かあるくハートにタッチして

Last-modified: 2010-10-16 (土) 21:45:20

かあるくハートにタッチして/高橋 千鶴

149 :かあるくハートにタッチして・1:2010/09/26(日) 05:25:39 ID:GloYuZ8n
ストーリー投下します。
「かあるくハートにタッチして」高橋千鶴『なかよし』昭和51年12月号掲載

主人公:祐一(中野高等学校1年生)、ヒロイン:真子(同)

<ストーリー>
祐一と真子は幼馴染。
「おれと真子が5つのとき。真子は近所のガキ大将!おれは泣き虫小虫の弱虫だった」
ある日、祐一の頭に柿が落っこちてくる。祐一は大泣きする。柿の木の上には真子が。
「泣くな!男のくせに!柿があたったくらい何だ!」真子に一喝されて泣き止む祐一。
「ほら、これあげるから泣き止むのよ」と、獲った柿の実をひとつ祐一にあげる真子。
その柿はしぶくて食べられる代物じゃなかった。
が、この日から、祐一は強くて優しい真子に片思い。
以来、いつも真子の後ろをついて歩くようになった。
他のワルガキにいじめられる祐一をいつも守ってくれる真子。
「いい?あたしが祐ちゃんのおねえちゃんになったげるわ。いじめるやつら全部とっちめてやる!」
本当は祐一の方が先に生まれていたのだが・・・。
そして小学校、中学校と過ぎ、二人は同じ中野高等学校の1年生に。



150 :かあるくハートにタッチして・2:2010/09/26(日) 05:26:16 ID:GloYuZ8n
ある日のクラス対抗サッカー大会。
祐一のクラス(1年1組)を応援する真子(2組)に、クラスメイトが怒っている。
「だって1組には可愛い弟分がいるんだもの」
カッコよくシュートを決めて戻ってきた祐一をほめる真子に、怪訝な顔をする友人達。
「なんで弟なの?恋人じゃないの?」
あら?弟は弟よ、とサラリと言い切る真子に、友達は「じゃあアタックしてもいいのね」
真子は「ご自由に。でもあんたは失格ね。可愛い弟だもの。もっと素敵な人でなきゃ」
友人たちが呆れるそのとき、祐一が「真子!帰ろう」と真子のクラスにやってきて、
真子のカバンをラブラブで持ってあげる。
その様子を見て、友人達は「彼の方が真子にお熱だもの」と呆れ顔。

帰り道、祐一を弟としてしか見ていない真子は、祐一に「どんな女の子が好みなの?
あたしがいい子探してあげるわ」と他のクラスの可愛い女の子を祐一に紹介しようと盛り上がる。
祐一は「自分の相手くらい自分で見つけるよ!」と憤慨して突っぱねる。
真子にまったく男として相手にされていない祐一は心でつぶやく。
「もう泣き虫のおれじゃないんだぜ・・・背だって力だって成績だって、おれは真子をぬいてるんだぜ。
わかってんのかい・・・?」



151 :かあるくハートにタッチして・3:2010/09/26(日) 05:26:46 ID:GloYuZ8n
その夜、祐一は母親からとんでもないニュースを聞いてしまう。
今度、祐一の父親がマイホームを買って、この家から引っ越すという話。
(引越したら・・・真子と会えなくなってしまうじゃないか・・・!)
反対反対!!!・・・と断固反対する祐一だった。

翌日、ションボリする祐一に「どうしたの?」と話しかける真子。
引越しの話をしようとするも、真子の友達に話しかけられてチャンスを逃す。
思い切って「おれ、真子が好きだよ」と言ってみるが
「あたしも好きよ。弟だもの」とまったく相手にされない。ため息をつく祐一。

その日、「授業料の値上げに対する意見の総まとめ」のクラス代表として
意見をレポートにまとめる役になってしまい、「いやな役・・・」とぼやく真子。
偶然にも、祐一も自分のクラスの代表になっていた。
それを聞いた真子は「祐一も?なら一緒にやらない?授業が終わったらすぐ行くわ。待ってて」と明るい様子。
祐一は、そのときに引越しの話or告白をしようと思う。



