【ドラゴンクエストへの道】

Last-modified: 2020-06-15 (月) 20:04:21

概要

1990年2月に刊行された漫画。
後に【ドラゴンクエスト】を生み出した人物の出会いから、【エニックス】内での企画の始動、【チュンソフト】内での開発・ソフトの完成までを描いたドキュメント作品である。
 
なので当然当事者の面々が監修……と思いきや、どういうわけかかの石ノ森章太郎が監修している。というわけで漫画も石森プロが手掛けており、同社所属の漫画家・滝沢ひろゆきが担当した。
石ノ森や石森プロは漫画界有数の大物だが、だからといって彼らがドラクエと関係あるかと言われれば……
いったい何があったのだろうか?
 
【アイテム物語】【知られざる伝説】などストーリー補完型の書籍を続々と発行している中、ストーリーに関係ない制作陣のドキュメントを描いた漫画を発行するというのは非常にチャレンジ精神に溢れた出来事。
また章立て構成を取り、当時発売されたばかりのDQ4の「導かれし者」的な雰囲気を醸し出していたこともあり子供の読者にとっても概ね好評だったようだ。
 
1991年9月にガンガンコミックスとして再販されたが、かなり内容が変化しており章立て構成ではなくなった。
主に【堀井雄二】の手掛けた他作品の話や、【週刊少年ジャンプ】にまつわる話を中心に40ページ以上が削られ、ジャンプ編集者である【鳥嶋和彦】のほか、自社のガンガン編集者の【保坂嘉弘】もなかったことにされた。
彼らには不本意だろうが、より濃密なドラクエピソードだけに絞られた形といえるか。
 
なおノンフィクション的扱いを受けたり資料的価値が高いと言われる事も多い本作だが、実際のところは多くの脚色がなされており、そのまま事実として語るのは避けた方が良い。
例えば作中では「エニックス社が」堀井たちをアメリカに「派遣した」ということになっているが、事実なのは真ん中の「堀井がアメリカに行っていた」点だけ。エニックス社が派遣したのではなく、少年ジャンプ=集英社の仕事の関係だったのだ。本人からすれば苦笑を禁じ得まい。
 
事情通や真相を知るマニアなら片腹痛い内容だが、謂わば大河ドラマのような「事実を題材にしたフィクション」と捉えるのが正解。実際がどうだったのかは各自で検索した方がよいだろう。