巨大化し、その体はガラティアの守護像が変じた黄金の鎧に包まれる。左手には、少女オリエの祈りが込められた水晶の手甲、右手には今や創世王の剣と化した大地の剣。
もはやメデューサの魔力もクルトには通じず、クルトの勝利は目前。だがクルトは「母の半身」を殺すことをためらう。
だが、そのクルトを叱咤したのは他ならぬメデューサだった。「私を倒せ、クルト。母を慕い、母を思いやるも子の運命、しかし乗り越えねばならぬ母の存在もあると知れい!戦わねばお前は子供のままだ、母に呑みこまれて生きる者に王たる資格はない。ガラティアがお前の光の母なら、私はお前の闇の母。私の命を取って、王たる証を見せてみよ!この戦いの意味が分かるなら……母を倒して見せよ!!」
その言葉に奮起したクルトは、創世王の剣でメデューサを貫く。ついにメデューサは致命傷を負った。
その傷から流れ出たのは、妖魔の黒い血ではなく、人間の赤い血。それを見てクルトは気付く。メデューサがエルゾの死後も存在し続けたのは、彼女が神になったからではなく、限りなく人間に近くなっていたからだと。
グリーンノアのグリフォスと恋に落ちるという劇的な変化を認めず、結局彼を拒んだ臆病さ、マリウスとエルザを我が子として愛しつつ、それを口に出せぬ頑なさ。敗因が己の内にあったことを認めて、メデューサは消滅する。



274 名前:ピグマリオ 投稿日:05/01/01 14:24:00 ID:???
戦いは終わった。メデューサに石にされた人々は元に戻ったが、ガラティアは石と化した肉体を砕かれ、またその魂も、ずっと以前に人間界にさまよい出て、今は寄る辺なく消滅してしまったはず。
もう母と会うことはできないのだ…落ちこむクルトの前に、やはり人に惹かれることで人間として生き延びていたアスナスが現れ、自分が所有していたガラティア像のレプリカを、せめてもの形見として譲ろうと申し出る。
だがその時、ただの石像のはずのアスナス城の像が、ゆっくりの生身の姿に戻り始める。彫刻師バッコスが全身全霊を込めて彫った石像は、本物の肉体に代わって魂の座となりうるほどの完成度を有していたのだ。そしてクルトの前で、ガラティアは人間に戻り、クルトを抱き締めた。
最後に、女神ユリアナはクルトに一つの贈り物を渡す。それは、生身で黄泉に入り込む権利。黄泉の旅路は本来なら辛いものになるはずだったが、精霊オリエの死ぬ間際の力によって花に満たされていた。静かな黄泉の世界で、クルトはすぐに少女オリエを見出す。そしてクルトは、黄泉から連れ出したオリエと共にルーンの国に帰還し、父ステファンと先に戻っていたガラティア、最後の脱皮を終えたレオン、国民達の出迎えを受けた。
以後、成長して王となったクルトは、神々なき時代を導く創世王ピグマリオとして世界を導くことになった。その傍らには、常に美しい王妃と、友なる竜がいたと伝承は伝えている。
彼らの物語は長く語り継がれ、その正確な形が忘れ去られた現代にあっても、断片的に記憶されているのだ。石像の乙女に恋した王が、女神の力で人間になった石像の乙女と結ばれるギリシャ神話の「ピュグマリオン伝説」もまた、その一つである……。

エピローグには、パラレルワールドとしての「もうひとつのピグマリオ」が収録されている。
アスナス、メデューサ、ガラティア、オリエの四兄妹が人間である世界。クルトが生まれた祝いにルーンに駆けつけたメデューサは、グリーンノア王グリフォスに嫁いで二人の子をもうけている(もちろん子供の名前はマリウスとエルザ)。オリエは夢に現われる青年に憧れ結婚しようとしないが、グリフォスの連れてきた見合い相手がその夢の青年(成長したクルト)そのものであることに驚愕する。風来坊アスナスはゼンヌの村でリシェンヌに出会う。ルーンを訪れた竜族一行の中に、竜王の息子レオンとその婚約者シルヴァーナがいる。
このエピソードで、少女オリエがルーンの国出身で、本編でクルトにガラティアのことを教えた語り部のおばばの孫であり、生まれたその時にクルトのそばにいたという裏設定が開かされている。



275 名前:マロン名無しさん 投稿日:05/01/01 14:29:38 ID:???
「ピグマリオ」以上にて完結。
原作は1978年から90年まで、「花とゆめ」誌にて中断と再開を繰り返しつつ連載されました。
白泉社からのコミックス単行本全27巻は現在絶版となり
現在はメディアファクトリーから愛蔵版全12巻として発売されています。