152 :かあるくハートにタッチして・4:2010/09/26(日) 05:27:22 ID:GloYuZ8n
放課後。制服のまま祐一の家に行く真子。
「こんばんは、おばさん^^」「あら真子ちゃん。いらっしゃい」
祐一の部屋はきれいに整理整頓されている。
真子「お~さむ。あらけっこうきれいに片付いてるのね」
「ああ、あわてて掃除したんだぜ」と答える祐一。
(祐一は私服に着替えて、タートルネックのセーターを着ている)

早速まとめレポートを始めるも、真子はすぐにウンザリ顔。
「いやになるなぁ、あの学校。お金ばかりとって・・・(頭ポリポリ)」
「ぼやくより、まずやんなよ」そう祐一に一喝されて、ますますふてくされる真子。
「あたしって文章力ないのよ。ねむ~~~」と、真子はレポートを放り出し、こたつで寝転んでしまう。
まじめにやれよ、と祐一に怒られるが、「だってここ、やたらと居心地いい部屋なんだもの」
アクビをしてとうとう居眠りをしてしまうのだった。
「こら寝るな!真子!」祐一が呼んでも起きる気配ゼロ。
その寝顔に、祐一は急にドキッとしてしまう。
そして、「おれのこと弟扱いするけれど、自分の方がよっぽど子供じみているじゃないか」
と、横になって眠る真子の前髪をなでながら、真子を可愛くて仕方なく思う祐一。
そのうち、つい「かわいい俺の真子・・・」と真子の唇にキスをしてしまうのだった。



153 :かあるくハートにタッチして・5:2010/09/26(日) 05:27:55 ID:GloYuZ8n
そのとたん、真子は目覚める。
祐一もハッとするが、時すでに遅し。
「祐一のバカ!」と叫んで、真子は家を飛び出していく。
その様子を見た祐一の母親は、何があったのかと真子を心配する。
(寝顔が可愛くて・・どうしよう。どうやってあやまろう)祐一も動揺する。
こたつの上には、真子のクラスのレポートが置かれたまま・・・。

真子は家までの道のりを走りながら、ショックを感じていた。
「祐一があんな気持ちでいたなんて・・・。
昔から可愛いちっちゃな弟だと思っていたのに・・・。あんなことするなんて・・・!」

翌朝。真子が登校すると、クラスの友達が「届け物があるわよ」と話しかけてきた。
「祐一くんから。ケンカでもしたの?すごくよそよそしいの」と言われ、なんでもないわよ、とごまかす真子。
届け物とは、昨日仕上げるはずだったレポート。
「昨日の忘れ物だ!祐一ったら、ちゃんとやっといてくれたのね」
でもこんなことで昨日のキスを許すことが出来ない真子は、廊下で祐一とすれ違っても、
ツーン!と無視することのだった。



154 :かあるくハートにタッチして・6:2010/09/26(日) 05:28:29 ID:GloYuZ8n
その日、先日のサッカーの試合の決勝戦が行なわれ、祐一のクラスも出場し、大活躍。
何も知らない真子の友達は「真子、見ないの?祐一くん大活躍よ」と笑顔で聞いてくる。
ふと教室の窓から校庭を見ると、そこにはまぶしい祐一の姿が見えた。
その姿に、真子は気づく。
(弟はいつまでたっても弟だと思ってたのに・・・もう違うんだ。
祐一はもう弟なんかじゃない。一人の男の子なんだ!)
サッカーの決勝戦の結果、祐一のクラスが優勝する。

その後、校内スピーカーから、例の「授業料値上げ問題」のクラス代表は
HRの時間に第2放送室に集まるように、というアナウンスが流れる。
真子が第2放送室に行くと、すでに祐一がいて、目が合うが、視線をそらす真子。気まずい二人。
やがて放送室内で、議長役の生徒によって各クラスのレポート発表が始まった。
真子は祐一のほうをふと見て「あんなことして・・・ふてぶてしいのね」と思う。
その直後、議長が真子のクラスのレポートを読み始める。



