原獣文書

Last-modified: 2008-11-12 (水) 11:24:37

原獣文書/なるしま ゆり

357 名前:原獣文書 1 投稿日:04/10/10 15:57:52 ID:???
大量の隕石落下による地形の変動、奇病の流行などにより、人口が激減した未来の地球。
そんな中発見された新大陸と、その大陸の謎にまつわる人々の物語。

新大陸調査隊の警備班長・村上静馬(25歳♂)は調査隊No.2のVIPで天才天然ボケ学者の
レイ・ジーン・セイバーヘーゲン博士(28歳♂、以下RJ)のお守りに手を焼いていた。
ある晩、RJは大陸人の3つ子の兄弟アルビレオ達から石を渡される。
それを見つけた村上は、未検査の物を基地内に持ち込むなと取り上げようとするが、石は2人の間で割れてしまった。
以来、RJは村上の側にいると怪力に、村上はRJの側では体に変調をきたすように。
実はその石、『運命の石』と呼ばれる物で、両性具有の大陸人が性別を定めるという代物。
母性本能に乏しく、行動が不自由になる事を嫌う大陸人は、その石で無理やり子供を産む役割を決める。
石に定められた2人は互いの匂いに反応し、それは『女』が『男』の子供を産むまで続くというのだ。
それを知った村上は激怒。
しかし色々考えた末、単に力が抜けるだけで別に死ぬような害があるわけでもない、と適当に納得。
以後、酸素マスクを常時携帯し、当面の危機を回避することにした。

新しく派遣された友能まきを看護婦(24歳♀、村上とは学生時代の同期)も交えて、
基地ではそれなりに平穏な日々が過ぎるが、ある日大陸人達が来襲。
その頃の新大陸には、服従か死かと迫り、各地の集落を荒らしまわる魔神ゼーンがいた。
彼らは、RJがゼーンと同じ顔をしているというので、その正体を探りに来たのだ。
RJは基地の外に出て彼らと話し合いをするが、そのやり取りの中で大陸人たちはRJが
『巫子』の能力を持っている事を知る。
またRJも自分は生粋の旧人(=新人類と呼ばれる大陸人に対して現生人類のこと)だと思い込んでいたが、
もしかすると母親が大陸人の可能性もあるかもしれないと考える。



358 名前:原獣文書 2 投稿日:04/10/10 15:58:30 ID:???
そのとき、今度はゼーンが襲撃を仕掛けてくる。
大陸人の1人が重傷を負い、RJ達は基地内に逃げ込むことに。
基地のほうでもゼーンが連れてきた巨大な虫達により大混乱。
ゼーン自身の手によっても多数の死傷者が出、RJは憤る。
RJとゼーンは行き詰まりになった手術室前で対峙する。
RJを『3人目』と呼ぶゼーンとの話し合いの中で、RJは『原獣文書』とは何かと問う。
ゼーンは答える。
「全ての者に不老不死を与える科学だ」

そこに何とか村上到着。
村上はRJを誘導して別室に逃げ込みゼーンを孤立させる事に成功。
さらにRJがゼーンの持っていた虫の卵をつかいゼーンを撃退する事に成功。
しかし基地は壊滅状態。調査隊は撤退を余儀なくされた。

そこへやってきたのは海賊の頭領チェリー・ジャック(仮名♂)。
調査隊に自分たちの発見した航路を買わないかと言ってきたのだ。
商談は成立。
大陸から離れる前にRJは村上に自分の過去を語る。
父ハインツと2人きりで暮らしていたRJは就学年齢に達しても学校へ行く事はなかった。
しかし、幼いRJは賞品の天体望遠鏡を目当てにコンクールに作文を出したことにより、
学校に行っていないことがばれてしまう。
小学校へ通うことになったRJだが、結局学校に馴染めず1年ほどで放校になる。
しかしRJはその頭脳に目をつけられ大学へと誘われた。
父は特に反対もせず、RJは家を離れて大学に通うことに。
だが、いざ出発となったところで父はRJの乗った車を泣きながら追ってきた。
RJはそのまま大学に入学し、そのしばらく後、RJに会おうと病院を脱走した父は謎の焼死を遂げた。
自分はあの時戻るべきだった。しかし学び舎の手をとった。本が読みたかったからという理由で。
そして、あの時村上がいなければ、あれほど怒りを感じたゼーンにすら、自分はついて行ったかもしれない。
RJは自分の中の知識欲の強さを語り、村上に告げる。
「あなたが好きです」



