僕と彼女の×××

Last-modified: 2012-03-03 (土) 23:02:25

僕と彼女の×××/森永 あい

86 名前:僕と彼女の××× 1 投稿日:04/06/16 17:15 ID:???

艶やかな長い黒髪を持つ美少女・桃井菜々子はその外見に反し荒々しい男前な性格。
菜々子に購買でヤキソバパンを横取りされて一目ぼれした上原あきらはハンサムだがウジウジした男。
風邪で休んだ桃井家を訪れたあきらは菜々子の祖父・萬造(マッドサイエンティスト)の
人体実験にまきこまれあきらと菜々子の人格が入れ替わってしまう。
実験のショックで製作10年の装置は壊れ、萬造は明日から老人会の旅行でハワイ行きのため、
とりあえず しばらくは入れ替わったまま生活することに。
あきらが入った菜々子の部屋は散らかり放題、着替え中に菜々子の体を凝視していたことで
萬造に小遣い銭をせびられ泣き、あきらの体で上原家に帰った菜々子はあきらの妹・美羽の
生意気な態度を暴力的にシメ、それに男らしい頼りがいを感じる上原夫妻。
翌朝、入れ替わったことにショックと罪悪感を持つあきらに対し、
すでにアレコレと体験して清々しい顔の菜々子だった。


93 名前: 僕と彼女の××× 2 投稿日:04/06/17 06:30 ID:???
突然ですが、これ以降は特に説明を入れていない場合は
あきら(中身は菜々子。ハンサムな外見に荒々しい性格) 
菜々子(中身はあきら。美しい外見に繊細な性格)
とさせていただきます。


教室であきらの活発な挨拶に疑問をいだく親友の千本木(男)と
菜々子の丁寧な挨拶に疑問をいだく親友の椎名(女)。
体育の授業のため着替えるが幸せを感じているその最中、ふざけて胸を揉まれて激しく鼻血を噴き
生理中の椎名とともに見学になった菜々子。バスケで男の肉体の強さを満喫していたあきらだが
椎名の体調悪化に気付きお姫様抱っこで保健室に連れて行き、菜々子と千本木もついて行く。
頼りがいのあるあきらに頬を赤らめて感謝する椎名と、男の自分が女子に男らしさで負けていることに
涙する菜々子にドキッとしてしまう千本木。

無事放課後を迎え帰宅する菜々子。萬造のいない間に風呂場で菜々子の体をじっくり観察しようとするが
鏡に向かって足を開いた瞬間殺気だったあきらにみつかり目隠しで体を洗われてしまう。
翌日の教室、満足そうな笑みの菜々子に魅了される千本木ほか男子多数。
空手部への入部を表明するあきらにめまいを覚える菜々子だが、千本木はその菜々子の様子にかつて
抱いていた凶暴なイメージが打ち消されていくのを感じる。一方、女子たちにモテまくりのあきらに
昨日の礼が言えた椎名だがその笑顔に何故かときめくあきら、そして「ごめん」とあきらに声をかける
千本木だが(菜々子の体の中の)あきら本人はその意味を理解していなかった。


170 名前:僕と彼女の××× 3 投稿日:04/06/23 19:31 ID:???
登校してきた菜々子はあきらがクラスメイトに初体験の様子を披露しているところに出くわす。
あきらを人気の無いところに連れて行き問い詰めるがアッサリどこの誰とも知らないOL相手だったと
聞かされ涙して一人駆け出す菜々子。その菜々子を気遣って保健室に連れて行く千本木。
しかし慰めつつ無理矢理キスしてきた千本木に身の危険を感じる菜々子。
一方菜々子の変貌ぶりにあきらとの関係を尋ねる椎名だがそのときのあきらの振る舞いに
顔を赤らめてあきらを見つめる椎名。


そして菜々子に「椎名と付き合う」と言い放つあきら。親友なのに女同士なのにとの菜々子の
問いかけにも「好きになったものは仕方ない」とあきら。あきらと椎名が良いムードで帰宅するのに対し
千本木に声を掛けられ一人ダッシュで帰宅した菜々子だが、萬造がハワイから帰っており安堵する。
しかし入れ替わったままの方が良いなどと言う萬造に脱力する菜々子。
翌日の学校でも元に戻る気はないと言うあきら。自分の気持ち(入れ替わる前の、あきらの菜々子に
対する好意)を知りながら告白の返事を迫ってきた千本木に、怒り走り去る菜々子。
弱気になっているところをつい怪しい占い師に見てもらい、しかし最高に良い運勢だと言われる菜々子。


