【ドラゴンクエスト】

Last-modified: 2024-02-27 (火) 08:19:34

・DQ本編シリーズ

DQ1DQ2DQ3DQ4DQ5DQ6DQ7DQ8DQ9DQ10DQ11

DQ1・2DQ1・2・3BSDQ1DQ10オフライン

DQ1関連一覧
キャラクター - 地名 - 呪文 - 装備品(武器/よろい/たて/装飾品) - 道具 - モンスター - 音楽 - 台詞 - 裏技

作品データ

『ドラゴンクエスト』
オリジナル版
発売日1986/5/27
対応環境ファミリーコンピュータ
媒体ROMカセット(512kbit)
型番EFC-DQ
価格(当時)5,500円
移植・リメイク
対応環境発売日
MSX21986/11/21
MSX1986/12/18
スーパーファミコン1993/12/18
ゲームボーイ1999/9/23
携帯電話DoCoMo 2004/3/1
au 2004/8/19
SoftBank 2006/7/3
Wii2011/9/15
iOS,Android2013/11/28
PlayStation 42017/8/10
ニンテンドー3DS
Nintendo Switch2019/9/27
海外版
対応環境発売日
Nintendo
Entertainment
System
北米 1989/7/15
ゲームボーイ北米 2000/9/27
iOS,Android2014/9/11
Nintendo Switch2019/9/27

※SFC版は【ドラゴンクエストI・II】、GB版は『ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II』としてそれぞれDQ2とのカップリングで発売
※Wii版は【ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III】としてオリジナル版とSFC版を収録
※オリジナル版は『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ 週刊少年ジャンプ50周年記念バージョン』にも収録
 
海外版タイトル
<NES・GB版>
(英語)DRAGON WARRIOR
<スマホ・Switch版>
(英語)DRAGON QUEST
 
(NES版の発売日は【ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書】より)

公式サイト

概要

【ドラゴンクエストシリーズ】第1作。対応機種はファミリーコンピュータ。開発は【チュンソフト】
1986年(昭和61年)2月に発表され、同1986年(昭和61年)5月27日に発売された。
言わずもがなドラクエの全ての始まり。
 
当時パソコンで流行していたRPGをFCユーザにも広めるべく、【堀井雄二】が海外産PCゲーム『ウルティマ』や『ウィザードリィ』などをヒントに作成。
ROM容量は512キロビット。キロバイトに直すと64KBで、これは2000年代半ば頃の携帯電話(ガラケー)の待受画面1枚分と同等。発売当時はこんな低容量でRPGを作ることは不可能と言われていたが、堀井雄二は容量削減のための工夫を凝らしてシナリオを書き上げた。
FCのコントローラでも容易に操作できるコマンド選択式のインタフェースを採用し、同時にマルチウィンドウ方式でのメニューやメッセージ表示、対話方式の戦闘システムも取り入れた。
主人公の名前を自由に付けられることや、100人以上の登場人物による多彩な台詞を楽しめることも、従来のFCソフトにないアピールポイントとなっていた。
そのほか、RPGをわかりやすく理解させるためのゲームデザインが多数盛り込まれており、ゲームシステムも至ってシンプル。パーティの概念は無くアクションゲームなどと同様に1人のキャラクターだけを動かし、戦闘も1対1。
後のJRPGに多く見られるような会話が自動で進むイベントシーンはほとんど無く、主人公を成長させて必要なアイテムを数点入手するのみでラスボスにたどり着けるようになる。
複数回に跨ってプレイすることを想定して、電源を切っても続きからできるように、終了時の状態を暗号として記録するパスワードコンティニュー方式が採用された。
 
MSX2/MSXパソコン向けにも移植されたほか、【DRAGON WARRIOR】のタイトルにて北米圏への展開も行われた。
後にスーパーファミコンをはじめ様々なゲーム機・端末向けにリメイクや移植が行われている。
 
発売から32年を迎えた2018年には、本作の発売日である「5月27日」が日本記念日協会から「ドラゴンクエストの日」と認定された。

開発

1980年代初期、【週刊少年ジャンプ】でパソコンゲームを扱うコーナーのライターを務めていた堀井雄二は、自身が取材し作品も応募した「エニックス ホビープログラムコンテスト」にて【中村光一】らとともに入賞。その後訪れたアメリカApple社のショウでコンピュータRPGを知る。
帰国後、堀井は早速Apple IIの互換パソコンで『ウィザードリィ』などのRPGにハマり、当時開発していたアドベンチャーゲーム『軽井沢誘拐案内』内にRPG的要素を持つイベントを導入。広義には、これが堀井の制作したRPG第一号と言える。
そしてRPGを日本国内でもヒットさせるべく、ファミコンのブーム到来のタイミングで、中村とのタッグでRPGをFCに送り出そうとする。
RPGを作ろうと思ったキッカケについては『ドラゴンクエスト パーフェクトコレクション1993』のインタビュー記事において、
「アドベンチャーゲームは紙芝居的で、それよりもトップビューのRPGスタイルの方が世界観や状況が分かりやすく、話も書きやすいと思って始めた」
と回答している。
 
しかし当時のFCソフトはアクションゲームやシューティングゲームが全盛であり、RPG自体がマニア以外にはほとんど知られていなかった。
そのため、文字や数値による情報の多いRPGをいきなり出すのではなく、まずは「画面の文字を読んで判断する」という行為に慣れてもらうため、いわば布石としてアドベンチャーゲームを出すことになり、推理ADV【ポートピア連続殺人事件】をFCに移植する(発売は1985年11月29日)。
この移植ではパソコン版のキーボード入力からFCのコントローラに適したコマンド選択式へのインタフェースの変更が行われ、DQのコマンドシステムのベースとなっている。
 
そして『スーパーマリオブラザーズ』のヒットによってFCの知名度が高まってきた1985年11月、ドラゴンクエストの開発がスタート。スタッフは4~5人のみという少数精鋭であった。
プロデューサー【千田幸信】は大ヒット曲 "We Are the World" の「ヒットすることを前提としたモノづくり」に刺激を受け、このドラゴンクエストを「世界一のゲームにすることを目指す」と宣言。
『ウルティマ』と『ウィザードリィ』のいいとこ取りをしたRPGにしようと考え、前者のフィールド画面と後者の戦闘システムを参考に作成された。また従来のパソコンRPGには無かった「ストーリー性」を組み入れた。
この他には1984年にApple IIで発売された『Questron』(クエストロン)というRPGの影響が語られているが、同タイトルは日本語移植が行われていないためか、その影響についてはあまり周知されていない。
制作にはジャンプの編集者であった【鳥嶋和彦】も協力しており、彼はユーザーの関心を引きつけるため、大ヒット作『Dr.スランプ』の作者で当時【ドラゴンボール】を連載中だった【鳥山明】にパッケージとモンスターのイラストを担当させた。
音楽担当のすぎやまこういちとの出会いは、一通のアンケートハガキがきっかけであった(【すぎやまこういち】の頁参照)。
 
