ストーリー

Last-modified: 2008-10-17 (金) 16:07:15

英雄譚

第壱章  …伝説より

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 二十年前…

 突然白昼に太陽が姿を消し、天地が闇に包まれた。
その時、奴らはこつぜんと現れた。
 山洞の泰山派が無残にも壊滅されたという知らせと同時に、海南の剣派までも潰された。さらに同じ様な事が福建、広東、苗彊、四川、玉門関、大莫、山西、遼東など天下各地で起きた。
 天魔の呪いと呼ばれる事になる、この事件によって、全土は血の海となった。
 奴らがどこからやって来たのかは誰一人知る者はいなく、奴らの出現は全土を恐怖で怯えさせた。

 一人どころか、十二人もの半人半魔の悪鬼達。
奴らが天下を血の色に染めると、魔道の総本山である魔教が立ち上がった。
だが、十万人もの魔教信徒が血の海へと沈んだ。

 こうして、十二天魔の伝説は始まった。
魔教に続き、武林の総本山である少林寺の百八羅漢大陣が滅ぼされ、少林寺が焼け落ちると、天下はいよいよ最後を迎えるかのようだった。悪鬼達は十二人といっても、現実には十二人ではなかった。彼らと向き合った者たちは、魂を奪われ、僕(しもべ)となっていたからである。そして、その数も日を追うごとに増えていった。

 その時、その男は現れた!

 名前すら知られていないその男は、十二天魔を十萬大山仏会谷に誘い込み、それを待ち伏せていた天下武林の達人たちに包囲させ、攻めかからせた。

 そうして十日間にも及ぶ死闘の末、三千人を越える犠牲者を出しながらも、ついに悪鬼らを一人残さず葬ることに成功する。

 十二天魔が千年前に伝説とともに消えてしまった始皇帝の財宝を探し求めていた
という噂が広まったが、誰一人真相を知るものはいなかった。

第弐章  …胎動、そして

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 天下は平和を取り戻した。

無名だった彼は二十年あまりが経った今、天下武林盟の盟主となっていた。天龍大侠と称えられた彼は、当世最高の達人であり絶対者であった。

 彼がいる限り、誰一人平和を脅かす事は不可能に思えた。だが、想像すらしなかった事が起きてしまう。
天下第一と呼ばれた天龍大侠が天下武林盟内で殺害されてしまったのである。
驚くべき事に、彼を殺した犯人は彼の妻である牡丹大夫人であった。彼女は呆然と、亡くなった夫の遺体を前にして、座り込んだままつぶやいた。

 「彼らが戻ってきた。十二天魔が…彼らが復活した。」

 この一言が再び全土を揺るがした。少林寺や武当派を初めとする九大門派と開放派、それまで息を潜めていた魔教や緑林盟から西蔵の天龍寺、天下武林や世外武林の邦派までもが天下武林盟へと集まった。あの天龍大侠が武功も知らぬ妻に殺されたというのか?
その疑問を解くよりも、彼女がつぶやいた十二天魔の復活という言葉があまりにも恐ろしかったのである。

 本当に彼らが戻ってきたというのか?

 天下は再び恐怖に陥った。誰一人彼らに立ち向かえる者はいないのである。

 しかし、新たな英雄が現れるなら…?