スチャラカな萬造との生活にも苛立ちをおぼえる菜々子。ホームシックになって自宅(上原家)を見に行くと
母に招き入れられる。変わらぬ両親の様子に早く元の体に戻りたいと考えているとあきらが帰宅してくる。
筋トレするあきらに甲斐甲斐しくする妹・美羽の変わりぶりに菜々子が驚いていると、
両親まで最近逞しくなった息子に目を細める。
その朗らかな家族ぶりに元の自分の存在を否定されたかのようなショックでいたたまれなく
なり家を飛び出す菜々子は路上で偶然出会った千本木の胸にすがり付いて泣いてしまう。



743 :僕と彼女の××× 4:2011/12/11(日) 22:52:20.81 ID:???
お金を使うばかりのおじいさんに疲れ果てて、
奈々子は椎名に紹介されたファミレスのバイトを始める。
さらにあきら(←本物の奈々子は追試常連)の勉強を見て、おじいさんの世話をして。
何度も千本木に迫られたり、無防備な椎名にむらむらしたり、
むらむらしているところをあきらに見つかってひどい目にあったり……。
試練の連続の中、女の武器(上目使いでゴメンナサイ)を手に入れて、
趣味がお菓子作りになって、奈々子は着実に乙女の階段を上っていく。
4人は進級して高校2年生になった。

千本木はあきらと奈々子の会話から、中身が入れ替わっていることに気づく。
千本木はあきらが奈々子を好きなことを隠すことを条件に、
自分が入れ替わりに気付いていることをあきらに伏せるように求める。
(知られるといろいろ面倒だから)
人でなしな千本木は中身があきら(男)でも、今の体が女なら問題ない、
元の体に戻らなければ大丈夫、と主張して変わらず奈々子に迫ってくる。

文化祭で奈々子と千本木は「ロミオとジュリエット」の主役に抜擢される。
シナリオを利用して千本木は奈々子にくっついてくる。
自分の体が男とベタベタしていることに気が気でないあきらは、
とうとう本番の舞台に乱入して、アクシデントで奈々子にキス。
恋人の椎名に気持ちを疑われてしまう。
「こ……これはその桃井が気になるとかじゃなくてっ」
「……もういい」プイッ
「気になるのは千本木なんだ……!」
突然のカミングアウトに女子歓喜。
青ざめる奈々子と千本木(←とばっちり)「おわった――orz」

舞台後にあきらは椎名の誤解を解いて、初キスをする。
ますます恋人としてラブラブになっていくあきらと椎名。
一方の奈々子は千本木に真顔で告白されて鳥肌を立てていた。
しかし千本木の笑顔にどきりとしている自分にも気づき、冷や汗を流す。
  一体 僕はどこに向かっているんでしょう……。


744 :僕と彼女の××× 5:2011/12/11(日) 23:00:10.58 ID:???
奈々子は千本木に呼び出されて、会議室で再びふたりきりになってしまう。
案の定、千本木に押し倒されるが、奈々子は泣きながら拒否する。
「僕が好きなのは桃井さんなんだ……!」
その言葉を聞いた千本木はいつになくあっさりと引き下がる。
奈々子はこれで元の友人関係に戻ることを期待するが、
千本木は他の女子を優先して、奈々子に対してそっけなくなってしまう。
奈々子はその様子に落ち込み、泣きながら椎名に相談する。
「千本木君に恋してるんだね」
「ええーーーっっ!!?」
椎名の言葉にドン引きして、全力で否定する奈々子。
現状に悩む奈々子はあきらに相談しようとするが、
自分の都合ばかりを言うあきらの態度に傷つき、自分に脈がないことを実感する。

奈々子は下校時に偶然、千本木と一緒になるが、
置いて行かれそうになって千本木の服の裾をつかむ。
しかし千本木はそっけなく言う。
「俺は今のお前とお友達になる気はないから。それとも何。付き合ってくれんの?」
「いいよ。僕、千本木と付き合う」
あきらをあきらめて千本木と付き合う、という奈々子の言葉に、
千本木はふにゃふにゃになって喜ぶ。
  女の子になって8か月、僕に彼氏が出来ました…。

男二人でデートしたり、女の子扱いされて喜んだりしている自分に気付いて
鳥肌を立てる奈々子。
これじゃまるでホ……。ちっ違う!
あきらめるって決めたけど僕はちゃんと桃井さん(女)のことが……。
そしてあきらにきゅんとするが、外見は自分。そして"男全開"の笑顔。
奈々子は涙を流して懊悩するが、千本木のやさしさに少しずつほだされていく。