359 名前:原獣文書 3 投稿日:04/10/10 16:00:47 ID:???
新大陸から帰還した調査隊員たちは、それぞれ元の職場に戻っていった。
調査隊派遣の立案者であるRJは一躍ヒーローとなり、各地に散った元隊員達には遠い人になっていた。
そんな中、勤めていた病院を辞めた友能まきをは、海賊チェリー・ジャックの部下に出会う。
彼女はRJに渡したいものがあると言うのだ。

一方、新大陸にて。
RJを慕うアルビレオは巫子となることに決定したが、それを拒み『死者』の烙印を押され追放となった。
掟や『運命の石』に自分たちの運命を定められる事に納得がいかないアルビレオは、
それに関わる何かを知っているらしいゼーンを追った。
ゼーンと相対したアルビレオは、自分たちは何故このような体で生まれてくるのかと問う。
そのアルビレオにゼーンは賭けを持ちかける。これに勝てば答えと原獣文書の秘密を教える、と。
賭けは、運命の石を2人で持ち、『女』になったほうが負け。
また、石が割れなかった場合もゼーンの負けというもの。
儀式の前に清めのためと言って、アルビレオに手を洗わせるゼーン。
そして2人は石を手にする。
運命の石は割れた。

学都パナケイアでは次回の新大陸調査隊の計画が持ち上がった。
しかし、RJはこれに参加しない事を表明。
RJは研究していくうちに『運命の石』が人工物である事、そして、
それは持った人間の掌の表面温度によって作用する事に気づく。
また、まきをはチェリーの繋ぎでRJに会う。
まきをは新大陸でRJと同じ顔をした人物に会ったと言うのだ。
彼はRJをもう1人の分身と呼び、死なない女王『モールドレ』の3人の子の1人、ノアヴィースと名乗った。
ノアヴィースは父ハインツを殺したのは自分だと言い、RJへの「世界の中心に来るがいい」という伝言と箱をまきをに預けた。
RJが箱を開けると、中には地図と黒い箱のような謎の物体が入っていた。

まきをとチェリーはそのままRJの自宅へ滞在するが、ある晩、RJの身柄を確保しようとする侵入者が。
パナケイアに理解者も敵も多いRJはこの事態を予測しており、隠し通路を通って外へ出る。
そこにRJの秘書に拉致された形で村上も登場。
村上はRJ個人に雇われ、新大陸へ同行することになった。



360 名前:原獣文書 4 投稿日:04/10/10 16:03:10 ID:???
RJ、村上、まきをの3人はチェリー達の船で新大陸を目指す。
久々に村上と過ごすRJは、村上から『運命の石』の効力が消えている事を確認する。
RJは自分には石の効力が続いている事から、『運命の石』は大陸人に作用する物と推測し、
大陸人と旧人の種の違いはどれほどのものかと考える。
航海は順調に進んでいくが、ある時ノアヴィースの使っていたものと同じタイプの恐竜型の人工物を発見。
それと同時に巨大イカに襲撃されるが、これを撃退することに成功。
RJ、村上、まきを、チェリーの4人は、ひとまず恐竜を調べてみる事にする。
ボートで恐竜の元にたどり着いた4人は、恐竜のハッチが開いており、
中には海水でも真水でもない液体が満たされているのを確認する。
RJは村上の補助で中へ潜り調べようとするが、あったのはパネルらしきものだけだった。
そのとき、今度は巨大鯨が登場。
荒れ狂う海の中に投げ出されないために、とっさにハッチから恐竜の中に飛び込む4人。
深く中へと潜っていくRJは、自分がこの水の中で息ができる事、また水が言葉を伝えてきている事に気づく。
RJはパネルで恐竜を操作し、鯨の暴走を止める。
その後も中へ潜って調べ続けるRJは、「大陸人は本当の意味では繁殖していない。
大陸人は1つの原型のコピーであり、1人1人の個性はコピーのかすれに過ぎない」というメッセージを聞く。
さらに、「原住文書は永遠輪廻のためのプログラム」とも。
その言葉と同時にRJが見たものは、ウロボロスの向こうに立つ3人の男女のヴィジョンだった。
RJはパナケイアで研究した結果―――大陸人の子供は3人1組で生まれてくるが、
その遺伝子情報は全く同じ物であり、厳密に兄弟とは言いがたいという事を思い出す。

RJ達は恐竜と鯨を利用して新大陸へ上陸することを考える。
RJが恐竜を操作して鯨を新大陸へ向かわせ、着いたところで鯨のひれを伝って村上の車で上陸しようという、
いささか無謀な計画だった。
これに参加するのは、先程と同じくRJ、村上、まきを、チェリーの4人。
4人はチェリーの海賊仲間と別れて、新大陸を目指す。