容量が少ないとよく言われる本作であるが、それでも開発当初の予定からROM容量を増やしている。当初は製品版の半分の32kB(256kbit)とされていたがいろいろと凝った要素を入れるようになったため、最終的に256kbitROMを2個搭載して512kbitとした。
また開発中に作られた戦闘画面のラフ画では旧来のパソコンRPGのように画面が分割されており、ダンジョン用の背景画像やモンスターを2体まで同時出現させる構想もあったとみられるが、最終的には移動中・戦闘中ともマルチウィンドウを採用し、戦闘は1対1、背景画像は地上のみとなった。
 
1986年2月11日、【週刊少年ジャンプ】11号にドラゴンクエストの第一報が掲載され、タイトルと画面・世界観・一部の敵キャラが公開された。同誌以外では3月発売の『ファミリーコンピュータMagazine』4月号にて画面が初掲載された。
その後、一般ユーザーによるプロトタイプ版のテストプレイが行われ、その結果をもとにシステムを練り直し、当時の子供を中心としたFCユーザーが入りやすいような調整が行われた。
そのプロトタイプ版は、ゲームのスタートがいきなり城と町の間のフィールドマップ上からという仕様であり、テストプレイヤーは進め方が分からずそのままフィールドマップをさまよったり、町に入っても会話や買い物などをせずに外に出てしまい、その挙句モンスターにやられゲームオーバーとなってしまった。
そこで「主人公を(王の間に)閉じ込めてしまえばいい」とスタッフが進言。スタート地点を玉座の間に変更してさらに出口に扉を配置することで、冒険の目的を否が応でも聞く事になり、宝箱や扉の開け方などのチュートリアルも完遂できるような仕様に仕立てた。
またレベル2までの必要経験値を下げ、さらに敗北によるゲームオーバーも廃止してレベルが上がりやすい仕様に変更した。レベル1の最大HPもわずか9しかなかったが、これも15前後(名前による変動あり)に上方修正されている。
ただ、それでも堀井は先に発売された『ゼルダの伝説』の出来を見て、敵が画面に見えずライフ(HP)なども数字のみで表現されるDQが果たしてウケるのか、不安になっていた。
 
発売日は当初1986年4月とされていたが、1ヶ月ほど延期されている。シリーズ恒例となる発売延期の伝統(?)は第1作からすでに始まっていたのだ。
 
(参考:マンガ【ドラゴンクエストへの道】、『月刊LOGiN』1986年7月号、『ファミコン通信』1988年16号、『電ファミニコゲーマー』2016年4月4日付記事、『ファミ通.com』2018年12月8日付CEDEC+KYUSHU2018記事 など)

作品の特徴(オリジナル版)

日本の家庭用ゲーム機用RPGの基本を作った『ドラゴンクエスト』。
シリーズ初代にして日本国内の家庭用ゲーム機における初の本格的なRPGということで、結果的に独自のシステムとなったものや粗削りな仕様が多く、次作のDQ2では不便さや煩雑さを考慮して多くのシステムが見直されている。

演出面

従来のパソコンRPGではメインマップ部・ステータス表示部・コマンド&メッセージ表示部、などといった具合に画面が常に分割されていたが、本作では開閉可能なマルチウィンドウを採用。
移動時は画面全体を使って主人公周辺のマップを映すことでアクションゲームなどと同様の感覚で移動ができ、必要な時だけウィンドウを開いてその中で【コマンド】の選択をしたり、メッセージを読んだりするという形を取っている。
ウィンドウ配置は移動中・戦闘中とも共通で、画面左上にステータスウィンドウ(名前・レベル・HP・MP・ゴールド・経験値)、右上にコマンド選択ウィンドウ、下にメッセージウィンドウという配置である。
ウィンドウに表示するテキストは日本語で表記し、ひらがなをメインに使用。日本語表示は現在でこそ当たり前のことだが、当時のビデオゲームでは英数字のみであったり、日本語を採用してもカタカナのみだったりするソフトが多く、ひらがな・カタカナ混在のソフトは少なかったのである。
ただし、マルチウィンドウ採用によりマップ用データや戦闘背景画像と文字データを少ないメモリ上に共存させる必要があるため、カタカナは一部の文字のみを搭載(→【よく使う20文字のカタカナ】)。呪文・アイテム・キャラ・モンスター・地名などの名称はこれらの文字のみを使って設定されている。
表記フォントは『ポートピア連続殺人事件』のものに多少のアレンジを加えたもので、元来は当時のパソコン(PC-6001等)で使われていたものがベースとなっている。かなと英数字とで文字の線の太さが統一され、違和感なく読めるようになっている。
 
グラフィックはFCソフトらしい鮮やかな色使いとなっているが、後作と比べると描写は立体感の無いシンプルなものである。壁はブロックのように1マスずつの正方形を並べて表現され、登場数の少ない【玉座】は店の【カウンターテーブル】と同じ部品で代用されるなどした。
キャラクターはマス目に合わせた縦横比1:1のサイズであり、一部を除いて1種類につき2パターンのドット絵を用意してそれを交互に表示させることで、手足の動きを表している。FCでは以前からアクションゲームなどでも広く用いられていた手法だが、本作は静止中・移動中に関わらず常に一定間隔で動き続けるため、キャラクターがいることがわかりやすくなっている。
しかし本作では主人公・【NPC】とも横や後ろを向いたグラフィックがまだなく、当時のパソコンRPGと同様に常に前を向いたままである。この姿はプレイヤーはもとよりスタッフからも「カニ歩き」と呼ばれることがある。
 
戦闘は、画面中央にウィンドウが現れその中に【モンスター】のイメージが表示される形式。フィールドマップ上ではウィンドウの背景が風景画(1種類のみ)となるが、ダンジョンや廃墟では黒1色の背景である。
本作では40種のモンスターが登場するが、グラフィックは一つの絵を2~4種に流用しつつ、色を別にしてスプライトの反転機能も使用することで「亜種・強化種」を表現している。
ただし戦闘画面のアニメーションなどは無く、モンスターがフラッシュしたり(呪文を唱えた時は白、ダメージを与えた時は赤)、こちらが攻撃を受けると画面が揺れるといった程度であり、進行状況は主にウィンドウ内の文章で「誰が何をしてどうなったか」が解説される。
グラフィックはあくまで戦闘のイメージを補完する要素に過ぎず、極端な話グラフィックを全く見ずに文章だけでも状況の把握は可能。
 