745 :僕と彼女の××× 6:2011/12/11(日) 23:09:29.07 ID:???
奈々子は心の底ではあきらをあきらめきれていない。
そのことを知る千本木は、あきらにラブホテルガイドを渡して
修学旅行中に椎名と一線を越えさせようとする。
奈々子は当然、阻止しようとするが、あきらに逃げられてしまう。
性欲一杯のあきらだったが、椎名が指輪を欲しがっている姿を見ると、
ラブホテルをあきらめて残りのお金で指輪を贈ることにした。
宿泊先のホテルに帰り、椎名の指輪を見た奈々子は衝撃を受ける。
あきらの椎名への気持ちが本気だと実感した奈々子は落ち込む。
その夜、奈々子の気持ちを知る千本木は奈々子を慰める。
泣いて泣いてすっきりした奈々子に
千本木は早めの誕生日プレゼントとしてネックレスを贈った。

その夜、女部屋は好きな男子の話で盛り上がる。
奈々子は千本木との関係を聞かれて、とっさに付き合っていないと答える。
不服そうな椎名。
(奈々子と千本木が付き合っていることはあきらに隠している。知っているのは椎名だけ)
じゃあ私が千本木に告白しよう!と女子は盛り上がり、男部屋に夜這いに行く。

千本木は女子たちに熱心に告白されるが「好きな人がいるから」とあっさり断った。
奈々子は赤くなるが、好きな相手のことを聞かれると、
千本木は「片思い中」と答えた。
自分への笑顔や気遣いを思い出して、奈々子は動揺する。
なおも口説こうとする女子たちに囲まれている千本木の肩をつかんで、
奈々子は言う。
「だめっ これは、僕のだから……!」
奈々子の宣言にふにゃふにゃの笑顔で喜ぶ千本木。
あまりに幸せそうな様子に女子はため息をついて引き下がり、
ふたりは公認の仲になった。
事実を知ってブチ切れるあきらに千本木は囁く。
「椎名にバラすぞ」
彼氏の正体が奈々子だと知られたくないあきらは言い返せない。
さらに今の体のままでいいだろうと千本木に言われると、あきらは迷いを見せた。



751 :僕と彼女の××× 7:2011/12/12(月) 23:08:37.07 ID:???
修学旅行から帰宅後、あきらは奈々子と千本木に詰め寄る。
しかし椎名との恋人関係や元の体に戻る気があるのか聞き返されると、「考え中だ」と適当な返答。
奈々子は怒って、千本木の存在の大切さを訴える。
家族に受け入れられて、恋人もいるあきらとは違うこと。
「千本木だけなんだ。ちゃんと僕だって気付いてくれていつも気にかけてくれて。
 男同士の時とは意味が違うけど変わらずに僕のことを好きだって言ってくれるのは」
千本木が「いい加減な気持ちで親友と付き合ったりしない」と奈々子を庇うと、
元々親友だった椎名と付き合っているあきらは折れて交際を許可。
キスまでOKの許しが出る。

奈々子が葛藤と反発を繰り返しながら千本木の存在を受け入れていく中、
海外赴任中だった奈々子の両親が帰宅する。
おじいさんを反面教師として育った桃井憲司(以下、父)は外交官を務める常識人であり、
おじいさんは稼ぎ手である二人には頭があがらない。
父は娘の中身が入れ替わっていることを知ると、仕送りを盾にして、
一週間で機械を治すようにおじいさんに要求する。
奈々子は無事に入れ替わるためにあきらや千本木に事実を隠したまま、
入れ替えを行うことにする。
千本木と椎名への罪悪感を抑えきれない奈々子だったが、
性懲りもなく押し倒してくる千本木に身の危険と怒りを感じて、
一刻も早い機械の完成を泣きながら願う。

一方、奈々子の父は女らしく気遣いのある愛娘・奈々子(中身は男)に骨抜き状態。
さらに実の奈々子はガサツさや口の悪さを「頼もしい」と慕われており、
男らしい上原あきら(中身は女)としてとのびのびと過ごしていた。
そんな姿を見て、父は迷いはじめる。



752 :僕と彼女の××× 8:2011/12/12(月) 23:12:15.81 ID:???
そして機械が完成する。
桃井奈々子としての最後のバイトの日、奈々子は思わず椎名に謝罪する。
奈々子の様子がおかしいことに気づいていた千本木はその謝罪を聞いて、
入れ替え君が完成したことを察してしまう。
ふたりきりになると千本木は奈々子を押し倒して留めようとするが、
自分の体に戻りたいという奈々子の涙ながらの訴えに引き下がる。
かつて贈ったネックレスを引きちぎり、
次回デートのキャンセルを告げて奈々子を見送った。