361 名前:原獣文書 5 投稿日:04/10/10 16:04:58 ID:???
一方、女性体になったアルビレオは、ゼーンが何らかの手段で自分を騙した事にすぐに気づいた。
アルビレオは、ゼーンが男性体になり、より強力な力を得るための生贄だった。
アルビレオは自分をそんな目にあわせて殺戮を繰り返すゼーンを憎むが、彼と行動を共にするうちに、
ゼーンが1人で何かを守ろうとしている事にも気づいていた。

RJ達は、無事新大陸に上陸。
自分達の目指す『世界の中央』は地図を見ると、大陸から離れた島だと考えられる。
だが、ノアヴィースの「新大陸の神殿から中央へと続く道がある」という言葉もあり、
大陸人に神殿の位置を聞こうとRJは考えた。
車で走り続けて間もなく、一行はごく小柄な大陸人の人影と集落跡を発見する。
RJ達は食物を介して、その大陸人たちに接触する事に成功。
RJは彼らに自分の名を名乗るが、大陸人はその名はルノーの復活を待って使われる名だと言った。
彼らは背格好は子供のようであったが、年齢的には成人に達しているらしい。
20年程前から石が効かず、女ができないのだと彼らは語る。
彼らは自分たちが現在住んでいる村へと、RJ達を案内した。
彼らは巨大な虫を住居としていた。
村人の約半数が外に出ることができず、この虫の中でしか生きられないという言葉を聞いて、
RJはこれが自然な無菌室のようなものだという事を察する。
RJは村上達に仮説を語る。
大陸人はどのような婚姻を結んでも、最初に決められた数種類の人間しか生まれてこない。
彼らは一見繁殖しているように見えるが、何世代かおきに遺伝情報的に完全に同じ人間が生まれてくるように
プログラムされているのだ。
大陸人が3人1組で生まれてくるのは、過酷な状況で遺伝子を途切れさせないためのスペアであり、
これはある意味で不老不死のプログラムと言える。
しかし、このプログラムは完全なものではない。



362 名前:原獣文書 6 投稿日:04/10/10 16:06:33 ID:???
RJの話を聞いていた村の長老は、その言葉をついで語る。
遺伝情報は輪廻を重ねるうちに歪み、これ以上のコピーを作る事ができなくなった、と。
RJは長老に、自分が白衣を着た3人の人物の映像を見たことを伝え、その中の1人、
自分と同じ顔をした男性がルノーかと確認する。
それに対して、このプログラムを作ったのは、ルノー、レイ、ジーンという3人の学者だと長老は答えた。
長老はRJに「モールドレに会いなさい」と言い、中央へと通じる場所を教える。
RJ達はその言葉に従い、村を去って行った。
一行を見送った後、長老は語る。
RJの体はルノーの器であり、RJの人格はルノー復活までの繋ぎに過ぎない。
中央でモールドレと会えば、仮の人格であるRJは消えてしまうだろう。

一方、アルビレオもゼーンから大陸人に関する話を聞いていた。
新しい遺伝情報を作り出すことができず、緩慢に滅びゆく大陸人がこのメビウスの輪から抜け出すには、
旧人との混血が必要だったとゼーンは語る。
元々大陸人は旧人の存在なしには存続できないように作られていたのだ。
創造者ルノーは当時の人類が生き延びる事のみを考え、被造物を愛さなかった。
ルノーは人類が滅びるような事があれば、彼らも滅びるべきだと考えていた。
当時の文献の中に『大陸人』という呼称は存在しない。
ルノー達は、自分達の手で作り上げたものを『ホムンクルス』と呼んだ。



363 名前:原獣文書 7 投稿日:04/10/10 16:07:50 ID:???
ゼーンはなおも殺戮を繰り返す。
それをそばで見続けるアルビレオは、ゼーンが皆を何処かへ連れて行こうとしているだけだということに気づく。
だが、少なくとも行動を共にするようになってから、それは一度も成功していない。
笑いながらも時折弱音をこぼすゼーンに、「おまえ1人が背負い込まなければならないなら、人類など滅びればいい」とアルビレオは言う。
ゼーンを憎んでいたはずのアルビレオは、矛盾する自分の感情を持て余していた。
そんなとき、水をくみに行ったアルビレオは北の部族に襲われる。
喉元に刃をあてられたアルビレオに、ゼーンは一瞬ためらいを見せる。
アルビレオは、そんなはずはないと考えつつも、自ら刃に首を突き出した。
死に瀕したアルビレオをゼーンは巫子の神殿に運ぶ。
そこから中央の島へと送り、治療させようとしたのだ。
その際、ノアヴィースにアクセスしたゼーンは、彼からRJが中央へ向かっていることを伝えられる。