使用されているBGMは8曲のみでループの長さも短いが、【洞窟】は階層が低くなるごとに低音かつスローテンポになっていく。
ME(音楽的要素のある効果音)は【宿屋】が次作で変更されたものの、【勝利】【レベル・アップ】【呪いのモチーフ】は第1作である今作で既に確立し、現在に至るまで変わらずに使われている。

システム

ゲームの開始と中断

タイトル画面で「START」を選んでゲームを新規に始めると、まず【プレイヤーキャラクター】である【主人公】【名前】入力となる。名前はひらがな4文字まで自由に付けられる(濁点や半濁点も1文字としてカウント)。
なお【表示速度】の設定はタイトル画面で左右キーを使って行う。
ゲームはラダトームの城から始まり、の台詞の後、各種コマンドにて宝箱や扉を開けて階段を降りるという基本動作を行い、情報を集めつつ城の出口に向かう流れとなる。
 
ゲームを中断する時にもラダトームの城に戻り、20文字のひらがなで構成された【復活の呪文】と呼ばれるパスワードを王から聞いてプレイヤーの手元のノートなどにメモしておく(このため、発売当時に本作をプレイするにはFC本体とカセットの他に筆記用具がほぼ必須だった)。
そして次回再開する時に「CONTINUE」を選んでそれを入力することで、中断時のキャラクターのデータをそのまま使って冒険を再開することができる。ただしHPとMPは再開時には全快で固定。

ステータスと成長

主人公のステータスは、生命力(ライフ)を表す【HP】、あとどのくらい呪文を使えるかを示す【MP】があり、この2つは戦闘や主人公の行動によって増減していく(上限値は【さいだいHP】【さいだいMP】)。
この他には【ちから】【すばやさ】があり、ちからと武器に基づいて敵へのダメージの大きさに関わる【こうげき力】、すばやさと防具に基づいて敵から受けるダメージ量に関わる【しゅび力】が算出される。
 
敵を倒して得られる【経験値】が一定値に達すると【レベル】が上昇。それとともに各ステータスも上がり(=強くなる)、特定のレベルになると新しい【呪文】(魔法の呪文)も覚える。【最大レベル】は30。
初期能力値と成長パターンは主人公の名前によって異なり、同じレベルでもステータスに違いが現れてくる(このシステムは後にも先にも本作のみ)。
 
魔法の呪文は10種類あり、MPを消費して使用する。使う際は文字入力の必要はなく、あらかじめリストに表示されているものからカーソルで選択する方式である。

アイテム

【アイテム】は「武器防具」と「道具」に大きく分けられ、両者は別々に管理される。
 
武器・防具はそれぞれ攻撃力・守備力を上昇させるためのもので、「ぶき/よろい/たて」の3部位。持てるのは1部位につき1つのみで、新しいものを入手すると古いものはその場で売却か破棄となる。
後のシリーズのような「装備する」という概念は本作には無く、入手すると直ちに攻撃力・守備力がそれに応じて変化し、さらに主人公のグラフィックにも武器や盾の所持が反映される。
使用中の武器・防具の確認は「つよさ」コマンドで行い、道具としての使用は不可。
 
道具は「どうぐ」コマンドで選んで使う。消耗品のうち【やくそう】【かぎ】は専用枠で一度に6個までまとめ持ちができ、それ以外の道具は消耗品・非消耗品に関係なく8枠まで持てる。
【りゅうのうろこ】などの身につけられる道具は使うと身につけて効果を発揮するが、【呪い】の道具を使うと呪われてラダトーム城に入れなくなる。呪いの解除はラダトームの町の老人にしてもらうことができる。
不要な道具は重要アイテムを除いて道具屋で売却できる。自発的にアイテムを捨てることはできず、拾得時に道具を持ちきれない場合のみ何か選んで捨てることになる。
 
本作でのアイテムの入手方法は主に「店で買う」と「【宝箱】から手に入れる」の2通りで、一部アイテムに限り「地面を調べる」「貰う」という方法もある。
宝箱は一度「とる」と無くなるが、スタート時の玉座の間を除いて一旦フィールドに出ると復活し、中身を再拾得できる。ただし一部のフラグ管理されたアイテムは再拾得できず、中身は空っぽとなる。

移動とコマンド

移動画面は『ウルティマ』に準じたトップビュー方式で、主人公を上下左右に移動できる。地形はFCの描画機能に合わせてマス形式になっており、マッピングがしやすくなっているほか、主人公の移動単位もこのマスに合わせられている。
【岩山】や水上、壁は障害物であるため歩くことはできず(樹木の上は歩行可能)、【毒の沼地】【バリアー】は踏むごとにHPが減っていく。
方角は、現実の地図と同じく上が北である。
 
Aボタンでコマンドウィンドウを開き、コマンドを選択することで様々なことができる。また立ち止まっているとステータスウィンドウが自動的に表示される。
この他、本作ではSTARTボタンでの【ポーズ】もできる。
コマンドは以下の8つ。

  • 【はなす】:隣接したNPCの話を聞く。「はなす」に続いて相手がいる方角を選ぶ。
  • 【じゅもん】:覚えている魔法の呪文の中から一つ選び、唱える。戦闘用の呪文も選べるが、移動中には何も起こらずMPを無駄にするだけ。
  • 【つよさ】:各種ステータスと使用中の武器・鎧・盾を表示。
  • 【どうぐ】:持っている道具を表示し、使いたいものがあれば選んで使う。
  • 【かいだん】:足元にある【階段】の昇り降り。
  • 【しらべる】:足元を調べ、アイテムがあれば入手できる。宝箱は開けられない。
  • 【とびら】:かぎを1つ消費して隣接した【扉】を開ける。
  • 【とる】:足元の宝箱を開け、中身を取得する。

マップ

主人公が歩くことのできるマップは、フィールドマップと、町や村、ダンジョンなどが存在する。
 
●フィールドマップ
スタート地点であるラダトームの城から出ると、物語舞台の世界全体を表す【フィールドマップ】に切り替わる。
フィールドマップ上では、ラダトームから離れるにつれて、出現するモンスターが強くなっていく。主に【橋】を渡ることによってモンスターの顔ぶれが変わっていく仕組みであり、さらに【森】【山地】では【草原】より遭遇率が高くなる。
また本作に限り、山地を移動するときはスクロールが1マス毎に引っかかるようなるという仕様がある。
フィールドマップから【城】【町】【洞窟】へはシンボルの上に乗るだけで中に入れるが、【ほこら】に入るには「かいだん」コマンドの使用が必要。
移動手段は徒歩のみで、乗り物は登場しないが、【キメラのつばさ】【ルーラ】の呪文を使うとラダトームの城の前まで一気に戻れる。
 