一方、酒に弱いあきらはサバランで酔いつぶされて、
入れ替えクンの所まで運ばれる。
あきらと奈々子が揃って、運命のカウントダウン。
5、4、3、2、1…。
父は奈々子(中身はあきら)の気遣いに満ちた姿、
あきら(中身は奈々子)の勇ましい姿をを思い返していた。
一方、奈々子の脳裏に千本木の笑顔が浮かぶ。好きだよ、という言葉。
奈々子は立ち会がる。「待って!」
……ゼロ!
奈々子を追いかけて部屋に飛び込んできた千本木に手を引かれて、
奈々子は一瞬の差で入れ替わりを回避する。
父もまた入れ替わりを中止させようとするが、
もみ合った拍子に父が機械にセットされて、小人サイズになってしまう。
おじいさん歓喜。「ついにミニミニクンの完成じゃ 桃井萬造(70)、天才――!!」
機械は壊れてしまったため、奈々子とあきらの入れ替えは失敗。
父は目玉親父サイズでしばらく過ごすことになる。

奈々子に入れ替えを止めようとした理由を問われて、父は頭を下げた。
「勝手を言って申し訳ないが このまま元に戻るのはあきらめてくれないだろうか」
お互いに今の体の方が向いていること、そして心中の迷いを指摘されて、奈々子は葛藤する。
そしてカウントダウンの時、考えているのは想い人であるあきらのことではなく、
千本木のことだけだったと奈々子は気づく。



758 :僕と彼女の××× 9:2011/12/29(木) 00:37:16.99 ID:???
奈々子と千本木、あきらと椎名のダブルデートの帰り、
千本木は以前、引きちぎったネックレスを再び奈々子に贈る。
チェーンには一緒に指輪が通されていた。
「なっ 何か増えてるけどっ」
「うん、当分そこでガマンしとく。あきらがはめる気になったらはめてくれ」
もう少しだけ時間が欲しい、という奈々子に千本木は頷く。
そしてその後、奈々子は初めて抵抗せずに千本木のキスを受け入れた。

奈々子は千本木にもらった指輪を喜んでいる自分に落ち込みながらも、
このままでいいのではないかと迷い始めていた。
椎名も、あきらの家族も、そして千本木も…。
翌朝、ネックレスにつけた指輪をあきらに見つけられる。
ふたりの関係を全力で否定してきたあきらだったが、
なぜか今回は「いいんじゃねーの」とあっさりしている。
その様子に拍子抜けする奈々子。
ふにゃふにゃと幸せそうな千本木を見て、奈々子はとうとう実感する。
  ああ僕 千本木が好きなんだ

誕生日の夜、奈々子はあきらを呼び出した。
時間がないと急ぐあきらに、奈々子は言う。
「僕! 桃井さんのこと好きだったんだ。入れ替わる前からずっと。ずっと好き
 でした」
「…………でした?」
「ごっ ごめんなさい。今はキライとかじゃなくて!」
「分かってるよ。もっと好きな奴ができたんだろ?」
奈々子の告白を受け止めて、
あきらは自分も奈々子に言わなければならないことがあると告げた。
先日のダブルデートの時に、奈々子を見て、
自分の体なのにもう自分ではないと感じていたという。
このまま入れ替わった状態で過ごすことを決意した奈々子とあきら。
帰っていくあきらに心の中で別れを告げて、
奈々子は千本木から貰った指輪に指を通した。



759 :僕と彼女の××× 10:2011/12/29(木) 00:41:54.57 ID:???
父を元の大きさに戻すため、おじいさんはデカデカクン初号機を完成させた。
奈々子にくっつく悪い虫(千本木)の存在が気が気ではない父は感動もひとしお。
これで可愛い娘(中身は男)を守れる!
スイッチを入れて父は元の大きさに戻るが、機械は暴走。
奈々子は父を助けようとしてあきらとともに巻き込まれてしまう。
残されたのは元の大きさに戻った父と、奈々子とあきら。
しかし、奈々子とあきらの中身は入れ替わって、元通りに戻っていた。
自分の体に"ついている"ものを確認して喜ぶあきら(元・奈々子)。
返せとわめく奈々子(元・あきら)につかまれて、あきらは叫ぶ。
「やっと元に戻れたのに絶対イヤだ……!」
桃井家に訪ねてきた千本木はタイミング悪くその言葉を聞いてしまう。
デカデカクンはいつものように故障した上、
おじいさんは頭を打って昏睡状態に陥る。
奈々子とあきらは将来の見通しが立たないまま、
本来の体に戻ったままで過ごすことになってしまう。