RJ達は長老から聞いた場所にたどり着いた。
そこには乗り物と思われるカプセルがあった。
最終中継地点と書かれたその場所で、RJ達は同じカプセルで移動する小さな人影を見る。
RJ達もカプセルに乗り移動する事にした。
到着したのは中央の島の最初の駅と思われる場所。
そこでRJは路線図のようなものを見つけ、先程見かけた人物が2キロほど離れた場所にいることを確認する。
RJ達は徒歩でその場所へ向かうが、着いた先にいたのは女性化したアルビレオだった。
RJは一瞬頭痛に襲われた後、これは医療設備の一部だと言った。
先程までは何も知らない様子だったRJが、突然そう言い出したことに不審を覚えるチェリー。
チェリーはRJに、「誰の記憶を思い出しているんだ」と問い詰めようとする。
様子がおかしくなったRJは「僕は一体何がしたかったんだろう」と呟く。



364 名前:原獣文書 8 投稿日:04/10/10 16:09:01 ID:???
そこへゼーン登場。
ゼーンもまたRJ―――RJの意識ととってかわったルノーに向かって「おまえは2つの人類をどうしたかったんだ」と問い詰める。
そんな中、RJは意識の内でルノーの記憶を見る。
ルノーは他の2人、『レイ』『仁』という2人の人物を射殺した。
理由は彼らが、人類の反逆者だからというもの。
2人は自分たちの作り出したモールドレに『鍵』の在り処を教えたらしい。
RJは意識を取り戻す。
ゼーンや村上達も、RJが元に戻った事に気がつく。
RJはゼーンに、原獣文書は不老不死の化学だと言ったが、それは完全なものではなかったのだろうと問う。
また、原獣文書は大陸の者にとっては有効なのだろうと確かめる。
ルノーは自分たちの作り出した新生物を不老不死にする鍵を見つける事には成功した。
しかし自分たちに合う鍵はどうしても見つけ出す事ができなかった。
それが様々な悲劇を生み出したのではないかとRJは語った。

学都パナケイアにて。
新大陸を人類が作り出したのではないかという推測が外部に漏れ、パナケイアでは記者が連日のように押しかけ、
デモ隊が発生するなどの騒ぎになっていた。
パナケイア側では歴史を洗いなおしていたが、そこである記録が見つけ出された。
当時、P=NOAH(プロジェクト・ノア)と呼ばれていたその計画の進行如何によっては、
新大陸の生物たちは人類が創造したものという可能性が出てくる。
NOAH計画に関わっていた3人の科学者の名前は判明した。
その中の2人には子孫に関する記録がなかったが、女性スタッフ久世玲衣には娘がいたことが判明。
この子孫をたどっていくと、ラルフ・ハインツ・セイバーヘーゲン、そしてその息子レイ・ジーンに行き着くのだ。



365 名前:原獣文書 9 投稿日:04/10/10 16:11:35 ID:???
原獣文書やルノーについて語った直後、RJは発熱して倒れた。
警護として側につく村上に、チェリーは撤退を主張する。
この大陸が「暗黒大陸」とすら呼ばれたのは、化け物の存在や危険な航路の為ではなく、
歴史に埋もれさせてきた人類の罪のせいなのではないか、とチェリーは語る。
「決めるのは博士だ」と村上は言うが、チェリーは一刻も早くRJを新大陸から引き離したほうがいいと
いう主張を曲げなかった。

一方、治療が終わり、意識を取り戻したアルビレオは地下をさ迷い続けてきた。
最初は気づかなかったが、アルビレオが歩いている通路には大勢の人間が埋め込まれていた。
その事に驚愕したアルビレオは、更にその中に自分と同じ顔の人物を見つけ恐慌状態に陥る。
同じパターンの人間が繰り返し生まれ続けているという話を思い出すアルビレオ。
そのアルビレオに見えない場所から声をかけてくる者がいた。
女王モールドレだ。