●町・村
町や村では「はなす」コマンドによって各種ヒントなどを得られるほか、各種施設を利用できる。
施設を利用するには戦闘や宝箱から得られるお金【ゴールド】が必要(売却時は逆にゴールドが得られる)。なお宿屋と鍵屋は場所ごとに価格が異なる。

  • 【宿屋】 : HPとMPを最大値まで回復できる。
  • 【武器と鎧の店】 : 武器と防具を購入できる。従来持っていたものは購入時に自動売却。
  • 【道具屋】 : やくそう・たいまつ・キメラのつばさ・りゅうのうろこの購入と、道具の売却ができる。
  • 【鍵屋】【聖水屋】 : かぎ・せいすいをそれぞれ専門に扱う。

 
●ダンジョン
【ダンジョン】(洞窟・地下迷宮)の中は真っ暗で、そのままでは自分のいるマス以外が何も見えない。道具【たいまつ】か呪文【レミーラ】を使えば視界が広がるが、それでも見えるのは自分の周囲の限られた範囲のみとなる。
敵の出ない【ロトの洞窟】を除き、フィールドマップ同様に階層が深くなるにつれて強いモンスターが出現するようになる。
キメラのつばさ・ルーラは使えないが、【リレミト】の呪文を使うと地上まですぐに脱出できる。

戦闘

フィールドマップやダンジョンを歩いていると、【ランダムエンカウント】方式により一定確率でモンスターとの【戦闘】が発生する。
戦闘は一対一で、主人公と相手は必ず交互に行動していき、どちらかが倒れる(HPが0になる)か逃げるまで戦いを続ける。【不意打ち】を受けない限りは必ず主人公の先攻。
主人公の番になると「コマンド?」と表示され、コマンドを選択して主人公の行動を決定していく。
戦闘コマンドは以下4つ。

  • 【たたかう】 : 武器(または素手)で攻撃する。一定確率で、相手の守備力を無視して大ダメージを与える【会心の一撃】になることもある。
  • 【じゅもん】 : 魔法の呪文を唱える。使えるのは相手に放つ戦闘用の呪文と自分自身に使う回復呪文のみ。これらは攻撃力や守備力には左右されないが、相手によっては効かない(効果ゼロ)こともある。
  • 【にげる】 : 戦わずに戦闘を終わらせる。失敗することもある。
  • 【どうぐ】 : 道具を使う。「じゅもん」同様、戦闘に関係無い道具は選べない。

敵側も主人公と同様に通常攻撃や呪文などを使ってくるが、中には敵側にしか使えない特殊攻撃として【ほのお】を吐いてくるものもいる。
各モンスターごとにそれぞれ個性があり、こちらもそれに応じて戦法を変えていく必要がある。
こちらのHPが低下すると警告の意味でウィンドウがオレンジ色になる。また【ラリホー】の呪文によって【眠り】状態になると、目を覚ますまで行動はパスとなる。
こちらのレベルが高くなると、弱いモンスターが一定確率で逃げるようになる。
 
戦闘の結果、勝利するとモンスターに応じた経験値とゴールドを獲得できる。
敗北した場合はゲームオーバーではなく、ラダトームの城に強制送還され、ゴールドが半減するものの経験値やアイテムはそのままで生き返って冒険を続行できる。

設定

舞台・人物

【アレフガルド】と呼ばれる大地が本作の舞台。
王である【ラルス16世】のいる【ラダトームの城】を中心として6つの町村(1つは廃墟)、5つのダンジョン、2つのほこらが存在する。
地形はラダトームから東の【マイラ】の森、【ガライの町】がある西のガライヤ半島、南の【ドムドーラ】砂漠を経て【メルキド】高原までが陸続きとなっている。
南東部の【リムルダール】島は離れ島だが、本作には船はなく、海の下に掘られた洞窟経由で行き来する。
そして中央の【魔の島】には【竜王の城】がある。スタート直後から対岸に見えるが、乗り込むにはリムルダール島側から【にじのしずく】で橋を架けなければならない。
 
今作の世界の住人は敵を除いてすべて【人間】であり、動物や異種族は登場しない。
物語の鍵を握る重要人物としてはラルス16世と王女の【ローラ姫】、勇者ロトから託された品を持つ【三賢者】の末裔たちがいる。
 
登場人物数が100人以上と発売時に大きくアピールされていた本作では、冒険の心得や謎解きののヒントといった助言だけでなく、ストーリーに関係のない寄り道的な台詞も多く入れられており、低容量にもかかわらずこんな演出を入れる堀井雄二のこだわりは続編でもちょくちょく見かける。
本作で代表的なものには、ローラ姫と宿屋に泊まると宿屋の主人から聞ける【ゆうべは おたのしみでしたね。】という台詞があり、他にも週刊少年ジャンプの【ファミコン神拳】のスタッフがゲスト出演していたり、【ポートピア連続殺人事件】の宣伝を兼ねたような台詞もあったりする。
 
今作で【りゅうおう】を除いた【ボス級モンスター】のうち、【ゴーレム】はボス専用のモンスターであるが、それ以外では周辺より強い雑魚モンスターを実質ボスとして登場させている。
今作ではこれらの中ボスから逃げることが可能だが、逃げると強制的に一歩手前に戻されるようになっている。
 
地名一覧はこちら、人物一覧はこちらを参照。

ストーリー

プロローグ

かつて、アレフガルドを闇に閉ざしていた大魔王伝説の勇者ロトによって倒され、魔物たちも光の玉によって封印された。それ以来アレフガルドは平和が続いていた。
月日は流れ─。ラルス16世の治める時代、アレフガルドに再び邪悪なる者【竜王】が現れ、ラダトームから光の玉とローラ姫を奪い去った。
アレフガルドは再び魔物の徘徊する世界と化し、竜王に戦いを挑んでいった者は誰一人生きて帰ってこなかった。
そんな中、予言者【ムツヘタ】が、勇者ロトの血を引く者が竜王を滅ぼすであろうと予言した。そして予言どおり、その勇者─すなわちこの物語の主人公─が現れた。

