セリフ/【でもね、亡くなった人たちの心は、もう動かないんだよ】

Last-modified: 2023-10-06 (金) 05:06:40

FF12

パンネロ「復讐――するのかな。新しい破魔石で。気持ちはわかるんだ。あの戦争で、大切な人を亡くした気持ち」
ヴァン「同じだもんな、オレたちも」
パンネロ「でもね、亡くなった人たちの心は、もう動かないんだよ。何があっても、何をしても。目を閉じて思い浮かべる幻みたいに――ずっとずっと、変わらないまま」
レダス「ああ、変わらん。どれほど長い時が過ぎようと、振り返る過去の幻影は、いつまでも生々しい。過去は、そうやって人を縛る。幻を断ち真の道に至れ――か」

天陽の繭を目指し、リドルアナ大灯台の最上階を目指して進む一行。
アーシェの心を推し量るパンネロのセリフ。
 
パンネロもヴァンやアーシェのように2年前の戦争で大切な家族を失っている。
そのため、彼女もまた帝国を憎んでもおかしくない人物である。
だが彼女は帝国への復讐を願っていない。
それは自分がいくら憎んだとしても故人の心が動くことは無い、とわかっているからである。
亡き夫のために復讐を、とずっと願ってきたアーシェと、
ずっとの死に縛られてきたヴァンがこのことに気付くのはもう少し先である。
パンネロはパーティ内最年少のキャラクターであるが、彼女だけがひとりで過去を消化していたのだとわかるセリフ。

  • 節々の言動(特に序盤)を見る限り、祖国と家族を奪った帝国に対する反発と拒否感はそれなりにあったようなのだが、それ以上に近しいものをこれ以上失うことを恐れていて、仕方がないと思い込んでいるようでもあり、その辺りの矛盾に悩んでいるうちにこういう結論を出したのかもしれない。
     

またレダスの「幻を断ち真の道に至れ」というセリフは覇王レイスウォールがリドルアナ大灯台に挑む者に残した言葉である。


FFにおいてSFC時代は死者の魂がたびたび奇跡を起こしてくれ、
PS以降は死者の魂に明確な定義があり(FF7のライフストリームなど)
その下に主人公たちを助けてくれることが多かったが、
てか死者が何か助けてくれるのはファンタジーのお約束のひとつと言っても過言ではないのだが、
「亡くなった人たちの心は、もう動かない」というのはそれらと一線を画す、
非常にリアリティにあふれる重い言葉である。

  • 但し今作でもが出てきたり、死者の魂が変質したとされるモンスターが出てきたりしている。
    一見矛盾しているようだが、これはあくまで一般人たるパンネロの割り切り方であるとも言えるだろう。
    • ハントカタログの設定を見る限り、ゴースト系を中心としたアンデッド系統のモンスターは怨念を持つものがそのまま怨霊として湧くものが多く、討伐しても厳密な意味での成仏とはなり得ないと記載されているものも多い。心に負った傷は癒えないという点で、この発言は実際正しいのではないだろうか?

ストーリー上におけるパンネロの存在意義が集約されたセリフ。
しかしこの直後に派手なイベントが連続することもあり、プレイヤーにはあっさりと忘れ去られてしまうのであった。
FF12のストーリーに深く関わる非常に重要なセリフなだけに、実に残念。


この台詞の少し後、未だ復讐に囚われたガブラスと対峙することになるが、
そのときのヴァンの台詞も合わせてFF12の「復讐」という大きな問題に対する答えとなっている。