封神演義

Last-modified: 2009-01-20 (火) 11:17:58

封神演義/藤崎 竜

43 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:28:37 ID:???
ここのスレにはちょっとお世話になったので、休みを一日潰して書いちまった。

かなりばっさり斬ったつもりが、いつの間にか一万字を超えてしまった。
土公孫や武吉、太乙真人など、本当はかなり活躍しているキャラも出さなかった。
トウ蝉玉や雷震子のエピソードも削ったし、読んだことがある人にはちょっと不満かも。

というか、何で王天君2は聞仲を憎んでいたんだろ。

題材・封神演義 作者・藤崎竜 週間少年ジャンプ コミックスは1~23巻で完結。

中国古典の奇書「封神演義」を安能務がアレンジして訳し、さらにそれを藤崎竜がアレンジした作品。
紀元前11世紀の中国を舞台に、仙人・道士・人間・その他が入り乱れての戦いが繰り広げられる。

巻ごとに粗筋をまとめた。ルビはコミックスに従った。
モチーフが中国なので、文字化けの恐れのある漢字を使う単語がでてくるが、これについてはカタカナで表記。



44 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:30:42 ID:???
<第一部 封神計画発動>(この漫画は表記が1巻→第一部、2巻→第二部……となっている)

当時の中国大陸は、仙道(仙人や道士のこと)が住む仙人界と、人間たちが住む人間界に分かれていた。
仙人界の一角、崑崙山の教主である元始天尊は、弟子の太公望に「封神計画」の遂行を命じる。
「封神計画」とは、人間界で横暴をはたらく仙道たちを倒して、魂を封神台に閉じ込める(=封神する)計画であった。

太公望が倒す仙道たちは、人間界最大の王国・殷を牛耳っている妲己(だっき)の一派であった。
妲己は殷の皇后におさまり、皇帝である紂王(ちゅうおう)を洗脳し、仲間の仙道を率いて民を苦しめていた。
太公望は遂行を渋るが、妲己のせいで一族を皆殺しにされた過去があり、計画を引き受ける。

太公望は――かつての自分のような――仙道が人間界に干渉することで不幸になる者を増やしたくなかったのだ。

太公望は相棒の四不象(スープーシャン)と共に崑崙山を出発するが、
すぐに計画を察知した妲己の客分にして仙界最強の男・申公豹に襲撃され、圧倒的な力でねじ伏せられる。
しかし申公豹は太公望に興味を持ったため敢えて殺さず、以後太公望を観察するようになる。

その後、警戒心を持った妲己の妹・王貴人が太公望を襲撃するも、策略によって逆に王貴人を捕らえた太公望は、
王貴人を人質にして妲己や紂王のいる王宮に入り込み、妲己を倒そうとする。
しかし妲己には隙が無く、逆に太公望は捕らえられて毒蛇で満たされた穴に突き落とされてしまう。



45 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:32:21 ID:???
<第二部 始まりの終わり>

反妲己の殷の将軍・黄飛虎と申公豹に密かに助けられた太公望は、妲己に対抗するため味方を増やす事にする。
彼は殷に仕える東西南北の大諸侯国のうち、声望の高い西岐の国に助力を求めることにする。
道中で崑崙山が製作した人造人間・ナタクや崑崙山随一の天才・楊ゼンと出会い、太公望は実力を示して二人を部下とする。

その頃、妲己は東西南北の大諸侯のうち東と南の諸侯を謀殺し、北の諸侯を洗脳していた。
西の国である西岐の諸侯・姫昌も殺されそうになるが、黄飛虎の機転で幽閉にとどめられる。

<第三部 未来視たちの弁証法>

黄飛虎は紂王の息子・殷郊と殷洪の兄弟(彼らから見ると、妲己は継母である)を、西岐へと逃がそうとする。
妲己に洗脳されることを恐れたためであった。兄弟の母(=紂王の正皇后)は、既に妲己によって殺されていた。
太公望は兄弟を助けるため、兄弟に向けられた妲己の刺客を退ける。
兄弟は崑崙山で仙道としての修行をすることに決まった。
その時現れた申公豹との会話で、太公望は「封神計画」に、自分の知らされていない裏が存在することを確信する。