眠り続けるRJは、またもルノーの記憶を夢に見る。
学生時代、ルノーはレイと仁の2人に出会う。
2人はルノーの生殖細胞をタダで分けてもらうため、友達になりたいといってきたのだ。
臆面もなくそんな事を言ってくる2人に少々あきれたルノーだが、やがて彼らは実際に友人になっていく。
レイと仁は従姉弟同士の恋人であったが、本当は実の姉弟だった。
事故で親戚知人を一度に無くした彼らは、その際多額の裏金を使い書類を操作していたのだ。
ルノーの精子を求めてきたのも、仁に子供を作る能力がないためではなく、
万が一でも子供に罪の存在があらわれるのを恐れたためだ。



366 名前:原獣文書 10 投稿日:04/10/10 16:12:34 ID:???
目を覚ましたRJは、ゼーンと話をすべきだと思い、村上達と一緒に彼に会いに向かう。
しかし、そこで彼らが見たものは、ナース服姿のゼーンと医者スタイルのまきをだった。
「人が真面目な話をしようとしてるのに」とブチ切れるRJ。動揺するチェリー。
村上は主犯格はまきをのほうだと見抜いて、1人達観している。

同じ頃、アルビレオはモールドレの声に導かれて地上へ出た。
近くにいるアルビレオに気づき、すぐに行くからそこにいろ、と声をかけるゼーン。
アルビレオは、自分でもわけがわからないままゼーンの声に安堵する。
ゼーンはアルビレオのもとへ行き、RJもまた、話の途中で抜け出したゼーンを追って外に出る。
ようやく再会できたRJに抱きつくアルビレオ。
しかしゼーンはそれが面白くない。
RJに向かって「オレのヨメにさわっちゃダメ」というゼーン。
アルビレオに向かっても「おまえもオレのレイジーンにさわっちゃダメ」。
その「嫁」という言葉に気づいたRJは「そのふざけた格好をどうにかしなさい」と言い放ち、怒りを見せる。
RJの怒りに気づいたアルビレオは間に立ってなだめようとするが、RJが子供に運命の石を使った事に怒ったと知って、所詮RJは自分を子供としか見ていないとショックを受ける。
一方のゼーンも「ふざけた格好じゃない」と怒り出す。
まきをが看護婦という誰かを助ける仕事にしていたので、これを着せてくれたんだとゼーンは言う。
(実際この2人、コスプレ劇の前には真面目な話をしていた)
怒ったゼーンは『レッドタタマンゴ君』とやらを呼び出す。
「少しは話し合いで解決をしようと考えろー!!」と、またもブチ切れるRJ。
しかしゼーンが呼び出したのは腹菌類と思われる植物の形をした生物だった。
タタマンゴは胞子をあたりに撒き散らした。



367 名前:原獣文書 11 投稿日:04/10/10 16:13:49 ID:???
村上は昔の夢を見た。
事故で母を亡くした事や、テニスをやっていた学生時代の出来事の夢。
まきをによって起こされた村上だが、目が覚めてみると、それぞれに異様なRJたち3人の姿が。
ゼーンの説明によると、このレッドタタマンゴ、人の脳から過去の記憶を吸い出し、それを見せる代物らしい。
また巫子の素質を持つ者同士は、互いの記憶をも見ることができるのだ。
RJ、ゼーン、アルビレオの3人の様子がおかしかったのは、その副作用のため。
RJはゼーンの子供時代のたわいない思い出のようなものを見たらしい。
ゼーンは、自分がそんなに悪いやつでもないという事を証明するため、これを使ったのだ。
副作用が収まったRJはゼーンに、大陸の人々を冷凍保存してどうするつもりだと話し掛ける。
RJはゼーンが1人で大陸人の繁殖連鎖を止めようとしていることに気づいていた。
それは限定された遺伝情報がこれ以上傷まないようにするためだが、
同時に現在生きている大陸人たちの生活や人生の否定にもなる。
ゼーンはその問いに、皆を人工的に旧人と掛け合わせるつもりだと答えた。
また、RJはゼーンの記憶の中でモールドレが女性だったことにも気づき、それは何故かとも問う。
大陸人は石によって性別が定められている期間以外は中性のはずだ。
だが、自分たちを生んだ後もモールドレは女性体のまま。
ゼーンのほうも、昔から見慣れていたせいで今まで疑問に思ったことがなかったらしい。
ともかくゼーンはRJ達に「特別標本箱」を見せてやるといって案内する。
ゲートにパスを入力し通過する一行。
コンピュータはゲートインした6人の登録ナンバーと名前を確認していく。
ゼーン、RJ、村上、まきを、アルビレオ、チェリー……。
そして、その場にいないはずの7人目、「ナンバーレス モールドレ」の名が読み上げられる―――。


以上既刊7巻まで。