元の体に戻れたあきら(中身も男)は、
体が戻れば恋する気持ちも消えていくのではないかと言う。
しかし奈々子(中身も女)は椎名への気持ちを忘れることを拒否して、
一刻も早くあきらの体に戻るのだと断言した。

奈々子(中身はあきら)が女の体で生きていく決意していたことを知らない千本木は、
「やっと元に戻れたのに絶対イヤだ……!」
という発言を奈々子(中身はあきら)の本音だと受け取っていた。
元の体にもどったあきらに「よかったな」と声を掛けて、
指輪とネックレスは処分しておくようにと頼んだ。

千本木との仲が破局したあきらは、元の体に戻ることにすっかり消極的になっていた。
そして上原あきらとしての将来を考えてみるが、
思い浮かぶのは千本木のことばかりだった……。
 これはもうすぐなくなる気持ちだって分かってるのに
 今 千本木より大事なことが思いつかない



764 :僕と彼女の××× 11:2011/12/31(土) 22:05:26.54 ID:???
勘の鋭い椎名はあきらと奈々子が入れ替わっていることに気付く。
奈々子は最初から中身が入れ替わっていたことを隠し、
「昨日、奈々子とあきらの中身が入れ替わってしまった」と説明する。
動揺する椎名に、奈々子はすぐに戻ることを約束した。

元に戻る気力をなくしているあきらを見て、奈々子は千本木を呼び出す。
きちんとあきらを捕まえておけ、と千本木を怒る奈々子。
さらにあきらが"奈々子"として生きていく覚悟を決めていたことを告げる。
千本木は驚きながらも、それは成り行きで仕方なくだと言い返した。
奈々子は突如しおらしく千本木を見つめる。

「ねえ千本木。ホントに僕のことあきらめられるの?」

あきらの真似をした奈々子を見て、千本木は勢いよく押し倒す。
「あきら………!」
部屋の前でふたりのやり取りを見守っていたあきらは、扉を開けて千本木に怒る。
「あんなに戻りたかった自分の身体なのに
 千本木のせいで困ったことばっかりだ…!」
驚く千本木。あきらは奈々子に言う。
「僕、桃井さんの身体に戻りたい」
奈々子は笑顔でうなずく。
その時、おじいさんの意識が戻ったと連絡が入る。

まるで昔に戻ったように勇ましい奈々子。
他人を気遣うあきらの様子も、本来のあきらの姿に戻ったようだった。
椎名は二人が入れ替わったのではなく、
元に戻っただけなのではないかと勘づく。
しかし元の身体に戻るために桃井家に行くことを笑顔で報告する奈々子たちを見て、
椎名は笑顔で三人を見送った。



765 :僕と彼女の××× 12:2011/12/31(土) 22:10:01.15 ID:???
ようやく意識の戻ったおじいさん。
しかしおじいさんは額に大きなたんこぶを残したまま、キラキラした目で言った。
「入れ替えクン? 何のことですか?」
奈々子の母(脳神経科医)は「外傷性健忘症、記憶喪失」と診断する。
記憶は今日戻るかもしれないし、一生戻らないかもしれない。
迷惑な性格が治ったおじいさんは非常に礼儀正しく、
入れ替えクンのことをきれいに忘れていた。
千本木は新品の白衣に袖を通し、自分で入れ替えクンを直すことを宣言する。

主婦の知恵袋的な研究に夢中なおじいさん。
メカオンチなあきらと椎名。奈々子は論外。
千本木は入れ替えクンの研究に没頭するが、現状では手におえるものではない。
ため息をつく千本木に、奈々子は「早くしねーと浮気されっぞ」と言い放つ。
千本木は顔色を変えて本を読み始める。
その横で、椎名は奈々子にあきらとおっぱい占いをしてきた話をする。
おっぱい占いのおねーさんは入れ替わったばかりの奈々子(中身はあきら)に
「今のままの方が幸せになれる」「運命の相手が身近にいる」
と占った人物であり、確かな実力を持っている。
「で、なんて言われたんだ?」
「うん、あのね。奈々子ちゃんもあたしも将来すごく幸せになれるんだって
 ね、奈々子ちゃん」
「うん」

奈々子の左薬指に、以前贈った指輪をはめる千本木。
汚れた白衣を着て、涙を流して喜んでいる。
以前より髪の伸びた奈々子は千本木に抱き上げられている。
頬を染めながら、複雑な顔で薬指を見つめる。やっぱり早まったかな…
――とりあえず僕達の将来は幸せみたいです

            「僕と彼女の×××」おわり