太公望は崑崙山に帰り、元始天尊に計画の意味を詰問する。対して元始天尊は「封神計画」の目的を、
「殷滅亡後の人間界の混乱を避けるため、姫昌に妲己を倒させ、姫昌を王にする」ことだと説明する。



46 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:35:07 ID:???
<第四部 武成王造反>

西岐の国は姫昌の幽閉を解くべく、姫昌の長男・伯邑考を殷に派遣する。姫昌は幽閉を解かれるが、
妲己の策略によって伯邑考がミンチ肉にされ、その肉で作られたハンバーグを食べさせられてしまった。
なんとか西岐に帰国した姫昌に、太公望は封神計画を持ちかけ、姫昌もその提案に同意する。

殷では、殷の忠臣にして強大な仙人・聞仲(ぶんちゅう)が妲己と対立するが、
聞仲は東の大諸侯の反乱を口実に遠ざけられてしまう。
また妲己の策略と紂王の軽挙により、黄飛虎の妻・賈氏と黄飛虎の妹・黄氏が自殺に追い込まれた。
ここに到って黄飛虎(=武成王)はついに紂王に造反し、一族ともども西岐に亡命しようとする。
鎮圧から帰った聞仲は、親友であった黄飛虎の造反を許せず、自身に代わって黄飛虎を殺させるため部下を差し向ける。

<第五部 九竜島の四聖>

黄飛虎一族は、太公望やナタク、崑崙山で修行中であった黄飛虎の長男・黄天化と合流して周を目指す。
途中で聞仲の部下・張桂芳と風林を退けるが、聞仲にとって二人は時間稼ぎであった。
聞仲は自身がかつて修行していた金鰲(きんごう)島から、聞仲のかつての戦友・九竜島の四聖という四人組を呼び寄せていたのだ。
周に辿り着く直前で太公望たちに襲い掛かる九竜島の四聖。その内の高友乾と楊森に太公望たちは苦戦する。
残りの四聖・李興覇と王魔は聞仲の命令を拡大解釈して西岐を攻撃しようとするが、ナタクと楊ゼンがそれぞれ迎撃に出る。



47 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:37:40 ID:???
<第六部 殷の太師>

太公望の策と黄天化、ナタク、楊ゼンらの活躍で四聖を退ける太公望たちだが、
駆けつけた聞仲(=殷の太師)によって全員が倒される。
しかし王魔が戦闘で西岐に被害を出してしまったことを重くみた聞仲は「借りを返す」として、止めを刺さずに退却する。

太公望たちの尽力で国力を高める西岐だが、息子の肉を食べさせられたせいで拒食症になった姫昌は日に日に弱っていく。
姫昌の死を予感した太公望は、後継者である姫昌の次男・姫発に会いに行くが、姫発は借金漬けの放蕩息子だった。
一方、聞仲も妲己によって消耗した殷を立て直そうとする。ここで聞仲は、殷に忠義を尽くす理由を申公豹に語る。

<第七部 老賢人に幕は降り>

姫昌は北の大諸侯の侯弟にして崑崙出身の道士・崇黒虎を説得して味方につけたことを最後の仕事とし、永眠する。
姫昌の死後、西岐は殷から独立する。国号は「周」となり、姫発は武王を名乗った。
これで殷と周の対立構造が明確になった。
周の軍師である太公望のバックに崑崙山がついていると見て、金鰲島は聞仲を後押しし始めた。
聞仲は金鰲島の後押しを望まなかったが、ともに仙人界の一角である崑崙山と金鰲島は対立していたのだ。

妲己によって紂王が異変が起きたのを見た聞仲は、やむなく自身の代わりに金鰲島の援軍である魔家四将に周を攻撃させる。
魔家四将は黄天化を倒し、太公望らを人質にとって崑崙山の仙道をおびき寄せようとする。
これを受けてナタク、楊ゼン、姫発の養子にして崑崙の道士・雷震子らが援軍に向かう。



48 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:39:55 ID:???
<第八部 殷周易姓革命>