シナリオ

【ラルス16世】から使命を聞いた勇者はロトの残した伝言を読み、「雨と太陽」の言い伝えに関連した【たいようのいし】【あまぐものつえ】をそれぞれ三賢者の子孫から授かる。
洞窟に囚われていたローラ姫を救出した後、真の勇者の証である【ロトのしるし】を得た彼は、雨と太陽の合わさった品【にじのしずく】を残る賢者から受け取り、魔の島へ虹の橋を架けて竜王との決戦に臨む。
 
…と本作のストーリーを敢えて書くならば上記のようになるが、本作では行動の自由度が後の作品に比べると非常に高く、あくまでこれは標準的な進め方である。実際はスタートからエンディングまでのストーリーが上記のように明確に組み立てられている訳ではなく、ただ「竜王を倒す」という当初からの目的を達成すれば良いのだ。
なにしろ、かぎを要する扉や固定ボス以外には、一定条件を満たさないと越えられない関所のような場所はなく(強いて挙げるにしても【雨のほこら】で宝箱を通せんぼしている老人くらいか)、逃げまくることさえできればメルキドの囲いと魔の島を除く全ての地上フィールドにスタート直後から行けてしまう。
ただし、出現モンスターはラダトームから離れるにつれて強くなっていくため、通常はレベルアップと装備の強化をしながら徐々に足を伸ばしていく、ということを繰り返す必要がある。
 
魔の島に乗り込むためにはにじのしずくが必要であり、それを手に入れるには上記の3品を集める必要がある。さらにあまぐものつえは【ぎんのたてごと】との引き換えが必要となる。
これらの集める順番は決められていないが、各種キーアイテムは【かぎ】が必要な場合が多いため、まずは鍵屋のあるリムルダールを目指すことが最初の大きな目標となる。
ロトのしるしの情報は【メルキド】の町で得られ、この町を守る【ゴーレム】を倒すには【ようせいのふえ】が役立つ。またローラ姫を救出すると貰える【おうじょのあい】がロトのしるし発見の手助けとなる。しかし複雑な進行フラグの管理がされている後の作品とは違い、ロトのしるしは場所さえ知っていれば入手できるためゲーム内で情報を得る必要はなく、実はローラ姫の救出についても必須ではない。
すなわちラダトームの玉座の間を出てから竜王の城へ行くまでに最低限必須なのは

  1. かぎを3つ買う
  2. たいようのいしを入手(かぎ1消費)
    ぎんのたてごとを入手(かぎ2消費)→あまぐものつえと交換
    ロトのしるしを入手
  3. にじのしずくを入手し橋を架ける

これだけである。
 
竜王を倒した後は【エンディング】となるが、本作ではラスボス戦後にすぐにエンディングデモに移るわけではなく、城に帰還するまでの間は敵に出会うことなく自由に行動できることが特徴。ラストシーンはローラ姫を既に救出している場合のみ彼女が登場し、助けていない場合は一人で旅立つという違いがある。
また、本作では竜王の戦闘前の質問に「はい」と答えると、他のナンバリングタイトルでは一切見られないバッドエンディング(事実上のゲームオーバー)となる。
第一作目にしてマルチエンディングであり、3種類もの結末が用意されていたことは特筆に値する。

反響

本作の発売前は【週刊少年ジャンプ】にて堀井雄二自身の筆によって特集が組まれた一方、『ファミリーコンピュータMagazine』(以下ファミマガ)での初掲載時は他のFCソフトと変わらない2/5ページのみでの扱いだった。
そのファミマガの第一報ではラダトーム城1階の画面写真に対して「壁にかくれて敵兵がいっぱいいるぞ!」「(普通の女性NPCを指して)茂みの中にはお姫さまが」など、編集者すらRPGを理解していないように思える文章が散見され、当時のRPGの認知度の低さがうかがえる。
しかし発売後、ファミマガにおける発売後2週間の有名デパート売上ランキングでは『スーパーマリオブラザーズ2』に次いで2位にランクイン。またこの時期に創刊された『ファミコン通信』(以下ファミ通)でも売上ランキング初登場時は2位を記録。
 
ファミ通では創刊号からプレイ日記風の記事が3回連続で載り、第2号から町・ダンジョンの全マップを2回掲載した(2回目は綴込み付録)。
一方『マルカツファミコン』では当初「RPGは攻略本いらず」としてゲームの進め方や、メモ・マッピング用の書込型シートのみを載せ、発売1ヶ月半後にマップを公開。その後は語呂合わせの復活の呪文などを多く取り上げ、発売5ヶ月後には、ファミコンにキーボードを接続して遊ぶ『ファミリーベーシック』上で動作する【復活の呪文作成プログラム】のプログラムリストを掲載した。
ファミマガでは本誌での攻略記事は少なかったが、同誌の出版元である徳間書店は独自の攻略本として『ドラゴンクエスト完全攻略本』を出版している。また「テレビランドわんぱっく」シリーズの『ファミリーコンピュータ大図鑑(全17巻)』のPART13でも本作を掲載している。
 
なおこの頃のメディアはネタバレ規制の考え方が薄かったのか、ラスボスやエンディングの画面まで堂々と載ることも珍しくなかった。
ファミ通では創刊2号の記事でラダトームの地下室の場所までマップで暴露しており、エニックスから注意を受けたのか創刊4号にお詫びを掲載している。
 
ともかくこうして人気が広がり、ドラゴンクエストはヒット作に成長。最終的な出荷本数は150万本となった。
ファミ通での読者投票による「1986年ベストヒットゲーム大賞」(1987年3号に掲載)では2位以下を大きく突き放してトップに輝いた。
 
1986年度ファミマガゲーム大賞では30点満点中25.02点で、部門別では「音楽」「操作性」「熱中度」「オリジナリティ」の4部門が同年度1位。翌年DQ2が歴代最高の28.02点を叩き出すことになるが「操作性」の部門のみ本作が5点満中4.64点とDQ2の4.59点を上回り、FC最高の評価となった。
ただし「キャラクタ」部門が2.73点と大きく伸び悩んだことに足を引っ張られた形となり、グランプリは任天堂の『ゼルダの伝説』(総合26.12点・同作の部門別1位は「お買い得度」のみ)に奪われ本作は2位だった。
また次作以降は毎回90%を超える「回答率」も本作は25.6%と他作品と遜色ない程度にすぎなかった。
 
