【一枚絵イベント】

Last-modified: 2023-06-24 (土) 23:34:11

概要

画面全体または一部分を用いて大きな一枚絵(静止画)を描写する演出を採り入れたイベント。
 
かつてFCなど2D時代のゲームではアドベンチャーゲームなどで多く使用されていたが、それ以外のジャンルではストーリーの導入部など部分的に使われることが多かった。
プレイヤーが操作する通常の画面では少ない色数と小さなドット絵でしか描けなかったキャラクターや世界を、一時的にでもリアルで臨場感のある絵で見せるために導入されていたものである。
本シリーズではDQ2においてそのような演出が計画こそされていたものの、結果として容量の関係でボツになってしまった。
本頁ではそのボツになった静止画イベントを中心に解説する。

BSDQ1

第1話冒頭の【プロローグ】では、暗雲の雨に晒される【ラダトーム】城外観を描いた画面を映し、ナレーターが【アレフガルド】の状況と主人公の来訪を語る演出が採られている。
 
この他物語上のイベントではないが、ゲーム開始前の受信待機画面では【ロトのしるし】の大きな画像、各話ゲーム終了後の次回予告やスタッフロールではSFC版公式イラストとFC版パッケージイラストの取込画像を用いている。
さらに最終回となる第4話の終了時には、DQ6の宣伝としてパーティ一行の公式イラストにタイトルロゴを添えた画面が表示された。
いずれも過去作のイベント改変版かつ時間限定配信作という、独特なソフトウェア形態ならではの演出といえる。

DQ2

本作ではもともと新要素として、画面いっぱいに描かれたドット絵を用い紙芝居のように展開されるイベントが導入される予定であった。
【取扱説明書】6ページ「ものがたり」の中には挿絵としてドット絵が載っており、これこそがボツになった一枚絵を流用したものである。
この一枚絵は、玉座の間で背中に矢が刺さった人物が王様の前に跪き、その右脇で【ローレシアの王子】が険しそうな表情で立っているというもの。
おそらくプロローグで使用されるはずだったものと推測でき、矢の刺さった人物は【ムーンブルク】の傷ついた兵士であろう。
ちなみにこの絵には本作から採用されたロトの紋章も描かれている。
 
『ファミコン通信』1987年14号の【堀井雄二】のコラム記事によると、このほかにも一枚絵を使用したイベントが計画されていたという。
【大灯台】の最上階から【ロンダルキア】を眺めると、ロンダルキア台地の向こうの海の一点がキラキラと光っている一枚絵が表示され、そこには【ふねのざいほう】が沈んでいるという設定であったようだ。
そしてその財宝のことは人々から聞けるようになっていたが、一枚絵を削除したことでシナリオも変更されたとのこと。
 
その後、【週刊少年ジャンプ】1993年7号で『DQ1・2』のSFCでのリメイクが発表されたときのコラムでは、これらの一枚絵と関連イベントをリメイク版で復活させる構想を堀井が語っていたが、結局実現することは無かった。

MSX版

MSX版では上記とは違う形で「一枚絵」が実現されており、【あぶないみずぎ】入手したときにムーンブルクの王女の水着姿が「ABUNAI MIZUGI」の文字とともに描かれる。
MSX2版には同様のイベントこそあるものの、この一枚絵は無くなった。

その後

海外版では日本語版に先駆けて、NES版DW3のプロローグにて専用の一枚絵(火山の火口)を利用したデモが用意された。
 
SFCの時代になると一部のイベントで、専用の一枚絵グラフィックを使った演出が採り入れられた。
DQ5では【天空城】とその下の雲海の画像が【ゴールドオーブ】が落下するシーンとエンディングで使用され、DQ6では【ムドーの城】突入シーンで城の一枚絵が使用されている。
またGB版『DQ1・2』ではDQ1・DQ2それぞれで、紙芝居形式で一枚絵の画面が遷移する形のプロローグが導入されている(DQ2は上述したFC版のものとは別の場面)。
 
やがてゲーム機の性能が上がると、このような役目は一枚絵に代わってプリレンダリングムービーが担うようになる(本シリーズではDQ7から導入された)。
さらに今日では上述のようなケースであれば、3Dグラフィックでごく普通に表現できてしまう。
ゲーム本編がフル3D化されて以降、演出として敢えて静止画像が使われているケースとしては、本シリーズではDQ8の【グルーノ】のイベントと【エンディング】の一部、DQ10の極天女帝によるルティアナとジャゴヌバの大戦、DQ11の【ナギムナー村】の人魚の話などがある。