復帰した黄天化の活躍などで、太公望たちは魔家四将を倒して封神する。
相変わらず紂王の異変のせいで動けない聞仲の下に、金鰲島の使者・趙公明がやってくる。
趙公明は聞仲に、金鰲島の教主・通天教主が金鰲島の全ての指揮権を聞仲に与えたことを告げた。
周も殷へ軍隊を進めはじめ、ここにきて周と崑崙山、殷と金鰲島の全面戦争がはじまった。
しかしその矢先、聞仲の指揮に従うことをよしとしない金鰲島の十名の幹部・十天君が聞仲を幽閉してしまう。

<第九部 太子の選択>

帰国しない聞仲に代わり、趙公明が弟子の呂岳を差し向けて周軍を迎撃させる。
呂岳の操る病原体に周軍は苦しめられるが、病原体の抗体を作られたため呂岳は退却する。

その頃、申公豹は妲己を問い質していた。申公豹から見ても、妲己には謎が多かった。
その昔、妲己は聞仲、趙公明と並ぶ金鰲島の三強であった。
その後はぐれ仙人となった妲己は、金鰲島の仙道を引き抜いて一派を起こした。
しかし金鰲島の通天教主は黙ったままである。
さらに妲己は、殷を牛耳っておきながら、明らかに殷を滅ぼそうとしていた。
妲己は申公豹の問いに答えなかった。

崑崙山から紂王の息子・殷郊と殷洪が下山した。太公望たちに力を貸すためである。
しかし殷郊は殷の太子としての責任に目覚め、かつて命を救われた太公望の前に立ち塞がる。



49 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:43:45 ID:???
<第十部 趙公明攻略・上>

殷郊は兵を率いた戦いで太公望に敗北したため、仙道として太公望に挑む。
殷郊は優勢に戦いを進めるが、殷洪が太公望をかばって死んだため錯乱し、太公望に敗れて殺された。
兄弟の魂は封神台へ飛んだ。
周軍は殷の国内を進撃し、都の直前にまで迫るが、妲己が現れて太公望たちを一蹴。その後妲己は姿を消す。
さらに四不象らが趙公明に拉致されてしまい、太公望たちは趙公明の持つ豪華客船で戦うことに。

<第十一部 趙公明攻略・中>

豪華客船の中で、呂岳ら趙公明の弟子たちと戦う太公望たち。
崑崙山屈指の実力を持つ仙女・竜吉公主や黄天化の弟・黄天祥の活躍で趙公明の弟子たちを倒し、人質を取り戻す。
残すは趙公明のみ、となったときに元始天尊が崑崙山を下山して周軍の前に現れる。
今まで太公望がズルをして隠してきた実力を見極めるため、太公望と趙公明と一対一で戦わせるように指図する。
一方趙公明も太公望の実力を知るため、妹のビーナスたちを太公望と戦わせる。

<第十二部 趙公明攻略・下>

心理作戦でビーナスたちを戦闘不能にした太公望を、趙公明は強敵と認めた。
趙公明は元々、元始天尊に挑戦して仙人界の対立を激化させた過去を持つほど好戦的な仙人であった。
趙公明は四不象を石化させ、太公望が本気で戦うよう仕向ける。太公望は善戦するが、本気を出した趙公明に四不象もろとも砕かれてしまう。

が、そのとき四不象の持っていた仙人界の至宝・復活の玉が発動し、パワーアップして復活した四不象と太公望が趙公明を倒す。
封神される間際の趙公明の遺言により、ビーナスたちは周軍に投ずることとなった。



50 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:47:17 ID:???
<第十三部 仙界大戦>

趙公明が敗れたことで浮き足立つ金鰲島。十天君の長・王天君は聞仲を解放し、崑崙山攻撃の指揮官となるよう頼む。
解放された聞仲は王天君とともに通天教主と面会するが、通天教主は心を壊されていた。
聞仲はこれを妲己の仕業と疑い妲己を探すが、なぜか妲己一派は聞仲の幽閉中に殷から姿を消していた。

聞仲は崑崙山を完全消滅させるため、空に浮かぶ島である金鰲島を移動させることで、
金鰲の全戦力をもって崑崙山に進攻しはじめた。
対して太公望は黄飛虎一族や姫発を地上に残し、同じく空に浮かぶ山である崑崙山を動かして迎撃に出る。