FC初のRPGとして語られることが多いDQ1だが、厳密にはウィンドウシステムともども『ハイドライド・スペシャル』が初であり、「コマンド戦闘のRPG」に限定するならば本作がFC初となる。
そして、それ以上に大きいのが本作はRPGを誰でも楽しめるジャンルにしたことである。
本作が登場する以前のRPGは、上記のようにマニアックなゲーマー向けのジャンルで、その難易度は非常に高いものであった。当時のパソコン雑誌には「RPGの前にアドベンチャーをやり込め」という言葉が踊っており、とても万人向けの代物ではなかった。それを反映してか、「RPGは難しいほど面白い」という風潮になっており、『ザナドゥ』や『ロマンシア』のような高難易度の作品が溢れかえっていた。
そうした風潮を根本的に変えた功績は非常に大きい。
 
1986年10月には続編の製作が公に発表され、ドラゴンクエストはシリーズ化されることとなった(開発自体は4月から行われていた)。
ファミマガではDQ2の第一報がわずか4行の文章のみだったが、それにもかかわらず読者の関心は高く、ハガキアンケートでの期待作第1位を獲得。
以降は各ゲーム誌ともDQを発売前から大きく扱うようになり、後の社会現象に繋がっていくのである。
 
その後の『週刊ファミ通』の記念読者投票企画でDQ1は、900号記念「心のベストゲーム」(2006年)で30位(シリーズ中7位)、1000号記念「未来に伝えたいゲーム」(2008年)で12位(シリーズ中3位)となっている。

移植・海外版・リメイク

MSX2版・MSX版

FC版から約半年後の1986年11月21日にMSX2用、12月18日にMSX用に移植版が発売され、該当する規格のホビーパソコンでプレイが可能になった(MSX2版はソニーから発売)。提供媒体はFC版と同じくROMカートリッジ。
ゲーム内容はFC版と同じで復活の呪文も互換性があるが、マシン性能の都合上、サウンドやグラフィックに違いが見られる。
 
キャラや地形のデザインはFC版に忠実だが、両機種ともスクロールが滑らかではなく1マス(16ドット)単位である。またフェードアウト/インの演出は無く、いきなり画面が切り替わる。
 
特にMSX版ではスクロール時の描画も遅くてちらつき感があるうえ、NPCは地形よりもさらに遅れて移動する。またキャラの横並び数は2人までが限度で、3人以上並ぶとキャラが交互点滅で表示される。
戦闘でダメージを受けたときに画面が揺れる演出も無く、代わりに周囲が赤くフラッシュする。死に至るダメージを受けた際は通常よりも長くフラッシュするので区別できる。
解像度もFCの表示領域が縦224ライン程に対してMSXは192ラインしかないため、FC版では縦14キャラ分ある表示領域が12キャラ分に制限された形の若干横長画面になっている。その影響かメッセージウィンドウの大きさや【どうぐ】ウィンドウの位置がわずかに変更されている(詳細はリンク先参照)。
 
サウンドは両機種とも音程がFC版と違う曲が多く、音質も多少低下している。ただしFC版と同じく3音を別個に制御はできるため、BGMによってはFC版に近い雰囲気が実現されているものもある。
その一方で全般的に効果音の擬似PCMの再現性は低く、会話の際の【ポポポ音】は「ポツポツポツ・・・」、その他SEは「プップッ」「ピロ・ピロ・ピロ」「ブーン」「バゥ~ン」のように簡略化された音になっている。
 
この他FC版との違いは以下。

  • MSX版に限り、起動時に隠しコマンドでグラフィック鑑賞モードが見られる。
  • FC版だと【兵士】が片足だけで地団駄を踏むかのような不自然な動きだったものが、両足を動かすように修正されている。
  • 【トヘロス】の計算式が変更。最高レベルまで上げても中盤以降の敵(【メタルスライム】を除く)には効かなくなった。
  • FC版では町や城のシンボルがモノトーンだったが、屋根や旗など部分的に色の付いたものになった。

北米版(NES)

1989年7月15日に北米地域でNintendo Entertainment System向けの翻訳版が発売された。ローカライズは、当時・HAL研究所、後の任天堂社長である故・【岩田聡】が担当した。
 
言語が英語に変更されるだけに留まらず、グラフィックも見直され、キャラの横・後ろ向きパターン、フィールドマップの海岸線描写が追加された。これによって、はなす (TALK) コマンドの方角指定が削除されている。
また、復活の呪文に代わってバッテリーバックアップによる【冒険の書】 (Adventure Log) を採用。
主人公の名前は英字8文字まで入力できる。メッセージウィンドウでは8文字全て表示されるが、ステータスウィンドウでは幅の関係で最初の4文字のみ表示される。
その他、他作品と共通するNES版の特徴についてはこちらを参照。
 
北米での売上はよろしくなく、余った在庫はアメリカ任天堂の冊子 "Nintendo Power" の読者プレゼントにされたというエピソードがある。

スーパーファミコン版

オリジナルから約7年半後の1993年12月18日、シリーズ初のリメイクとして【ドラゴンクエストI・II】にDQ2とともに収録された。
 
町の人の配置や台詞が変更されわかりやすくなっていたり、敵のステータス・行動パターンや得られる経験値・ゴールドも全体的に増加するなどゲームバランスに介入がなされて、難易度が下げられた。
復活の呪文は廃止され、NES版同様に冒険の書にセーブを行う方式に変更されている。
グラフィックやサウンドはSFCの性能に合わせてグレードアップされ、インタフェースに関しては当時の最新作であるDQ5のものを反映。
FC版で独特だったシステムは多くが廃されてDQ2以降に合わせられたが、たいまつやまとめ持ちなど一部は存続している。
DQ1のゲーム内ではストーリーに変更は無いが、本作の過去の物語であるDQ3での設定が一部の台詞に反映されている。
 
DQ1での主な変更点は以下。(DQ2と共通のグラフィックやUI面についてはこちらを参照)
 
キャラ・育成関連

  • 【みのまもり】のステータスが追加され、守備力の計算方法が変更。
  • 武器や盾の装備による主人公のグラフィック変化が削除。

アイテム関連

  • 武器・防具はDQ2以降と同様に道具と同じ枠での扱いとなり、ステータス反映には【そうび】コマンドか店での購入時に装備する必要がある。
    道具欄は武器防具とやくそう・かぎを含めて10枠であり、持てるアイテム数は実質的にFC版より減少。やくそう・かぎのまとめ持ち制は存続。
  • 【すてる】のサブコマンドが追加。
  • ステータスを上昇させる種・木の実が追加。

移動中

  • 宝箱はDQ3以降と同様、一度中身を取ると蓋が空いたままになり、中身は復活しなくなった(【岩山の洞窟】の例外を除く)。これに伴い一部の宝箱の中身が変更。
    また新たに追加された【壷】【タンス】にもアイテムやゴールドが隠されている。
  • ポーズ機能、山地で動きが遅くなる仕様はともに廃止。