155 :かあるくハートにタッチして・7:2010/09/26(日) 05:29:02 ID:GloYuZ8n
読み始められたレポート。議長の第一声。
「真子、昨日はごめん。ん?寝顔が可愛くてつい・・・んんん?キスゥ?!」
びっくりする真子と祐一。「きゃあっ!!」
「ま、間違いですそれは!」「わぁ!」
「そ、それじゃない!それは重要書類・・・ぎゃっ!かみつくな!!」
この様子がすべて校内スピーカーで全教室に流れている。
「何これ?」とポカーン状態の生徒達。不思議顔の校長&教師。
値上げ問題がうやむやになりそうだ、と嬉し顔の学校経営者。

「なんでこんなのに書いたのよ!」と真っ赤になって詰め寄る真子。
「言いづらかったからだよ。おまえが好きなんだ。真子!」祐一の思わぬ告白に、絶句する真子。
そこへ議長たちがボロボロになった制服姿で「ムード出すのはいいけど、他でやってくれない?」と呆れ顔。
「オマケにいままでの全部、校内放送されちゃったよ」
「ええっ?!」
各学年の教室全部&職員室&校長室に今までのやりとりが流されたことを知った真子は、恥ずかしくて怒り出す。
「ばかばか!もういや!!」祐一を置いて、その場から走って逃げ去ってしまう。



156 :かあるくハートにタッチして・8:2010/09/26(日) 05:29:34 ID:GloYuZ8n
真子が逃げ出し、放送は何事もなかったかのように改めてレポート発表が再開。
生徒たちは「今のはもう終わり?面白かったのに」「1年生でしょ。キスだって!やる~!」
「どうどうの恋の告白!おれもやってみようかな」と、真子たちの行動に興味津々。

教室に戻り、泣きじゃくっている真子。
「もう不良のレッテルを貼られたも同じよ!お嫁にいけない!」
「おおげさねぇ」友人達はあきれながら励ます。
「何よキスくらい」「お嫁にゃ祐一くんのとこへ行けばいい」
真子は反発するが、友人達は「また意地張る!」「そんなに祐一くんが嫌い?」というばかり。
勿論、嫌いなはずがない。それなら、と仲直りをすすめる友人達。
しばらくして真子が教室を出ようとすると、ちょうど祐一が謝りにやってくる。
「目を通さなかったあたしも悪いんだし」とそっぽを向いてしまう真子に、祐一は引越しのことを告げる。
「あせったんだと思う。引っ越したらもう真子に会えなくなっちゃうかもしれないもん・・・」
そんな二人を見つけた他の学年の生徒達。
「あれ例の二人だよ」「かわいいわね」「仲良くやんなよ」などと声援が飛び、祐一はまた真子に謝る。
真子は・・・?



157 :かあるくハートにタッチして・終:2010/09/26(日) 05:30:18 ID:GloYuZ8n
真子の言葉は・・・「これだけ広まったらもう他にボーイフレンドができるとは思ってませんよ。
あんたが責任とるのよ。引っ越してもあたしの恋人を務めること」
驚く祐一に「弟から恋人に昇格よ」と、意地を張りつつも真子は言うのだった。
大喜びして、思わず真子に抱きつく祐一。
そこをまた他の生徒達に驚かれて、大胆な祐一をたしなめる真子。

帰り道「引っ越しても手紙ちょうだいね。休みには遊びに行くわ」と明るく言う真子に、
あまり遠くないといいんだけど・・・と祐一は心配がやまない。
祐一の家に着くと、祐一の母が笑いながらこんなことを言って来た。
「まぁ(笑)。すごく近いのよ。ここから3つ目の駅に越すのよ」
なんと、真子の家から20分くらいのところだという。もちろん学校を転校することもない。
唖然とする真子と祐一。
「だましたわね!!」思わず憤慨する真子。「誤解だよ!おれも知らなかったんだ!」逃げる祐一。
でもよかった。真子から遠くならずに・・・^^。追いかけられながらも喜ぶ祐一だった。

これがおれの初恋。みんなも好きな人のハートにタッチしてみたら?
何もしないよりいい結果が得られるはず・・・・

終わり