元始天尊から指揮をまかされた太公望は、崑崙山の十二名の幹部・十二仙と協力し、不完全な装備ながら金鰲島と交戦する。
しかし、まもなく金鰲島の主砲・通天砲が炸裂して崑崙山を半壊させ、さらに崑崙山がエネルギー切れを起こし停止してしまう。

金鰲島が通天砲の二回目の発射を準備している間、楊ゼンが金鰲島に侵入した。金鰲島のバリアを解除するためである。
楊ゼンは十天君のひとり・張天君に襲撃されるが、本来の姿である妖怪の形態を現し、張天君を倒す。

※仙道には人間出身の仙人と、人間以外の動物出身の妖怪仙人がいる。両者は互いに差別しあっていた。
 本来崑崙山は仙人のいる仙界、金鰲島は妖怪仙人のいる仙界であったが、
楊ゼンは妖怪仙人であることを隠しながら崑崙で修行していた。

王天君はバリア解除装置の前で楊ゼンを待ち伏せするが、現れた楊ゼンを敢えて見逃す。
張天君との戦いで消耗しきっていた楊ゼンはバリアを解除するが、最早移動する力もなくなっていた。
ここで王天君は聞仲に、楊ゼンが通天教主の息子であることを明かす。

金鰲島のバリアが解除された。竜吉公主が力を振り絞って崑崙山を動かし、崑崙山ごと通天砲に体当たりする。
二回目の通天砲の発射直前に、通天砲は全壊した。
楊ゼンを救出すべく、太公望は十二戦のひとりにして楊ゼンの師匠・玉鼎真人と金鰲島出身の道士・トウ蝉玉を伴い、金鰲島に侵入する。



51 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:49:04 ID:???
<第十四部 十絶陣の戦い・上>

十天君は、それぞれが異空間を武器にして戦う。そうした十種類の異空間は、まとめて十絶陣と呼ばれた。
太公望たち三人は迎撃に来た十天君のひとり・孫天君を倒すが、王天君の仕掛けた罠にかかってしまう。
何とか楊ゼンを助け出したものの、弟子の命と引き換えに玉鼎真人は殺され、
楊ゼンの体にも仙道を消耗させる王天君のダニを仕込まれた。
聞仲は対崑崙山戦の指揮を王天君に任せ、金鰲島をどこかへ向かわせていた。その目的地は、未だ明かされていない。

太公望は、崑崙側の戦力を6組に分割して金鰲島に潜入し、ゲリラ戦を挑むことにした。
同じ頃、地上に取り残されていた黄飛虎、黄天化、黄天祥の三人は、ビーナスたちの力を借りて金鰲島へ突入する。
ビーナスたちと逸れた黄一家は、十天君のひとり・董天君を油断に乗じて倒す。



52 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:50:25 ID:???
<第十五部 十絶陣の戦い・下>

十二仙のひとりにして太公望の親友・普賢真人は、四不象と太公望とともにゲリラ隊の一組として金鰲島に潜入していた。
そこに十天君のひとり・袁天君が挑みかかるが、普賢真人の活躍で倒されてしまう。
また、ナタクが十天君のひとり・趙天君を倒すが、なぜか崑崙側の仙道が消耗していく。王天君のダニが、戦場全体に蔓延していたのだ。
ダニの対応に追われる崑崙山から、ひとつの影が金鰲島へ向かっていった。満身創痍の楊ゼンであった。

人造人間であるナタク、敏感肌の崑崙の道士・韋護はダニの害を免れていた。二人に楊ゼンが合流し、
王天君を倒してダニを止めるために王天君を探していた。だが三人は十天君のうちの二人・金光聖母と姚天君と戦う羽目に。
三人は金光聖母と姚天君を何とか倒すが、その隙に王天君が弱っていた楊ゼンを拉致してしまう。