施設関連

  • 武器と防具の店・道具屋ともアイテム売却が種別を問わず可能になった(武器防具購入時の自動売却は廃止)。
  • 【預かり所】が追加。上述した道具欄圧迫の救済措置ともなっている。
  • 【リムルダールの町】では従来無かった旅の商人の営む道具屋が追加。

戦闘・モンスター関連

  • 戦闘は交互制ではなくなり、DQ2以降と同様のシステムで1対1の戦闘を行うという形に。
    【すばやさ】がターン内での先攻・後攻に影響するようになり、最初のターンで主人公だけが動ける【先制攻撃】も起こる。
  • すべてのアイテムを戦闘中に使用可能になった。【たいまつ】【せいすい】【ほのおのつるぎ】は使うと相手にダメージを与えられる。
  • 姿が左右反転していたモンスターは全て原画と同じ方向に合わせられた。
  • 敵側にもMPとすばやさの概念が登場。
  • FC版には無かった【ぼうぎょ】を使う敵が登場。
  • 炎ブレスの名称がDQ5に合わせて段階別に変更された。
  • 通常攻撃のダメージ計算が変更。FC版では基礎ダメージ量に-0~50%とダメージのブレが激しかったが、SFC版では±12%程度と乱数が安定し、かつ最大値が上昇した。この仕様はGB版も同様。
  • 沼地の洞窟の【ドラゴン】が通常の雑魚とは異なる専用ステータスとなった。

マップ・シナリオ関連

  • 【竜王の城】の周辺が変更され、城が高台の上に築かれた。
  • 【雨のほこら】【聖なるほこら】に地上部分、【メルキドの町】に2階が追加。また、ほこら内部や地下室の構造が変更。
  • ダンジョンのマップがDQ2以降にあわせて大型化。【岩山の洞窟】と竜王の城は構造が変更された。
    明かりを灯した際の視界が正方形から円形に変わった(DQ5のたいまつと同様)。
  • ラダトームの町限定で同行型NPCが登場した。
  • 【ゆうてい】等ひらがなの固有名の付いたNPCはほぼ削除され、代わりに新たなカタカナ名のNPCが追加された(DQ3との整合性のためか【ゆきのふ】は存続)。また【ぱふぱふ】娘の居場所が変更。
  • 竜王の質問で誤った選択肢を選んだ場合、リムルダールの宿屋に戻されるようになった。
  • 【エンディング】中は毒の沼地が花畑に変化するようになった。またドムドーラでは【ガライ】の亡霊が現れるようになった。

サテラビュー版

1996年2月にSFCの衛星放送システム「サテラビュー」のコンテンツとして『BSドラゴンクエストI』が放送された。
SFC版『DQ1・2』のDQ1をベースとして全4話が配信された。
詳細はこちらを参照。

ゲームボーイ版

1999年9月23日発売の『ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II』にSFC版と同じくDQ2とのセットで収録された。
ナンバリング作としては初の携帯機向けリメイク作品。
 
基本的にはSFC版を踏襲しており、【中断】機能など携帯機で遊びやすいような工夫がされている。
またGB版独自の変更点として、ラダトームが竜王たちに襲われるシーンを紙芝居のような形で描いた【プロローグ】が、名前入力直後に流れるようになった。
武器や盾の装備による主人公のグラフィック変化も復活した。
 
DQ2と共通のグラフィックやUI面についてはこちらを参照。

携帯電話(ガラケー)版

FOMA端末をはじめとする3G携帯電話向けに提供されたアプリ版。
2004年3月1日、合併後のスクウェア・エニックスによりDoCoMoのiアプリ版の配信が『ファイナルファンタジー』とともに開始された。なお2月22に発売された「N900i」にはDQ1がプリインストールされていた。
auのEZアプリ版は2004年8月19日、SoftBankのS!アプリ版は2006年7月3日より配信。
プレイするには【ドラゴンクエスト モバイル】の会員登録をしている必要があった。アプリ起動時に認証のための通信が行われるが、2018年3月31日をもって同サービスが終了したため、現在はガラケー版のDLおよびプレイはできなくなっている(DQ2・DQ3も同様)。
 
携帯電話へのDQ・FFの展開はエニックスのスクウェアとの合併直後の【齊藤陽介】の提案によるものであった。当初は300円という価格での提供にスクエニは難色を示したが、NTTドコモ側からのオファーもあったことなどから実現するに至った。
端末メーカー側もこれに対応し「DQアプリを動かせるようにするために端末の容量を従来より増大させる」という異例の措置を取ったという。
(『ファミ通.com』2019/10/16付「CEDEC+SAPPORO 2019」レポートより)
 
ゲーム内容はSFC版をベースとしているが、グラフィックがグレードアップされた。しかし呪文のアニメーションのフレームレートが落ちているなど、当時の端末に合わせてスペックが落とされている面もある。このグラフィックはスマホ版以降にも継承されている。
各マップの構造自体はSFC版DQ1からそのままだが、画像がSFC版DQ3に準じたものに差し替えられ、キャラの等身も大型化してDQ6と同じ縦横比2:1のサイズとなった。移動速度もDQ6並みに速くなっている。
モンスターもすべて描き直され、サイズがSFC版よりも大きめになった。
音楽・効果音はGB版準拠、文字のフォントは端末のOS依存であった。
 
システム面での変更点は以下。

  • 最大レベルが30から50に、最大経験値が65535から99999に変更され、それに伴って呪文習得レベルも変更されている。ただしステータスが強化されたわけではなく、パラメータ上昇が細かくなっただけである。
  • DQ7などに倣い、呪文やアイテムに関する簡単な解説が表示されるようになった。
  • 呪文・道具でのHP回復時には回復後のHPの値(満タンの時は「全快」)が表示される。
  • 【取扱説明書】の代わりとして、簡単なヘルプ機能【たびのこころえ】が追加。

Wii版

2011年9月15日にWiiで発売された『ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III』に、FC版とSFC版『DQ1・2』がほぼそのまま収録された。
こちらの記事、およびFC版SFC版の記述を参照。