再び妖怪の形態をとることで力を取り戻した楊ゼンは、王天君を追い詰める。
しかし王天君は通天教主の下へ楊ゼンを導き、楊ゼンに衝撃の事実を話す。

楊ゼンと王天君は、崑崙山と金鰲島の不可侵条約の人質であったのだ。
王天君は、かつては王奕(おうえき)と名乗る元始天尊の一番弟子、太公望の兄弟子だった。
楊ゼンが妖怪であることを偽っていたように、王奕も人間であることを偽っていた。
楊ゼンは師匠である玉鼎真人にだけは心を開けたが、王奕の理解者は妲己のみだった。
やがて才能ある王奕は、十天君の位に登り、王天君と名乗る。
実力をつけた王天君は妲己と共謀して、通天教主の心を壊してしまう。
異変に気づいた元始天尊が、妲己の完全抹殺のため「封神計画」を発動した。
人間界のため、という元始天尊の説明は、太公望をけしかける口実であった。

王天君は、今まで自分の代わりに崑崙山でいい目を見ていた楊ゼンに復讐するために、
心を壊した通天教主と楊ゼンを戦わせる。しかし楊ゼンの呼びかけによって壊された心が戻りかけ、混乱した通天教主は暴走する。
力の暴走に巻き込まれ王天君と通天教主は死んだが、わずかに通天教主は記憶を残しており、楊ゼンだけは守られた。



53 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:52:43 ID:???
<第十六部 死闘>

残りの十天君をビーナスたちが倒し、十天君全員が封神された。
しかし、王天君を倒せば消えるはずの王天君のダニは、効果を失っていなかった。
四不象の父親の力を借りてダニを無効化した崑崙の仙道たちは、十天君が全て封神されるのを待っていた聞仲との戦いに赴く。
その直前、楊ゼンは元始天尊に「封神計画」の意味を問い詰めるが、元始天尊は「歴史の道標」に聞かれてはならない、としか言わなかった。

崑崙側の仙道は、元始天尊と竜吉公主を除いた全戦力で聞仲に攻めかかるが、聞仲はまるで苦にしない。
叶わぬと見た普賢真人は、十二仙だけで聞仲に特攻し、自爆で聞仲を倒そうとする。
太公望たちは巻き添えを恐れて無理やり逃がされた。
十二仙のうち、出撃できなかった二人を除いて全員が死亡し、封神された。聞仲は傷を負ったのみであった。
聞仲は位置の知れない太公望を捨て置き、元始天尊を倒すために崑崙山へ向かう。
聞仲は、殷に害を為す仙人界全体を滅ぼすつもりであった。

一方、黄飛虎たち一家の目の前には、死んだはずの王天君が現れ、一家を異空間へと引きずり込んだ。



54 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:53:58 ID:???

<第十七部 風の分岐>

圧倒的な実力を持つ聞仲は、残っていた崑崙の仙道を殺しつつ、元始天尊さえも力でねじ伏せる。
しかし、まさに元始天尊が殺されようとしていたとき、死んだはずの王天君が黄飛虎たちとともに現れる。
なんと王天君は魂を分割できる性質の持ち主であり、妲己によって魂が分割されていたのだ。
この特異性によって王天君は、楊ゼンと釣り合う人質と見なされ、また妲己に目をつけられたのであった。

王天君によって異空間に引きずり込まれた聞仲と黄飛虎は、体を溶かす雨の降る中で戦いを始める。
黄飛虎によって異空間から放り出された黄天化と黄天祥、さらに異空間の外にいて弱りきっている崑崙の面々には、為す術もなかった。
黄飛虎は、殷のためという名目で虐殺を重ねる聞仲を見かね、自分の手で聞仲を倒そうとする。
仙道ではない黄飛虎では、本気になった聞仲の相手にならない。聞仲は黄飛虎に退くよう説得するが、
黄飛虎は聞仲に、もはや聞仲の守りたかった殷は無くなってしまった、と言い残し、雨に体を溶かされて封神される。

親友の死を目の当たりにした聞仲は、暴走して二番目の王天君を殺し、封神する。
異空間を脱した聞仲の前に、太公望が立ちはだかった。満身創痍の二人が戦う。消耗しつくした聞仲は太公望に、

“飛虎が死んだ時…気がついた…私が取り戻したかったのは殷ではなく…飛虎のいるかつての殷だったのだ…”

と言い残し、自害する。操縦手と全てのエネルギーを失った二つの仙界は、地上に墜落した。

周に帰還した太公望は、申公豹に匹敵するといわれる仙人、太上老君を捜す旅に出る。
対して殷には妲己が帰還し、中断していた紂王の改造手術を再開する。以前紂王に異変が起きたのは、手術の副作用だった。
聞仲の命令で殷を守っていた九竜島の四聖は、紂王によってまとめて倒された。



55 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:54:55 ID:???
<第十八部 太上老君をめぐる冒険>

申公豹の助言によって太公望は、西の果ての桃源郷に辿り着く。
太公望は桃源郷の支配者の少女・邑姜により、リンチや強制労働の憂き目を見るが、なんとか邑姜の養父である太上老君に面会する。
しかし太上老君は、眠ったまままったく目を覚まさない。
太公望は不貞寝し、太上老君の夢の中に入り込むことでコンタクトをとる。
夢の中で太公望は「太極図」を授けられ、「太極図」を使いこなす特訓を受ける。
特訓を終えた太公望が目を覚ますと、楊ゼンが周軍を率いて殷に攻め込んでいた。
迎え撃つは聞仲の腹心中の腹心、張奎(ちょうけい)だった。

太公望は封神台を用いて張奎を説得し、戦いを止めさせた。
殷の帝都への道は、牧野(ぼくや)の平原が広がるばかりだった。
その牧野の平原に、妲己の洗脳によって操られた殷の大軍が現れる。



56 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:55:47 ID:???
<第十九部 牧野の戦い>

太公望は数で劣る周軍でよく戦うも、妲己の洗脳が周軍の兵士にまで波及し始め、姫発が負傷してしまう。
そこに邑姜が援軍を率いて駆けつけ、太公望に喝を入れる。邑姜は滅亡したはずの太公望の一族の生き残りであった。
戦況を五分五分に持ち直した太公望だが、突然妲己が戦いを止める。妲己が紂王を呼び出した。
現れたのは、怪物と化した紂王であった。
紂王の思わぬ力に苦戦する太公望たち。それを尻目に申公豹は、妲己に「歴史の道標」の正体を問い質す。

「歴史の道標」――名を女禍という――は、強大な力を制御しきれずに滅亡した星の宇宙人であった。
女禍は部下たちを引き連れ、故郷に似た星である地球に移住した。
女禍は地球の生命体を滅亡させ、自分の故郷を地球に再現しようとするが、
部下たちはそれに反抗し、女禍の肉体を封じ込めると、地球の生命体と融合した。
力を薄めることで、滅亡を繰り返さないようにしたのだ。
やがて彼ら宇宙人の血を色濃く現す生命体が現れる。それらは仙道と呼ばれた。
女禍の部下たちこそ、仙道の「始祖」であった。

しかしそれらは破壊された。女禍は生きていたのだった。
かすかに残った生命から、再び歴史が生まれた。
女禍は魂だけで世界に降り立って歴史に干渉し、自分の思い通りの歴史を作ろうとした。
そして女禍に偶然出会ったのが――さらにそれが「歴史の道標」だと気づいたのが――金鰲島を飛び出した頃の妲己であった。
女禍は封じ込められた肉体を取り戻したかった。妲己は女禍の気を引き、強大な力と引き換えに女禍の協力者となった。
妲己が殷で横暴をはたらいていたのは、殷が滅亡するという女禍の歴史に従っていたためであった。



57 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:56:20 ID:???
<第十九部 牧野の戦い>(続き)

妲己の動きに気がついた元始天尊と通天教主は、「歴史の道標」が復活する前に妲己ごと抹殺する計画を立てた。「封神計画」である。
女禍や妲己に、真の計画の目的を知られてはならない。
元始天尊や通天教主は目立つため動けず、何も知らない者たちだけで計画は実行された。
計画は上手くいっているように見えた。しかし、仙人界を敵視する聞仲によって仙界大戦が勃発した。
仙界大戦では王天君が妲己の代理として崑崙山、金鰲島を手玉に取り、双方大ダメージの末に仙人界は墜落した。