スマートフォン版

DQシリーズ8作品のスマホ展開第1弾として、2013年11月28日に【ドラゴンクエスト ポータルアプリ】(iOS、Android)のコンテンツとして、同アプリと同時に配信が開始された。開発は【マトリックス】
ポータルアプリから購入した場合は同アプリの起動ボタンからゲームを起動できる。起動時の認証は行われないので、オフライン状態でもプレイは可能。
ポータルアプリ配信開始時は期間限定で無料提供され、ポータルのダウンロード後すぐに遊ぶことができた。ただしAndroidの場合は機種変更すると改めて有料で購入が必要となる。
ポータルアプリ版では2017年3月のアップデートから、スクエニIDでログインしていれば、ゲーム終了時にサーバへのバックアップ保存が行われるようになった。
また2016年9月よりAmazonアプリストアでAndroid/Fire版が単独配信されている(Fire端末はスマホではないが、本wikiでは一貫してスマホ版として扱う)。
海外ではポータルアプリは無く、単独配信のみとなっている。
 
【タイトルロゴ】がオリジナル版以来初めて変更され、Wii版『DQ1・2・3』をベースとしたものになっている(初リメイクがDQ2とのセットであった本作は『DQ1・2』としてのロゴは作られたが、DQ1単独のロゴは長らくそのままだった)。
 
本作含むスマホ版DQシリーズのインタフェースについては横持ち・両手プレイなど様々な方式が検討されたが、

  • 電車で吊革を持ちながらでもメール感覚で手軽にできるようにする
  • 操作が複雑でないDQは片手操作の方が適している
  • モンスターが一人称視点で表示されるDQは縦型の方が適している

との理由により、片手操作のし易い縦持ち式が採用された。(参考:『週刊ファミ通』2013年12月19日号)
なおDQ2~DQ8も含め、ゲームパッドには一切対応していない。
 
システム・シナリオやグラフィックはガラケー版準拠。しかし木漏れ日や靄の演出が削除されているなど、一部劣化点も見られる。
各種ボタンやウィンドウは画面下部にまとめられている。コマンドウィンドウとステータスウィンドウが一体化し、コマンドはボタンタップによる入力方式、主人公の移動はタッチパッドで行う。パッドは位置や大きさをカスタマイズ可能となっている。
またGB版から登場している従来の中断機能に加え、新たに【オートセーブ】機能を搭載。
 
ロトシリーズの共通点として、音楽(BGM・ME)はバトルロードシリーズなどと共通の汎用シンセサイザー音を使用し、SEは3DS版DQ7から流用しているものが多い。文字のフォントはガラケー版同様にOS依存である。
呪文やアイテムを選択する際は1度タップすると選択肢が反転状態となり説明が表示され、もう一度タップで選択したことになる。
 
配信当初はSFC版と同様に1/2マス単位の移動であった。
しかしコントローラやガラケーのような「ボタンを押し込む」感覚のないツルツルのスマホディスプレイでは小回りが利きにくく、この点で操作性の悪さを指摘する声が多く挙がった。
後の2014年2月13日のバージョンアップ(Ver.1.0.4)により1マス単位の移動に変更された。
また2014年9月のバージョンアップ(Ver.2.0.0)からはDQ2ともども、画面上の任意の場所をドラッグしてキャラ移動できるようになった(DQ9のタッチペン操作に近い感じ)。
 
その他、従来機種との相違点は以下の通り。

  • 成長パターンはGB版以前のものに戻された。ただし、最大レベルであるLv30の必要経験値が65535から70000に変更。
  • ルーラの消費MPが1に変更。
  • 初期所持品に【たけざお】が追加。
  • 移動中のコマンドに【さくせん】が追加され、「そうび」「たびのこころえ」などがそのサブコマンドになった。
  • 【世界地図】を搭載。ゲーム最初から利用でき、専用のボタンで表示可能。DQ1としてはサテラビュー版を除けば初採用。
  • 地面にアイテムが落ちている場所などが、何もしなくても光るようになった。
  • 【アクションアイコン】が導入され、対象の方向を向かなくても会話などが可能になった(V1.0.4以降)。

PlayStation 4版・ニンテンドー3DS版・Nintendo Switch版

DQ11に関連して、同作と同じPlayStation 4とニンテンドー3DS()の2機種でロトシリーズ3作が配信されることとなり、DQ1は2017年8月10日から両機種ともにDQ2と同時にダウンロード専用で配信を開始した。開発は【ビー・トライブ】。配信は日本語版のみ。
DQ11発売からの半年間である2018年1月28日までは、同作で真エンディング内の動画に表示される復活の呪文を入力すると特典として『ドラゴンクエスト(無料版)』をダウンロードできた。通常版とのゲーム内容に差異はないが、3DS版は発売当時サービスされていたMiiverseのコミュニティに参加できなかった。
 
2019年9月27日には、Nintendo Switchで本作を含めたロト三部作がDQ11Sと同時に全世界で発売された。
日本語版と欧米版はダウンロード版のみだが、アジア版はロト三部作を1つのゲームカードに収めたパッケージ版(日本語FC版3作品を縦にならべたパッケージイラスト)もある。
 
いずれもスマホ版のベタ移植で、インターフェースが各機種向けに最適化されている。文字フォントはPS4・Switch版はDQ11と同じ「イワタ中太丸ゴシック体」、3DS版は本体のメニュー画面などで使われているフォントを使用している。
PS4版とレイアウトを共通化させるためか3DS版では上画面のみをゲームに使用し、下画面は地図となる。
キャラ・モンスターのグラフィックの使用色数・解像度はガラケー・スマホ版より増えているが、マップグラフィックに関してはガラケー版以来変わっていない。
PS4版は【トロフィー】機能に対応している。
 
ゲーム内の変更点としては、【かぎ】の売値が16Gに、【せいすい】の売値が12Gにそれぞれ変更され、【錬金術】ができなくなった。

ニンテンドークラシックミニ版

2018年7月7日、オールドゲームファンなどに好評を得ていた「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」(通称ミニファミコン)の特別版として、「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ 週刊少年ジャンプ創刊50周年記念バージョン」が任天堂から発売された。
収録されたのは主に【週刊少年ジャンプ】連載作品のFCゲームだが、DQシリーズも同誌との関わりが深いことから、FC版DQ1がそのまま収録されている。
 
ハードの仕様として、リセットボタンを押すことにより「中断ポイント」をゲーム毎に4つまで保存することができるため、復活の呪文を使用することなくコンティニューができる。もちろん、復活の呪文も使用可能。
 
公式サイトではFC版の【取扱説明書】がPDF形式で公開されている。

関連項目

ゲーム

マンガ

番組

権利表記

FC版
© 1986 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
 
SFC版
© 1993 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
 
GB版
© 1999 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
 
スマホ版
© 1986,2013 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
 
PS4版・3DS版
© 1986,2017 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
 
Switch版
© 1986,2019 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.