太公望たちは全く紂王に歯が立たなかった。だが妲己は紂王を見捨てた。
正皇后、息子たち、黄飛虎、聞仲、その他の臣下。紂王を支えていた者たちは全て、死ぬか紂王を見捨てていた。
紂王は孤独に耐え切れず、力を失った。その紂王を何者かが殷の帝都へさらった。三番目の王天君だった。



58 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:56:50 ID:???
<第二十部 殷王朝滅亡>(※原文ママ。殷に関しては、帝国・王国の記述が混在している)

黄天化は殷の帝都に乗り込もうとする。趙公明との戦いで呪いを受けた黄天化は、もはや長くは生きられなかった。
黄天化は命尽きる前に、父親である黄飛虎の志――殷を倒して周を建てる――をこの手で成し遂げるべく、紂王を討ちに行った。
その道中に、立ちはだかる影があった。太公望であった。

太公望は、「封神計画」の遂行者であった。
計画を引き受けた理由は、仙道から人間界への干渉を止めるためであった。
ゆえに、あくまで周に殷を倒させなければならない。
殷の皇帝である紂王を、崑崙山の道士である黄天化が討ち取るわけにはいかなかった。戦いが始まる。
太公望は黄天化を追い詰めるが、三番目の王天君が現れ、黄天化を拉致する。黄天化と紂王を戦わせるためであった。
戦いは黄天化が勝利した。しかし、命を失って封神されたのも、黄天化であった。

姫発が殷の帝都に入城し、紂王の首を斬った。殷は滅亡した。周の時代が始まった。

周が建国されたことにより、太公望たち仙道は人間界から撤収することになった。
太公望たちは仙人界の残骸から崑崙山2を製作し、聞仲が金鰲島に残した情報を元に、妲己と女禍のいる蓬莱島へ向かう。
十天君が戦っている最中に、聞仲が金鰲島を移動させていたのは、仙人界を滅ぼした後に女禍を叩くためであったようだ。
そして太公望に、「封神計画」の真の目的が告げられた。
女禍が歴史の操作のため、魂だけで動き出す歴史の変わり目(=殷周易姓革命)に乗じて、女禍を倒すということだった。

崑崙山2が蓬莱島へ迫る。女禍を敵視する申公豹が蓬莱島のバリアを破壊し、太公望たちは蓬莱島へ乗り込む。



59 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:58:35 ID:???
<第二十一部 歴史の道標・上>

妲己は部下を差し向け、蓬莱島の地下で太公望たちと戦わせる。
女禍を倒すという聞仲の遺志を継いだ張奎、父親の武器を受け継いだ楊ゼンが立て続けに敵を蹴散らす。
続いて王貴人が太公望にリベンジを挑むも、ナタクの活躍によって敗北する。
順調に見えた太公望たちだが、妲己の妹(王貴人の姉)・胡喜媚が現れ、太公望の肉体を滅ぼし魂を吹っ飛ばす。
飛ばされた太公望の魂は封神台に向かわず、密かに三番目の王天君によって回収された。

三番目の王天君は太公望に、王天君たちが封神計画の陰の遂行者であったと話す。

太公望たちが趙公明と戦っている間、聞仲を幽閉して周を攻撃させなかった――
金鰲島のバリアを解除しようとした楊ゼンを見逃し、玉鼎真人の命と引き換えに身柄を崑崙に返した――
対崑崙戦の指揮を執っていたとき、十天君を分散させて、太公望たちに各個撃破させた――
聞仲と元始天尊が戦っていたとき、聞仲に黄飛虎をぶつけて、聞仲の目前で黄飛虎が死ぬように仕組んだ――
周建国のとき、紂王に勝った黄天化の死を仕組み、しかも紂王は姫発が来るまで生かしておいた――

全て王天君たちがやったことである。
王奕は魂を分割できる異能の持ち主だった。それを知った元始天尊は、魂を二つに割って、片方を人質として通天教主に引き渡した。
元始天尊は女禍と戦うための才能を貪欲に集めていた。彼は楊ゼンも王奕も手元に残すつもりだったのだ。
通天教主に引き渡された王奕は、妲己によって三つに分割された。彼らが一番目から三番目の王天君である。
そして崑崙山に残った王奕の魂は、元始天尊によってとある子供の死体に入れられた。後の太公望であった。



60 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 12:59:25 ID:???
<第二十二部 歴史の道標・下>

王天君と太公望。彼らは同一人物――王奕であった。妲己さえも知らないことであった。
王天君は太公望を捜し求めていた。王奕に戻るためであった。王天君は太公望に、融合を持ちかけた。
太公望は融合を渋るが、太公望の肉体は胡喜媚によって消されていた。融合を断れば、魂の行き場は封神台しかない。
太公望は覚悟を決めて、王天君と融合した。王奕が復活した。

一方、自ら戦わずして敗北を認めた妲己は、崑崙山一行を女禍の元に案内する。
一行は怪しむが、他に道が無いため妲己についていく。ついに女禍の魂が姿を現す。
女禍が歴史を操作する理由は、故郷の歴史を完璧に再現することで、滅亡しなかった場合の故郷の歴史の先を見ることだった。
女禍の口から「歴史の道標」の正体を聞いた一行は、女禍の魂に戦いを挑む。
一行はあっけなく異空間に閉じ込められるが、王奕によって助け出される。

王奕は女禍の魂と戦い始める。女禍の肉体を人質にして、蓬莱島の地上で待つ一行と力を合わせ、女禍の魂を一斉攻撃する策である。
王奕は苦戦を強いられるが、女禍の肉体を守っていた妲己が、女禍の肉体を蓬莱島の地上に転送し、策が完成する。



61 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 13:00:01 ID:???
<第二十三部 導なき道へ…>

申公豹や太上老君の活躍で、女禍の魂との地上戦は有利に進んでいた。
だが女禍の魂は肉体の損傷を恐れ、力をセーブして戦っていた。そのため、いくら戦っても女禍は余力を残したままであった。
膠着状態を動かしたのは妲己であった。妲己は王奕たちと女禍の魂が戦っている隙に、女禍の肉体を乗っ取っていた。
肉体を乗っ取った妲己は、王奕にのみ真の目的を語った。

妲己は仙人界と人間界を完全支配するという野望にとりつかれていた。
しかし女禍から「始祖」の話を聞かされたとき、妲己は自分の野望を卑小なものと感じた。
地球上の全てと融合し、その一部となること――「始祖」の為したことは、妲己を強く揺さぶった。
そのときから妲己は、「始祖」と同じように地球と融合するため、女禍に協力し、女禍の肉体を狙い続けていたのだ。

妲己の願いは叶った。王奕の目前で妲己は、女禍の肉体を使って、魂ごと地球と融合した。

妲己に裏切られ、肉体を乗っ取られた女禍は激怒した。
妲己のせいでバラバラになった肉体を回収し、地球を破壊しようとする。
王奕は皆から力を分けてもらって戦うが、女禍の力の前に防戦一方であった。
ここで元始天尊が封神台を解放する。今まで封神された者からも力を得た王奕は、逆に女禍を追い詰める。
女禍は王奕を道連れに消滅しようとする。そして、仙道たちの前から王奕の姿が消えた。

仙人界は変わった。封神台をベースにした神界が仙人界と人間界の狭間に立ち、仙道が人間界に干渉することも無くなった。
王奕は生きていた。「始祖」となった妲己に守られたようだった。王奕は何をするわけでもなく、あちこちをブラブラするだけであった。

こうして「歴史の道標」が無くなり、歴史は人間が動かすようになった。

(終劇)



63 :マロン名無しさん:2009/01/18(日) 14:50:15 ID:???
封神の人乙

>>43
逆恨みとか、もう一人憎んでる相手の太公望と似たような立場だったからとか、
殷に固執して引き際を見誤ってる姿にイラついたとか
色々考えられるけど自分を取引材料にした元始天尊に対する憎しみに比べると「憎む」と言うには弱いよな



64 :マロン名無しさん:2009/01/19(月) 07:52:30 ID:???
ワンダースワンのゲームをやると本編前の時点での王天君が出てくるので、
王天君の心理は少し明らかになるらしいぞ